MUDDY WALKERS 

評価点つき映画メモ

 これまで見た映画の感想を、簡単な評価点つきで紹介しています。★3つは普通に楽しめた映画。★2つはちょっと退屈だった映画、★1つは時間の無駄、という感じです。

 た行

ターミナル The Terminal(2004) ★★★

 JFK空港に到着したビクターが、母国のクーデターでパスポートが無効になってしまい、ターミナルから出ることを禁じられる。さて、彼はどうするか? プロモーションではヒューマンドラマと謳っていたが、実はコメディ。軽いノリで見ると、まあそこそこに楽しめる。しかし、ドラマとしてはイマイチ弱い。というのも主人公のビクターのプロフィール、パーソナリティー、キャラクター、そういったものがほとんど語られないまま、終わるからである。それなりに感動させる部分もあるが、ビクターが何をしていて、今までどんなふうに生きてきたかが分からないので、薄っぺらで終わっている。そこらへん、いかにもスピルバーグというべきか。本当の主役は、壮大なセットで再現された空港ターミナルそのものかもしれない。

ターミネーター2 TARMINATER2 JUDGEMENT DAY(1991) ★★★

 低予算ながら大ヒットしたジェームス・キャメロンの出世作「ターミネーター」の続編。1よりも2の方が面白いという珍しい例とよく言われる。巨額の予算がつぎ込まれ、アクション、特撮、CGとどれをとっても一級レベルで、アクション映画としては目をみはる出来。とくに液体金属でやられてもやられても蘇るT1000はすごい。
 ストーリーは前作でサラ・コナーの殺害に失敗したのを受けて、さらにパワーアップした新型ターミネーターがサラの息子で将来反乱軍のリーダーとなるジョン・コナー少年を殺害しに来るというもの。これを阻止しようとするのが前作では悪役だったシュワルツネッガーである。ホラー色の濃かった前作から一転、ヒーローアクション物となっているのは、ハリウッド大作の常としてファミリー層を呼び込むためだろう。その戦略は成功したものの、映画としてはシュワルツネッガーが味方になった安心感から、ハラハラ度と恐怖感が半減してしまった。ジョンによってターミネーターに「人を殺してはいけない」と制限が設けられたのも苦しい。血も涙もなく殺しまくるのが魅力だったのに…。それにサラの変貌ぶりも恐すぎる。「エイリアン2」でシガニー・ウィーバー演じるリプリーのような強い女になってしまったが、リンダ・ハミルトンには全然似合わないよ。彼女の強さというのは武器を持って戦う強さではなくて、前作でカイルの閉ざされた心に触れる、そういう強さだと思うのだが、サラというキャラクターの持つエモーショナルな部分がマイナスにしか感じられず。未来の指導者ジョンの母としてジョンにどう接しているのかという部分をもう少し見たかった気がする。
 しかし一番の問題は、前作にはあったSFとしてのセンス・オブ・ワンダーな部分がないことだ。結局のところ、非常によくできたアクションヒーロー物だなあというところに評価が落ち着く。まさに、シュワルツェネッガーのための映画である。

