アムルタート(戦艦)
バイパー艦隊の旗艦。従来のマゼラン級より強力な「パッチ2(Patch 2)」型の宇宙戦艦の最初のタイプであるが、レダに参加した『アムルタート』以下4隻は戦時急造艦のため、ビンソン計画で建造を中止した旧型マゼラン戦艦の装備が使える限り流用されている。主砲は『アリーガル』と同型の420o40口径5基10門だがパッチ2標準型の50口径より低威力、短射程である。連邦艦隊では既に旧式艦という評価であり、艦隊から除籍しての解体が予定されていたが第9艦隊の計画により復活した。同型艦は10隻以上存在し、サイド4に輸出されたナポレオン級やサイド2に売却されたザケネー級は同艦の姉妹艦である。
パッチ2型戦艦(最初期型) 戦艦アムルタート
戦時急造型のパッチ2、旧型マゼラン級の艦橋を用いており、主砲も短砲身タイプである。粗製艦のため連邦艦隊からはすぐに姿を消したが、このタイプを元にした艦にはザケネー級、ナポレオン級がある。
(諸元)全長224メートル、全幅101メートル、全高77メートル 重量 44,167金属トン 乗員 665名 兵装 420o40口径連装砲、40oバルカン砲 艦載機 搭載不可 所属 地球連邦軍
アムロ・レイ
地球連邦軍大尉 カリフォルニア術科学校戦技教官
0064年生まれ、一年戦争ではモビルスーツ・ガンダムのパイロットとして活躍した連邦軍の英雄。戦後はグリーンノア連邦軍高等学校、カリフォルニア士官学校を卒業して連邦軍のテスト・パイロットになる。第一艦隊や参謀本部勤務後、術科学校教官に出向して後進にモビルスーツ戦技を教えている。後に第二艦隊司令に就任したコープの誘いで艦隊勤務に復帰し、幕僚長のハリー共々司令官の片腕として活躍する。
原作との対比(評者・飛田カオル) |
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原作のアムロ 一年戦争ではガンダムに搭乗し活躍したものの、その卓越したニュータイプ能力が危険視され、北米のシャイアン基地に軟禁されていた。エウーゴに呼応して地上部隊のカラバが活動を始めると、カツ・コバヤシの誘いで連邦軍を抜けてカラバに参加し、クワトロと共闘した。 ATZのアムロ 地球連邦軍のパイロット。一年戦争時、ガンダムのパイロットとして活躍した腕を買われ、カリフォルニアにある連邦軍の術科学校で教官をしていたが、第二艦隊司令官に就任したサディアス・コープ大将から指揮官としての能力を見込まれて中隊長に抜擢される。 |
(第十三話「女帝の死」)
「突然ですね、悪くない話ですが、確か制式艦隊の戦闘機動集団の指揮官は大佐(キャプテン)でしょう。私は大尉(ルーテナント)ですから下働きですね。術科学校(テクニカル)の教官の方が勤務が楽ですし、ご免です。」
(資料集「戦後のアムロ・レイ&エウーゴ兵器実験」)
「アムロ・レイは一年戦争後はシャイアン基地に軟禁されていたとか、ニュータイプ研究所で被験者になっていたとか、ガンダムを設計していたとか、いろいろ噂されていたようだが、どれも違うな。実はノーフォークの士官学校に通っていた。連邦軍もまさか中卒(ジュニア)の未成年者を軍の広報塔に使うわけにもいかなかったからね。二〇歳までは酒も女もおあずけだ。」
(作者メモ)
彼が一年戦争に参加したのは15歳の時ですから、普通で言えば中学三年生くらいの年齢です。にも関わらず、彼は連邦軍最高のエースで、当然の事ながら戦後は困ったことになります。軍隊以外に生き方を知らない彼は士官学校を終えて士官に任官した後、その操縦技術を生かした養成所の教官に任命されていますが、これは扱いに困った参謀本部が決めた左遷先と言うべきものです。上司もメッチャーですから、見ると彼は高い能力を誇りつつもその能力を用いる環境が無いことに鬱屈しているようですが、実際の所はそれほどでもなかったかもしれません。才能に応じた働きを求めるコープの要請を彼は不承不承で引き受けますが、実のところは気楽な術科学校での勤務でも良かったという感じです。
