◇MUDDY WALKERS
これまで見た映画の感想を、簡単な評価点つきで紹介しています。★3つは普通に楽しめた映画。★2つはちょっと退屈だった映画、★1つは時間の無駄、という感じです。
は行
タイトルは人間が登頂できる高さの限界を意味する。ピーター(クリス・オドネル)とアニー(ロビン・タニー)は父親に教えられながらロッククライミングをしていたが、落下事故に巻き込まれ、3人は一本のロープで宙づりになってしまう。兄妹の命を救うため、父はピーターにロープを切るように言う。父親は自分を犠牲にして2人を助けたのだ。この痛ましい事故を契機にピーターは登山をやめ、動物写真家になる。妹のアニーは登山家として成功を治めていた。
別々の道を歩んでいた二人だったが、ヒマラヤで再会する。アニーはマジェスティック航空の会長ボーン(ビル・パクストン)のK2登頂隊に加わっていたのだ。ボーンらとともにK2登頂を目指したアニーだが、天候が急変。雪崩にまきこまれてアニー、ボーン、トムの3人がクレバスに落下して閉じこめられてしまう。ベースキャンプでは助かる見込みなしと判断していたがピーターは兄を助けたいと救助隊を組織。22時間以内という時間制限のある中でレスキューに向かうが…と、ここまではなかなかいい展開だったが、クレバスを爆破するのに「ニトログリセリン」が出てきたところから、急速にバカ映画と化していった。
ニトロといえば加熱や摩擦で爆発してしまう、すさまじい爆薬である。ピーターは救助隊を2人1組で3チームにわけ、1組に1本ずつニトロを持たせる。これが、全員がひどく揺れるヘリに乗っているときは何ともなくて、ちょっと気がゆるんだところで景気づけのように爆発する。「ああ、くるな、くるな」という感じである。あまりにもバカバカしくて、不謹慎だが爆発のたびに爆笑してしまった。
映像は美しいし雪崩のシーンなどものすごい迫力だが、登場人物はだれ一人として一流の登山家に見えないし、何より、だれ一人山を愛しているように見えない。ハラハラ・ドキドキとアクションの連続で確かに手に汗にぎることはできるが、1人助けるためにたくさんの人が犠牲になるので後味が悪いのだ。現実問題として、クレバスから引き上げたあと、彼らはどうやって彼女を山から下ろしたのか。助け出すよりその方がずっと大変だと思うのだが、都合の悪いところはすっとばしてしまって、ホンマに終わってみれば「ええ加減にし〜や」と言いたくなるような映画である。
ミッキー・ロークとドン・ジョンソンというセクシー俳優2人が主演するアクションムービー。セクシー俳優というか、要するに不良ぶったおっさんである。ミッキー・ロークが演じるのが「ハーレー・ダビッドソン」、ドン・ジョンソンが演じるのが「マルボロマン」。この時点ですでにヘンなノリが入っているのがわかる。なじみの店が借金で火の車になっているのを救うため、現金輸送車を襲うが、そこに積まれていたのは実は麻薬。これをきっかけに怪しい組織が送り込む殺人グループと対決することになる…という話。イキがったおっさんのカッコつけムービーで、こういうテイストは嫌いではないんだけど、なんかおバカになりきれていないというか、微妙にペシミスティックな雰囲気があったりして、ハジけきれないもどかしさが残った。
ロビン・ウィリアムス演じる医大生アダムスが、ピエロになって患者を癒していくという実話に基づいたヒューマン・コメディ。笑いと涙のストーリーを、今の医療制度のあり方について問題を投げかけるしっかりとした土台が支える。難をいえば、ロビンのギャグが下品すぎる。それに、社会人から入学した医大生といっても現役女子大生とのロマンスもあるのだから、ロビンの実年齢を考えると、ちょっと欲張りすぎ。もう少し若い俳優のほうがよかったかも・・・。
