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An another tale of Z

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機動戦士Zガンダム第5話「父と子と」 脚本:大野木寛

あらすじ
 グリプスを襲撃したモビルスーツに、ティターンズのジャマイカンとバスクは旧ジオンのエースパイロット、シャアの気配を感じる。一方、追撃を逃れたエウーゴでもブレックスとヘンケンが赤い彗星について話していた。その間にカミーユの父フランクリンはクワトロ(=シャア)のリック・ディアスを奪って脱走、追撃に出たクワトロを追い、整備中のガンダムで出撃したカミーユは戦場で父と対面する。

Aパート: シャアの気配、フランクリン脱走
Bパート: カミーユ出撃、フランクリン死す

 3話に引き続き嫌な話、どうもリック・ディアスはガンダムより性能が良いらしく、前話でエマに無理矢理連れてこられたフランクリンはティターンズでの自己の地位を強化すべく、ディアスを奪って脱走する。しかし、目前で妻を殺された彼がどうしてそういう心境に至るのか不思議である。「妻よりも美人な愛人」がいると説明されているが、今一歩説得力に欠けるので劇中で何度も何度も「愛人」という言葉が飛び出すことになるが、これは彼の言葉通り「技師冥利につきる」方が動機らしいだろう。

理不尽と悲惨さだけが残る展開
 フランクリンの脱走は状況を考えると話的には違和感があるが、軍属の大人としてはごく真っ当な判断である。捕虜になった兵士に脱走を勧めない軍隊はなく、また、その際にはできるだけ敵に損害を与えることが推奨されているのだから、これは別に間違った行動とはいえない。が、子供向けテレビ番組ならこういう「大人の常識」には説明が一言あってしかるべきだろう。一応劇中では彼は「愛人に会いに」アーガマを脱走したことになっている。

カオルのひとこと:「赤い彗星」ことシャア・アズナブルが、なぜかティターンズでもエウーゴでも急にクローズアップされます。といっても証拠があるわけではなく「気配を感じる」というくらいのもの。しかし視聴者には確信があります。だって第1話からエンドクレジットに名前が出ているんですから。

 脱走したフランクリンを迎えるティターンズは補給作業の最中で、逃走するディアスとそれを追うシャアのガンダムとアーガマとの間でなし崩しに戦闘状態に入る。しかし、アレキサンドリアからブルネイにロープを伝って移動するコンテナ、戦闘中に移乗を指示するバスクも非常識ならコンテナにはバーニアが付いており、そんなものがあるならロープなど使わずに最初からそれで移動しろと言いたくなる。とにかく、脱走したフランクリンは確保しようとするシャアやロベルトらと揉み合いになり、そこにカミーユが乱入する。そして流れ弾に当たり(シャアが狙撃したとも取れる)、ディアスは爆発してフランクリンは命を落とすのだった。3話に引き続き、カミーユはこの話でも両親の死を目の当たりにすることになる。先のヒルダの死といい、ここまで残酷な描写が本当にこの作品に必要だったのかは一考の余地がある。

カオルのひとこと:今度は父親を追いかけてガンダムで戦場に出るカミーユ。戦場で対峙した父に迷わず銃口を向けて殺す気満々に見えたかと思いきや、逆上する父親に「冷静になれ」と説得し始め、どっちが親なのか分かりません。いろいろと空気を読んで背負いすぎてしまうタイプのようです。



大人と子供のねじれた関係
 消沈するカミーユにクワトロ(シャア)が掛ける言葉が、この作品では迷台詞として有名な「シャア・アズナブルという人を知っているか」であるが、つい数日前まで普通の高校生だったカミーユとファーストガンダムの仮面男を一緒にするのはさすがに無理があるだろう。この作品の時代はバブル経済の目前であり、世の中には今と違う意味で大人らしくない大人、親らしくない親が溢れていた。軍の仕事に打ち込むフランクリンや彼の母ヒルダの姿は当時の企業戦士のオマージュであり、その狭間に立たされた孤独な少年カミーユというのも、また、当時の同年代の子供の姿である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:母に続いて父も殺害された不幸な少年カミーユですが、周囲の大人たちは、彼の背負うものにはまるで関心のない様子。整備中のガンダムで勝手に出撃しようとするカミーユに「構わん、彼の適性をテストするいいチャンスだ」と、状況をわきまえずに言うブレックスに嫌なものを感じます。一見するとカミーユの父だけが悪人のように思えますが、実は誰も彼もが自分のことしか考えていない自己中人間ばかり。そんな人たちを乗せた船は、一体どこを目指すのでしょうか。

