サラ・ザビアロフ
地球連邦軍准尉 連邦第3艦隊空母『ラ・ロシェル』戦果判定士官
東欧ポーランドのワルシャワ連邦軍高等学校2年生、『ラ・ロシェル』には研修のため乗艦していた。連邦軍高等学校は将来は士官として連邦軍の中核を担う人材を養成する学校であり、研修でも準士官の位階が与えられている。ジャブロー上空戦から帰投したシロッコのガン・カメラのデータに異常を発見したことで技術中将カミュの邪悪の最初の犠牲者になる。父親は一年戦争の勇士グシェフ・ザビアロフ、母は通信兵のガリーナと誇り高い軍人一家の出身。
(第十八話「エウーゴ受難」)
「あんたが戦争を起こしたのよ!」
(第二十六話「ズム・シチ解放」)
「戦場に出るのは、不安だわ。地球での戦いでは、私はほとんど母艦にいたから、戦場のことは何も知らない。」
(HIA社資料 「第226戦闘部隊」サラ両親登場の場面)
イングラム連隊長は通信兵のガリーナ・バラノーヴァ・ザビアローヴァ伍長の方を見た。ワルシャワ出身のピンク髪で色白の17歳の女性は最近結婚したばかりで、イングラムの大隊長の一人、28歳のグシェフ・イワノビッチ・ザビアロフ大尉が彼女の夫である。2週間前のキエフの連隊本部での結婚式でイングラムは彼らの仲人を務めている。この時はまだ、あのロボットに乗ったイタリア人どもは到着していなかった。
「ザビアローヴァ、司令部も移動だ。私の後についてきたまえ。」
頬が泥に汚れたピンク色の髪の伍長は携帯電話機を背に自動小銃を構えると、拳銃を片手に持った連隊長の後を追い、戦場に向かった。イタリア人は空調の効いた鉄の箱の中にいるが、こちらの場合は異なる。
※226戦隊の隊長がイタリア系アメリカ人のイタロ・ミケロッティのため。
(作者メモ)
本作ではいちばん軍人らしくないサラが実は作中人物の中でも屈指の軍人一家の出身というのが執筆の間に積み重なった設定のなせる業で、サラ生誕の事情は「226戦闘部隊」に記述があります。本作の場合、登場人物の年齢を原作よりスライドさせなければいけない場合があり、17歳のサラの場合は生誕がちょうど大戦中なので、そういう物語を書いていました。元のZガンダムでは一年戦争当時、彼女は10歳で、両親の設定も特にありません。
サラミス級軽巡洋艦
いわゆる一年戦争仕様のサラミス級、マシュマーらが乗艦した『ミラノ』などがこのタイプに属する。3機のモビルスーツを艦載し、4インチ砲や対空ミサイルで武装している。戦時急造艦で大量に建造されたが現存している艦は少なく、連邦警備隊に流れた艦の他、多くはファランクス級やゴトランド級、スパルタン級に改造されている。3,400金属トン。モビルスーツを搭載できるAタイプ(ミラノ)とミサイル艦のBタイプがあるが、戦後に格納庫のないBタイプを改造してモビルスーツを運用可能にしたAB折衷型も存在する(マイヨール)。
ジェガンRGM-189(原作RGM-89)
原作では逆襲のシャアでの連邦軍主力機、GMの後継機として可もなく不可もない凡庸なMSだった。作品では連邦軍の主力機はRX-78の強化型量産機「ネモ」という設定のため、それを上回る性能の次期主力MSとして登場する。1機の建造費1億フェデリンは特殊な機体を除けば量産機では最も高価である。
(HIA資料「青い空と白い雲」第16話 ジェガンの活躍)
「敵モビルスーツ接近、総数300機以上! 『ジェガン』タイプです!」
戦艦はともかく、サラミス以下の艦はモビルスーツによる攻撃には弱い。第5艦隊の新型モビルスーツ『ジェガン』は狼狽するオーブル艦隊に殺到し、その攻撃で主力艦を護衛する護衛艦もモビルスーツも次々と破壊されていった。カディスの旗艦も多数の火球に包まれて戦闘不能に陥り、この時点でオーブル艦隊の秩序は完全に崩壊した。
(資料集「フォルティナ工場見学」 ジェガンのコスト設計)
「ああ、聞きたいね、何でジェガンにウチの近くの家電量販店フェデオンで買えるエアコンと同じ部品が付いているのかとね。」
アムロはカリフォルニアでは連邦軍の官舎に住んでいるが、フェデオンは基地の近くにある家電量販店である。しかも気の利いたことにこちらの方が安い。
