レビュー
低予算ながら大ヒットしたジェームス・キャメロンの出世作「ターミネーター」の続編。1よりも2の方が面白いという珍しい例とよく言われる。巨額 の予算がつぎ込まれ、アクション、特撮、CGとどれをとっても一級レベルで、アクション映画としては目をみはる出来。とくに液体金属でやられてもやられて も蘇るT1000はすごい。
ストーリーは前作でサラ・コナーの殺害に失敗したのを受けて、さらにパワーアップした新型ターミネーターがサラの息 子で将来反乱軍のリーダーとなるジョン・コナー少年を殺害しに来るというもの。これを阻止しようとするのが前作では悪役だったシュワルツネッガーである。 ホラー色の濃かった前作から一転、ヒーローアクション物となっているのは、ハリウッド大作の常としてファミリー層を呼び込むためだろう。その戦略は成功し たものの、映画としてはシュワルツネッガーが味方になった安心感から、ハラハラ度と恐怖感が半減してしまった。ジョンによってターミネーターに「人を殺してはいけない」と制限が設けられたのも苦しい。血も涙もなく殺しまくるのが魅力だったのに…。それにサラの変貌ぶりも恐すぎる。「エイリアン2」でシガ ニー・ウィーバー演じるリプリーのような強い女になってしまったが、リンダ・ハミルトンには全然似合わないよ。彼女の強さというのは武器を持って戦う強さではなくて、前作でカイルの閉ざされた心に触れる、そういう強さだと思うのだが、サラというキャラクターの持つエモーショナルな部分がマイナスにしか感じられず。未来の指導者ジョンの母としてジョンにどう接しているのかという部分をもう少し見たかった気がする。
しかし一番の問題は、前作にはあったSFとしてのセンス・オブ・ワンダーな部分がないことだ。結局のところ、非常によくできたアクションヒーロー物だなあというところに評価が落ち着く。まさに、シュワルツェネッガーのための映画である。
評点 ★★★
http://www.muddy-walkers.com/MOVIE/t2.html映画レビュー|ターミネーター2
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