評点
★★ 母親に引き続き父親まで殺される展開にウンザリ(小林)
★★ もう用済みの父は殺害。バレバレの展開で後味も悪い(飛田)


関連レビュー「ZZ第5話 ジュドーの決意」脚本:遠藤明吾

あらすじ
 港に停泊するエンドラにうさんくさいジャンク屋ゲモンが助力を申し出る。住民が離反するためコロニー内での戦闘を嫌うマシュマーだが、ゲモンの申し出によりゴットンを護衛に付ける。郊外のジャンク置き場に潜む戦艦アーガマを襲いに出撃したゲモン達だったが、ジュドーらの通う学校の校庭に「ZG」の文字を見たゲモンは学校を襲い始める。

Aパート:ゲモン登場、ゲモン学校を襲う
Bパート:ガスタンク場の決闘(ボクシング対戦)

コメント
 冒頭はマシュマーの妄想タイム、ゼータで同じパターンの悪の作戦会議を40数回も見せられた身としては「こちらの方がずっといい」、繊細なBGMと共に「私は迷える子羊」とハマーンに対する思いの丈をぶちまけるマシュマーが笑えるが、この妄想カットはこの話ではあと2回は流されるのだった。その後は「学校を襲う悪のロボット」という子供向けアニメでは使い古された展開になるが、確信犯なのでこれはいい。そして子供たちの「Zガンダムー!」の叫び声と共にマーチに乗って登場するZガンダムもお約束だ。「ガザCはやめろ、あれは我々のものと知られすぎている」という理由で遠巻きに戦場を見守るジオン兵らの視線の中、市民を巻き込まないために郊外で戦いを始めるゼータとゲモンだが、「フルパワーで戦うとコロニーが壊れるため」とロボット同士の殴り合いで対決する。ダブルゼータになってからのZガンダムは良く動く。話自体もゼータよりもスピーディーでキャラも立っており、作劇に格段の進歩が感じられる。ゲゼを撃退し、ラストでズシンズシンと歩くZガンダムに親しみやすさを感じたのはきっと筆者だけではないだろう。話数を掛けて、Zではほとんど描かれなかった市井の様子を描いているのも好感が持てる。やはりこの作品、問題だったのは前作がZガンダムだったことだろう。(レビュー:小林昭人)

評点
★★★★ ゲゼとのボクシング対決は笑える


関連レビュー「ガンダムAGE第5 話 魔少年」脚本:中瀬理香

あらすじ
 ファーディンに到着した戦艦ディーバに監察官が乗り込む。一方フリットは謎の少年デシルと出会う(謎の艦長に謎の少女に謎の少年に謎の敵となぞなぞづくしのこの番組)。グルーデックは連邦軍の腐敗と独断でUEへの反攻作戦を目論んでいることをエミリーに話す。

Aパート:ファーディン到着、グルーデック拘束失敗
Bパート:デシル登場、デシル対UE

コメント
 ひょっとしたらこいつ(日野)も「ピタゴラスイッチ(NHK)」の信者なのではと思わせる第五話、「ピタゴラ」というのはNHK教育の子供番組で、奇妙な音楽に奇怪な映像が続く情操教育用の番組である。何を放送したいのかは番組を見ても分からない。これは「えらい先生」の監修で、これを見ると頭が良くなるとか、超感覚(可視外光線が見えるとか超音波が聞こえるとか)が身に付くと思い込んでいる母親は少なくない。そして謎少年デジルの超感覚に翻弄されるフリット一座とデジルを囲む謎の黒衣の集団。まあ、これが日野氏のスタイルだというなら、私とは違うが文句を言う筋合いの話ではない。私はピタゴラ信者ではないので。
 スペースコロニーというのはでかでかと開いているミラー(AGEのはホントに飾り物)といい、地球周辺にあるというのがこれまでの通説だが、今のところ5話にもなるのに画面に一度も地球が映っていないのは「どこ飛んでんだディーバ」とツッコミを入れたくなるが、この世界、どうも常識が我々の世界と違う(太陽系ですらない)感じがする。ドラクエの夢大陸ならこういうのもアリなんだろう。UEやグルーテックその他は良く分からないので割愛する。(レビュー:小林昭人)