「何年か前の話ですが、ソロモンで軍用品に民生品を大量採用したことがあったでしょう。あちらは品質とか仕様とか結構うるさかったんですが、ジェガン設計チームがそれに影響されたことがありますね。」
(本作メモ)改訂版で確立した本作のメカ・キャラ採用方針として、基本的には宇宙世紀である程度メジャーな作品というものがありますが、ジェガンは辛うじて許容範囲です。
シェパード(巡洋艦)
→タイプ87レイピア級
シェパードを初めとするタイプ87レイピアは元は0087年改装艦としてタイプ85に改装予定だったサラミス級であるが、連邦がホワイトベース級に搭載していた強力な対艦メガ粒子砲が供給されることになり、急遽解体された同級搭載艦から取り外したメガ砲とそのコピー品を取り付けた特殊なサラミス級。砲は連邦だが、メガ砲の運用ソフトウェアはジオンの技術を用いている。同時に船体も再設計され、サラミスやタイプ85とは全く異なる艦に生まれ変わっている。
同級はメガ砲のエネルギー消費が膨大なことから、オニール市スカニア社が開発した高出力の新型エンジンも同時に取り付けることになり、モビルスーツ搭載を諦める代わりに機関部分を大幅に強化した。全体としてタイプ85の2倍程度の運動性能を持ち、また、有り余るエネルギーから従来は戦艦でしか運用できなかった対艦用メガ粒子砲も余裕で運用可能である。メガ粒子砲の戦術的優位性はこの時代では既に消滅しているが、この艦ほどの高出力砲の場合はいまだに有効である。
(諸元)全長150メートル、全幅24メートル、全高58メートル 重量 5,125金属トン 乗員123名 兵装 6インチ単装砲、大出力メガ粒子砲 艦載機 搭載不可 所属 自由コロニー同盟軍。
(第四話 「レダ星域会戦」)
ライヒの指揮するタイプ87レイピア級(シェパード、レガリア)は、木星沖でレイキャビクの護衛艦として活躍したタイプ85アライアンス級(ケント、ホープ)よりも新しい同盟の高速巡洋艦である。エンジンはレイキャビクと同型のスカニア社製SM―404を一基搭載し、しょせんサラミスの模倣艦でしかないタイプ85とは比較にならないほどの運動性能と航行性能を持つ。宇宙艦の建造技術を咀嚼し、黎明期の技術的模倣から脱したレイピア(細身の剣)は、同盟の生み出した真の惑星間巡航艦(インタープラネタリー・クルーザー)である。
(第二十六話「ズム・シチ解放」 ドリス妻子を救出するシェパード)
「古い船で、たぶん、今回が最後の任務でしょうが、貴女(レディ)をこの船でお救いできたことは、この船に取っても栄誉だと思います。すでに救出は作戦本部に通信してあります。お父上のドリス提督にも貴女の救出は伝えられていると思います。」
ジェフ・ゴールドマン
殺し屋、ハマーン狙撃犯人
一年戦争時に活躍した優秀な狙撃兵。戦後はジオン駐留軍の一員としてズム・シチに駐留していたこともある。除隊後、酒と麻薬に溺れ、殺し屋を稼業とするようになる。ハマーンを憎むマチアス・フォン・フリッツから依頼を受けたハマーン狙撃後、警備兵に射殺される。戦友だった故ジュリアン・フェートンの家族を気遣っており、ジュリアンの妻アイラにソロモン共和国のグリーンカードと金を渡して移住させる。
(第二十一話「凶弾」)
アルファの連中は何ヶ月も前からこの部屋を確保していた。彼は殺風景な部屋の扉を開けると、剥き出しの配管の一つを取り外し、分解された狙撃銃のパーツを取り出すと、馴れた手つきでそれを組み立てた。
ジェームズ・キャメロン
地球連邦軍少将 第5艦隊第1機動部隊指揮官 ルナ・ツー駐留
空母『タイコンデロガ』を中心とする第1機動部隊の指揮官。旗艦はバルセロナ級巡洋艦『バーヴィック』。勇猛な性格でブレックスの策略に乗って旗艦を急進させ、アポリーらの攻撃を受け負傷させられる。
(第二十五話「魔弾の射手」)
「宇宙母艦タイコンデロガに掩護を要請、二個中隊も出せばいい。当艦もモビルスーツ隊を発進させる!」
ジェームズ・クリストファー
自由コロニー同盟軍准将、派遣艦隊第2戦隊指揮官
マシュマー、スコッティと並ぶ派遣艦隊の3准将の一人で3人の中では最年長の将官。第9艦隊のキム・沖提督の後輩で数学オタク。マシュマーと同じく元は地球連邦軍の士官である。レダの戦いで活躍した後、最後の派遣艦隊司令官として木星からの撤収を指揮する。アメリカ出身、44歳。
