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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第22話「テレス司令失脚」

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各隊長に申し渡す。私がここに来たのは、
我々の可住惑星の発見の作業を遅らせている、
地球をこの銀河から葬り去るためだ。

あらすじ

 ついにガルベストンと戦う決意を固めた銀河警備軍、しかし、ガルベストンの熾烈な攻撃は続いている。穏健派の前線基地司令テレスが解任され、後任のルチアーノは全軍に地球軍攻撃を命令する。

見どころ

 ジゴローネの来訪以降レームダックと化した司令官テレスとその司令部、ラフィットは公然と司令官に歯向かうようになり、地球軍基地をミサイル攻撃する。が、そんな部下の専横を止める力はテレスにはなかった。そんな時、前線基地に大艦隊が到着し、テレスは本星守備軍司令ルチアーノが自分の後任に着任したことを知る。タカ派のルチアーノはテレスとは正反対の方針を掲げ、全軍に地球艦隊撃滅を指令する。

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「各隊長に申し渡す。私がここに来たのは、
我々の可住惑星の発見の作業を遅らせている、
地球をこの銀河から葬り去るためだ。」


 今週の言葉はルチアーノ司令、地球をガルベストンの敵と名指しし、その粉砕を宣言するルチアーノにテレスは嘆息し、ドレイクは危惧を抱く。ルチアーノはドレイクに地球艦隊撃滅を命じ、ラフィットにラガーガード撃滅を命令する。命令の趣旨に疑問を抱いたドレイクは出立前のテレスの居室を訪れる。「これでいいのですか?」、問いかけるドレイクに、テレスは命令には従うように言う。

(地球との全面戦争になる。これでいいのか? 私のやっていたことは間違っていない、この信念は今も変わらない。いや、これからも変わらん。いつか必ず、ガルベストンが私を必要とする時が来る。)

 離任を前に一人苦悩するテレスを置き、再度惑星Kに襲来したラフィットの攻撃は熾烈を極めた。ラガーガードを警護していた萩艦隊の生き残りはたちどころに殲滅され、戦艦ラガーガードはラフィット艦隊の集中砲火に晒される。

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 前線に戻ったドレイクは腹心のロシェからかつてない大艦隊という地球艦隊の報告を受ける。「敵を撃滅せよ」、テレスやドレイクが築いた和平への道を断ち切る前線司令部の命令に、副官ロシェは落胆を露わにする。「ガルベストンの隊長として、恥ずかしくない戦いを挑む。地球の艦隊を引きつけるだけ引きつけろ!」、そして彼らは出撃する。

 惑星Kでの戦いは地球側に不利に傾きつつあった。余裕のラフィットはラガーガードに通信を送り、伊勢に降伏か全滅かを最後通告する。「先に全滅した諸君の同士と同じ運命になるぞ、ウワッハッハッハ!」、ラフィットの高笑いに勝ち目がないことを悟った伊勢は、惑星Kからの撤退を決意する。安芸がダイラガーでバトルマシンを倒し、損傷したラガーガードは煙を吐きつつ惑星Kから退却する。

dairugger「見ろ! 勝ったぞ! 地球が逃げていく!」、逃げ去るラガーガードをラフィットが哄笑する。惑星Kはガルベストンに制圧され、戦いは地球軍の敗北に終わった。

 22話で印象的だったのはドレイクの退出後、テレスが彼のいた場所に敬礼する場面。次回でドレイクは戦死するので、これは彼らの今生の別れだが、司令官であり、ガルベストンの高級将校であるテレスが部下に敬礼したのは後にも先にもこの場面だけである。そしてドレイクは戦地に旅立つ。ルチアーノに忌避された彼に援護の艦隊はなく、同時にローランやマリウスなど穏健派の将星も司令部から姿を消す。

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 旗艦に戻ったドレイクは副官のロシェに合戦準備を命じた後、艦橋に掲げられたガルベストン皇帝の肖像画を見上げる。Vを3つ重ねたマークの国章と併せ、ガルベストンのどの戦艦、司令部にも飾られている同国の象徴である。皇帝を見るドレイクの視線は複雑である。彼の国家は果たして彼が生命を賭して戦う価値のあるものなのか。愚劣な命令を出し続ける本星の総司令部は、もはや兵士たちの信頼に値しないものになっているのではないか。これらの問いに対する彼自身の答えを、ドレイクは次の戦いで出すことになる。

キャラクター紹介

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アル・ルチアーノ(CV佐藤正治)

 テレスの後任として赴任したガルベストンの守備軍司令(タカ)、守備軍の編成上の位置づけは分からないが、後に赴任する高官にこれ以上の地位を推認させる将校がいないため、テレスよりも格上の司令クラスの将校と思われる。総司令のカポネーロとは同姓で、総司令同様タカ派の人物。地球との対話を重視するテレスの方針を撤回して地球攻撃に重点を置き、27話では地球の宇宙要塞を破壊し、30話では地球本土の攻撃作戦も立案する。32話で前線基地を攻略に来た伊達艦隊と交戦し、要塞に潜入したラガーチームの仕掛けた爆弾が爆発して死亡する。


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護衛艦隊指揮官

 ラガーガードを護衛する護衛艦隊の指揮官、軌道上でラフィットの艦隊を迎え撃ったが多勢に無勢で艦隊はほぼ壊滅する。全滅したという描写はなかったため、生死は不明。

今週のバトルマシン(1分50秒)

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武器:溶解液

 ラフィット隊のバトルマシン第7号、20話の第6号から同隊には他隊と毛色の違う斬新なマシンが配備されているが、このマシンはテレスに代わり前線基地司令に就任したルチアーノが持参したマシンと思われ、これまでのマシンとは関節部の構造が異なっている。2本の腕と下腹部に結節された4本の足を持つ構造は従来になかったものである。武器は装備しておらず、上部胴体から噴射する溶解液が唯一の装備である。もちろんこんなマシンでダイラガーに歯が立つはずもなく、味方に砲撃されて制御不能になったところを安芸に一刀両断され、ラガーソードの露と消えた。

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バトルマシン語録

「メインエンジンを狙え!」 (発進してラガーガードに取り付く)
「溶解液発射!」 (溶解液を噴射する)
「死ねえっ!」 (ダイラガーに組み付く)

 まだ操縦者がスピーチ機能に慣れていないらしく、言葉もぎこちなく数も少ないが、銀河と帝国の存亡を賭けたダイラガーとガルベストン兵士との罵倒の飛ばし合い、ラガーソードとハンマーを交えた言葉のデスマッチが行われるのはこれからである。

ラガーマシンの武器

 ラガーマシンは巡航状態ではクウラガー、リックラガー、カイラガーのラガー形態で飛行することが多いが、その状態での武装を解説する。

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回転ミサイル乱れ撃ち(クウラガー)

 何のことはない、ラガーマシン各機の武器をそのまま使っているだけである。もう少し合体のメリットを強調して欲しかった。

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プラズマウェーブ(リックラガー)

 唯一合体のメリットを認められる武器、高出力の放電で広範囲に敵を掃射する。リックラガーは3ラガー中もっともパワフルな機体である。

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磁気機雷(カイラガー)

 各ラガーの武器ですらなく、隊長機キーツマシンの固有装備である。なお、この爆雷はダイラガーに合体しても使うことができる(ダイラガー爆雷)。

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