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機動戦士Zガンダム第26話「ジオンの亡霊」遠藤明吾

あらすじ
 エウーゴ艦隊の追撃を受ける戦艦アレキサンドリア、グリプス後退を主張するジャマイカンに対しヤザンは追撃隊を討つことを提案する。戦闘の最中、旧ジオン軍の戦艦グワジンが戦域に現れ、亡霊戦艦の船内で白兵戦が繰り広げられる。

Aパート:ヤザン出撃、亡霊船登場
Bパート:グワジン艦内の決闘、ジャマイカン死す

「ウジウジ戦艦」ラーディッシュ
 やけに詳細な状況説明の後にいつもの悪の作戦会議、その後に第一艦橋が外れた戦艦ラーディッシュが登場するが(作画ミス)、とりあえず前回の復習(ナレーション)をすると、前回のグラナダ攻撃は「大コロニー落とし」で、作戦に失敗したアレキサンドリアは補給が受けられず、エウーゴの追撃を受けて後退中という。そんな重要な作戦だったら前話で説明して欲しかった。
 追撃するエウーゴの「ウジウジ戦艦」を潰しにヤザンがアドルと共に出撃する。ジャマイカンの消極策に不満なヤザンは戦闘しながらアレキサンドリアを戦闘に引きずり込もうとしているようだ。ヤザンも強いがアドル搭乗のハイザックも強く、最初に接触した「ウジウジ戦艦」ラーディッシュから出撃したエマはピンチに陥る。エマの危機をニュータイプ能力で感知したカミーユはZガンダムで出撃する。一方、ラーディッシュに乗艦していたカツもGディフェンサーで出撃する。そこに旧ジオンの亡霊戦艦グワジン級の巨大な残骸が現れる。この作品にはまともな戦艦は出ない。

カオルのひとこと:大作戦が終わると通常運行に戻るのがこのお話、フォン・ブラウンがどうなったのかも、ブレックス准将暗殺の影響がどうなっているのかも、何も伝えないままいつものパターンに戻ります。前話でいじめに遭ったカツ、いつの間にかラーディッシュにいて、またまたGディフェンサーで勝手に出撃。今回はMk-IIとの合体が見せ場(?)の用ですが、ここでカツなんかを相手にしないといけないエマさんが哀れです。

「人間レーダー」カミーユが本領発揮
 ブライト・ノアが宇宙の闇に潜むティターンズの戦艦や悪事を探知する「人間レーダー」としてのカミーユの効用に気づく回で、以降、彼によって酷使されたカミーユはラストの廃人への道を辿ることになる。彼の守備範囲は広く、エマのような「前作セイラさん」ポジションの女性のピンチからZガンダムのような無機物まで接近を感知できることはこれまでの話で実証済みである。エマはともかくZガンダムはどうやって分かったんだろう。そんな彼であるからカツの無断出撃も説明抜きでお見通しである。

カオルのひとこと:エウーゴ追撃を主張するヤザンは部下のアドルとともに出撃し、エマとカツ、そしてエマさんの危険を恐るべき勘で察したカミーユは、ジオンの幽霊戦艦グワジンに誘い込まれていきます。「ジオンの亡霊」というタイトルには何か深い意味があるのかと思いましたが、要するにそういうことです。

 もっとすごいのは今話でヤザンに殺されてしまうジャマイカン少佐、追撃を主張するヤザンが作戦を説明しようとすると(しばし沈黙)、「分かった、好きにするといい」とどうも作戦を理解してしまったようで、「実は彼こそが真のニュータイプなのでは」と期待を懸けさせた回でもあった。しかし、話のラストで彼はエマの放ったバズーカ弾の直撃を受け死んでしまうので、どうもこの作品のテーマである「人類の相互理解」への道は遠そうである。
 廃船と化したグワジン戦艦内でのモビルスーツの乱闘はこの辺「設定が詰められてないなあ」と感じる場面で、元々ガンダム戦艦の本当の大きさは謎であった。Zガンダムやギャプランが船内を飛びまわれる大きさというと全長5キロはありそうだが、ある意味、どうだって良い話である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:幽霊船内ではヤザンとカミーユが一騎打ち、エマ、カツはアドルという雑魚キャラと生身のご対面です。前回いじめたカツに申し訳ないと思うからか、いじめた後にはちょっとした見せ場を作って罪悪感をまぎらわしているかのような脚本、ヤザンとの戦いでピンチに陥ったカミーユを、グワジンに残っていたモビルスーツの武器を使って援護して「カツのおかげで助かりました」となるパターン。一方のヤザンはというと、アレクサンドリアに戻って、エマに艦橋を狙撃させ、本当の目標であったジャマイカン殺害を成し遂げます。ティターンズの内部抗争に利用されたエウーゴという図式、これまた嫌いなヤツは殺してしまえという悪しきパターンになりそうです。

