Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/8/17)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.ウチが絵を問題にしない理由



小林: スーパーカブとどちらをやろうかと迷っていたんだがな、結局両方やる(ハーロック)ことにした。

ハヤト: しっかし古い作品ですねえ、43年前です。

小林: ウチが絵をあまり問題にしないのはこういうことがあるからだな。43年も前の作品と今の作品じゃ比較にならないじゃない。

ハヤト: ま、ある程度「見るに耐えるレベル」はありますがね。白黒の009やアトムじゃ厳しいですが、1970年代でしたら絵もカラーですし、中盤以降は動きも良いですからね。むしろスーパーカブの方がよほどカクカクしていたりする。絵についてウチで求めるのはこの程度なんです。

小林: その辺ごっちゃに論じる人、今でも多いよね。アニメーション技術が問題なら最初にそう銘打って論じたほうがいい。最近の人はそういう議論の仕方が得意じゃない。例えばつい先日こんな書き込みを見つけたのだが。言っていることは正論だ



ハヤト: 言いたいことは分かりますよ。確かに過去は大事です。ですが過去の失敗や不行跡ばかりをことさら取り上げると、候補者は東大法学部出身の官僚出身者の自民党員しか選べないわけです。課長あたりまでミスもせず大過なく過ごした人ですね。車で言えばゴールド免許

小林: しかし、政治というのは現在の問題なのだから、過去に囚われず何を主張しているかも大事だ。提案の中身を見れば上のおいさんが言っているようなことは大半カヴァーしていることもあるからな。それを過去だ責任だと言うのは却って議論を混濁させる。課長まで大過なく過ごした東大なんて、何もしなかった奴の典型例じゃない。ゴールド免許はクルマ持ってなくてももらえるからな。それに表計算で候補者選べるなら政治学者は要らない

ハヤト: 政治家なんてどうせ公約の一つか二つしか実行できないわけです。判別するのがそれほど困難とは思えませんね。ま、アニメの話なんですが、4K対応の解像度は大事だよと、ディティールの正確さも考証も大事です。だからといってその条件を全て満たした作品が名作というわけじゃない。

小林: 実は私はこのおいさんの言うことにはほぼ賛成(田中康夫とか)なんだが、「こういう見方」だけではまずいということだ。政治のデータなんか膨大すぎて、過去の引き倒し合いなんて検証不能で建設的じゃないからな。公約して当選して実行したかしないかならすぐ分かるじゃない。政治家の任期4年なんて適当に決まったもので、鮮度なんて1年くらいじゃない。少なくとも今の政治システムの精度なら、それで仕事してくれれば十分なんだよ。

ハヤト: ま、アニメに戻しますと、ウチは映像表現や声優、音楽については及第点しか求めていないということですね。試験でいうなら50点取れば65点だろうが90点だろうが問題にしないわけです。それはそれで別の議論にしますから。

小林: そこだけ議論してもつまらないでしょ。東大みたいに足切り90点なんて大学はつまらない大学だよね、試験で90点も取らせてその学生が分からないってことは、キョージュが無能ってことじゃない。無能な人間に何を教わるの? ウチはそんな物の見方しないよ。



2.福井でもいいかもしれない

 

小林: 福井ハーロックもレビューに加えるつもりで、借りようと思ったがこちらの方が変なオーラを放っていてねえ。右はよりまともな方、エベレスト物で見るならこっちだな。

ハヤト: そもそも役所さん主役じゃないんです。主役は右の女の人(張静初/チャン・ジンチュー)でして、監督は人民共和国の方です。役所広司が中心なのは日本発売のDVDですね。

小林: CGがどうのとか脚本がとか色々言われてるけどさ、視聴した印象はこれだな、「福井晴敏は中国にもいた」

ハヤト: ちゃんとリサーチしていれば無酸素でエベレスト頂上(セット)で格闘なんかしないわけです。自動小銃なんかも入山前に「ヒマラヤの鬼」の隊長(役所)が手荷物チェックするでしょうしね。M16小銃が4キロ、M1911拳銃が1キロで合計5キロですから、酸素ボンベが10キロありますので、決して軽い装備じゃありません。登山のイロハですよ。

小林: だっからマジメに考えちゃいけないわけで、5,600mのベースキャンプから高度順化もしないで7,200mまで1日で登るとか。デスゾーンといっても無酸素でピンピンしていて全然デスじゃないとか。

