MUDDY WALKERS 

G.I.ジョー G.I. Joe: The Rise of Cobra

G.I.ジョー 2009年 アメリカ 118分

監督スティーヴン・ソマーズ
脚本
スチュアート・ビーティー
デヴィッド・エリオット
ポール・ラヴェット

出演
チャニング・テイタム
レイチェル・ニコルズ
シエナ・ミラー
イ・ビョンホン ほか

スト−リ−

 世界征服を企む悪の組織“コブラ”が、各地で活動を活発化させる1990年代。あらゆるものを破壊する威力を持つ最強兵器ナノマイトがコブラ一味の手に 渡ってしまう。パリのエッフェル塔が破壊されるなど、コブラの脅威が世界各地を襲う中、アメリカ政府は世界各地の精鋭を集めた史上最強の国際機密部隊 “G.I.ジョー”に願いを託す。

レビュー

 アメリカの人気玩具を元にしたアニメ番組「地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー」を実写化した、という作品で、もちろんのことだが「バカ映画」 の部類に属する。この手の作品では、トランスフォーマーが大ヒットしたが、その後、いろいろと二匹目のドジョウを探して、過去の人気アニメが発掘されているようだ。
 とはいえ、そんな過去作品を知らなくても当然入っていけるように作られた親切設計なので、「ついていけない」ということはまずなかった。G.I.ジョーがどういう存在なのか、さりげなく最初に紹介できるように、主人公のデュークとリップコードという2名の新人の入隊エピソードから、話を始めてくれている。身に着けると自動車並みのスピードで走ったり、ものすごい高さまでジャンプしたりできるパワードスーツのような装備も、懇切丁寧に説明してくれる。敵組織のドロンジョみたいな女ボス、バロネスとは、主人公の元カノという設定を付け加えて、わかりやすく話の展開のオチまで想像できるようにしてくれる。

 というわけで、かなりのテンポで展開するストーリーにもすんなり入っていくことが出来たが、だからといって面白いワケではないのが困ったものだ。そんな こんなより、目を釘付けにしてくれたのは、敵の白いニンジャ、イ・ビョンホン演じるストームシャドーで、お話のイイ所を全部彼が持っていき、終わってみれば、白い忍者と黒い忍者が戦う話だった!という感想で終わっていた。悲しいかな、主人公のデュークが、それぞれに強烈な個性と能力をもつ敵の面々に比べ て、あまりにもまともで影の薄い人物に成り下がっており、さらに加えて元カノとその弟をめぐる、現実にイラクやらアフガンやらで起こっていそうなエピソードがあまりにまとも過ぎて、バカ映画のバカ度を著しく下げる結果となった。ストーリーも、後半の戦闘シーンに入ると、あっちこっちで起こっている戦闘の描 き分けがうまく出来ておらず、何がなんだか状態に陥ってしまう。意外に、バカ映画らしいバカ度を演出するって、難しいんだなと思ってしまった。

評点 ★★

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