(第四話「レダ星域会戦」)
司令官の命令で火力戦を得意とするクリストファー准将のミサイル艦五隻が整然と旗艦の前方に進出した。地球、アメリカ出身の四四歳、元地球連邦軍中佐、ジェームズ・「数学おたく(フィロマス)」・クリストファー、任務中も代数学の本を持ち歩く、同盟軍きっての戦術理論家として沈着さとその指揮の精確さには定評がある。のたうつキムの戦艦に対し、一年戦争における彼の部下で、士官学校の後輩でもあるクリストファーは完璧に近い扇状のミサイル射線を構成した。
「撃て(ランチ)!」
艦橋に立つ副司令官の命令で旗艦ハッケンサックと僚艦が一斉にミサイルを発射し、回避運動を行った戦艦の砲火が怯んだ。ミサイルの数弾が舷側で炸裂し、中型の巡洋戦艦の艦体が大きく動揺する。
(第二十九話「戦艦エイジャックス出撃」)
「ブライアン、今のソロモン艦隊の現状よりも、あるべき対潜戦術を優先すべきではないのか。必要ならば四隻でも一〇隻でも付ければいい。」
第二作戦部長のジェームズ・クリストファー中将がオズボーンを諭したが、すぐに護衛参謀の逆襲に遭った。
「何を寝言を言っているアメリカ人!」
「何だと!」
その言葉にクリストファーが立ち上がる。元地球連邦軍の第二作戦部長はアメリカ、ミネソタ出身である。
「アメリカ人の誇大広告はテレビショッピングだけで沢山だ!」
ジェイムズ・ベッカー
自由コロニー同盟軍 巡洋艦「ケント」艦長
自由コロニー同盟の勇敢な艦長ベッカーは同僚のバニス同様地球連邦軍出身の士官で、同じく木星ではマシュマー麾下の第一戦隊に所属している。攻撃力に優れており、木星沖海戦では単艦でグワバン艦隊への突撃を敢行し、一時は「レイキャビク」艦長代理を務めたこともある。土星作戦でも最新巡洋艦「ロジャー」を与えられ、ティターンズ撃退に活躍した。
(第五話「帰還命令」)
三日前の人身売買事件の被害者を救出した艦がレイキャビクであることを見たマーロウは呟いた。ベッカーの奴、なかなかやるではないか。ガニメデの近くのケララ暗礁宙域で被害者が艦に乗船する様子が映し出され、被害者は現在ヤーウェからジオン艦隊の船でエウロパに向かっているという。
ジェームズ・ロー
ソロモン共和国軍中佐 戦闘巡洋艦『エイジャックス』砲術長
元は同盟艦隊の最大艦『オークニー』砲術長、ソロモン艦隊屈指の優秀な砲術士官だが、ややエキセントリックな性格で、共和国最大の480o砲が撃てれば相手は誰でも良いと広言している。対ティターンズ戦では射界表を司令官の前にかざし、ジャマイカンの『ギア』を砲撃するよう進言する。
(第二十九話「戦艦エイジャックス出撃」)
「モビルスーツ戦を行わず、砲雷撃戦で決着を着けるなら、距離は一万八千メートル以上を保つ必要があります。本艦が『ギア』との砲戦で最大の攻撃力を発揮するなら、二万五千メートル以上は必要です。ご決断を、司令。」
ジェリド・メサ
ティターンズ隊員 特殊航空科リーダー
ティターンズ学園の一期生でエマを凌ぐ一期生首席の特殊航空科リーダー、エマ、ムラサメらと共にトップ集団「ファイブ・スターズ」の一員でありそのリーダー。エウーゴとの抗争で多くの隊員が戦死や負傷で隊を離れる中、第三部ではジャマイカンと並ぶガイア派遣軍の現場リーダーとして奮闘する。律儀な性格であり、脱走したエマのことを気に掛けており、彼女に除隊したムラサメの消息を教える。第一艦隊司令官ブルックスとは同郷。ノースダゴタ州ビスマーク高校の出身だが、後輩に二期生のニコラ・ベンリコがいる。
(第三十四話「副大統領救出作戦」)
「それを決めるのは俺だ、エマ、返事はイエスかノーか、それだけだ。」
(第三十九話「インケイパブル・タックス」)
「スティングたちの救援を優先する。オーブル軍やエウーゴとの戦闘は余力があったら行う。こんな戦いで彼らを死なせるわけにはいかない。」
(第四十話「グラナダ・エクスプレス」)
「突貫(パンチ)!」
機体の集結を終えたジェリドがアッシマーの機上で叫び、前方を塞がれたジェリド、マウアー、ヤザンが編隊のアッシマーを鉄丸のように密集させて突進し、ビームライフルの集中射撃で包囲しようとしたカラバとラーディッシュ隊を一挙に蹴散らした。エマの眼前で指揮下の数十のモビルスーツが同時に爆発し、視界の全面を火球と閃光が覆う。
