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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第9話「栄光の決死隊」

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何と言われてもだな、行政府幹部は今日から
みんなウィークエンドバカンスに入っとるんだ。

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第4惑星
 ラガーガードが乗員の休養のため立ち寄った孤立した恒星系の惑星、衛星はなく、呼吸可能な大気と海を持つが、昼夜は60日ごとで本格的な居住には適さない。この作品の可住惑星は二連星か必ず衛星を伴っていることに注意。衛星がないと地軸が安定しないのだ。80年代の最新の惑星科学の知見である。

あらすじ

 地球を出て8ヶ月、度重なる戦闘と艦の修理で探査艦ラガーガードの乗員は疲労していた。艦も人もボロボロのラガーガードに警備軍本部は支援艦隊を派遣するが、それは決死の任務であった。

見どころ

dairugger タイトルの「栄光の決死隊」とは誰のことだろう? レビューのため見返しても実は漠然としているが、どうやらネグレ以下ラガーガード支援隊を指していると思われる。ただ、彼らは出撃後、ドレイク艦隊にアッサリと殲滅されてしまうために、確かに決死だが活躍があまり印象に残らないことがある。本当は二話構成くらいのもっと重厚なエピソードだったのかもしれない。バトルマシン戦を止めれば3分浮いたのだが、それはスポンサーが許さない。

「何と言われてもだな、行政府幹部は今日からみんなウィークエンドバカンスに入っとるんだ。」

「前回の支援艦隊は全滅しているんだ」、呑気な行政府の態度に憤慨する銀河警備軍幹部たち、度重なる戦いからようやく彼らにも事の深刻さが分かってきたようであり、強力な支援艦隊を送らなければガルベストンの阻止線を破って物資をラガーガードに送り届けることはできない。しかし、同盟星であるサラ星・ミラ星の艦隊は到着したものの、肝心の本隊である地球支援艦隊の出航は遅れている。

出羽 「長官、どうしましょう?」
若狭 「本隊を動かすことは、地球の警備上からも我々だけで決定することはできない。」
出羽 「や、しかし、ラガーガードを孤立させておくことはできません。」
若狭 「ウム、、」


dairugger 三惑星連合の制度では大規模な支援艦隊の出撃には行政府の許可が必要で、その行政府は警備軍が事前に許可を求めていたにも関わらずバカンスに入ってしまった。遅延が致命的と判断した要塞司令の伊達は待機していたネグレ艦隊に出撃を命じる。彼らが行政府の許可なしで動かせる戦力はそれまでであった。「分かっています」、戦力の不足を詫びる伊達にサラ星人の司令ネグレは悲壮な覚悟で艦隊を出撃させる。

 制作者の理解では、地球の戦いは最初期は探査艦ラガーガードの戦い、中盤までは地球政府の一官庁である銀河警備軍の戦いである。これでは皇帝コルセール以下、国を挙げて銀河制覇を目指すガルベストン帝国には勝てないだろう。ガルベストンが三惑星連合の全力を挙げなければ対抗できない相手だという認識は、終戦を国民学校で迎えた脚本家、藤川桂介が特に注意を払っている部分である。そして、第9話のこの時点では、ガルベストンとの戦いは地球ではせいぜいが地域暴力団の抗争レベルの争いとしか認識されていない。その政治家や市民の無関心の影で夥しい数の警備軍の将兵が倒れていく。

 地球を出て8ヶ月、艦も人も疲労した探査艦ラガーガードは会合地点付近の惑星に着陸する。乗員を休養させようという艦長アシモフの措置だったが、同じ惑星の北半球にはすでにガルベストン軍、グラモン艦隊が布陣していたのだった。

キャラクター紹介

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ネグレ

 ラガーガードを支援するサラ星・ミラ星第二次連合艦隊の司令官、行政府の決定が遅れたため本隊の戦闘艦隊なしで出撃し、待ち受けていたドレイク艦隊と交戦する。容貌からサラ星人と思われる。決死の覚悟で出撃した艦隊はほぼ全滅し、司令のネグレも戦死したが、奮戦によりラガーガードに輸送船2隻を送り届けた。


銀河警備軍幹部

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銀河警備軍の幹部たち、銀河警備軍は三惑星連合、地球の軍隊のため、幹部は地球人で占められている。日系および白人の幹部が多いが黒人らしい幹部もいる。


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行政府政治家

 地球連邦政府の政治家、要請されていた地球艦隊の派遣決定を引き伸ばし、バカンスに入ってしまったことでネグレ艦隊の悲劇が引き起こされた。

今週のバトルマシン(2分45秒)

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武器:二連装ビーム、牽引ロープ、鉤爪

 グラモン艦隊のバトルマシン。グラモン艦隊はテレス麾下の数多い探査艦隊の一つで補給のためたまたま第4惑星に停泊していた。艦隊は探査が任務のため、そのバトルマシンも軽量級でドレイク艦隊のそれに比べると戦闘力も劣っている。牽引ロープでダイラガーを絡め取るも、逆にパワーに勝るダイラガーに海底に引きずりこまれ、ダイラガー爆雷で下半身が岩に埋まったところをラガーソードの餌食にされる。今までバトルマシンがダイラガーにパワー負けすることはなかったために、これはバトルマシンの中でも三下マシンで、やはりゲドやローダとは馬力もクラスも違う機体と思われる。左腕の鉤爪はほとんど使われなかったが、おそらく掘削用で、ルックスは洗練されているが実はバルカム3と同じ惑星開発・土建屋マシンの系譜に属する機体と思われる。一言でいえば「カッコいい工事用車両」であり、こんな代用ユンボのようなメカでダイラガーに対抗できるはずもなかった。合体30秒を差し引き2分以上持ったが、大半はダイラガーによる弱メカいじめの場面である。

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