MUDDY WALKERS 

評価点つき映画メモ

 これまで見た映画の感想を、簡単な評価点つきで紹介しています。★3つは普通に楽しめた映画。★2つはちょっと退屈だった映画、★1つは時間の無駄、という感じです。

 あ行

アート・オブ・ウォー THE ART OF WAR(2000) ★★

 ストーリーを簡単にまとめてみようと思っても、うまくまとめられない。要するに、よく分からないのだ。アクション映画としては、これは致命的。途中、何度も眠ってしまいそうになった。
 主人公のショー(ウエイズリー・スナイプス)はブライ(マイケル・ビーン)やノヴァクとともに活動する、国連の秘密工作員。もちろんこの活動は非合法である。そして彼らが孫子の兵法を意味する「アート・オブ・ウォー」の実践者なのだ。アクション映画としては、これだけで十分お話になると思う。わずか数名のチームが、ハイテク機器と狙撃、格闘術を駆使して、強大な組織や国家を内部から寝返らせてゆく。面白いではないか。ところがストーリーのメインは、何者かにはめられてチャイニーズ・マフィアにつけ狙われるようになったショーが中国人通訳者のジュリア(マリエ・マチコ)を連れて逃げ回るというものだ。
 問題は、ここまでの流れが観ていてよく分からないことと、それなのに裏切ったのが誰か簡単に気付いてしまうことである。ショーは裏切られたかもしれないが、観客は裏切られていないのである。いっそのこと観客に裏切り者を隠しておくより、裏切り者になるキャラクターに愛着を持たせて、ショーと裏切られたショックを共感させた方が良かったのではないか。
 そうすれば、ラストの「男同士の対決」も生きてくる。そのためには、チャイニーズ・マフィアとかFBIとかは要らないから、ショーとブライとの関係、チームワーク、その腕前に対する誇り、秘密工作員としての人生の悲哀などを描くべきだった。でないと、なぜそういう対決をしたがるのかが、さっぱり分からない。「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」でマルボロマンが、なかなか引き金を引くことができないハーレーダビッドソンに「引き金は握るんじゃない、絞るんだ」と言う場面があって心に残っているのだが、ショーとブライとの間に、そういうカッコいいやりとりが欲しい。必要なカットが撮りきれず、スローモーションや回想で時間をもたせたような映画だ。ノヴァクが惨殺されるシーンなど、観ていて不快なだけ。ウエズリー・スナイプスとヒロインのマリエ・マチコも恐ろしく似合っていないから、ラストシーンは「なんでそーなるの」という感じ。久しぶりにマイケル・ビーンが観られたのが唯一良かったところか。いい雰囲気を出していたと思うので、もっと存在を生かして欲しかった。

アバウト・ア・ボーイ About a Boy(2002) ★★

 不労所得でぜいたくな一人暮らしを楽しむウィルは、飽きた頃に後腐れなく別れられた女性がシングルマザーだったことから「これはいける」と、シングルマザーの会に一児の父を偽って入り込み、スーザンと仲良くなる。ところがひょんなことから彼女の友人の息子マーカスと知り合い、家に押しかけてくるように。自殺癖のある母親、学校ではいじめられっ子と悲惨な状況にあるマーカスを最初は突き放すが、二人はやがて奇妙な友情?で結ばれるようになっていく…というお話。ウィルとマーカス、二人の視点から語られていくスタイルがユニーク。自己中で中身カラッポのダメ男をヒュー・グラントが好演していて、マーカスとの絡みで他人と関わる喜びを知っていく過程がなかなかいい。鬱のお母さんを演じたトニ・コレットも上手いね。しかしコメディかと思ったら意外にシリアスな話で、それにしては人物描写が物足りない気が。主人公のウィルはどうして38歳まで一度も働いたことがないのか、ただエエ加減なだけとしか思えないが、本当はそれだけじゃない気がするし、本気で惚れた女性に言われて自分でも認めざるを得なかった「空っぽ」(な自分の人生)という部分が結局変わっていないので、ラストも生ぬるく感じてしまった。淡々とした語り口の映画なので、あまり期待しないで見る方が感動が大きいかも。冒頭、テレビが映るシーンがあるが、みのもんたの「クイズ・ミリオネア」の元ネタの番組をやっている。あれってイギリスの番組だったんだね〜。あと、ファションやインテリアもおしゃれ。

