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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第30話「地球非常事態」

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いったい奴らはどこまでやれば気がすむんだ!

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メガロポリス(地球)
 地球にある三惑星連合の首都と思われる巨大都市、東京と思われるが正確な位置は示されていない。銀河警備軍の本部があり、ガルベストンの空爆を受けた。

あらすじ

 これまでの戦いで傷ついたラガーガードと連合艦隊、損害状況を報告するアシモフに長官若狭は前線基地攻略後の支援艦隊編成を指示する。その頃、ガルベストン、デュカス艦隊が太陽系に侵入し、地球の絶対防衛ラインを攻撃しようとしていた。

見どころ

 トンデモ司令官ルチアーノ編第6弾、冒頭は破壊された宇宙要塞の場面、雷鳴と思しき閃光の中、要塞の徹底した破壊の様子が映し出される。めくれ上がった側板、漂うデブリ、突き刺さった戦艦のノズルらしき残骸、そのすぐ横を行軍していくガルベストン艦隊の艦影が映し出される。「これが例の宇宙要塞か」、旗艦の艦橋では指揮官らしきがっちりした顎の男が感慨深げに窓外を眺める。「もうすぐ地球もあの要塞と同じ運命になるのだ」、彼らはガルベストンの地球攻撃艦隊である。

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 所変わって地球の銀河警備軍本部、アシモフが連合艦隊のこれまでの被害状況を報告している。「戦艦、使用不能のもの5隻、損傷したるもの12隻、、」、艦隊の20%が中大破したという報告に長官若狭が眉をしかめる。艦隊指揮官の伊達は作戦の続行を具申してきている。「まあそこが伊達らしい所で、残りの10%は戦闘員の士気で補うと」、損傷の10%は自力で修繕可能という報告に、若狭は前線基地を抜いた後のガルベストン本土決戦の話をする。元々前線基地を攻略するのに必要十分な程度の戦力しか与えていなかった。「かなりの規模の支援艦隊が必要になる」、行政府とは歩み寄りつつあるものの、今だ理解されたとは言いがたい政府中央に彼らはため息をつく。

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 戦艦ラガーガードと連合艦隊では艦隊の修理が続けられている。できれば手近な惑星を見つけて停泊して修理したいが、すでに艦隊は前線基地の近くであり、そんな余裕はない。航行しつつ修理を続ける艦隊に偵察に出たウォルターがぼやく、「こんな所を襲われたらひとたまりもない」、すでに後方はローカル兵力の後置部隊に委ねられており、ここで艦隊が失われたら一線級の戦力は今の警備軍にはない。彼らはガルベストンの横暴を許さないという三惑星連合の総意を背負っているのだ。前線基地の攻略失敗は戦力の整わない状況では連合の滅亡を意味する。そして場面は火星近辺に移る。

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「ガルベストンめ! 何てことだ!」、1万光年彼方の宇宙要塞ではなく、太陽系に艦隊が出現したことに火星基地のパイロットは驚く、レーザー砲で攻撃するが、もちろんそんなことでビクともする相手ではない。会議中に報告を受けた出羽は第一種警戒態勢を発令する。地球各地から艦隊が発進し、地上では戦車が出動して迎撃態勢を取る。その間に火星から艦隊を追尾してきた偵察隊が殲滅され、艦隊の居並ぶ衛星軌道上に接近するガルベストン艦隊を見て、長官若狭が連邦政府に非常事態宣言を発令する。宣言を受けて、市民が大挙して各都市に設置されたシェルターに逃げ込む。

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 これまで遥か彼方の宇宙で戦われていた戦いが突然地球に飛び火する話で、意外といえば意外だが、以前の話からこれを目標にガルベストン艦隊が作戦していたことを考えれば、宇宙要塞が失陥した時点でこの攻撃は予測できるものであった。宇宙要塞に引き続き、身を挺して艦隊や地上でガルベストンと戦う地球防衛軍。しかし、デュカスはバトルマシンを出撃させ、ついにメガロポリスが被爆してしまう。

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 遙か3万光年の彼方で地球が攻撃されたという報告は安芸たちを驚愕させる。反転して加勢したい気持ちをこらえつつ、地球は遠すぎ、彼らは前線基地攻略こそが地球を守る唯一の方法と自らを納得させる。「悔しがっていても仕方が無いと思います」、ハルカの言葉で自失していた安芸は自分を取り戻す。

