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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第15話「宇宙会談決裂」

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ガルベストンにはある事情がある。
そのためにどうしても、
可住惑星を手に入れなければならないのだ。

あらすじ

 第5惑星に到着し、ラガーガードと合流した萩艦隊は惑星に基地を建設する。ガルベストンを刺激することを恐れた伊勢は萩司令に建設中止を具申するが、萩はガルベストンと交渉するよう命令し、ラガーガードを宙域に送る。一方、探査活動が停滞しているガルベストン側も事態を打開するため地球側の呼び掛けに応じ、ドレイクと伊勢が会見する。

見どころ

dairugger 第5惑星で萩支援艦隊と合流したラガーガードだが、到着後、基地建設を始めた萩に伊勢は渋い顔をしていた。ガルベストンとの約束を破ることになるからだ。ラガーガードは第15恒星系への行路でこの惑星に立ち寄ったのであり、エンジンの修理を終えたら直ちに発進するはずだった。「ここへ基地を作ってはいけません、合流することもまずいんです」、基地を作ったら地球政府が銀河制覇に乗り出したと誤解され、探査活動がますます困難になる。萩に意見具申した伊勢だったが、萩は「しかし、我々にも拠点となる場所が必要だ」と伊勢にガルベストンと交渉するよう命じる。そしてラガーガードで惑星を離れた伊勢はガルベストン前線基地にコンタクトを求める。

dairugger  一方、萩艦隊の到着はそのガルベストン前線基地でも困った事態を生じさせていた。地球側の陣容が強化され、各探査艦隊との衝突が激化すれば探査活動はそれだけ停滞する。伊勢の呼び掛けに、「出て来いというのか」、「第5惑星を占拠し、我々を欺いておきながらよくも」、「だから邪魔な奴は一刻も早く叩けと言っているんだ」と、和議などとんでもないという雰囲気の幹部たちだったが、テレスは「本星から与えられた期限は2年しかないのだ」と言い放ち、彼らに厳しい現実を認識するように求める。すでに半年はダイラガーとの戦闘で失われ、皇帝の求める可住惑星はまだ発見されていない。「地球の呼び掛けに乗ってみましょう」、ドレイクの進言にテレスは交渉を許可する。「また騙されるのが関の山だ!」、バラタリアの捨て台詞を背にドレイクはラガーガードとの交渉に向かう。そして宇宙の一角でラガーガードとドレイク艦隊は会合する。

dairugger 「君たち地球探査隊はなぜ惑星から立ち退かないのだ? 約束が違うのではないのか?」、ラガーガードと面識のあるドレイクは穏やかな口調で地球側の約束違反を非難する。伊勢は政府同士の話し合いを求めるが、ドレイクはそれはできないと拒絶する。交渉は決裂するかに見えたが、ドレイク艦に乗り込んで直接会談したいという伊勢に、ドレイクは渋々乗艦を許可する。「相手を知るチャンスだ」、ドレイクは伊勢の大胆さに興味を覚えたが、そこにバラタリアの通信が入り、会談の間に惑星の地球艦隊を奇襲する計画を聞かされる。「それでは何もかもぶち壊しになる!」、声を荒げてバラタリアに作戦を中止するよう勧告したドレイクだったが、そこに伊勢のシャトルが艦に到着する。

「ガルベストンにはある事情がある。そのためにどうしても、可住惑星を手に入れなければならないのだ。」

 「お話をしに来たのです、何を心配する必要があるのでしょうか」、ただ一人で敵艦に乗り込み、従容とした態度の伊勢に好感を持ったドレイクだったが、バラタリア艦隊の惑星接近に交渉を急ぐ必要があると彼に告げる。しかし、地球艦隊の去就についての交渉は平行線のまま進み、本星の場所も機密ということで拒絶され、伊勢は共同での銀河探査を提案したが、ドレイクは「ガルベストンにはある事情がある」と、その申し出さえ拒絶するのだった。その間にバラタリアが惑星に到着し、地球艦隊に戦端を開く。「ある事情」とは何か、誰何する伊勢にドレイクは表情を歪める。

