MUDDY WALKERS 

大災難P.T.A  Plains,Trains,& Automobils

大災難 1987年 アメリカ 93分

監督ジョン・ヒューズ
脚本ジョン・ヒューズ

出演
スティーブ・マーティン
ジョン・キャンディ

スト−リ−

 感謝祭を家族と過ごすため、早く家に帰りたいニール(スティーブ・マーティン)。飛行機で隣りになったのは、一番嫌いなタイプといってもいい男デル(ジョン・キャンディ)だった。まあ、ちょっとの辛抱だからと思っていたら、大雪のため着陸地が変更になってしまい、ふとしたことからニールはデルと一緒に行動する羽目になる。そこにありとあらゆる困難が降りかかり…。

レビュー

 こういう作品にレビューを書くのは難しいが、大好きなので書くことにした。随分昔、母親かだれかがレンタルしてきて一緒に見たのだが、当時の私はキャストなどにもうとかったから、途中まで、これはシリアスなドラマなんだと思い込んでいた。だからなんだろうか、とにかく映画を観てこんなに笑ったことはいまだかつてない、というほど笑った。10数年ぶりに見てもやっぱり笑えるだろうか…と思って見てみたが、うん。やっぱり同じところで笑ってしまった。こういう映画、一本はストックしておきたいものだ。

 ストーリーは典型的な「珍道中モノ」である。ニールは大手広告代理店に勤める広告マンで、日本でもそうであるように、高収入のためかその仕事内容から抱く特権階級意識からか分からないが、非常に高慢でプライドの高い男である。感謝祭を前に、ニューヨークで会議を終えたニールは自宅のあるシカゴへと家路を急ぐ。といっても空港までタクシーで行って、飛行機に乗ればいいのだ。ところが会議が長引き、フライトに間に合うかどうかの瀬戸際になる。急いでビルを飛び出すが、タクシーがつかまらず大慌て。そこで出くわす太った大荷物の男が、彼の道中につきまとってくることになる。彼の名前はデル。デリカシーのないおしゃべり男で、一人では運びきれないほどの荷物とともに旅をしている。何とか空港にたどりついたニールだが、大雪のため別の空港に着陸することに。そこでニールはデルの口車に乗せられて、彼と一緒に陸路シカゴを目指すことになる。

 スティーブ・マーティンとジョン・キャンディ、二大コメディアンの競演ということで、とにかく全くタイプの違う二人の微妙にすれ違ったやりとりが面白い。仏頂面のニールがだんだん、デルのペースに乗せられてどんな災難も笑い飛ばしてしまうほどのタフネスを身に付けていく成長ぶりが見物だ。それだけでなく、イヤな奴と決めつけていたデルの心の内を思いやれるほど、高慢さが砕かれて内面的にも成長してゆく。ただ破壊的に笑わせるのではなく、人が経験を通して成長していくさまをさりげなく描いているのが、実にいいね。そして笑わせながらもしっかりと二人の人物像が描かれており、最後にはホロリとさせられる。笑ってホロリ。おきまりのパターンだけど、いいではないか。人生、そうありたいものだ。

 昔見たときは気付かなかったが、エンドロールで流れる曲がホール&オーツの「エブリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」だった(この映画で歌っているのは別人)。これまた渋い選曲ではないか。

評点 ★★★★

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