◇MUDDY WALKERS
機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー | ||||||||
■第35話「陸奥よ立ち直れ」 | ||||||||
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■あらすじ | ||||||||
アシモフ艦隊と共に地球からの連絡船が到着し、クルーたちに手紙が配られる。ただ一人便りのなかった陸奥は故郷の母親のことを思って不安に囚われる。一方、ガルベストンではジャクソンが惑星Qで戦艦ラガーガードを待ち受け、罠を仕掛けていた。 | ||||||||
■見どころ | ||||||||
クロイツ以来久しぶりのキャラクター回、今回の主役は陸奥ヤスオ、ダイラガー右腕のヘリコプターの操縦士で、どうやらチームでは最年少らしい。補給船が到着し、いつも来ている母親からの手紙が来なかったということで落ち込み、出撃できなくなってしまう。実はその前の晩、彼はドライブしていた母親が突然いなくなる夢を見ていたのだ。きっと何かあったに違いない、陸奥が落とした手紙から事情を知った加賀は安芸とキーツに相談する。加賀は陸奥の幼なじみで、少年学校から訓練もずっと一緒に受けていたのだ。「今それができるのは君しかいない」、安芸は加賀に陸奥の立ち直りを助けるように頼む。そして加賀は一人窓辺に佇む陸奥に声を掛ける。
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■キャラクター紹介 | ||||||||
探査基地に赴任したローチャーが引き連れてきた5人組の一人ジャクソン(タカ)はジャクソン艦隊を預かる隊長である。ガルベストンも窮乏している折、5人組は全員が全員艦隊を預っているわけではなく、艦隊を持っていたのはこのジャクソンとエンマ、そしてベルトランだけである。ジャクソンは3人の中でも最大の艦隊を擁しており、先任隊長のローチャーの片腕である巧将である。ローチャーの入れ知恵でテレスの命令を無視して侵攻した第3惑星の戦いでアシモフ艦隊の反撃を受けて戦死する。声は麦人に似ている。 クウラガーチーム、陸奥マシン(右上腕)の操縦士、ラガーチーム中最年少でカイラガーチームの加賀とは訓練学校の同期、35話では脆い一面も見せるが、前線基地攻略ではルチアーノの罠を見破り、要塞崩壊に活躍した。また、チームの中ではメカニックに強いらしくエルドラ人の宇宙船を修理するなどしている。同じチームの甲斐やリックラガーチームのコメディアン、長門・伊豆のコンビに絡むことが多い。声はサークと同じ間嶋里美。 地球にいる陸奥の母親、23世紀にもなって島田髷に和服で外出するなど古式ゆかしい日本女性のようである。たぶん静岡県静岡市在住。 陸奥の夢に登場したクラッシックな乗用車、左ハンドルでコラムシフト、バックレストがないなどの特徴がある。グリルの形状から、おそらく古いオースチン(モーリス・マイナー)かミニの対米輸出仕様と思われる。23世紀においてはこういう車は安全基準の問題から新規製造は許されていなかったが、化石燃料を消費するクラッシックカーの保有は許されていた。あるいは重力制御技術の発展で交通事故では人は死ななくなったので衝突安全は自動車の開発技術から外れ、バックヤードビルダーで新造された車かも知れない。いずれにしろかなりの年代物で、ダイラガーの世界では地球もガルベストンも浮上車両が主流である。 | ||||||||
■今週のバトルアタッカー(1分40秒) | ||||||||
ジャクソン隊第1号のバトルアタッカーはソード戦を得意とするオーソドックスな格闘戦タイプである。性能的にはベルトラン1号とほぼ互角と思われるが、操縦者の技量でやや劣っており、また、立ち直った陸奥の士気の高さもあって合体後のダイラガーには一方的に叩きのめされた。戦いの際には珍しいこととして、主題歌「銀河の青春」が一通り流れた後に袈裟斬りにされ、ラガーソードの露と消えた。 | ||||||||
■地球・ガルベストンの新鋭艦船 | ||||||||
個艦戦闘力でガルベストンに劣っていた三惑星連合が満を持して戦線に投入した新型の宇宙戦艦、従来の戦艦より倍以上大きく、ほぼガルベストン戦艦に匹敵する大きさと攻撃力、そして高い防御能力を持つ。30話の地球攻撃時には姿を見なかったことから、おそらくサラ星とミラ星で建造されたと思われ、艦のフォルムは各々の惑星の特徴を取り入れている。この戦艦の就役により、従来の戦艦や駆逐艦、レーザー砲艦など小型で攻撃力も防御力も不十分な(ほぼビーム1発で沈む)乗員虐殺用のような艦は後方に下げられた。第二連合艦隊はほぼこの新型艦で固められた艦隊である。 第二連合艦隊の旗艦として建造された超大型の宇宙戦艦で、ほとんどラガーガードに匹敵する大きさを持つ三惑星連合の旗艦。新型ガルベストン戦艦と比べても三倍以上大きく、あまりに巨体なため艦中央に小型艦橋を備えている。その主砲は一撃でガルベストン戦艦を撃破する威力を持つ。この戦艦の就役以降、ガルベストン艦隊の攻撃第一目標は最大だったラガーガードではなく、この艦に移ることになる。巨体の割に意外と敏捷で、また防空火力も優れている。防御能力については戦艦であるため、ほぼ同じ大きさのラガーガードよりはるかに優れていると思われる。 テレスの旗艦として24話ですでに登場していた新型の宇宙戦艦。ガルベストン戦艦の攻撃力が地球艦隊相手に十分だったため、より構造を簡素化したマイナーチェンジ型で、艦首のバトルマシン格納庫なども踏襲している。構造を簡素化し、艦体をよりスリムにして鋼材使用量を減らした結果、一艦隊あたりの配備数はガルベストン戦艦より多くなり、艦体の攻撃力向上に寄与している。ただ、この艦を就役させる頃にはガルベストンの国力も低下しており、旗艦でありながら司令部設備を備えない艦(テレス艦、エンマ艦)も多く存在し、どうも作りは前型ほど良くはないようである。
ガルベストン艦の戦闘力はどの艦を取っても地球艦や三惑星連合の戦艦、要塞には必要十分以上のものだった。地球戦艦相手には過剰な戦闘力は必要ないということで、従来の巡洋艦とミサイル艦の機能を統合し、艦体をやや大型化させて航行性能を良くしたのが新型巡洋艦である。その外見は新型ガルベストン戦艦に酷似しており、船体の大きさも近接したため、巡洋艦と言うよりは重巡とか小型戦艦と言うべき艦である。従来の地球艦隊相手なら、戦艦も含めこれで十分といえる新型巡洋艦だったが、地球の新鋭戦艦は攻撃力、防御力ともこの艦を上回っていたので、小型ガルベストン戦艦とも言えるこの艦の就役はあまり戦局に寄与することはなかった。
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