アビス 完全版 ABYSS(1989) ★★

 171分という大作である。劇場公開時は長すぎるという理由で後半がカットされてしまい、わけの分からない話になったという。そこで「完全版」を観ることにした。
 海洋好きのジェームズ・キャメロンの趣味が炸裂したような作品である。米ソ冷戦時代。アメリカの原子力潜水艦が海中で何者かの攻撃を受け、海底に沈んでしまう。嵐が近づいていたため、たまたま近くの海底油田の掘削作業をしていた石油掘削基地の男たちが、救助作業に協力させられることになる。リーダーはバッド・ブリッグマン(エド・ハリス)。設計技師の妻リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)も乗り込んでくる。二人は離婚寸前の冷え切った仲である。そして彼らを指揮するため、米海軍から特殊部隊SEALsもまた海底掘削基地「ディープ・コア」にやって来る。隊長はコフィ大尉(マイケル・ビーン)。彼はこの攻撃はソ連によるものと思い込み、沈んだ原潜から核弾頭を回収。これを使って証拠隠滅のため原潜を爆破しようと企む。彼は深海の圧力障害で手が震え出し、徐々に頭がおかしくなっていくのだ。物語は前半から中盤がコフィ大尉対石油掘削士、後半は離婚寸前の夫婦が愛を取り戻していく様子と海溝に沈んだ核弾頭の信管を切るミッション、そして深海に潜むナゾの宇宙人との邂逅というふうに展開していく。
 巨額の制作費をかけたというだけあって、映像はすごい。俳優もほとんどが実際に潜水し、水中での撮影が行われた。その映画づくりにかける労力と創意工夫には感服させられる。しかし、残念ながら娯楽として楽しむためにあまり役だっていないように思われる。正直、潜水シーンは最初は目新しく感じたものの、すぐに飽きてしまった。潜水服のせいで顔の見分けがつかないからである。また、一つ一つのシーンが長いというか歯切れが悪いというか、どうも漫然としていてテンポが悪い。凝った映像を少しでも長く見せたかったのかもしれないが、緊張感に欠け、間延びした印象になってしまった。海底の「ディープ・コア」は12時間で酸素切れになってしまうというのに、少々のんびりしすぎではないか。おまけに海上に戻る方策もないのに、クルーたちがあまりパニックに陥っているような気配も感じられなかった。
 正直、誰が敵で誰が味方か最初からはっきりしているし、密室パニック物としては非常に分かりやすい話である。それがサクサク進まないものだから、途中からどうでも良くなってしまい、楽しみはコフィ大尉がいかにして狂っていくかということぐらいになってしまった。(マイケル・ビーンのキレっぷりがいいね)
 それにしても、あの宇宙人はいかがなものか。バッドとリンジーの夫婦愛は感涙ものだが、宇宙人が登場した時点で思いっきりB級に成り下がってしまった。あんなふうにはっきり見せずに「何かいるっぽい」ぐらいでナゾのまま終わらせてた方が良かったのに…。宇宙人に思いっきりストレートに反戦・反核のメッセージを語らせていたが、そんなのはコフィ大尉の狂いっぷりと、バッドとリンジーの夫婦愛で十分に表現されていたと思う。ああいう直球のメッセージは俳優の熱演を無益なものにしてしまう。本当に惜しい作品である。

アルマゲドン ARMAGEDON(1998) 

 映画には、内容のレベルに見合ったタイトルをつけるべきだ。この場合「ハリーと愉快な仲間たちのびっくり☆ハルマゲドン!!!」くらいが適当だ。石油掘削業の男をシャトルに乗せて小惑星を破壊するという発想は面白いが、少年ジャンプあたりで取り扱うべきアイデアだ。隕石が落下するニューヨークの映像のリアルさと比べてリアリティがなさすぎる。リブ・タイラーが仲間がどこにいるか一人ひとり説明するところにその人物がオーバーラップする場面など、震えがくるほどダサイ。宇宙飛行士の訓練や宇宙に出てからのトラブルもやたらと大金をつぎこんだセットでやるコントみたいで呆れてしまう。「何も考えずに楽しめばいい」という人がいるが、とんでもない。あまりにも多い登場人物とこまぎれのエピソードの連続だから、集中力をふりしぼって観ていないと話についていけない。これを「何も考えず」観て楽しめる人というのは、桁違いに頭がいいのだろう。私にはムリだった。しかし、離婚した妻と子どもに会いにいくウィル・パットンはよかった。たったそれだけで迂闊にも泣きそうになってしまった。ちょっと悔しい。

海猿 (2004) ★★

 50日間の厳しい訓練の末に、海上保安庁で海難救助にあたる潜水士を目指す若者たちの姿を描く青春ドラマ。主人公の仙崎大輔を演じる伊藤英明は、なかなかの当たり役ではないかと思う。熱血の主人公と冷徹な同僚とのライバル関係とか、バディの死からくるトラウマを乗り越えて一人前になるとか、いかにも類型的なストーリー展開。類型的であることは悪くはないが、盛り上がるべきところで少しもハラハラドキドキしない生ぬるさはいただけない。海上保安官の任務とか、海難救助の現場とか、その辺りの描写がないので、単なる部活の特訓のように感じてしまう。訓練生たちがやたらとお尻を出すのも、何だかなあ。バスの中でのキスシーンも意味不明。しかしこの手のストーリーは結構好きなので、TVドラマも見たくなってしまった。

