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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第4話「地獄への救助命令」

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だが、救助信号をキャッチしておきながら、
知らん顔して   通り過ぎることもできん。
たとえそれが戦っている相手であっても。

あらすじ

 第11恒星系を目指す探査船ラガーガードは航路の途上、船舶のエネルギーを吸い取る破壊空間に遭遇する。空間内部からの救助信号 を受けてカイラガーを派遣した艦長アシモフだが、それはガルベストンの罠であった。空間通過でエネルギーを失い、カイラガーは苦戦を強いられる。

見どころ

 ダイラガーのニュータイプ(?)、超能力者キーツ氏(カイラガーチーム)メインの話だが、同じくESP能力をテーマにした機動戦士 ガンダムと比べると、その超常能力の役に立たなさぶりが際立っている(ダイラガーは一応「めぐりあい宇宙」と同年の作品である)。同じミラ星人で同じ くESP保持者のキリガッス共々前方に不穏な気配を察知してアシモフに報告した彼だが、艦長には「気のせいのようだな」で片付けられ、他のクルーから は「またESPか」、「いいかげんなことを言うな」と囃される。そして副長伊勢は第11恒星系への進路不変更を二人に言い渡す。その直後に艦の前方に ドドンとブラックホール山盛りの破壊空間が出現し、乗員たちはパニックに襲われる。彼らの予感は的中していたのだ。

dairugger ガルベストン側は前回戦死したラッカルに代わり、智将ドレイクがテレスの新副将に就任する。ドレイクは着任早々、遭難信号を装うなど巧妙な戦術でラガーチー ムを破壊空間に誘い出す。地球側はキーツのカイラガーチームが応戦するが、さらに挟み撃ちなどされて苦戦に陥る。キーツの超能力は破壊空間は予知できてもドレ イクの罠やバトルマシンの存在までは予知できなかったのだ。戦勢不利を悟ったキーツはバトルマシンへの特攻を決意するが、そこに応援の他ラガーチームが駆けつけ 、ダイラガーに合体する。しかし、すでに空間の通過でダイラガーはパワーの半分を失っていたのだった。

「だが、救助信号をキャッチしておきながら、知らん顔して通り過ぎることもできん。たとえそれが戦っている相手であっても。」

 今週の言葉は前話に引き続きアシモフ艦長、破壊空間から発せられる救助信号に艦長アシモフは即座に救助を命じる。実は艦長は薄々ガルベストンの罠の存在に 気づいているのだが、それ以上に守るべき規範(海難救助)の存在と、謎の敵の真意を探ろうという意図が感じられる。同じことはガルベストン側のドレイクにも 言え、こちらもラガーチームやその母船の出方を見て地球側の真意を探っている。「チャンスはこの先いくらでもある」、ドレイクはダイラガーを撃破寸前まで追い 詰めたものの、ラガーガード出現を見てあっけなく手を引く。「やはり敵の罠だったようだな」、引き揚げるドレイク艦を見て伊勢はガルベストンの探査妨害がなお も続いていることを悟る。

 前回が神経戦のような話だったので今回はジョークなど交えた軽い話に仕立てられている。冒頭でコック長がギター片手に歌うダイラガーの主題歌は「ダイラガー♪ それが青春♪」はやっぱり歌うのかと思っていたが、やっぱり歌ったのだった。主題歌が主題歌として認められていた80年代ならではの微笑ましい光景であり、同様の 場面はこの先も見られるものになっている。

キャラクター紹介

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ミランダ・キーツ (CV堀秀行)

 地球の同盟星ミラ星出身のカイラガーチームのチーフでカイラガーの主操縦士。サラ星人、ミラ星人は肌の色が同じでどちらも額にホクロらしきものがあるので区別しにくい。 ミラ星人の特徴は尖った耳であり、額は実はホクロではなく飾りのようである。ミラ星はどうも重力が地球より大きいらしく、ミラ星人は三惑星のどの種族よりも体力に優れており、女性のキリガッスでも険峻な岩山を軽々とよじ登る。ある種の予知能力があり、キーツやキリガッスは共に艦や仲間に迫る危機を予知することができるが、危機の大きさや出没時刻、ベクトルまでは検知できないため、他星出身の仲間にはこの能力はあまり信用されていない。後に実はミラ星の王子であることが明かされる。


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コック長

 ひょうきんな性格の探査艦ラガーガードのコック長。ラガーガードは長期の探査艦で、乗員はカフェテリア方式の食堂で好みのメニューを注文でき、食事時間以外の食堂バーはクルーに開放されるなど艦の福利厚生は充実している。食堂でラガーメンバーやクルーの注文を受けるコック長は宇宙定食、スパゲッティ、カレー、ビフテキなど多彩なメニューを誇る料理人である。正規の軍人か軍属かは定かでないが、特技はギターの弾き語りで、レパートリーは「銀河の青春」。艦長アシモフが離任した時には伴奏をしたこともある(17話)。


今週のバトルマシン(1分10秒)


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武器:口ビーム、触手、有線パンチ

 ドレイク隊のバトルマシン第1号。一応交戦時間はダイラガーとの戦いが始まってからカウントしているが、その前のラガーマシンとの戦いは結構長かった。ソーラXUは幼稚園児に画用紙を渡して「ロボット」と描かせればこうなるといった投げやりなデザインが特徴である。バトルマシンには珍しい人型をしているが四肢が可動する描写は見られない。口ビームに加え、胸からダイラガーを絡めとる5本の触手、両腕が飛ぶ有線ロケットパンチを装備するが、もちろんこんないいかげんな武器でダイラガーに対抗できるはずもなかった。ダイラガーの合体後はダイラガーミラクルビームとラガーソードで一分足らずで片付けられる。

用語解説

ガルベストンの国章

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ガルベストンマーク

 Vを3つ重ねたガルベストンマークは同国の国章で、軍用、政府用、民間用を問わずありとあらゆる場所に描かれ、どうも単なる意匠以上の意味をガルベストン国民に対して持っているようである。最初から頻出していたが、作品も末期にな るとありとあらゆる場所にこのシンボルが描きこまれ、同国を識別する最大のポイントになっている。

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 まるで何かの強迫観念のように、作品も後半に行くに従ってあらゆる場所、物に執拗に描かれ続けるガルベストンマークだが、このマークがどこに描かれているかを見るのも作品を見る楽しみの一つである。

dairugger なお、26話のエルドラ星でのエルドラ人との遭遇では、エルドラ製のミサイルにはガル ベストンマークが描かれていなかったため、安芸たちも相手をガルベストンと誤解しなかったことがある。このように敵味方の識別にも極めて分かりやすいマークである。



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