◇MUDDY WALKERS
SFドラマ レビュー
本作は、1978年から放映されたアメリカのSFテレビドラマシリーズ「宇宙空母ギャラクティカ」のリメイク版で、2003年から放映を開始したシリーズです。といっても、私は元々の作品を観たことがありませんので、リメイク版としてどうか、という視点でのレビューはできませんが、一作品としてどんなふうに楽しんだか?をお伝えしていきたいと思います。
小林昭人さんからすすめられて、とりあえず何の予備知識もなく観た「序章・ジェノサイド」。序章となっているものの、めちゃくちゃ長いです。なんでも元々ミニシリーズとして2夜連続で放送されたものだそうです。さすがに私も1晩で最後まで見切ることができず、2夜連続で楽しみました。(181分の大作です)
と、ものすごく大味なあらすじ紹介になりましたが、序章の目的は、本編を構築する世界観はどういうものかをわかりやすく提示するもの、そして本編へと引き込んでいくものです。それに3時間という時間を割いているのは、これがリメイク作品であるということと大きな関係があると思います。
最初の作品が作られたのは1970年代末、そのころの「未来の宇宙空母」は今ではすっかりローテクです。それを現代のテクノロジーの進歩にあわせて飛躍的に口上させるという手もあったと思いますが、本作ではそうではなく、ローテクであり続ける理由が考えられています。コンピュータネットワークを通じてサイロンが侵入してくるのを防ぐため、ギャラクティカではコンピュータは使うけれどもネットワーク化はしていない、というのです。
サイロンとの戦いで、最新鋭の戦闘機はシステムがダウンして行動不能に陥ってしまう、けれどもお蔵入りが決定していた「オンボロ」なら影響なしに戦える。こうして「古い」ものが新しい世界の中でいきいきとよみがえっていく瞬間。これはきっと、前作ファンにとっては痛快の極みなのではないでしょうか。
壮大なドラマシリーズの幕開けだけあって、冒頭から最初の1時間超は、そんなギャラクティカの置かれた現況やクルーたちの人物描写がメインになっています。たくさんの登場人物がいて、まだ名前が覚えきれていませんが、丁寧な描写のなかに、これから繰り広げられるであろう人間模様について想像をかきたてるものがいっぱいあって、わくわくさせられます。
実在するかどうかも疑わしい「地球」を目指す5万人の残された人々の旅、そして、人型サイロンは12タイプいる、というナゾの文言。「あっ!」という驚きの余韻を残して、いよいよ本編のスタートです。
個人的にいいなー、と思ったのは「スターバック」ことカーラ・スレイス中尉ですね。粗暴でキレやすそうな、おっかない女性パイロットですが、やることなすこと、実に「男前」で素敵です。
天才科学者のガイアスもおもしろいキャラです。脳内彼女と語るときの彼が何ともいえません。笑えるけれどもちょっと恐ろしい人。「こいつがサイロンだ!」と彼が断言できるのは、天才のなせる技なのか、良心の欠如がなせる技なのか、と考えさせられちゃいました。
アダマ司令官と息子のリー・アダマ。親子そろって軍人の道を歩んでいますが、確執があります。二人の関係も、序章の中では重要なポイント。
アダマ司令官とロズリン大統領。どっちが主導権を握るか、で緊迫したドラマが展開されました。こちらの関係も本編に入ってどうなっていくのか? 気になるところです。
MUDDY WALKERS◇