◇MUDDY WALKERS
これまで見た映画の感想を、簡単な評価点つきで紹介しています。★3つは普通に楽しめた映画。★2つはちょっと退屈だった映画、★1つは時間の無駄、という感じです。
か行
『たそがれ清兵衛』につづく山田洋次監督時代劇第二弾。原作は藤沢周平。『たそがれ清兵衛』はすごく好きだし、良くできた作品だと思うが、だからといってここまで同じようなものを作らなくてもいいのでは? と思う。主人公の性格とか境遇とか、設定にいろいろ違いはあるものの、ストーリーの流れが同じで、なんだか先が読めてしまう。下級武士の慎ましい暮らしぶりの描写も『たそがれ清兵衛』と同じような感じで、はっきり言って退屈してしまった。
メインは、主人公の片桐が、狭間という剣仲間と果たし合いをさせられる話。それに、片桐の家の女中が嫁ぎ先でいじめられ、連れ戻すという話がからむ。男と男の戦い、そして男女の心のふれあい。映画としての要素は十分だが、盛り上がるべきシーンが欠如している。なぜ、片桐と狭間が御前試合をして、3−2で片桐が勝った(が実はそれは狭間が勝ちを譲った)という、見せ場になるようなシークエンスを、セリフだけですませてしまうのか。実際に片桐が刀を使う場面が終盤まで出てこないから、終盤の「果たし合い」の場面に向けて、期待感が湧いてこない。松たか子は演技がうまいのかもしれないが、この役柄には何か足りない感じがして、こちらの方も全然盛り上がらず。なんか、がっかりだ。
それと、この片桐という男、自分の信念を貫いているつもりらしいが、半分死にかけの狭間と果たし合いをするのに、師匠のところへこっそり指南を受けにいったり、私憤を晴らすために最後にしたことといい、武士の風上にもおけない自分勝手なやつに思えて仕方がなかった。あの「隠し剣」は、そりゃ反則だろ! というわけで☆2つ。
「ターミネーター」「エイリアン2」で人気スターとなったマイケル・ビーンの初主演作。非常にマイナーな映画で、アメリカでもDVD化されていない。仕方ないだろうなあ。だって、彼が人気スターになった一番の理由はルックスだ。ところがこの映画では、特殊メイクで顔が醜くなっている。一番見たいものが隠されているというわけだ。これじゃヒットしないのも無理はない。だけど私は結構好きだ。なんだか暗くて分かりにくい物語だけれど、心中を推し量る楽しみがある。
ガーネット・モントローズ(マイケル・ビーン)はジョージナ・ランスと愛し合う仲だったが、第二次世界大戦のとき、ガダルカナル島で日本兵に襲撃され、友軍の火炎放射を浴びて大火傷を負う。そして美しかった顔はケロイドで覆われてしまった。1年後、故郷の農場に戻ったガーネットは誰とも会わずに隠遁生活を送っていた。そんな彼の元に、若い青年ポッター・ダベントリー(パトリック・デンプシー)が転がりこんでくる。ガーネットは彼を雇い、ジョージナに宛てた手紙を届けるメッセンジャーをさせるようになる。しかし次第に、ダベントリーがジョージナと寝ているのではないかという疑惑に苦しめられるようになり…というストーリー。実はダベントリーが愛しているのはジョージナではなくガーネットだったことが分かり、映画の
紹介文によると「悲劇的な結末」を迎えるのだが、えっ?これは案外、ハッピーエンドじゃないのかなあと思うラストだった。というのは、これはダベントリーという不思議な青年を通してガーネットが死んだも同然の人生から救われる物語なんだな、と感じたからだ。原題の"In a Shallow Grave"は日本語にすると「浅い墓の中」という意味で、そういうテーマに則していると思う。邦題はちょっと、映画のテーマに合っていない。ダベントリーがガーネットと踊ったダンスは文字通りラストダンスとなったが、ダベントリーはきっと幸せだったはずだ。そしてガーネットとジョージナのダンスも、哀しいものではなかった。ダベントリーが感じ、ジョージナも知っていたように、そこはガーネットは若くて美しく、幸せでいられる場所だった。そしてその場所で、彼は二人で踊っているのだから。