児童文学としては異例の大ベストセラーになった「ハリーポッター」シリーズの映画化第一作。原作を読んでいない私には、ファンタジーにありがちなエピソードが淡々と並べられているだけに思えて、非常に退屈だった。映画を観ながら眠気を覚えたのは。これが初めてだ。原作では多分、そうではないのだろうけど、映画を観る限りは、ハリー・ポッターというキャラ、少しも魅力的に感じられない。生まれの良さがすべてを決める、そんな感じだ。「原作に忠実に」作ろうとして、かえってそれが足かせになってしまったように思う。
プロ野球がシーズンオフに入ったので、映画のDVDを見る時間が増えた。そこで日本の野球映画でも見てみようか、真田広之が出ていることだし、と選んだ一本。野球映画というか、思いっきり当時流行った「トレンディードラマ」のノリだった。ある意味で貴重な時代の記録であろう。2時間ドラマとして軽い気持ちで見れば、まあそれなりに楽しめるかも。
東京経済新聞の経済部記者だった霞はある日突然、スポーツ部に転属に。そこでプロ野球担当となって、野球には全く無知のまま、神宮球場に取材に連れて行かれる。そこで出会った轟仁太はヤクルトスワローズの3番打者だったが、今は代走&ベンチの野次要員となっている。デッドボールを頭部に受けた後遺症で内角球に腰がひけ、全く打てなくなってしまったのである。ギャンブル好きでツケをためこみ、借金を抱えた奥さんには逃げられてボロアパートで暮らしているという設定。
引退間近のヴェテラン選手が、女性との出会いで一発奮起というストーリー自体は野球映画の定番ともいえるもので、悪くない。真田広之演じる轟のおちゃらけぶりを初め、コミカルなノリの冒頭シーンも私は好きだ。だけど問題は、ムダにPVみたいな映像が多くて、必要なシーンがないことだ。ヤクルトは優勝争いをしているということになっているが、対戦相手はいつも横浜ベイスターズだし、だいたい、どんなペナントレースを戦っているのか描写がまったくない。轟がどれだけ素晴らしい選手だったかも、トロフィーと写真で見せるだけ。野球に魅せられたと鈴木保奈美演じる霞はいうが、見ているこっちは全然魅せられないぞ。むしろ自堕落な生活で選手生命をダメにしている轟には「渇っっ」だー! 真田さん、手品は上手いがバッティングフォームはめちゃくちゃで、そりゃトラウマがなくても打てんやろ。轟の決めゼリフは「100分の1の可能性にかけるのがプロ」だけど、うむ。3番打者は100分の1とかいわずに、3割以上の確率で出塁しないと話しにならんだろ。100分の1の可能性にかけるなんて、言葉をかえれば偶然にまかせるってこった。これじゃあ優勝チームの一軍にはおれんわな。引退を決意した出来事も、いかにも野球を知らない人が考えつきそうなネタであまりにショボい。メロドラマ系野球映画といえば、ケビン・コスナーの「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」があるが、ケビン・コスナー演じる主人公が引退を決意するプロセスと比べると、あまりにも格調が低すぎる。軽いノリでも、核となる部分はしっかり作ってもらわないと、そうそう感動はできないですよ。真田広之の演技は(バッティングフォームを除けば)すばらしく、この映画にはもったいないのであった。
ジーナ・ガーション主演のサスペンス・スリラー。主人公のライラは刑務所に勤める精神科医。夫とは離婚調停中で、2人の娘とともに暮らしていたが、ある日、裁定が下ったといって夫が娘を連れ去ってしまう。ところが、夫とその愛人が自宅で何者かに殺害される。娘は無事でライラは安堵するが、状況はライラに不利だった。捜査を担当する刑事メイシー(マイケル・ビーン)はライラの恋人だった。メイシーはライラを慰めるが、捜査が進むにつれて、彼女に疑いを持つようになる。一方のライラは、殺害方法から犯人は刑務所から出所したばかりのエド(ショーン・パトリック・フラナリー)に違いないと思い、自らの疑いを晴らすために動き出す。