MUDDY WALKERS 

キル・ビル KILL BILL

キル・ビル 2003年 アメリカ 111分

監督クエンティン・タランティーノ
脚本クエンティン・タランティーノ

出演
ユマ・サーマン
デビッド・キャラダイン
ダリル・ハンナ
ルーシー・リュー
千葉真一
栗山千明 ほか

スト−リ−

 ひとりの女が長い昏睡状態から奇跡的に目覚める。女の名は“ザ・ブライド”。かつて、世界中を震撼させた暗殺集団の中にあって最強と謳われたエージェント。5年前、彼女は自分の結婚式の真っ只中に、かつてのボス“ビル”の襲撃に遭い、愛する夫とお腹の子どもを殺された上、自らも撃たれて死の淵をさまよった。いま、目覚めた彼女の頭の中はビルに対する激しい怒りに満たされていた。復讐の鬼と化したザ・ブライドは、自分の幸せを奪った者すべてを血祭りに上げるため、たったひとりで闘いの旅へと向かうのだった…。

レビュー

 結婚式の最中、悪の組織(毒マムシ団とか、そういう頭の悪そうな名前の)に襲撃され、命は取り留めたものの、4年間寝たきりになり、おなかの子供も失った、ザ・ブライド(ユマ・サーマン)。4年の眠りから覚めた彼女は、病院を抜け出して、殺した組織のメンバー一人ひとりに復讐していく。前後に分けられた作品の、これは前編。メインは東京にいる中国人と日本人のハーフで暴力団組長の女、オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)との対決である。
 一人目のターゲットとの対決、彼女が復讐の鬼になることになったきっかけと病院からの脱出、オーレン・イシイの過去(日本のプロダクション製作によるアニメ)、そして沖縄に飛んで服部半蔵(千葉真一)と出会い日本刀をゲット、オーレン・イシイとの対決のため青葉屋へ…、というところまで、奇想天外な設定だがわかりやすいストーリーがテンポよく展開していき、とても面白かったのだが、さすがに青葉屋の「88人斬り」でだれてしまった。ユマ・サーマンとルーシー・リューの殺陣は、よく演出されていて見応えがあったが、そこまでに出てくる88人のザコとの戦いがワンパターンで長すぎる。首が吹っ飛んで、血がシャワーのようにびゅーっと飛び散るのも、何回も繰り返されて食傷気味に。正直、最後は飽きてきた。 Vol.1はトータルで113分とあまり長くない。もうすこしダレた場面を整理すれば、わざわざ2本に分けずに最後まで勢いよく観られたのではないか? 
「なんで沖縄に刀鍛冶がいるんだよ!」とか「機内に刀を持ち込みかよ!」とか、ツッコミどころは満載だが、そういうことを言うのはヤボのバカ映画なのだろう。『北斗の拳』とか『機動武闘伝Gガンダム』みたいなノリで、どっちも私の好きな作品だが、『キル・ビル』は、こんな劇画調のバイオレンスを実写映画でやってしまったというところに新しさがあるのだと思う。しかしこの手のバカをやるためには、バカげた描写に納得できるような世界の設定みたいなものを見せておく必要があるのではないか。それともハリウッドでは「舞台が日本」となれば、こんなトンデモ世界も納得なのか。というワケで☆3つ。

評点 ★★★

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