※ピタゴラスイッチとは:【4〜6歳児を対象にした「考え方」を育てる番組】
 私たちがふだん何気なく暮らしている中には、さまざまな不思議な構造や面白い考え方、法則が隠れています。例えば、何度も食べたことのあるタイヤキ。なぜ、タイヤキはいつも同じ形にできあがるのか、不思議に思ったことはありませんか? タイヤキがいつも同じ形にできあがる裏には、「型がある」という法則が隠れています。この「型」という法則=考え方でできているものは、私たちの身近にいくつも見つけることができます。はんこや版画、たくさんの印刷物、さまざまな工業製品…これらはみんな「型」という法則で成り立っており、「型」という考え方を知れば、これらを理解することができます。
 番組では、こうした“子どもにとっての「なるほど!」”を取り上げ、番組を見ることで頭のスイッチが入り、考え方についての考えが育つことをねらっています。
(出典:NHK番組紹介)


評点
★★  まあ、実力じゃないでしょうか。


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2199第5話 死角なき罠」
脚本:出渕裕

あらすじ(人類滅亡まで362日・冥王星攻略戦1日目)
 遊星爆弾を発射し続ける冥王星基地を叩くことを決めたヤマトは冥王星に向かう。冥王星では司令官シュルツが遊星爆弾製造装置を転用した強力ビーム砲「反射衛星砲」で待ち受けていた。

Aパート:衛星砲登場、ヤマト作戦会議
Bパート:反射衛星砲の攻撃、ヤマト沈没

コメント
 前話でバラン星のゲール司令官から叱責を受けたシュルツはヤマト撃破のために遊星爆弾を製造していた装置「反射衛星砲」を兵器に転用することを思いつくが、なんで優勢なガミラス艦隊や超大型ミサイルが手元にありながら、わざわざ爆弾製造機を兵器に改造しなければいけないのか分からない。その優勢な艦隊はつい4話前まで地球軍相手には圧倒的な威力を誇っていた部隊であり、超大型ミサイルはヤマトより大きいにも関わらず移動する戦艦ヤマトを追尾でき、主砲でやっとのことで撃破した兵器なのだから、別に衛星砲を使わなくてもこの時点ではガミラス有利である。
 そして、再度冥王星の攻略を決めた沖田の作戦コードは「メ2号作戦」、いい加減、この作戦内容バレバレな一見オタク風、しかし中身はザル(軍事作戦っぽくない)の言い回しはやめてくれと思うが、とにかく第1話での地球艦隊惨敗の復讐戦にヤマトは冥王星に向かう。そもそも、「2号作戦」など立案するまでもなく、メ号作戦はサーシャの宇宙船シェヘラザードを誘導した時点で(多大の犠牲にも関わらず)「成功」していたはずである。成功した作戦を今さらなぜ蒸し返す必要があるのだろうか。蒸し返す必要があるということは、やはりカプセル回収に関わらず、地球軍内部の認識では「作戦は失敗」ということであり、成功を吹聴した沖田らは古代らに嘘を言っていたということになる。そうなると、その尻馬に乗って浮かれ騒いでいた森雪がますますバカに見える。
 それともう一つ、この話は冥王星基地攻略という前作の中でも盛り上がるイベントのはずである。それがシュルツの話の後は始まって5分で主計科の山本が航空隊に転属するかったるい話で、それが前半5分から11分目まで続くので、前作の戦艦大和のエピソードよりも長い、こんな話を延々と続けられてもうんざりするするだけである。それで、肝心の攻略戦は5分足らずで終わってしまうのだから、これは構成も悪い。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと:反射衛星砲は、もともと遊星爆弾の発射装置だったそうだが、なぜ反射衛星砲を浴びせると、ヤマトは爆発するのに遊星爆弾はピューっと地球に飛んでいくのだろうか?

評点
 面白い話をGdGdにできるのはスタッフのある種の才能か?(小林)
 おかしな変更で、シュルツの巧妙な作戦が台無しに。(飛田)


関連レビュー
「Gのレコンギスタ第5話 敵はキャピタル・アーミィー」

あらすじ
 キャピタル・アーミィーの進出で軍事化するキャピタル・シティ、デレンセンを撃退したベルリはクリムに海賊に入るよう誘われる。アーミィーでは謎の男マスクが新型MSで海賊戦艦を襲う。

