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An another tale of Z ATZ百科事典(26)



バーウィック(重巡洋艦)
 このゴテ飾りのバルセロナ級は同級の余りの脆弱性と扱いにくさに業を煮やした制式艦隊(第5艦隊)が従来あった同級後期型を改造したものである。構造上の脆弱さを補うため多数の肋材を継ぎ足して船体を強化し、Qシステムを搭載し、装甲を増加して大型対艦ミサイルを装備した同級はほとんど戦艦と言って良いほどの重武装を誇る艦となった。
 それに伴い重量も7,000トン以上増大し、もはや別型式の艦と言えるほどに改造されているが、それでもゴトランド級は上回る運動性能を維持しているのは同級の基本設計の確かさである。が、それでも運動性は改装前の水準よりはかなり劣るものになった。
 「バーウィック」は連邦第5艦隊に配備されている改造バルセロナ級のうちの1隻で改造作業はオルドリンの造船所で行われており、8連ミサイルなどは同盟艦からの流用である。優れた通信機能から機動部隊の旗艦として用いられており、制式艦隊の配置変更を定めた0097年配置要項以降はルナ・ツー艦隊の旗艦を務めている。

(諸元)全長192メートル、全幅120メートル、全高58メートル 重量 22,579金属トン 乗員450名 兵装 300o55口径連装砲、Qシステム 艦載機 GM+タイプ8機 所属 地球連邦軍
ハーヴェイ・ダン
ハーヴェイ社社長 モビルスーツ『マラサイ』、『ハイザック』設計者
 元は連邦の技術兵(軍曹)であった。実家は農業機械販売を手がけており、ハーヴェイ自身機械いじりが好きな青年であった。戦後のジオン駐留軍に志願し、ズム・シチ滞在中のジオニック社でザクの図面が10フェデリンで売買される現場を目撃する。当時のノースウェスト社の役員からそれを買い取ったハーヴェイはグラナダで小さな会社を起こし、民需用に転用されたモビルスーツの修理・カスタマイズを業としていたが、その時にジオン軍の再建作業に従事していたシャア・アズナブル少将と出会う。ザクの後継機難に苦しむジオン陸軍のために彼はハイザックを設計したが、後にはエウーゴのためにマラサイを設計し、両機種ともアナハイムで委託生産された。委託生産料を差し引いてもゲリラ戦向きの高性能な機体を少数生産し、コストも平均して通常機の3分の1〜5分の1で収めることができたのはハーヴェイの技術とそれを重要視したシャアの慧眼による。
 彼の会社の最新作である「ゼータ」は連邦軍の制式機「ジェガン」のおよそ半分のコストで生産された機体であるが(それでもハーヴェイの基準では破格であった)、性能はほぼ同等でハーヴェイ社の設計技術の優秀さをアピールする機体になった。

(第十話「同盟艦隊出撃」)
「なお、モビルスーツは「ハイザック(TMS−106)」、聞いたことのない機体だと思うが、ジオン陸軍の要望でグラナダのハーヴェイ社がザク(MS−06)を再設計してアナハイム社が委託生産したものだ。そんなものを使うあたり、連中、隠れジオンファンなのかもしれんな。」
(資料集「その後のアムロ・レイ&エウーゴ兵器実験」)
「シャアには悪いが、ありゃ欠陥機(レモン)だな。」
(資料集「インチキ教団ジュピトリス」)
「やはりそうよね。私はゼータを使おうと思っている。」
 エマはそう言い、クレーンで艦に積み込まれているエウーゴの新型機を指差した。戦艦ザッケンルクスの技術を応用してハーヴェイが作ったガンダリウム合金製の機体のウェイブ・ライダー形態はマクガイアの機体とほぼ同じ大きさだが、パワーと戦闘力は段違いだ。バリゲードくらい突破できる。
(作者メモ)
 エウーゴの天才技術者ハーヴェイ・ダン、月の自警組織に安価な値段でティターンズに対抗しうる機体を調達した立役者ですが、作中に彼の台詞はなく、資料集でも少ないものです。ATZではハイザックとマラサイ、ゼータはMSマニアの彼の作品です。連邦駐留軍の時代にこの人物を見出して幕下に加えたシャアの慧眼はやはり特筆に値します。