いい話だけれど、脚本のせいでテーマがうまく伝わってこない気がする。ガーネットの苦しみをマイケル・ビーンはよく表現していたけれども、観る者のためには、彼が美しかった頃、ジョージナとどんな風に愛し合っていたかという絵が必要だったと思う。そうすれば彼の苦悩を観る者ももっと共有することができただろう。
1987年の作品。今で言う「ストーカー」の恐怖を描いた、ある種のホラー映画である。マイケル・ダグラス演じる主人公ダン(妻子ある弁護士)は一夜限りの遊びのつもりで、仕事で知り合った女性アレックス(グレン・クローズ)とワンナイト・アフェアを楽しむ。しかしアレックスはそんなつもりはなく、ダンに執拗に関係を求め、ついには家族の命まで脅かす存在になる…。この映画の功績は、オカルト的志向に走りがちなホラーを日常生活の実に身近に起こりうる問題として再認識させたということだろうか。それだけに、特に男性なら尋常ではない恐怖を味わうことができるだろう。とにかくグレン・クローズが恐くてたまりません。何度も観たくなるような映画ではないが、一度観ておいて損はしないと思う。
アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの一作だが、これ1つで独立したストーリーとなっている。しかし一本の映画としては、イマイチという感じである。主人公シーブックの暮らすコロニーが突然、モビルスーツの襲撃を受ける。実はシーブックの母がガンダム開発者だったり、ガールフレンドのセシリーに出生の秘密があったりと、物語は「スターウォーズ」的な展開だがそれほど壮大な話ではなく、近未来SFアクションと捉えるべき内容。登場人物のキャラクターや住んでいる世界などよく構築されていると思うが、そういった映画の世界観を、主人公のセリフや行動でさりげなく示すという手法がイマイチ洗練されていないし、主役となるメカ・ガンダムF91の登場までもダラダラとして乗り切らない。ガンダムのストーリーには必ず出てくる「ニュータイプ」という設定も、この物語には必要なのか。別になくても良かったし、その方が話がすっきりして分かりやすいと思う。ハリウッド製のこの手の映画の作りに沿ってシンプルに分かりやすく作れば面白い内容だが、いちいちマニア受け要素を盛り込むために、かえって映画としてはつまらなくなっている。ガンダムシリーズゆえの不幸ともいえよう。
テレビシリーズの続編を映画でやるという発想自体、どうかと思うが、ガンダムシリーズの映画としてはバツグンの出来。何よりも「地球への隕石落下によるパニック」というSF的アイデアを、あの「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」に先駆けて取り上げた先見性は特筆に値する。「アルマゲドン」で描かれた核ミサイルを隕石に埋め込んで爆破するという作戦は、まるごとここからのパクリじゃないのか、と思う。戦争の道具として隕石を地球に落とすというアイデア自体は、ロバート・A・ハインラインの小説「月は無慈悲な夜の女王」に登場したか? ガンダム自体がハインラインの「宇宙の戦士」をベースに考案されたものだから、これもシリーズものとしてはイイ感じである。問題は、シリーズとしてのパターンを引きずっている部分。アムロとシャアの対決はいいにしても、クェスという少女を絡める必要はあったのか? クェスの存在は話をただ複雑にし、あり得ないバカバカしさを付け加えているにすぎない。13歳の少女を数日?で一流のパイロットに仕立て上げるなど、いくらなんでも無理がありすぎる。クェスとハサウェイのエピソードはいらないから、「アルマゲドン」がそうしたように、最初の隕石落としによる地上でのパニックをもっときちんと描くべきだった。