評点
★★ 一応これは続編らしい。(小林)
 コロニー落としの次は幽霊船、もうどうだっていい話になっている。(飛田)


関連レビュー「ZZ第26話 マサイの心」脚本:鈴木裕美子

あらすじ
 砂漠を横断中、水不足に陥ったジュドー達はオアシスの娘マサイと出会う。マサイの案内でオアシスにたどり着いたのもつかの間、恋人タグのゲルググに乗ったマサイがジュドー達を襲う。

Aパート:マサイ登場、水不足ガンダムチーム
Bパート:マサイの村、マサイ対ジュドー

コメント
 地球に降りてからの現地人シリーズ3話はどれも良く考えた話だと思うけど、いかんせん尺が足りないせいか、また、こういうエピソードをやるならもう少し前の話で説明すべきというべきか、何で地球連邦の時代に砂漠人が電気もない村で暮らしているのか分からないし、彼らがジオン軍と仲が良いのはもっと分からない。きっと、地球に降りたジオン軍はダムを作ったり、井戸掘りや貯水池の造成など土木工事で現地の方々に奉仕していたのだろう。そうとしか思えない砂漠のジオン化したアフリカの人々である。
 死んだジオン軍の恋人タグの面影が忘れられない現地の女マサイは形見のゲルググでガンダムを襲う、前回のロンメル隊同様、歯も立つはずがないのだが、これでお涙頂戴でマサイが死んだら★一つにしようと思っていた。マサイの声がどこかで聞いたようなと思いテロップを見たら島津冴子で、こういう有力声優をこの役にあてがうあたり、たぶん、砂漠編はもう少し尺長いエピソードとして考えられていたのだろう。なお、この回で主題歌が変わる、冒頭の銀河から人魂が立ち昇る絵といい、エンディングの歌詞の辛気臭さといい、「やめてくれよ、もう」のムード満点だが、この後半最初のエピソードを新人(鈴木)に譲ってやったと言わんばかりの恩着せがましさは主導権を握った監督の倨傲だろうか、大した恩でもないと思うがな。恩を着せたつもりなら下手くそな脚本はもう降りて、新人にもっと書かせろ、ジジイは死ね。
 次回はいよいよダカールに着き、リィナが死ぬ(実は生きている)話、監督復帰の一発という感じだが、砂漠戦で古びたジオン軍のモビルスーツ同様、そういう団塊世代の傍若無人なエゴは、この時代既に通用しなくなっていたのだった。次の話に★一つを付けるのが楽しみである。 (レビュー:小林昭人)

評点
★★★   悲恋の話、背景の説明は今一歩。


関連レビュー「ガンダムAGE第 26話 地球、それはエデン」
      脚本:日野晃博

あらすじ
 コロニー「ノートラム」を占領し、地球征服の拠点とすべく動き出すヴェイガン。デシルは予備兵力として配置されるが、フリットを倒すとして勝手に出撃する。迎え撃つフリットはディーバを帰還とし、大量破壊兵器ボトンリングで一網打尽を狙う。デシルとの戦いでウルフ隊長を失ったアセムは、怒りに燃えてデシルを葬り去るのだった。