バウンド・ドック TMA-055(原作NRX-055)
 名機「アッシマー」の大量納入でティターンズに地歩を築いた斜陽の名門航空機メーカー・タッキード社はティターンズに対する風向きが変化していることを見て取り、同社は対ジオン・共和国戦における緊急展開部隊としてのティターンズの存続を提案した。

 このコンセプトで作られた「バウンド・ドック」は全MS、MA中最高の加速能力を持ち、ティターンズ末期の主力機になった。ザクV同様、最新兵器のビームサブマシンガンを装備する。原作では強化人間専用機でロザミアやジェリドが搭乗する。

(HIA資料「青い空と白い雲」第45話 新型モビルアーマーの活躍)
 操縦席のヤザンは機体を急転させ、残骸を避けると、熾烈な対空砲火を撃ちかけてくるサラミス艦の1隻にコースを取った。レコアが射線に入った『マラサイ』を掃射する。ヤザンはレテクルの中心にサラミスのシルエットを捉えた。
「発射!」
 『バウンド・ドック』搭載の300oレールキャノンが立て続けに火を噴き、サラミスの各所を貫通する。

(作者メモ)
 バウンド・ドックは一見アッシマーと似た用途の機体に見えますが、アッシマーにない装備として旋回式の砲座と拡散メガ粒子砲の装備があります。より高い攻撃力と機動力はアッシマーと言うより、むしろジオンのサザビーに近い機体でしょう。


バグボ・バボ
 ハマーンの忠臣、イエガーの参謀を務める恰幅の良い黒人士官。ケニアの出身で連邦国体のハンマー投げの選手(ケニア代表)としてジオンを訪れ、そこで一年戦争に巻き込まれる。戦後も母国が内戦で混乱していたため、船員として木星に行き、そこで基本的な航海術を身につける。〇〇八二年の政争でクルト提督が木星に追放された際には艦長のハイデルシュタイン少佐と共に戦艦グワバンに乗艦し、以降はジオン軍の下士官となり、二年後に少尉に任官する。茫洋とした外見とは裏腹に極めて高い知能(知能指数一九〇)を持ち、木星時代にジオン軍のほとんどの戦術、航海術を習得し、同盟軍との抗争では巨躯を生かした海兵隊の戦士としても活躍した。
 赴任後にハイデルシュタインの紹介でバグボの有能さを認めたハマーンは彼を佐官に昇進させているが、これは非士官学校出身者ではジオンでは稀有のことであった。その後、ハマーンと共にデルタ基地襲撃作戦にも参加しているが、彼女のドムWも含め、多くの兵卒を失い戦力のムダと評されたこの作戦においても無傷で生還している。レダ星域会戦では第三戦闘艦隊イエガーの参謀を務め、以後、最後の戦いまで彼の参謀を務めている。後に少将に昇進し、〇一〇一年の戦いで連邦軍を驚愕させた騎兵隊戦術を発案した。
(HIA資料 「青い空と白い雲」45話 バグボ考案の騎兵隊戦術)
「全艦突撃(アングリフ)!」
 イエガーの命令で、第八艦隊の背後から突撃した騎兵隊艦隊はエンジンを白熱させ、主砲を乱射しつつ、次々と第八艦隊の陣形に躍り込んだ。

(作者メモ)
 これこそ挿絵以外には作中にも記述が存在しない(初版)という士官の最右翼だと思いますが、改訂版では一言くらいは入れてやろうと思います。作品と並行して掲載した人物紹介には彼の記述はあるので、大まかな人物像は割と早い時期からあったと思います。