オールド・ルーキー The Rookie(2002) ★★★

 35歳妻子ありの高校教師ジム・モリスが、メジャーリーガーになるまでを描いた実話ベースのストーリー。ディズニー映画らしく、生徒との心の交流、家族愛、そして男の夢を実現するまでの葛藤と、手堅くまとめられていて安心して見られる一本である。最後にはほろりとさせられるのもいいところだ。
 しかし、どうもいまいち私的には盛り上がりに欠ける淡々とした話とうつった。ジム・モリスという人のキャラがつかみどころのないままに終わっているのだ。実話ということで、ジム・モリスと周辺の人々との関わりに重点が置かれている反面、野球についての描写は表面的。現役時代130キロ代の球しか投げられなかったジムが、肩を手術したあと投げていないのに、どうして156キロの速球を投げられるようになったのだろうか。野球における夢の本質は、だれよりも速い球を投げるというその点にあるのだから、ここをもう少し描いてほしかったかな(むしろ野球のファンタジーは、150キロでバカスカ打たれる投手がいる一方、130キロ代でくるくると三振させる投手がいることだ)。彼が監督しているダメダメな高校野球部が急に強くなるのも、単に「夢」を持てばそれで上手くいくという精神論でおわっていて正直ありきたりな感じがする。ここでしっかりとした野球理論を語ったりなんかしたら、ジムの野球に賭ける消えない情熱が表現できたと思うのだが。しかし逆にいうと、野球のことにあまり興味のない人には、入りやすくて感動的な野球映画かもしれない。
 また実話だから仕方がないが、入団テストを受けるチームがデビルレイズだったり(タンパベイ・デビルレイズは野茂英雄が所属する(2005現在)チームだが、1998年にできたばかり。日本で言えば楽天イーグルスみたいなポジションにいる)、最初の登板が敗戦処理だったりとものすごく現実的。その辺りの事情が見てしまったので、感動も半減だ。そもそもこれは1999年にあったばかりの話なのだから「伝説」として扱うには、ちょっと話が新しすぎなのではないか。
 メジャーの試合のシーンはサム・ライミ監督の「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」に比べると格段に落ちる。観客席からフィールドを見下ろすシーンはあまりにも高い所から撮りすぎで現実味が感じられなかったし、スタジアムが映る場面では観客席が満員なのに、マウンドに立つジム・モリスのバックに映りこむ席がガラガラ。このヘンの詰めの甘さも気になった。
 ちなみにタンパベイ・デビルレイズの3A、ダラム・ブルズは「さよならゲーム」というケヴィン・コスナー主演の野球映画で取り上げられている。マイナー暮らしの悲喜こもごもはこちらの方が面白く見られるかな。

男たちの大和 YAMATO (2005) ★★★

 この映画を観る前、ストーリーの紹介を読んでピンときたのは、要するにこれは日本版「タイタニック」だなということだった。巨大な船が、なすすべもな く沈んでゆく。そのことに気づいてしまうと、映画史上に残る「タイタニック」を超えられるとはとても思えず、「どんなもんか、まあ観てやろう」ぐらいの 気持ちで映画館に出かけたのだった。
 映画は、大和の沈む海に向かう船の上での老人の回想という形でストーリーが展開される。これもまた、完全に「タイタニック」のパクリである。映画としての工夫や新鮮味が感じられないのは残念だが、しかしこの物語には現代との接点が必要で、このように始められなければならなかったと思う。それはいいのだが、必要以上にだらだらと長すぎて、大和が登場するまでに飽きてくる。旅先で事件が起こる火曜サスペンス劇場風の現代パートからやっと本筋に入ったかと思うと「その時歴史が動いた」式のナレーションで時代背景や当時の戦況が説明され、あまりに統一感のない作りに翻弄されて、なかなかその世界に入っていけず。ヘタをすると最後まで傍観者で終わってしまう。
 ここ20年来日本では戦争映画はあまり作られず、あっても「火垂るの墓」や「戦場のメリークリスマス」など、視線を戦場からずらしたものばかり。前者は戦災映画、後者は変態映画。それぞれの映画に価値はあるが、激烈ともいえる時代を歩みながら、まだ語るべき物語が十分に語られていないのではないかという気がする。多くの戦場の、兵士たちの物語が語られないままに埋もれている。その意味で、一兵卒の目から戦艦大和の最期を描いたこの作品を作ったこと自体は評価したいのだが、あまりにもいろんなドラマを詰め込みすぎて、肝心の大和そのものの悲劇性を描ききれなかった気がする。
 思えば大和の最期はまさに「滅びの美学」で、映画としてはタイタニック的でありながら、実は「ラスト・サムライ」と同じ構図を持っている。近代装備の官軍に騎馬で突撃していくサムライこそ、航空戦という戦術的革命の前に無用の長物となった大和なのだ。「ラスト・サムライ」では勝元の最期を目の当たりにして土下座する兵隊の姿が挿入されて、泣ける場面で爆笑してしまったが、そうでもしないと日本人以外に、あの突撃は日本人にとって非常に価値のあるものだと分からせることが出来なかったのであろう。滅び行く者に対する畏敬の念は、土下座ではなく語り継ぐことによって表されるものである。誰か、ジェームズ・キャメロンの映画「タイタニック」は20世紀という時代そのものを沈めたと言った人があったが、大和によって沈められたのは戦場における戦いの美学ではなかったかと思う。そんな視点から、女たちのメソメソしたドラマは削ってもっと骨太な戦争ドラマに徹して欲しかった。