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「話し合いなどぶち壊してやる!」、会談中にも関わらず、バトルマシンを投入して艦隊と地球基地を攻撃し始めたバラタリアに地球艦隊はやむなく反撃する。その報を会見中に受けたドレイクは決裂が決定的になったことを悟る。攻撃は司令部の意思ではなく残念だというドレイクに伊勢は手を差し伸ばす。「いつか、心からお話のできる日が来ることを」、伊勢の手を握ったドレイクを置いて、伊勢はドレイク艦を離れる。

dairugger ラガーガードを見送った後、ドレイクは副官ロシェにバラタリア艦隊を放置して艦隊を基地に返すように命じる。「テレス司令の御心の内も読めぬ、跳ね上がり者、誰も地球と戦えと命じた者はいないはずだ」、ドレイク艦隊に見捨てられ、一人惑星に残ったバラタリアは引き返したラガーガードと萩艦隊の集中攻撃を受けて敗走する。ダイラガーの応援も加わり、勝利に沸く乗員たちだが、司令の萩は一人浮かぬ顔をするのだった。

「いや、犠牲が大きすぎる。銀河を探査し、銀河の地図を作成するという目的の前に、これほど無残で虚しい壁があろうとは。ガルベストン艦隊との会談が決裂した今、我々に残された道は、ただ、力と力で戦うことだけなのか。」

 この時点では銀河警備軍とガルベストンとの戦いはただの地域紛争であって、「戦争」ではない。平穏な目的のはずの探査活動の遂行に断固として立ちはだかるガルベストン帝国とその艦隊、伊勢との会談に臨むドレイクの態度は終始柔和なものだったが、交渉の内容は厳しいものになり、バラタリアの攻撃による現実とのギャップに地球からラガーガードを支援にやってきた萩は目が眩むものを感じる。果たしてこれはただの妨害活動なのだろうか、敵味方双方に夥しい犠牲を生じさせているこれは、もはや「戦争」ではないのか。

キャラクター紹介

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 第三次支援艦隊、萩艦隊の司令官(ハト)、新兵器無人スナイパーを使い、ドレイク艦隊を下してラガーガードに合流したが、その後は艦隊戦そっちのけで基地建設工事の監督ばかりしているので、どうも艦隊戦より基地建設など地上防御が専門の土木指揮官で、探査艦であるラガーガードの支援にはむしろ適した人材と言える。萩艦隊はその後のガルベストンとの交戦で徐々に戦力を減らし、萩も20話で惑星Kの支援基地から出航するラガーガードを見送った後、基地でラフィット艦隊の奇襲を受けて戦死する。彼の死と惑星K基地の全滅はラガーガードによって地球に報告され、その映像と川島和子のBGM付きでアシモフが編集した全編涙なしでは見られない「惑星K壊滅・萩司令死す」のドキュメンタリービデオはハト派の長官若狭と出羽をタカ派に転向させ、三惑星連合にガルベストンとの総力戦を覚悟させるきっかけとなった。

dairugger なお、彼の支援活動中にアシモフがラガーガード艦長の任を離れるが、その際にアシモフが萩に贈ったSPシングル「わたしは宇宙(川島和子)」は、歌の通り、赤い月の上る陰気な惑星での彼の葬送歌となった。CVは不明だが声質は八奈見乗児に似ている。ダイラガーの声優陣は青二プロダクションの声優が主流なので、おそらく八奈見本人だろう。


わたしは宇宙

作詞:藤川桂介/作曲:横山菁児/編曲:横山菁児
歌:川島和子

目を閉じていると
時の流れをこえて
わたしは宇宙のパノラマになります
赤い月がのぼる
ペガサスがとぶ
あなたの夢にめぐりあえます
あなたの世界になります

燃える虹のはてに
オーロラがゆれ
あなたの夢にめぐりあえます
あなたの世界になります

今週のバトルマシン(1分35秒)

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武器:ランスミサイル

 バラタリア隊の2番目のバトルマシン「ユルコンW」は、傑作マシン「ゲド」の流れを汲む重攻撃型のマシンである。分厚い装甲に強力なランスミサイルは惑星に敷設した地球基地を壊滅に追いやった。また、ゲドのテクノロジーを用いた十分な太さの4本の足は巡航艦に組み付いて握りつぶすほどの器用な動きと強大なパワーを併せ持つ。また、ダイラガーキルダーをかわすなど見た目の割に俊敏で運動性も高い。しかし、剣や爪など近接戦闘用の武器を全く持っておらず、そういう武器を満載しているダイラガーにダイラガーランサーを突き刺され、さらにラガーソードでメッタ斬りにされ、そのままラガーソードの刀の錆となった。

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