「何てこと!」
三〇機以上の機体を一度に撃破され、エマが悲鳴を上げる。
(資料集「レクリエーション」)
ジェリド・メサ少佐はノーマルスーツを着た姿で彼らが製作した光子ヨットに乗り込んでいる。タイロンでの任務は対ゲリラ戦などストレスが溜まるものが多く、一部の隊員が余暇の時間に自発的に始めた計画に彼も加えてもらった形だ。ヨットの設計はマウアーが行い、彼は二期生のベンリコ中尉と共に宇宙帆の組み付けを行った。カクリコンら陸戦隊員は材料の削り出しと塗装を担当している。
(作者メモ)エマのライバルのノースダゴタの農家の御曹司という設定ですが、第1部ではそれほどでもないとはいえ、ティターンズ隊員の兄貴分、リーダー的存在として成長していきます。出身が出身のせいか、彼はやや粘着質で執念深いところがあり、どんな非道な任務でも躊躇せずに遂行する強さの持ち主です。現実と理想のギャップが著しいティターンズで彼は最後まで戦い続けます。彼は高い能力の持ち主なのですが、現実家というよりは夢想家的な側面が強い人物のようです。
原作との対比(評者・飛田カオル) |
||
原作のジェリド ティターンズのモビルスーツ・パイロット。グリーン・ノアでの訓練中にエウーゴの襲撃を受けたことをきっかけに、カミーユ・ビダンと因縁の対決を繰り広げる。 ATZのジェリド ティターンズ学園を優秀な成績で卒業したトップ5のパイロット。最初の搭乗機RXー178に強い愛着を持ち、たびたびエウーゴに転じた同期生のエマ・シーンと刃を交す。アッシマー部隊ではリーダーとなり、マウアー、ヤザンなど個性的なメンバーを率いてガイア宙域で死闘を繰り広げた。 |
ジ・O TMX-003(原作PMX-003)
原作ではシロッコ専用機、作品ではやはりシロッコが試作した技術試験機。大出力ジェネレータを搭載し、機体の各所に取り付けられたバーニアにより恐るべき運動性を持ち、機体の機動に動体視力が付いていけず残像となって見えるほどである。シロッコの他、ヤザン・ゲーブルも搭乗している。また、貨物室を与圧ユニットに付け替えて一個小隊の搬送も可。
(HIA資料「青い空と白い雲」第47話 ジ・O登場)
エンジンを始動した機体を見たレコアはずんぐりとした機体の大きさに感嘆した。エウーゴ時代に数多くのモビルスーツ、モビルアーマーを見たが、こんな機体は初めてだ。全身がスラスターと重装甲の塊であり、レコアが聞いたこともないほど大出力の核融合エンジンを搭載し、信じられないほどの機動性を持つ。その機動力は移動する機体に動体視力がついていけず、残像となって見えるほどだ。
ジオニック級タンカー
戦前に建造されたジオンのタンカー、古くて小さいがグラナダ市の宙運会社などではいまだに現役である。
(第十六話「陰謀のトライアングル」)
「何だあれは?」
ヘリウム3タンカー「ミダスV」号の船長は、周囲を飛び交う黒いハイザックと戦艦に驚いた。噂には聞いてはいたが、凶悪な「海賊(パイレーツ)」がついに現れたらしい。
「停船せよ、我々は自由コロニー武装団である。従わなければ攻撃する。」
停船しても攻撃されるだろう。出会えば皆殺しの凶悪な海賊集団のことは聞いている。血相を変えた通信士が付近を航行する船団にSOSを打っている。しかし、モビルスーツに宇宙戦艦、ほとんど正規軍並みの装備ではないか、これが本当に海賊か?
ミダスVが乗員ごと消息を絶ったのは、それからすぐ後のことである。
ジオン軍オートバイ
一年戦争時のジオン軍にはオートバイを模した小型ホバークラフト「ワッパ」があったが、ホバー独特の小回りが利かず停止が困難という特性から戦後はオーソドックスなオートバイが使用されている。ツィマッド社製のシンプルな水平対抗水素エンジンを装備したこれは部隊では師団間の連絡用などに用いられている。
ジオン軍装甲車
リムジン「ガズ6000」の製造元であるズム・シチ市バウアー社の本業は各種軍用車、戦車、装甲車の製造である。この装甲車はツィマッド社製オートバイと同じくジオン軍を象徴する車両で、MIP社製装甲突撃艇「ガブ200」に搭載することができ、宇宙艦隊、陸軍を問わず全軍に装備されている。