ハヤト: 印象としてはマア、色んなサスペンス映画や登山映画の見せ場だけメドレーにして、俺カッケーと監督が自己満足しているような感じですがね。撮影もヒマラヤじゃなくロッキーで、エベレストはCG、富士山よりちょっと高いくらいですから役者さん楽なわけです。ま、日本じゃ通用しませんよね

小林: しかし、あまり考えずに見ればそこそこ見れるのは本当で、ヒロインは美人(チャン)だし、ヘリ操縦士(林柏宏/リンポーポン)は織田裕二みたいだし、役所はいくら刺されても撃たれても死なないし、そういうのはシナリオ破綻している証拠なんだがな。B級アクション活劇としてはそこそこ見れるので、映画なんかこんなもんでいいかと。

ハヤト: ギャラの高い役者が敵役の場合は、役所さん違いますが、いくら撃たれても刺されても死なないのは福井さんそうですね。前は中井貴一でした。



小林: あんなアクションで27時間もワイヤーに吊るすなんて撮影がよほど下手くそだったんだなと。それだったらもっとワイヤーの得意な役者、唐沢寿明とか使えば良いじゃない。ヒロインを庇って谷底に落ちるのはこちらで十分だ。

ハヤト: エベレストを巡る国際的陰謀がテーマだそうですが、各国要人が乗ってきたのが三菱ミラージュとか、ま、悪役はインドだろうと思ったらやっぱりインドで、それも分からずじまいなんですよね。インド諜報部のエージェントが救助チームウイングス(隊長役所)に身分を偽って潜入、、のはずが、エベレストの頂上で役所さんと格闘している頃にはヒマラヤ生まれのカーン兄弟の私的復讐みたいになってましたからね。ま、エベレストでいちばん悪そうな国は中国なんですがね。インド接してませんし。エベレストは中国とネパールの国境です。結局陰謀なんだかはヒロインが書類燃やしてしまったので分かりませんでした。

小林: 政治的陰謀なんたらかんたらとやると、中国の場合は新疆ウイグル自治区に触れなきゃいけないから、やりにくいんだろう。脚本書いていても筆が鈍る。だから登山はネパール側で中国の中の字も出ないようにやっているけど、こういうのが中国が世界でメジャーになれない点で。ま、メイン市場中国だからこれで良いのか。

ハヤト: だったら役所さんなんか使わなくて中国人俳優使えば良かったじゃありませんか。

小林: いや、役所も含めて人民共和国の監督のくせに台湾とかカナダの俳優使ってるじゃない。ウイングスで唯一人生き残ってヘリの操縦士で格闘も登山もやらないハン(リンポーポン)だけが中国俳優で。たぶん中国じゃこういうのがウケるんだ。外人チームは散々使って全滅、生き残るのは中国人、肉体労働しないとか儒教的価値観にも合っている。

ハヤト: そうですね、映画じゃリンさん以外は役所も悪人も全滅してしまいます。役所広司はホーク兄と一緒に谷底に転落、他のメンバーは自動小銃を持ったホーク弟に撃たれ、ウイングスのメンバーで地上支援のネパール人二人は撲殺に自殺、ヒロインのチャンさんも昔遭難した恋人の氷漬けの遺体と一緒に凍死、中国以外はそうなんでしょうね



小林: つまりさ、結論としては福井晴敏の20年は全くの時間のムダだった。あの程度の才能に金を使うのは無駄遣いで、あのくらいのことは今や中国でもできる。あっちの方が金も市場もあるから、同じ土俵で勝負したら日本は絶対に負ける、そういうことだな。小原隆二みたいなつまらん評価方法しか提示できない政治学者はクビ、そういう評価じゃ、まともな人間は発掘できないからだ。制作者や政治評論家の見識を視聴者、有権者に合わせる必要はない。もっと上を目指さなきゃダメだ



閑話休題



小林: 日本では洋画に変なタイトルを付けることがままあって、上の映画も原題は「ヒュパティア」なんだが、なぜか「アレクサンドリア」、そりゃアレクサンドリアの大図書館は舞台の一つではあったけれども、原題の方がよほど良いじゃない。主役ヒュパティア(古代エジプトの女性数学者)の一代記なんだし。