そうすれば、最初のアムロとシャアとの説明口調のやりとりは必要なくなるし、映画としての緊迫感もぐっと高まる(ただし、大勢の人間がパニックに陥る描写はアニメの最も苦手とする部分だ)。だいたいアムロとシャアは「ニュータイプ」という設定をいいことに、戦闘中に会話し過ぎだと思う。いろいろ話をさせたい気持ちは分かるが、戦いながら能書きをタレられると、観ている方はどんどんテンションが下がっていくのだ。登場人物の大半が死んでしまう陰惨さは富野監督の真骨頂。実は多くの兵士たちの犠牲によって隕石の軌道が奇跡的にはずれていくのだが、こういう感動的なラストはベタでもいいから本当に涙が出るほど感動的にみせて欲しかった。
アメリカの大手運送会社フェデックスに勤めるモーレツ社員のチャック・ノーランド(トム・ハンクス)。学位を目指すケリー(ヘレン・ハント)とは結婚間近だったが、自社の貨物輸送機で太平洋上を飛行中、嵐にまきこまれ、飛行機は墜落。一人無人島へと漂着する。4年間のサバイバル生活を経て島を脱出するものの、帰国したチャックにはさらなる試練が待ち受けていた…というお話。
144分の上映時間のうち60分以上はトム・ハンクスの一人芝居。素晴らしい演技で、これはもう天晴れというしかない。無人島生活は実にリアルで、音楽もほとんどないため、本当に無人島生活をのぞき見しているような感じを受ける。
しかし、最後まで見た感想は「あの熱演の末がこれかい」と不満が残った。4年間のサバイバル生活で得た教訓が「人生とは息をしつづけること」とはなあ。リアルな無人島生活の描写のあといきなり「4年後」と出てまずがくっ。なんで4年も粘るのかと思ったら、それは恋人が結婚して子供もできてるというのに適当そうな年月ってことか〜、みたいな。1分1秒に追いまくられる序盤の生き方が漂流生活によってどう変わったか、というところに興味があったが、これで「結局恋人を失いました」というところに焦点が移ってしまった。恋人を失うなんて正直ありきたりで、わざわざ4年の無人島生活をさせなくても、と思ってしまう。救出後の主人公は、無人島から帰ってきたというより、ベトナム戦争から帰ってきたみたいな感じで鬱々とさせられる。その後、ウィルソンと会話しながら最後に届けた荷物の女性をストーカーした挙げ句大統領暗殺を企て始める「宅配ドライバー」に…という展開が頭をよぎった。なんか、トムは演技うまいね、ということの他に作り手のメッセージが伝わってこなくて残念だった。
結婚式の最中、悪の組織(毒マムシ団とか、そういう頭の悪そうな名前の)に襲撃され、命は取り留めたものの、4年間寝たきりになり、おなかの子供も失った、ザ・ブライド(ユマ・サーマン)。4年の眠りから覚めた彼女は、病院を抜け出して、殺した組織のメンバー一人ひとりに復讐していく。前後に分けられた作品の、これは前編。メインは東京にいる中国人と日本人のハーフで暴力団組長の女、オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)との対決である。
一人目のターゲットとの対決、彼女が復讐の鬼になることになったきっかけと病院からの脱出、オーレン・イシイの過去(日本のプロダクション製作によるアニメ)、そして沖縄に飛んで服部半蔵(千葉真一)と出会い日本刀をゲット、オーレン・イシイとの対決のため青葉屋へ…、というところまで、奇想天外な設定だがわかりやすいストーリーがテンポよく展開していき、とても面白かったのだが、さすがに青葉屋の「88人斬り」でだれてしまった。ユマ・サーマンとルーシー・リューの殺陣は、よく演出されていて見応えがあったが、そこまでに出てくる88人のザコとの戦いがワンパターンで長すぎる。首が吹っ飛んで、血がシャワーのようにびゅーっと飛び散るのも、何回も繰り返されて食傷気味に。正直、最後は飽きてきた。
Vol.1はトータルで113分とあまり長くない。もうすこしダレた場面を整理すれば、わざわざ2本に分けずに最後まで勢いよく観られたのではないか?