アライアンス(MSF−4)
地球連邦製のモビルスーツ「GM」は80年代を代表するモビルスーツであったものの、輸出型のGMU(ブードゥ)は性能が低く、また、80年代末には地球連邦軍でも主力機はGMから「ネモ」に置き換えが進んだため、ノースウェスト社からサポート打ち切りの通告を受けたプラント社が改良型として開発した機体。同盟MSナンバー(MS〜)が用いられた最初の機体であり、4回目の採用試験にパスしたため、MSF-4と呼ばれている。
"F"は他のモビルスーツを駆逐しうる制宙用モビルスーツという意味であり、エンジンとコンピュータが見直された結果、GMベースでありながら、原型機をはるかに凌ぐ性能を持ち、戦中の名機RX-78のビーム砲と同威力で最新式のマークYビームライフルを扱うことができる。同盟デルタ基地と巡洋艦「レイキャビク」に優先して配備され、ガリバルディβの登場まで同盟軍の主力機を務め続けた。
(第四話「レダ星域会戦」)
「マクガイア、行け(フィニッシュ・イット・オフ)!」
ヘルシングの命令で編隊長の副官、イワン・マクガイア中尉のアライアンスが新型のハイパーバズーカを構えて巨大輸送船後尾の排熱口から巨船の内部に飛び込んだ。巧みな操縦で複雑に入り組んだ配管の隙間を潜り抜け、メインエンジンの超大型分配器の目前に来た彼は巨船の急所にハイパーバズーカの全弾を叩き込んだ。
大きな衝撃音の後、巨大輸送船は舷灯を明滅させて痙攣すると、エンジンを停止させてそのまま漂流した。
(第十話「同盟艦隊出撃」)
「ガリバルディの艦載はレイキャビクだけで良いと思う。」
やや疲れた様子で出仕し、報告書を読んだマシュマーは言った。
「おそらく、今から出動しても間に合うまい。新鋭機の搭載はレイキャビクに限定し、博士らが作業に集中できるようにした方が良いだろう。ガリバルディはまだ未完成な機体だし、護衛のサラミス艦にはアライアンスを搭載する。実績のある機体を予備に残した方が良いからな。」
(第五十一話「女帝の帰還」)
「一二時の方向より大型艦(バトルワゴン)!」
頭を上げたクワトロの上空をソロモンのグレイハウンド級に似た戦艦が猛スピードで通過していく。スラスト・リバーサを全開し、惑星間航行速度から急減速した戦艦は敵艦隊の後方で転回しながらバラバラとアライアンスを発進させると、主砲を敵艦に向けた。
(作者コメント)
この機体は開発史にもある通り、マシュマーが開発に関与した機体で、第1話でも彼の乗機として登場します。すぐにガリバルディに置き換えられたため、作品での活躍の場面は僅かですが、実は高い推力のエンジンで抜群の機動性を誇る高速のインターセプターです。実は土星作戦にもさりげなく同行しており、ガリバルディと共にティターンズ相手に奮戦します。
アライアンス級(タイプ85軽巡洋艦)
元は地球連邦軍のサラミス級に同盟独自の仕様を加え改造ないし新造した艦。仕様装備とも原型艦とは別型式の艦だが、他国ではあまり区別されておらず、「サラミス級」と呼ばれることもある。モビルスーツ3機を艦載して運用できる。『レイキャビク』に次ぐ480oの重対艦ミサイル(ケルトフィッシュ)を持ち、大型艦への突撃戦法を得意とする。4,500金属トン。
(第四話「レダ星域会戦」タイプ85の活躍)
そして、砲撃や爆撃で戦闘能力は奪われたものの、質量が大きかったり、遮蔽装置が生きていて砲弾やメガ粒子砲では破壊し尽くせない艦をクリストファーとスコッティの第一、第二戦隊のタイプ85が一発で大型船を粉砕しうる同艦最強の武器(ケルトフィッシュ)、四八〇o重ミサイルを撃ち込んで木っ端微塵に吹き飛ばす。