ハヤト: オーバー・エベレストの方は原題は「冰峰暴」、英語では氷嵐(アイスストーム)ですね。もっとも英語のタイトルは別にあって「ウイングス・オーバー・エベレスト(エベレスト山上のウイングスチーム)」なんですが、タイトルもブレブレで、こりゃ元の映画が悪い。

小林: それは別として今回レビューに加えたハーロック、難しい作品だよねえ。再放送で少しだけ見たけどさ、その時の印象とはだいぶ違う。

ハヤト: 絵とか宇宙の描写については時代を感じますが、根本的な部分で考えさせられたと。

小林: ハーロックは最初は「宇宙海賊」で、松本零士の思想を反映してちゃらんぽらんですごく分かりにくいじゃない。宇宙戦艦ヤマトもそうだけど、就寝中は敵が襲ってこないのがお約束で、交代勤務は取られておらず、みんな同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。夜中に襲われたら撃沈されちゃうじゃない。そういうのを直すのが良い作品と誤解していたが。

ハヤト: それも考え方ですね。船が交代制なのは航海中に注意しなければいけない障害の監視やエンジンなど機器の運用に人が要るからです。同じ軍隊でも陸軍や空軍は歩哨を立たせるだけで交代勤務なんかしてないでしょ。夜中に襲ってきたら叩き起こして即座に戦闘に入る。実はハーロックもありなんです。30世紀の船は自動化が進んでますから。



小林: この間の座礁事故(エバーギブン号)で少し調べたが、同じ船でも日本は20人、韓国だと5人で運行してるな。日本はたぶん4交代で韓国はハーロック式なんだろう。文化の違いで割り切れるもので、実は目くじら立てて問題にする話じゃなかった。日本から中東までの航海なんか、大半は長いだけで退屈だし、いざ事故になったら5人でも20人でもなす術無いからな。スエズ運河じゃ風に流されて400メートルの船があれよあれよと言う間に座礁したんだが、乗組員にできることは何もなかった。

ハヤト: あれは人数よりはもっと強力なエンジンとか良く効く舵の問題ですからね。そういえば操舵輪も造船会社によって最近は付けたり付けなかったりするんです。タッチパネルで操船できるんですが、いざという時には直観的な操作ができたほうが良いと付ける所もあります。

小林: 話を戻すと、この宇宙海賊、後の作品では元軍人にするとか色々口当たり良く直していくんだけど、後になって見ると実は最初のがいちばん良かったという。

ハヤト: それじゃ、今回はここまで。


(追記)福井ハーロック

 

小林: ま、副反応が怖かったからオーバーエベレストで1回目ということで。

ハヤト: それ正解だと思いますよ。それじゃ見ましょうか。

<視聴中> 

小林: 何というかさあ、、これ、話見えないじゃない。

ハヤト: あらすじを言うとこうですね。100年前の戦争でハーロックが地球を破壊して副作用でミュータント(死なない)になったと。それで100年後、罪の意識に苛まれたハーロックは宇宙のあちこちに爆弾を仕掛け、100個目を地球で爆発させて宇宙そのものを消滅させようというお話で。で、それを阻止すべく主人公がアルカディア号に送られるんですが、感化されて2代目ハーロック(初代は死亡)になりました。

小林: 何だそれ。全然ハーロックじゃないじゃない。

ハヤト: 同感です。話もハーロックが中心じゃなく、主人公のヤマとその兄夫婦が中心で、ハーロックはあまり出てきません。ヤマは過失でで兄夫婦に重傷を負わせ、そのトラウマがあるのが同じ脛に傷持つハーロック候補という。車椅子に乗っている兄は敵の司令官で、ラスト付近では身体障害者と健常者のバトルが見られます。車椅子に乗っている兄をヤマが殴る蹴る。

小林: それってイジメじゃない。しかも、障害者の方をハーロックが後ろから撃つ。ひきょうすぎないか。

ハヤト: ま、期待に違わずしょうもない話と、ワクチン(オーバーエベレスト)打っといて良かったですね。打たなきゃ見られませんよ、こんなもん。

小林: 映像見ても戦隊シリーズのラスボスにしか見えないのが悲しい。10年前のCGじゃ古びてダメだよね。主演声優が全員人気俳優で滑舌が悪いのも痛い。小栗旬なんかモゴモゴしていて何言っているか分からない。

ハヤト: ま、ウチで書くことなんかないです。