Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.
An another tale of Zeta・・・INTERVIEW
(インタビュー 2016/08/27)
機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。
はじめに
ハヤト: こんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。
小林: 作者の小林昭人です。
1.統一性と美意識 メカ設定
右はゲストブック討論会の内容
ハヤト: 昔のゲストブックを引用させていただきましたが、まあ、言いたいことはここにありますね。ATZではガリバルディβとリック・ディアスはソロモン共和国のモビルスーツで、元ジオンのキーゼというエンジニアが開発した機体です。一台がシャアに供与、「サーモンピンク」の機体で(笑)、実は角も付いているという。
小林: 開発動機がタイタニア戦争に参加したキーゼが核攻撃を受けたコロニーの惨状を見て、すでに開発されたガリバルディ以上の機体ということで心血を注いだというドラマは本編で語られていて、富野のゼータみたいにいつの間にかカミーユがガンダム設計していたり、プラモデルの箱に書いてある開発経緯なんて変なもんじゃないよ。
ハヤト: ここで注目すべきは、ATZではソロモン共和国の機体は永野護さんで統一したということですね。これ、本編に理由が書いてあります。
「彼の真打ちは目の前にある巨大な重モビルスーツである。全長は二〇メートルを軽く超え、ガリバルディよりも一回り大きい。機能の結果としてそうなったのだが、そのシルエットは連邦、ジオン、いずれの制式機にも似ていない。これは共和国独自のシルエットだ。」
ハヤト: これを書いたのはアナタですから、アナタはガリバルディとディアスのデザイン画を見て、「ジオンでも連邦でもない」と断定したわけです。この価値判断が本文にありますよね。ソロモンというのは第一部では同盟と言いましたが、自前でモビルスーツを開発する技術のない国で、ハマーンの仲介でようやく技術者をジオンから招聘した。その前は連邦の「GM」の焼き直しを使っていたわけで、独自開発じゃないんだから、「独自のシルエット」の機体なんかあるはずない。
小林: ファースト準拠なら連邦系かジオン系、同盟は連邦系の国だからGMとその派生型がせいぜいだ。
ハヤト: ところが、アナタはマシュマーをガンダムには乗せなかった。GM(=アライアンス)には乗せてますがね。
小林: それはさ、見て分かる通り、Zのモビルスーツのデザインってさ、ジオン系に偏っているとは思うけど、統一性がないんだよね。
ハヤト: 永野さんのデザインは、、たぶん苦労してジオンっぽく描いたと思うのですが、成りきってはいませんよね。
小林: 大河原邦男の線って、もっと柔らかいからね。永野はヘビーメタルなんかに代表されるような鋭角的な線が得意なデザイナー。
ハヤト: その永野さんが開始早々降ろされたというのが、我々がデザインの分類に苦労した点で。何で大河原さん参画しなかったんでしょう?
小林: ギャラが高いからじゃないか? それと当時は大河原の絵は実際に立体にすると「リアルじゃない」と一部で評判が悪かった。この間、大河原邦男展を見てきたけど、どちらかと言えばヤッターマンのゾロメカとか玩具っぽいデザインが主なデザイナーだからねえ。実際、350円の「ガンプラ」はテレビのそれよりかなり造形的に違ったし、、
ハヤト: 永野さんが降ろされて以降はいろいろな人が描いてましたが、何というか、ロボットではあってもモビルスーツじゃないんですよね。
小林: 誰かが永野がヘビーメタルから持ち込んだデザイン言語「ムーバブルフレーム」が良いと持ち上げすぎたからな。後続のデザイナーはみんなそれに倣ってしまった。永野護のガリバルディとディアスはモビルスーツのデザインじゃないけど、やっぱ天才なんだよね。中途半端に真似した後のデザイナーにはロクなデザインがなく、永野のデザインも捨てるにはあまりにも惜しいということで「第三国がモビルスーツを開発した!」というでっち上げをせざるを得なかったのが真相だ。
ATZでは連邦、ジオン以外の初の開発機はバーザム(バーザムⅢ)
ハヤト: もっとも、ATZでは第三国初のモビルスーツは「バーザム」なんですよね。これも公式のバーザムよりだいぶ小さい機体(15メートル)。
小林: これも不思議なところなんだが、永野の後を引き継いだデザイナーの機体はモビルスーツはなぜか小さく見えるんだ。だから、バーザムとマラサイは本当に小さくしてユニオンとかエウーゴとか中堅軍事力の機体に再配備されたわけで。
ハヤト: 何でなんですかね? 頭が大きいのがそう見えるとか?