アラン・バトン
サイド4ユニオン防衛隊中佐 潜宙艦『サフラン』艦長
ユニオンの最新兵器『スペース・サブ』の第一人者。実戦経験は無いものの、潜宙艦の開発に初期段階から従事しており、対潜宙艦戦術を研究していた。彼の指揮する『サフラン』は対潜宙艦戦用の攻撃型潜宙艦であり、現在はユニオンのみしか保有していない。その能力はクロスボーンのザビーネに勝るとも劣らない。
(第三十三話「クロスボーン強襲」)
「エイジャックス、接近(アクセ)。」
「また隠れられると面倒だな。発射管(ランス)コロイド解除。一番から六番までミサイル装填(シャルジェ)。発射準備完了と同時に攻撃する。」
バトンの命令でサフランの水雷士は六門の発射管にレーザー誘導の対艦ミサイル(SSM)を装填した。射程は短いが、今のところクロスボーンも含め実用化された唯一の潜宙艦に対する誘導兵器(アルメ・テレギデ)である。
「ボギー1から攻撃(アタキ)。」
サフランは一番発射管からミサイルを発射した。
アルザス(戦闘空母)
ユニオンの戦艦空母であるアルザス級は300メートルを優に超える巨艦である。同級の建造計画は0090年にアガスタ共和国のパイオニア級空母に対抗するものとして計画され、その後、「バナナ政変」、「ショコラの乱」とユニオン政府内部で政変が続いたことから計画は二転三転し、ようやく1番艦が就役したのは0096年のことであった。ユニオン国内の呼称は輸送艦であるが、当然、これを輸送艦と考えている者は誰もいない。パッチ2型程度の装甲と攻撃力を持つ強力な宇宙戦艦である。
設計開始が古いことから、同級の基本設計は全てユニオン国内で行われており、外国の技術はタッチしていない。0097年以降はQシステムが採用され、搭載されていたユニオンメーザー砲は撤去された。
同級は戦艦空母であるが、ほぼ同時期に計画されたパイオニア級に比べ、装甲防御、攻撃力等、あらゆる点で勝るとされている。
(諸元)全長308メートル、全幅104メートル 重量 62,000金属トン 乗員1,980名 兵装 380o60口径四連装砲2基8門、380o45口径連装砲3基6門、180o連装砲 艦載機 GMタイプ40機 所属 サイド4ユニオン
アルセル・ヨハンセン
ジオン公国在イオ公使
元は経済官僚のジオンのイオ公使で、マルス財閥系の会社の役員を経てイオ公使に任命される。イオ政界に強いコネを持っており、ハマーンの依頼でマシュマーの出国を手助けする。後にソロモンに赴任し、大使ジュグノーの下でも副大使、公使を務める。サイド3出身、62歳。
(第二話「運命の二人」)
「ハマーン殿下、余計なことですが、素敵なドレスですね。イオで買ったのですか。」
アルセーヌ・ローラン
サイド4ユニオン艦隊司令官
連邦から独立した防衛隊最初期からのユニオン艦隊の司令官。ユニオン艦隊は数の少なさを艦艇の先進性で補うという用兵思想を持っているため、指揮官であるローランの手腕が重要になる。用兵の手堅さには定評があり、艦隊からの信頼も厚い艦隊指揮官。人柄は温厚誠実、ユニオンの国是に必ずしも沿わないミシュランの行動に度々困らせられているがユニオン国家への忠誠心は篤い。
(第二十九話「戦艦エイジャックス出撃」)
「大統領閣下、それと失礼ですが、貴国は確か物資に窮乏していたはず。そんな中で拙艦隊の乗員のみが貴国の馳走に預かるのはいかがかと。」
(HIA資料 「青い空」43話 連合軍への参加を決意するローラン)
「アースノイドに屈服するのかね? それで我々の国は安泰なのかね? 祖国が連邦に再併合されることに何のメリットがある? それをみすみす許したとしたら、後世の歴史に対して、我々の立場はどう説明されるのかね?」
(資料集「アガスタ派兵計画」)