Aパート:ボトンリング登場、デシル出撃
Bパート:ボトンリング通用せず、デシル対アセム

コメント
 どうやら戦いは終盤を迎えているらしい。ゼハートはコロニー「ノートラム」を占領し、地球征服の拠点とするというイゼルカント様の作戦を実行に移す。どうやら彼らの故郷は荒れ果てているらしく、地球を征服して「エデン」とする、というのがイゼルカント様の目指すところらしい。ところで彼らの故郷が荒れ果てているというのは初めて聞いた。そもそも故郷がどこにあるのかもわからないし、なぜ、どんなふうに荒れ果てているのかもわからない。相変わらずの口先脚本である。
 一方の地球連邦軍は、決戦に備えて大量破壊兵器の開発を着々と進めてきていたらしい。こちらも玉手箱のように開けば出て来る、という感じである。リング状に配置された増幅器の中心めがけてボトンブラスターを発射すると、増幅拡散して強力な電子ビームを発する、というもののようである。フリットは、出て来た敵を射線上に集めようとするが、それに気付いたゼハートが「ギガンテスの盾」という、どこかで聞いたような名前の面白バリアーでこれを防ぎ、結局この大量破壊兵器は何のダメージも与えられずに終わってしまう。そうこうするうちに、勝手に出撃したデシルとアセムとの戦いが始まる。ここでアセムを庇ってウルフ隊長が死に、死に際の説教が長々と演じられる。最後に「宇宙一のスーパーパイロットになれ」と言い残して彼は死に、ディーバの乗組員一同が涙ぐむ姿がこれでもかと映し出される。これだけ話す間があれば、爆発前に脱出できそうなものだろうが、恐らく今回の話の目玉はウルフの死で奮起してデシルを倒すアセムなのだから、ウルフはどれだけ助かる可能性があろうと、生き延びてはいけないのである。
 こうして、大してありもしない「感動」とやらのために、貴重なキャラがまた一人犠牲になった。もう、名前を憶えているキャラは残りわずかである。ところでタイトルは内容をまったく反映していないが、本当は何が言いたかったのだろうか。言いたい事があれば、の話だが…。

評点
 これで泣け、と言われても無理。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第26話 青い星の記憶」
脚本:出渕裕

あらすじ
 森雪が死亡し、意気消沈する古代を励まそうと看護婦の原田が結婚パーティーを企画する。リバースシステムの核になっていた古代守は落ち込む弟の姿を見て、システムの稼働を決意する。

Aパート:森雪死亡、原田結婚パーティー
Bパート:リバースシステム稼働、ヤマト帰還

コメント
 一応前話で雪は死んでおらず、意識不明の重体という話だが、すでに死んだも同然なので話は進む、知らない間に看護婦の原田と航空隊の加藤ができちゃった婚をしており、真田の祭祀で式が執り行われる。沖田はすでに重体で、もうすぐ死ぬと見た古代守はシステムの核の役割を沖田に譲り渡す。
 コスモリバースシステムというのが何なのか、ついに作品では明確な説明はなされなかったが、死人を生き返らせる機能はあるらしいことが分かる話である。これも結局「ユキー」としか言わせてもらえなかった古代進は雪の死にもちろん落ち込むが、デスラー死亡以降、何を思ったか艦内巡検を始めた光の玉守が沖田の夢にばあと現れ、オレが雪を生き返らせるから後は頼むとシステムを稼働させたため、はるばるイスカンダルから運んできたコスモリバースシステムは森雪の復活と同時に機能停止してしまう。
 そもそも、これはヤマトでは戦艦ヤマト同等の最重要のアイテムなのだから、どういう機能の装置なのかもう少しちゃんと説明すべきだし、雪を蘇生させる機械がどうやって地球の環境を元に戻せるのかも、真田とか新見の言葉を使って語るべきである。が、2199ではいつものことであるが、誰でも分かる科学説明以上の内容になると、このスタッフは口をつぐんでしまうのだ。それにシステムにはもう一つの謎がある。古代守が死ななければ、システムの人柱は彼ではなく森雪だったはずである。で、あるなら、古代が稼働させればシステムは死んだ雪の魂を取り込んで再稼働するはずで、それがどうして死にかけの沖田なのか良く分からない。おかげで、「地球か、何もかも」の沖田渾身の名シーンがただのお笑いになってしまった。何しろこのシステムときたら、沖田が絶命した直後にウィンウィンと稼働を始めるのだから、これをギャグと言わずして何をギャグというのだろう。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:放射能設定がなくなったおかげで、感動のラストがハチャメチャになってしまった。敵将官をかばって死ぬ森雪、落ち込む弟のために地球を救う目的を放棄する古代守、どうせ死ぬと分かってることがミエミエの沖田によるリバースシステム再稼働。何もかもがチグハグで、最後は失笑しか残らなかった。

