MUDDY WALKERS 

スター・ウォーズ V 帝国の逆襲 
STARWARS V THE EMPIRE STRIKES BACKE

帝国の逆襲 1980年 アメリカ 125分

監督アーヴィン・カーシュナー
脚本
ローレンス・カスダン
リー・ブラケット

出演マーク・ハミル
ハリソン・フォード
キャリー・フィッシャー
ビリー・ディー・ウィリアムズ
アレック・ギネス
ジェームズ・アール・ジョーンズ(声)
フランク・オズ(声)

スト−リ−

 同盟軍が基地を置いていた氷の惑星。ハン・ソロは同盟軍と袂を分かち、ジャバ・ザ・ハットに借金を返すため旅立とうとしていた。そこへ隕石状のものが次々と落下してくる。哨戒にあたっていたルーク・スカイウォーカーは隕石の落下状況を確認しようとしているところを何者かに襲われ、連れ去られる。何とか自力で脱出したものの、猛吹雪の中を彷徨していたところを、ハン・ソロに助けられ無事基地に戻る。一時の休息もつかの間、帝国軍に基地が発見され、同盟軍は惑星を放棄して脱出することに。戦闘と脱出の混乱の中、ハン・ソロ、チューバッカ、レイア姫とC−3POはミレニアム・ファルコン号で脱出するも、ルーク、R2−D2とは離ればなれになる。ルークはオビ=ワンの言葉に従って、ジェダイの師であるヨーダに会いに行くことにするが…。

レビュー

 シリーズ第一作(エピソード4)に続いて、これも映画館で観た作品。三部作の二作目というのは非常に中途半端に終わるのが常だが、そもそも三部作という考え方自体、スター・ウォーズが最初ではなかったかと思う。ハン・ソロとルーク・レイア姫との微妙な三角関係にドキドキしたり、ルークの師との出会い、ハン・ソロとレイア姫その他2名のピンチ、またピンチの道中といい、冒頭からスリリングな展開で三部作の中だるみという印象を免れている。初見のときは、大好きなハン・ソロが冷凍になったまま!とか「実は○○は○○の○○だった!」という衝撃の事実が明らかになる!ということでとにかく驚きの連続だったが、最大のサプライズは、「えっ、これで終わり???」ということだった。今回改めてDVDで見ても、その印象はぬぐい去ることはできないが、まさに物語の途中で終わっているのは事実なのだから、仕方ないであろう。コミック誌の連載が待ちきれないような、新鮮な気持ちを味わったものだ。

 単に繋ぎの二作目というだけでなく、ルークの出生の秘密、ジェダイの哲学などスター・ウォーズの世界観を深める役割を果たしたという意味でも価値ある一作となっている。ハン・ソロとレイア姫との男女のやりとりや、ソロの友人ランドの政治的駆け引き、友だちを助けに行くというルークと、それを止めようとするヨーダとの価値観の違いなど、内的なドラマもあって、全世界に衝撃を与えた前作を引き継ぐ二作目としてはすごく成功していると思う。

 一方で、スター・ウォーズが実はただのスペースオペラではなく「宗教SF」であるという一面を色濃くにじませるのも本作である。ヨーダの語るジェダイの「フォース」とは、無の境地に達して自然界のもつエネルギーを感じて流す、という東洋思想の影響を反映したものである。その一方には「フォースの暗黒面に落ちる」ということがあるように、「善」と「悪」とがはっきりと区別されたキリスト教的思想も混在している。このようないわゆる汎神論的な考えは、ニューエイジの一つの特徴であるが、「フォース」には如実にそれが反映されているといえよう。

 実は私は、スター・ウォーズのキャラクターの中でヨーダだけはどうしても好きになれないのだが、彼の言っていることは新興宗教家が並べる御託に似て非常にインチキ臭く感じられ、「定説」とやらをふりかざしてミイラを生きていると主張した高橋某を思い出していや〜な気持ちになるのであった。またフォースの使い方も、死者と会話したり、宇宙空間をへだてた人に声が聞こえたりと、ヘタをすれば「ご都合主義」に陥りかねない危険を感じさせるものとなっている。そもそも戦闘機を持ち上げたりするほどのパワーがあるのに、どうしてライトセイバーなどというしょぼい武器で戦うのか、という疑問も湧き出てくる。と考えると、あのライトセイバーでの戦いは、日本人の目から見るとどうしようもなくヘナチョコな殺陣としか言いようがなく、盛り上がりも半ばぐらいとなるのである。そういうことからしても、あまり深く考えずにさらっと楽しむのがよいのではないかと思う。

評点 ★★★★

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