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「いったい奴らはどこまでやれば気が済むんだ!」

 今週の言葉はディック・アシモフ補佐官、戦艦ラガーガードの艦長から出羽総司令の補佐官に転属したアシモフ艦長だが、着任して早々惑星Kの悲劇があり、今度は地球が爆撃されると枚挙に暇がない。メガロポリスを爆撃するガルベストン軍の徹底した破壊ぶりに息を呑む場面でもある。

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 爆撃を終え、地球の同盟星のミラ星、サラ星の艦隊を見たデュカスは作戦は成功とし、意気揚々と地球を引き揚げる。地球市民へのテロ攻撃と言う以外、戦略的にはあまり意味のない作戦だったが、地球が被爆したことは進軍する連合艦隊の乗員たちのガルベストンへの敵愾心を高めこそすれ、決して怖気付かせることはなかった。そして話は中盤のクライマックス、ルチアーノ司令の前線基地攻略になだれ込む。

キャラクター紹介

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デュカス

 ガルベストン地球攻撃軍の司令(タカ)、地球攻略軍は最初グラモンが任命され、後にラフィットが続いたが、両者とも戦死したため司令官に任命された。おそらくルチアーノが本国から連れてきた子飼いの部下の一人。宇宙要塞を抜き、火星を通過して地球に攻め込むが、その攻撃は激しかったものの軍事的効果は絶無で、良く言って地球へのテロ攻撃と言って差し支えないものだった。また、攻撃隊に爆弾投下は命じたものの、軍事目標の指定を全くしなかったことも、攻撃が地球の軍事力を破壊することではなく、ガルベストンへの恐怖心を煽るための地球市民へのテロ行為だったことの証拠となる。31話でもその趣旨の発言をしているので、おそらく前線司令部の作戦方針がラフィット戦死あたりから変わったものと思われる。地球攻撃から帰還の途中、ルチアーノの命令に違背して猪突し、伊達の連合艦隊に戦いを挑んで戦死する。地球攻撃に対する連合艦隊乗員の反応を読み違えたのが彼の敗因であった。

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アキラ君

 メガロポリスに住む地球市民の少年、親にダイラガーではなく地球戦艦のラジコンモデルを買ってもらい公園で遊んでいた。デュカス艦隊の襲撃に集結した地球艦隊の勇姿を見て感激する。どうもダイラガーの存在は地球市民にはあまり知られていないらしい。

今週のバトルマシン(0分)

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ダイラガーランサー・ビーム返し

 今回はバトルマシンは登場するがダイラガーとは戦わなかったので、ダイラガーランサー・ビーム返しをご紹介したい。ダイラガーの手裏剣技であるショットアローを二つ繋いだダイラガーランサーは槍状の武器で比較的良く使われるが、このランサーを回転させて防御武器として用いるのがこのビーム返しである。いくらダイラガーが全長60メートルの巨大ロボでもその全長の三分の二ほどの槍を回転させて、その回転速度が光速を超えるということは無いはずだが、この回転防御は多くの場合ビームを弾いている。便利な技だと思うが、なぜか一、二度使われただけで以降は使われなくなった。

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ダイラガー・タイフーン

 ビーム返しよりも、もっとものすごいのがこのダイラガー・タイフーンである。ダイラガーの右肩と左肩に合体するクロイツマシンと陸奥マシンは高性能なヘリコプターだが、その二枚のローターは回転カッターであるダイラガー・キルダーやスピンカッター(キルダーとの違い分からない)、二つ合わせてダイラガー最強の武器「ダイラガーソード」になるなど同機でいちばん役に立つパーツだが、その驚異的テクノロジーとパワーは時に自然災害を引き起こすことができる。ダイラガー・タイフーンはクロイツマシンと陸奥マシンの二台のローターを回転させることで引き起こされる台風で、その威力は1個艦隊を吹き飛ばし、小型艦なら制御不能にするほどの威力を持つ。実際にやるならおそらく水爆数十個分ほどのエネルギーが必要なはずだが、加減できるようであり、バトルマシンに対して用いられた時にはマシンを吹き飛ばす程度で済んだ。用いられたのはエルドラ星だが、もしこれを東京都で用いたなら一発で都心部全域を更地にできるくらいの威力だとは言っておきたい。これもビーム返し同様、使われたのは一、二回程度のはずである。

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