評点
 スタッフの思い込みと自分勝手が名作をダメにしてしまった。(小林)
 人類の共有財産ともいうべき作品がメチャクチャに。こんなことが許されるのだろうか。(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第26話 大地に立つ」

あらすじ
 キャピタルのあるギアナ高地に降り立ったベルリと諸勢力はアメリアの別働隊と遭遇する。アーミィーとアメリア軍が戦いを始め、マスクはカバカーリでベルリを襲う。

Aパート:アメリア別働隊、マスク対ベルリ
Bパート:Gセルフ撃墜、後日談

コメント
 死んだグシオンの置き土産、ギアナ高地に潜伏させていたアメリア艦隊が宇宙での戦いの様子を見てキャピタル占領に動き出す、が、こんな艦隊は宇宙で鍛えられたベルリらの敵ではなく、アメリアの艦隊は降下してきたベルリとキャピタル・アーミィーに次々と撃破されて壊滅する。ジャブロー跡地でベルリはマスクと最後の戦いを行い、ベルリはマスクを倒すが、Gセルフも破壊されて戦闘は終結する。なお、本来はそのために作られたキャピタル・アーミィーがキャピタル防衛戦に出たのはこれが最初で最後で、本当に意味のない軍隊だった。
 残りの10分ほどは後日談だが、率直に言って富野さんという人の戦争に対する見方を示すラストである。が、彼の楽観的すぎる見通しとは異なり、本当の戦争は敵の指導者を倒した所で戦争は終わらないし、軍艦に乗ったから大人の全員が全員好戦的になるわけでもない。第一話から黒幕の大佐は流れ弾であっけなく死に、艦隊を派遣したズッキーニ大統領も息子クリムに殺されて物語の悪の黒幕はドレッドも含めすべて死に絶えたことになる。彼の理解ではそれで世界は平和、人類皆兄弟と言いたいのだろう。30年前と変わらない、いや、むしろ退歩した見方に唖然とするが、場面自体はそれほど陰惨ではなくテンポ良く進む。マスクも死ななかった。
 ベルリの富士登山の場面には富野氏本人が登場するが、たぶんこの人物、色々な意味で忙しく、体力のあるうちに富士登山ができなかったように見える。下山する時に駆け下りるようにアドバイスしたら足を挫くし、そんなアドバイスは故意に怪我を誘う底意地の悪いものである。一見平易そうに見えるこの山でも、毎年死人が出ていることをこの人はどう考えているのか。筆者も八ヶ岳を駆け下りたことはあるが、そういうことは何度も登り、慣れているからできるのである。
(レビュー:小林昭人)

三ツ富士:作中で明確に語られなかったが、本作における富士山。過去の噴火か最終戦争で山体崩壊し、ギザギザ姿の無残な姿を晒している。山頂までの高さもどうも様子を見るに二千メートル程度のようであり、頂上付近に草木の生育が見られることから森林限界より高いこともないようである。

レコンギスタ:結局最後まで明確に語られることのなかった番組のタイトル名。8世紀のレコンキスタ運動のもじりであり、宇宙に進出した人類の地球帰還、再征服運動を指すらしい。が、作品でレコンギスタを明確に口にしたのはドレッドただ一人で、しかもその直後にドレッドは死亡し、レコンギスタのためのトワサンガ艦隊も全滅したことから、作品ではついぞ大規模なレコンギスタ作戦は行われずに終わった。ほか、ジット団も同様の言葉を口にしたが、これも実際に地球を訪れたのは数人で、帰還運動ではなく観光客レベルの物味遊山であった。つまり、「Gのレコンキスタ」はそのタイトルに相違してレコンキスタ運動を主題とした作品ではない。制作サイドでは、この番組のタイトルはReconguista in Gであり、通例用いられるofでないことから、「ガンダムアニメの再征服」という寓意があるものと思われるが、要するに制作方針を巡るサンライズとその親会社バンダイの内輪の事情に過ぎず、大仰なタイトルの割にはロクな中身の無いものである。

評点
★★ 爽やかなラストだが何かあったのかというと、、


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第26話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第26話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第26話紹介
An another tale of Z 第26話「ズム・シチ解放」(本編)

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