Aパート:マスク登場、海賊戦艦移動
Bパート:巨大MSの襲撃、Gセルフ空中合体

コメント
 ベルリ救出を名目に地歩を固めるキャピタル・アーミィーの描写が冒頭にあり、どうも不穏そうな野心を持つ大佐の存在がクローズアップされる。前回でも触れられていたが、キャピタルはどうも宗教上の理由で技術進歩を否定している国らしく、軍事力増強が「アグテックのタブー」に触れていることにベルリの母ウィルミットは難色を示す。
 アーミィーの一員にガードから引き抜かれたマスクが加わり、新型巨大可変MSに乗って海賊討伐(ベルリ救出)に向かう。ベルリの乗る海賊戦艦メガファウナは浮上し、弾道飛行でキャピタルを逃れようとしているが、どうもこの世界の戦艦は普通に飛べるらしい。そこにマスクの襲撃があり、ベルリはまたGセルフで応戦する。
 富野喜幸氏監督の作品だけ見てもガンダムの歴史は長いので、この回ではゼータのメッサーラ出現からファーストのガンダム空中換装、対ギャン戦の二刀流ビームサーベルに別番組だがダイラガーランサー・ビーム返しまで披露してくれる。最後のはまさかやるとは思わなかったが、一つ一つはいつかどこかで見た演出と映像で、たぶん他にも山ほどあるはずだが、どれもオリジナルに及ばないというのがわびしい所である。しかし、これらは元ネタを知っている筆者には白けるだけだが、初めて見る人には斬新な演出だろう。あと、今回もアイーダはカーヒルを悼んでお通夜モードである。
(レビュー:小林昭人)

ガランデン:キャピタル・ガードが過去にゴンドワンの艦を鹵獲したものをアーミィー編成時にマスク隊に配備した宇宙戦艦。他の戦艦と比べ角ばったフォルムを持つが、戦力能力に際立った違いがあるわけではない。青色に塗装され、真横から見た艦型は宇宙戦艦ヤマトのガミラス艦に酷似している。事実上、キャピタル・アーミィーの唯一の機動戦力でマスクの戦艦として作品前半から終盤まで活躍した。カット・シー、エルフ・プルなどの母艦。

評点
 過去作演出は白ける、もっと頭を使え。


関連レビュー
「鉄血のオルフェンズ第5 話 赤い空の向こう」

あらすじ
 クーデリアを護送するため、水先案内人オルクスと契約するオルガと鉄華団、が、オルクスはギャラルホルンと通じており、ギャラルホルンのコーラルとマクギリス、裏切ったオルクスの戦艦が鉄華団のシャトルを襲う。そこに昭宏の鉄華団の戦艦イサリビが駆けつける。

Aパート:オルクスとの契約、鉄華団宇宙へ
Bパート:コーレル死す、ロケットアンカー

コメント
 4話まではどう見ても中小企業にしか見えなかったCGSが実は宇宙戦艦を持っていたことが判明、あと、ギャラルホルンの総督コーラルとクーデリアの金の出所が同じクランクであることも判るが、それにしてもまずい顔の総督コーラルがどうしてここまでクーデリア殺害にこだわるか分からない。そもそもこれまでの話で「火星の独立運動」も「ギャラルホルン」についても何の説明もないため、この総督は名前を覚えるのも苦労なら、やっている陰謀を理解することも苦労するのである。そもそもコーラルがクーデリアを抹殺すべき個人的な動機がない。賄賂を渡そうとして拘束された堅物の監察官(マクギリス)の前で行う作戦にしてはあまりにも意味不明である。元より現実社会のそれっぽい事象を都合よく並べてオルフェが手前勝手な解釈を加えただけなのだからしょうがない。
 ロケットアンカーで急転換するシーンは40年前の宇宙戦艦ヤマトに始まり、筆者もやっているし、2199でもやっているという定番の手口だが、どうも少年兵たちは宇宙での戦いも場馴れしていて無敵のようである。三日月は宇宙でも安定の強さを発揮し、コーレルを串刺しにした上にボードウィンのモビルスーツを大破させマクギリスを撤退に追い込む。コーレルも影薄いがガンダム以外のモビルスーツも影が薄い。今の所、微に入り細に入り個性的で自分語りをしているのはオルガ約一名ということもある。そしてそのオルガは彼らをギャラルホルンに売り渡したトドの小細工などお見通しである。
 良く分からないのはトドを送り付けられたギャラルホルンのマクギリスの笑い。今の所、鉄華団以外ではただ一人の短絡的でもなければ間抜けでもない大人として出ている彼だが、いったいこのシーン、何がおかしいのだろうか。どうもこのキャラ、きちんと造形されているというよりは、主人公らの意図を脇から語る腹芸キャラという感じだが、たぶんこの世界では三日月とオルガ以外は記号でしかなく、人権も人格も個性もないのだろう。
(レビュー:小林昭人)

評点
★★★ 海外で評価? バカな外国人もいたものである。


その他のZレビュー
「機動戦士Zガンダム回顧録」 Z第5話レビュー
「パラレルユニヴァース」 Z第5話レビュー


関連リンク
An another tale of Z 第5話紹介
An another tale of Z 第5話「帰還命令」(本編)

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