Mobilesuit Gundam Magnificient Theaters
An another tale of Z ATZ資料集(19)






(作者メモ)
 クロスボーン・バンガードの本作における扱いはガイア(サイド2)にある数多いコロニー国家の一国という扱いで、F91やその後の派生作品と異なり、第三十五話で早々に滅びてしまい、マイッツアーの孫ベラも数奇な運命を辿ります。元々彼女は鉄仮面の後妻の子で、その後妻(マイッツアーの娘で鉄仮面は婿養子)がシオ・フェアチャイルドという男と駆け落ちしてF91の時代では後妻ナディアとともにパン屋の売り子(セシリー・フェアチャイルド)となっているというのがF91の設定ですが、本作では取り合いませんし、だいいちそういう設定が作中人物の表現に何か意味があるのかと言えばないと思います。それでも、本作でもベラは議員だった母ナディアとガロッゾの不義の子で、薄幸な生い立ちをしていることは、たぶん、安彦良和が造形したこのキャラクターの持つ、どこかヒロインになり切れない陰があると思います。




 クロスボーンの統領マイッツアーはF91ではなんとも掴みどころのない人物なのですが、彼の作った国は貴族制度を維持している上に街の様子などがあまりにエスニック色が強く、武器なども古風なデザインでこれが地球連邦の延長あるいは一部と見るにはあまりに違う風景でした。多国籍社会の存在を許す本作ではこういうマイッツアーの国も存続の余地があります


が、それはあくまで人目につかない小国としてです。かつて官僚だった本作でのマイッツアーの履歴は実は闇金でジャンク屋というF91の設定よりははるかに説得力に富みますし、人物像の掘り下げもより深いと思います。



 ガロッゾ・ロナは本作ではマイッツアーの実子になっています。前後妻というややこしい設定は本作では採用していませんが、父親よりも乱世向きの性格で、その頭の良さと機転で何度かマイッツアーの危機を救います。別にエゴを強化されてもいませんし、強化人間でもありません。



 人の良いドレル・ロナはガロッゾの先妻の子というのが公式設定ですが、この辺は本編では特に明らかにしておらず、ドレルの登場場面自体が一場面しかないので、これがナディア以外の女性の子であることは本作でも明らかですが(ドレルを身籠っていた時代にガロッゾとナディアが婚姻関係にないことは作中の記述から明らかなため。二十八話のマイッツアーに繰り言を言うガロッゾの記述)、別にガロッゾ(鉄仮面)が何回結婚してようが本作の進行には影響は全く無いため、一応彼は先妻の子で、ガロッゾは作中の記述では不承不承ながら、おそらくはマイッツアーの紹介で誰かと結婚しており、同時にナディアと不倫していたと解釈すれば、作中での彼らの会話は一応筋の通るものになります。その先妻は、おそらく戦争で死んだか作品の時代までに病気で死んだとか何らかの理由でいなくなったのでしょう。

(おわり)




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