「私が参謀の口を封じても、民主的に選ばれた指導者の口は封じることはできない。おそらく、ミシュランからバトレーユに計画が漏れたのだろう。」
アルバトロス(巡洋艦)
連邦艦隊の中でも第1艦隊は地球本土を根拠地とする艦隊であり、宇宙に出撃するには大量の燃料が必要とされた。新型サラミスの最新型タイプWは大気圏内での飛行性能の向上とタイプ2よりも合理的で強力な武装とを並立した地球連邦の次々世代護衛艦である。現在は第1艦隊のみに配備されているが、その性能が良好なため、タイプ2に代わり量産と配備への動きが進められている。列国の護衛艦クラスでは最後発に設計された艦のため、その性能は対潜宙艦作戦も含むあらゆる点において列国のどの艦種よりも高いと言われる。
(諸元)全長154メートル、全幅51メートル、全高52メートル 重量 7,346金属トン 乗員 104名 兵装 Qシステム、10インチ連装砲 艦載機 GM+タイプ3機 所属 地球連邦軍
アルマ・ドリス
オファキム女子大学学生、のちオルドリン大学編入生
ジオン本国艦隊司令ドリスの一人娘。コルプの乱で父が裏切ったことにより、彼女と母親のコンスタンツェは反乱軍の主将コルプに軟禁状態にされる。良家の令嬢らしい淑やかさと同時に気性の激しい面も持つ美しい娘。頭の回転が速く、彼女らを救出にやってきたライヒらの真意をいち早く見抜く。その後母親と共にソロモンに亡命する。ライヒに好意を持つ。女性としてはかなりの長身(180センチ超)のため、彼女に懐いたマシュマーの娘アイリスがつけた仇名は「首長竜」で、本人も気にしている。
(第二十六話「ズム・シチ解放」)
ライヒは全艦に戦闘配備を命じ、同時にアルマに母親のいる艦長室に戻るように言った。しかし、彼女は首を振った。
「私、ここにいますわ。」
言っても無駄だな、ドリスの娘の強い目線を見て、彼は彼女に戦隊指揮官席(コモドア)に座るように言った。できれば火力と装甲に勝るチベは振り切り、サイド5に逃げ込みたい。
(資料集「ドリス夫人、私立探偵を雇う」)
「でもチェーン、お母様からもらったお小遣いはそんなに多くはないの。知ってるでしょ、私たち、ジオンから着の身着のままで亡命してきたから、お金はそんなにもっていないって。共和国から給付金が出ているけど、迷惑は掛けたくないわ。」
(資料集「この名もなき人々」)
「息苦しくって、つまらなくて、何でみんなこんな考え方しかできないのって思ってた。同級生といってもお人形みたい、お嫁さんになることが最大の目標って感じ。」
アルファ基地
コロニー同盟首都星オルドリンの港湾施設の一角を占める同盟最大の軍事基地で同盟第1、第2艦隊の母港。充実した港湾設備を持ち、戦艦から宙雷艇までの同盟軍のあらゆる艦艇・装備に対応した一大軍港。同様の大軍港にはジオン公国の「ハーフェン」、サイド4の「ロンドベル」などがある。
アリーガル(戦艦)
第9艦隊キム提督の旗艦。一年戦争中に建造された「サウス・アジア」級の一隻で遠征が始まるまでルナ・ツーの岸壁で長期保管状態になっていた。旧型のマゼラン級のコンポーネンツと新鋭艦のコンポーネンツを折衷したいわゆるハイブリッド戦艦であり、新型戦艦のエンジンによる、艦体の割に異様に高い加速能力が特徴である。粗製艦のため大半は戦後解体されたが、『アリーガル』は比較的状態が良かったため保管艦として残されていた。その能力は現用戦艦の標準と比べるとかなり劣るものである。
(第三話「新司令官、マシュマー・セロ」)
キムの旗艦アリーガルは一応戦艦であるが、一年戦争中に建造されたサウス・アジア級と呼ばれる粗悪艦の一つで、主砲こそパッチ2型と同じ四二〇o砲を用いているが、パッチ2型の一二門に対して六門しかなく、しかも、この作戦が来るまでの間、長期保管状態(モスボール)でロクに動かしてもいなかった艦である。