ディパーテッド THE DEPARTED(2006) ★★★

 香港映画「インファナル・アフェア」をハリウッドでリメイク。監督はマーティン・スコセッシ。マフィアに潜入する警察官ビリー・コスティガンをレオナルド・ディカプリオが、警察に潜入するマフィアの一員コリン・サリバンをマット・デイモンが、そして警察が殲滅しようとしているマフィアのボスコステロをジャック・ニコルソンが演じる。
舞台をボストンに移し、アイルランド系移民の悲哀と、善や正義が失われ暴力の応酬が繰り広げられる社会の現実を背景に、警察とマフィア双方が送り込んだスパイの駆け引きと対決を描く。
 それが監督の狙うところだったとしても、下ネタ満載のセリフや下品なやりとりに、うんざりさせられる。マフィアのボスであるコステロのチンピラじみた下品さはどうなのか。どう見ても、大物マフィアには見えなくて困ってしまった。普通に『ロード・トゥ・パーディション』でポール・ニューマンがやったみたいな偽紳士程度で良かったのでは。ジャック・ニコルソンは狂人じみたキャラクターを怪演していたが、そもそもそんなキャラクター設定が必要なのか疑問だ。この極端な人物設定のせいで、彼に育てられたコリン・サリバンが彼を追い詰め射殺する、その心情の変化や苦悩が伝わってこなかった。このように、ジャック・ニコルソンの出しゃばりすぎのせいで、かえって語られるべき主人公二人の心情やプロットが疎かになった気がする。
 レオナルド・ディカプリオは犯罪人一家に生まれ育った唯一の善人として、裏表のある人物像を熱演しているが、マフィアに同化して悪事を働く彼の苦悩がいまいち伝わらないのは、脚本のせいだろうか。レオ様の熱演は最後まで報われず。汚辱にまみれた人物ばかりの中で、ビリーとコリンの両方に関わる精神科医マデリンは興味深い存在だった。両方の男と寝てしまったのは残念。できればどちらとも肉体関係を持たない“神の視点”を持った人物であって欲しかった。
 全体としては、2時間40分を超える長丁場を飽きさせずに見せてなかなかの出来ではあるのだが、これみよがしに見せた切断手首とか、ビリーがマデリンに手渡した黄封筒が結局どうなったのかわからないままだし、最後になって突然もう一人のネズミが現れたり、きちんと出したものをまとめきれずドタバタした幕切れになったのがなんとも残念。特にリアリティを追求しているようなのに、相も変わらず中国人マフィアの安っぽいこと。中国政府が核攻撃に使うマイクロプロセッサをマフィアから買うという設定が、劇画チックで浮いていた。
 密会場所にポルノの映画館(てか、まだそんなものがあったのね…)とか、音楽にローリング・ストーンズとか、正直「ふるっ!」と思ってしまった。スコセッシ監督の感覚は好きだけれども、この作品にはあまりマッチしていなかったかなー。
 最後のあの人は、彼もネズミだった…ていう解釈でいいんですよね? ご丁寧にもちゃんと、後ろにネズミがちょろちょろしているのを映してくれていましたし…(それも、余計なお節介)。

トップガン TOP GUN(1986) ★★★

 ご存知トム・クルーズの出世作・天才肌だが無茶ばかりするF14戦闘機のパイロット、マーヴェリックが美人の女性上官との恋愛や戦友の死を通して一人前になっていくという、単純明快な青春娯楽映画。ケニー・ロギンスの歌う主題歌「デンジャー・ゾーン」も大ヒット。カワサキのオートバイとか、フライトジャケットMA−1などこの映画から流行が生まれた。男の子はみんな着てたよなあ、白いTシャツの上にモスグリーンのMA−1。でもトム・クルーズが着ていたのはレザージャケットだ。雰囲気だけでもトムみたいになりたかったんだろうなあ。当時のことをいろいろと思い出してしまう映画である。良くも悪くも80年代の軽薄な雰囲気がただよう。監督のトニー・スコットはあのリドリー・スコットの弟である。

隣のヒットマン The Whole Nine Yards(2000) ★★★

 隣りに引っ越してきたのが伝説的な殺し屋だった、というシチュエーション・コメディ。だがそれを真に受けて真剣に人殺しをはじめてしまったので、私は正直、あんまり笑えなかった。ブルース・ウィリス演じる殺し屋は殺しを生業とするくせに十字架のネックレスをかけて、ヘンにモラリストなのがおかしいのだが、主人公の歯医者に奥さんを根取られて「許さない」と凄んでおいて、どう落とし前をつけるのかとわくわくしていたら、結局その話題はスルーで終わってがっかり。物語はハッピーエンドなのだが、見ている方は少しもハッピーな感じがせず、何ともいえないむなしさが残った。

友よ風に抱かれて Garden of Stones(1987) ★★★

 ヴェトナム戦争モノの中では異色の一品。舞台はワシントンDC、アーリントン墓地で戦死した兵士を葬るのが任務という儀杖兵たちを通してヴェトナム戦争を描く。同じフランシス・コッポラ監督の作品だが、「地獄の黙示録」とうって変わって戦場のシーンは全くナシ。やることが極端ですね。その試みはまずまず成功しているとは思うが、やっぱり、物足りない。後半で「おもちゃの兵隊」から本当の兵士になったウィローが戦場で何を体験し、どう変わったかをもっと深く描けばもっと良い作品になったと思う。こういう描き方は好きなんですけどね。見どころは、儀杖兵の制服でしょうか。それにしても邦題はダサい。原題Garden of Stonesはアーリントン墓地のことを示しているのだろうから、もう少し雰囲気のある邦題をつけて欲しいよなあ。


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