エドはセラピストとして対応していたライラに、二人はやがて一緒になるという妄想を抱き、ライラに迫ってくるのだ・・・というお話。対して複雑ではない話を、わざと分かりにくい展開にしているような感じでいまいち盛り上がらず。タイトルの「ボーダーライン」はいわゆる境界性人格障害のことを言っているのかもしれない。それにしても主人公ライラの生活における境界線がなんとも曖昧で、彼女自身も人格障害じゃないかと見ていてイライラさせられた。DVDのストーリー紹介に「驚愕のラストシーン」と書いてあったが、正直びっくりするようなラストではなかったかな。というか、うーん、結局誰が犯人だったのか、ぼんやりしたまま終わった感じだ。ライラに妄想を抱くショーン・パトリック・フラナリーが良かった。カワイイ感じで、もっと見たいな〜と思わせる俳優。マイケル・ビーンは刑事として捜査しながらも恋人をかばおうとする複雑な役所。こういう葛藤を抱えた人物はお手のものだね。もったいないぞ〜。
公開当時、人気絶頂のケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンが共演する恋愛映画ということで、女性を中心にかなり話題を集めた映画である。
元大統領のSS、フランク・ファーマー(ケビン・コスナー)は、人気スターのレイチェル・マロン(ホイットニー・ヒューストン)がストーカーに狙われていることから、ボディガードを頼まれる。渋々引き受けたフランクは、レイチェルの自分勝手でわがままな態度に辟易。レイチェルも何かと行動を制限しようとするフランクに腹を立てる。しかしナイトクラブでのライブで大勢の観客に暴行されそうになったところをフランクに助け出されてから、彼に惹かれるようになる。一度は彼女の求めに応じたフランクだったが、恋愛関係を持った相手を守れないと、それ以上の付き合いを拒絶して任務に徹する。フランクの態度に傷ついたレイチェルはますますわがまま放題を繰り返すが、ストーカーの魔の手はそんな彼女に忍び寄ってきて…というストーリー。サスペンス風味のラブストーリーということで、展開は読めるが、深く考えずに楽しめる映画として仕上がっている。難を言えばフランク、ストイックなボディガードと謳いながらレイチェルと簡単に寝過ぎ。レイチェルがフランクを好きになるのはエエけど、フランクの方の気持ちをもう少し隠しておいた方が、ラブストーリーとしても盛り上がったのでは? デートのあとの展開はいかにもハリウッドのお約束的で白けてしまう。そしてクライマックスのアカデミー賞授賞式までの間も、ちょっと退屈するようなところがあった。もう少し、ストーカーに狙われている恐怖がじわじわ迫ってくると良かったのだが…。
しかし、あんなふうに身を挺して自分を守ってくれる男性がいるというシチュエーションは、実にいい。ヒットした理由は、そういう女心をたくみに捉えたストーリーと、ケビンのかっこよさにあると思う。それからもちろん、ホイットニーが歌う主題歌ですね。全体的に音楽がウザい感じだったが、主題歌の使い方だけは良かった。それと、二人が黒澤明の「用心棒」を観た映画館が「アタシ」というのには笑った。ネットで「シアターと書きたかったんだろうな」という意見があって、納得した。
しかし、犯人の動機は難だったんだろう。レーガン大統領が狙撃された時SSだったフランクは非番だった。そのことが彼の心の傷として残っていると同時に、元同僚との関係のひずみにもなっているのかなあと思った。犯人はむしろ、フランクを窮地に追いやるためにやったのか?と。そういう部分のドラマの方が、今は観てみたい気がする。ちなみにレーガン大統領の狙撃犯はジョディ・フォスターのストーカーで、映画「タクシー・ドライバー」を観て犯行を思い立ったというのは有名な話。そのヘンをもっと掘り下げたら、サスペンスとして深みが出たかも?
MUDDY WALKERS◇