小林: 復帰した永野が描いたハンブラビ、たぶん永野はこれでジオン系のデザインを会得したと思うけど、小さく見える機体だよね。
ハヤト: そういう理由か小林さんはこれは宇宙戦闘機から発展した機体でフォルティナ国の機体としてますよね。
小林: 周りが小さそうな機体ばかり描いているので、良く分からないまま周りに合わせたんじゃないかな。でも、ハンブラビはマラサイやバーザムとはまた異質だよね。
2.で、結局どうなったか
ジオン公国軍 使いまわされるドムの派生シリーズ
ハヤト: やっぱこうなりますよね。新しいデザインに明確にファーストの流れを汲んでいる機体がない、ならば、ファーストの機体をそのまま使ってしまえと。あと、これらの先祖はこれです。
ハヤト: ま、百科事典でドムを糞味噌にけなしている割にはアナタ使ってますよね。バズーカの形状とか分かってるでしょ?
小林: 一応、リック・ドムがベースの機体で、ドムⅣ(4)は戦後低予算型の廉価版の機体、だからバズーカの形状なんか安い。ドムⅥ(6)は連邦の技術を入れたビームライフル装備機、ドムⅦ(7)はムーバブルフレームの試験機の高機動ドムで、量産型では最後だな、さすがに。実はドムⅧ(8)というのがいて、シン・マツナガと一緒に出てくるはずだったが、知っての通りマツナガは本編ではナレ死なので作らなかった。たぶんドムⅦよりひと回り小さく、高機動バインダーが六枚という感じで考えていたと思う。これは四部で出しても良いかもしれないな。
ハヤト: ハマーンもこれですからね。もっともこのリゲルグ、オリジナルのゲルググより一回り大きい(20m)んですが。だいたいディアスと同じ大きさですね。あと、シカゴのギャングみたいなビームライフル持ってますね。
小林: 三点バーストの速射ライフルなんだ。一回の連射で三発を敵に叩きこむ。後ろに映っているアライアンスなら一発だな。
ハヤト: 良くマシュマー撃ち落とされませんでしたね。
小林: 性能差がありすぎて(第一話)、ハマーンは何発食らっても平気だが、アライアンスは一発でドカンだからな。第三部でビームサブマシンガンが登場するまで連射できるビームライフルはこれしかなかったはずだ。
GM(アライアンス)の武器も進歩しているのだが、リゲルグには何発当たっても効かない。
ハヤト: ま、こんな感じでやれば誰がどう見たって、これらはジオン公国軍の機体でしかありえないでしょうね。
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ザクⅢもかなり変えている。
小林: ZZはデザイン的には評価できるのが少なくて、概してゴテ飾りだったから、ザクⅢなんかはシンプルに直したよ。こういうことまでしなきゃいけないんだ。
ハヤト: モビルスーツ先進国のジオン公国が低予算とはいえ、いつまでもドムを使い廻しているわけにはいきませんからね。
地球連邦軍のモビルスーツ さすがにGMは使えないが、機種が極めて少ない。
ハヤト: 連邦はこれは制式艦隊ですね。第四部まではネモしか出てきません。GMⅢ出せば良かったのにですね。
小林: 連邦制式艦隊は宙域の要のワンセットの艦隊で、100隻の標準的な構成の艦隊が五個艦隊だから、装備もケレン味がなくて、ネモ一機種で何でもやってしまう感じだ。第四部ではジェガンだな。
ハヤト: このネモが実はATZでは案外強くて、RX-78のそのまんま量産型という設定で、元のエウーゴの量産機とはぜんぜん違う。
単機でも十分強いが基本は集団戦法の連邦軍の主力モビルスーツ「ネモ」
小林: 制式艦隊はこれ一機種で30m超のモビルアーマーから7mのデナンゾンまで相手にするわけだから、弱いわけないよね。全長も18メートルで(ATZの場合、GMⅡの全長は16メートル)、ガリバルディとかザクⅢとかが出てくる前はほとんどの国のモビルスーツより一回り大きくて装備も良い。マラサイやバーザム、アライアンスよりは明らかに格上。
ハヤト: 本編でもメッサーラを撃ち落としていたり、アライアンスのライフルを受けても落ちなかったり、標準型としてはレベルの高い機体と言えるでしょうね。
小林: ファーストの地球連邦軍の戦い方はジオン軍の標準型よりほんの少し装備が良い(ビーム兵器)GMの集団戦法でしょ。ATZのネモはまさしくその系譜を継ぐ機体。ライフルはビームスプレーガンからガンダム並みのフルサイズになり、装甲もチタン合金からルナチタニウムとRX-78と比べて全く遜色ないけど、量産機なんだよね。これに集団で攻撃されたらドムなんかじゃ敵わんと思う。
ハヤト: ま、連邦軍は連邦軍ということですね。結局、小林さんはファースト以後のジオン軍と連邦軍にはZガンダムのデザインは採用しなかったわけです。
小林: それが正解だと思うよ。