踊る大捜査線THE MOVIE (1998) ★★★

 テレビシリーズを見ていないと楽しめないという人もいるが、私はとても面白く、2回も見てしまった。そのあとレンタルビデオでドラマも全部見てしまった。遺体の胃袋からクマのぬいぐるみが出てくるという猟奇殺人は、次に起こる誘拐事件の間忘れ去られているが、意外なところで役に立つ・・・要するにこれはサスペンスではなくて、学園ドラマのノリで作った刑事物。ドラマでしっかりとキャラが創り上げられているので、無難に楽しめた。

踊る大捜査線THE MOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ (2003) ★★★

 学園ノリは2作目も健在。猟奇殺人から親子スリまでいろんな犯罪が同時多発的に起こるが、メインとなるのは今回もやっぱりキャリア組とノンキャリアとの確執だ。前作では凶暴化するひきこもり少年、今回はリストラ中年の悲哀と時代の潮流をうまくとらえているものの、それをメインに据えないところがこのシリーズ。ちょっともったいないような気もするが、イベントムービーとしては十分か。

オルランド ORLANDO(1992) ★★★

 20世紀を代表する女流作家、ヴァージニア・ウルフの原作を映画化。ヴィクトリア朝時代。貴公子オルランドはヴィクトリア女王から「決して老いてはならない」と命じられて、本当に不老不死の体になってしまう。それから400年にわたって生き続け、途中で男から女へと変貌してしまうという不思議な人生を描いた、物語絵巻のような映画。400年にわたるオルランドの生が淡々とつづられているという感じで、一番の盛り上がりというと、一夜にして男から女に変わってしまうところだろうか。とにかく不思議な雰囲気をもっていて、こういう世界が好きな人にはたまらないのではないだろうか。衣裳がすばらしく、ヴィクトリア王朝時代から現代までにわたる男女のファッションの変遷を見ているだけでもそれなりに楽しめる。惜しいのは、オルランド役のティルダ・スウィントン。うーん、私には最初から女に見えたな〜。オルランドが女性になったあと恋に落ちた男性はどっかで見た顔だと思ったら、「タイタニック」に出てきたイヤミな婚約者役の人だった。

俺たちは天使じゃない  WE'RE NO ANGELS(1989) ★★★

 ネッド(ロバート・デ・ニーロ)とジム(ショーン・ペン)はボビー(ジェームズ・ルッソ)の巻き添えになって脱獄することになる。カナダとの国境間近まで来た彼らは、橋をわたってカナダへ逃亡しようとするが追いつめられ、ひょんなことから修道院の神父になりすますことに。そのまま国境を越えようとするが、修道院で、訪問を待っていた2人の神父と間違えられ、大歓迎を受ける。そしてそのままそこで居候する羽目に…。
  ハラハラする場面があって面白かったし、最後は感動もするのだが、コメディというほどには笑う場面が少なかった。脱獄囚が修道院に迷い込んで…というアイデアは面白いが、キリスト教になじみのない日本人にはよく分からないギャグとかもありそうだし、何より、主演のロバート・デ・ニーロが少々重すぎる感じがした。見終わった後で、滝から落っこちるシーンは『ミッション』のパロディだったのか?と思ったが…。いつの間にか修道院生活になじんでしまうショーン・ペンは良かったし、最後の“説教”には感動してしまったが、どうしてそうなったのか、もう少し何か説得力のあるエピソードが欲しい気がした。


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