ハサカ(コロニー)
 内戦続くサイド2はティターンズに取っては死守すべき重要なエリアである。「ハサカ」はサイド2内戦に介入したティターンズがタイロン基地失陥後、新たに拠点として定めたサイド2の小型コロニーで全長10キロメートルのオニール型では最小クラスのコロニーである。既に古く、損傷もしているため内部は居住には適していない。主力基地を失ったティターンズの暫定的避難先。
(第二十八話「抵抗記念日」)
「二月一八日はクロスボーンでは「抵抗記念日(レジスタンス・デー)」である。同様の祝日はオーブルにも正統政府にも存在するが、〇〇七九年にクロスボーンの元首マイッツアー・ロナとガイア・レコンキスタの統領マックス、そしてガイア共産党のネロ・バートンがサイド2の打ち棄てられたコロニー「ハサカ」で会合し、反ジオン同盟を決めたこの日はクロスボーンでは観閲式の日となっている。
(第四十八話「仲裁者」)
 ティターンズ部隊は拠点を五〇〇キロ西方のハサカ基地に移している。政府軍の首都オムスクには近いものの、ハサカ基地の能力は低く、すでに第二次、三次の輸送船団による輸送が成功していることから、政府軍(レジティマシー)が現在の劣勢を覆すことは難しいと考えられた。

(資料集「オーブルファイター編」)
 彼によるとティターンズが避難したハサカは過去に放射能事故を起こした無人のコロニーで、拠点としては問題外という話だったらしい。
「どういたしまして。」
「彼らも騙されたのか、いずれにせよ、ティターンズ再侵攻の可能性はこれでなくなった。エイジャックスはその、彼らにとっては天敵ですからな。」
 過去の戦いでドゴス・ギアを敗走させられたり、突破作戦でも半数が捕虜になり、残りは放々の体で迂回路を使って逃げ出したティターンズの醜態を彼は話した。
「ヘルメス・ピーク巡りなどやらされれれば懲りると思いますわ。彼らの捕虜は一時期レーヴィンにいましたのよ。」
「適度な放射能は健康に良いとか。」
 逃走したティターンズは全員被爆したはずだと将軍は笑った。

バーザムV(UMS-54)
 連邦、ジオン以外では最初に実用化された第三国設計の戦闘用モビルスーツ。同盟に先んじてサイド4ユニオンで開発された。GMの技術を基礎にした同盟の『アライアンス』と異なり、技術的基礎から100%ユニオンの純国産機である。頭部のアンテナが大きいため、全長は18メートルとなるが、実際は15メートル弱の小型機である。人間工学の考えが連邦、ジオンとはまるで異なっているため、思考誘導制御デバイスを用いなくてもかなりの操縦が容易な機体。多彩な兵装バリエーションと併せて中小国に大量に輸出された。本作の場合はマーク2の量産型ではなく、もっとエポックメイキングな機体。

(0092年モビルスーツ博覧会の紹介)
 各国のモビルスーツ開発計画が次々と挫折する中、0092年に月面グラナダで行われたモビルスーツ展示会は当初は退屈きわまりないものと考えられていた。既に実現不可能なコンセプトスーツやまともに動かないニュータイプ専用機、GMの焼き直しにウンザリしていたジャーナリストらはこの展示会にあまり注目していなかったが、彼らの予想は大きく裏切られることになる。突如、新型ユニオン砲を展示していたサイド4、ジャン・オクタヴィアン社のブースに女社長ロベリア・カルニーニ自らが呼び寄せた連邦の演出家アツシ・ヒガシによるレーザーとフラッシュとスモークの派手な演出と共に出現したトリコロールカラーのモビルスーツにジャーナリストらの目は釘付けになった。ここに各国が凌ぎを削る国産モビルスーツの新時代が始まったのである。


改良型バーザムと火力支援機『ディフェンサー』
 0097年展示会で発表、小型機である『バーザム』でも強力な対艦用レールキャノンを運用可能にする新兵器である。