「なんで沖縄に刀鍛冶がいるんだよ!」とか「機内に刀を持ち込みかよ!」とか、ツッコミどころは満載だが、そういうことを言うのはヤボのバカ映画なのだろう。『北斗の拳』とか『機動武闘伝Gガンダム』みたいなノリで、どっちも私の好きな作品だが、『キル・ビル』は、こんな劇画調のバイオレンスを実写映画でやってしまったというところに新しさがあるのだと思う。しかしこの手のバカをやるためには、バカげた描写に納得できるような世界の設定みたいなものを見せておく必要があるのではないか。それともハリウッドでは「舞台が日本」となれば、こんなトンデモ世界も納得なのか。というワケで☆3つ。
ヨーロッパ最大の伝説「アーサー王伝説」を題材にした歴史スペクタクル。伝説化されたアーサー王の歴史的な実像に迫るというふれこみだったらしいが、そういう前宣伝は全然知らず、単にヒマだから、アーサー王の話しだったら面白そうじゃない?ぐらいの軽いノリで出かけた。それが間違いだった。映画は、私たちが軽いノリで出かけた以上に、軽薄だった。
私はアーサー王伝説というのがどんなものか良くしらないので、「話が全然違うじゃないか」というふうには思わなかったが、それ以前に、映画としてちっとも面白くなかった。問題はたくさんある。まず序盤から。アーサーを含め7人の騎士が登場するのだが、誰が誰なのか、さっぱりわからない。「誰がアーサーなの?」「さー?」なんて、途中で母と言っていたくらいである。そのためにやたらと難解な話に感じてしまう。そこから、アーサーと騎士たちに最後の任務が言い渡され、サクソンに侵略されそうになっている土地からローマ人たちを救出するところまでは、まだいい。そこで、蛮族ウォードの女グィネヴィアを助けだしたところから、物語は急速に軽薄化していく。地下牢に閉じこめられて拷問されていたというのに、このお姫様は元気いっぱい、やる気マンマンである。なんだー、要するに、キーラ・ナイトレイのアクション物?みたいな。そしてアーサーの騎士たちも、騎士というよりは酒好き、女好きのやさぐれ者。まるっきりマンガである。百戦錬磨、今まで負けたことがない強者というが、アーサーとは対立してばかりで、一体どうやって信頼関係を築いたのか、そこのところがわからないから、終盤、彼らが自由を捨ててアーサーとともに戦うことを選んだところでも、ちっとも感動できなかった。
映画冒頭では少年のランスロットがローマ兵に迎えられ、15年の兵役のために旅立つシーンがある。女の子から、何かお守りのようなものを貰うので「これは何か、あとで重要な役目をはたすな」と心構えて見ているが、結局何の伏線もなく終わってしまう。また、トリスタンはいつも鷹を連れているから、この鷹が何か終盤で重要な働きをするのだろうか、と思うが、要するに、ただ連れているだけである。また、ランスロットがグィネビアの水浴をのぞき見したりと、三角関係のにおいがただようのだが、結局これも対して盛り上がるわけでもなく終わる。そういう、伏線かと思わせて別に何にもない、ということが多すぎる。振り返ってみれば、アホみたいに単純な話だったなあ・・・で終わってしまった。これがヨーロッパ最大の伝説とは、あまりにも情けない。
アーサーの敵のサクソン人も、終始バカみたいで、彼らなりの文化、流儀、生き方というものが感じられなかった。これじゃ、イギリス人は怒るゾ。
アーサー王というのが実はローマ人だったということを知れたことが、この映画の唯一の収穫であった。
日本では劇場公開されなかったマイナーな作品。大女優サリー・ロス(ローレン・バコール)の大ファン、ダグラス・ブーリン(マイケル・ビーン)は熱心にファンレターを送り続けるが、秘書からのつれない返事に憤りを感じ、サリーと自分の愛を秘書が妨害していると妄想をふくらませ、ついに殺意を抱くようになる…というストーリー。そこに、サリーと別れた夫ジェイク(ジェームズ・ガーナー)とのメロドラマが絡む。気弱そうな青年が妄想に取り憑かれて暴走していく様がすさまじく、主演のローレン・バコールよりマイケル・ビーンに目を奪われてしまう。バコールは「こら、もうすこし真面目にやれ!」と言いたくなるような感じ。だんだん不気味になっていくファンレターに全然目を通そうとしないものだから、サスペンスがなかなか盛り上がらない。とってつけたような元夫とのメロドラマはいらんから、もっと華やかで虚飾に満ちた大女優の生活ぶりと、手紙で恐怖に震え上がる様子を徹底的に描いてほしかった。
MUDDY WALKERS◇