MUDDY WALKERS 

ローレライ 

ローレライ 2005年 日本 128分

監督樋口真嗣
脚本鈴木智
原作福井晴敏「終戦のローレライ」

出演
役所広司/妻夫木聡/柳葉敏郎
香椎由宇/石黒賢/小野武彦 ほか

スト−リ−

 第二次世界大戦末期、原爆を投下された日本。朝倉大佐は絹見少佐を、日本軍が敗戦したナチス・ドイツから極秘裏に入手し潜水艦の艦長に任命する。その潜水艦は特殊装置「ローレライ」を搭載し、米軍から「魔女」と恐れられていた。絹見艦長以下隊員たちは、出航後その新兵器の正体が美少女の超能力であることを 知る。朝倉大佐は、この潜水艦を使って東京に三発目の原爆を投下させるという恐るべき陰謀を抱いていた。これに反発する絹見は、三発目の原爆投下阻止のために動き出す…。

レビュー

 舞台は第二次世界大戦時の日本だが、戦争映画というよりもSFファンタジーといった作風である。三発目の原爆投下を阻止 せよ、という極秘任務は架空戦記としては見られるが、潜水艦に監禁した美少女の超能力による策敵システム、というトンデモ設定はさすがにいただけない。さらに、この潜水艦を米軍に拿捕させ、見返りに東京に原爆を落としてもらおうという朝倉の野望も、なんだか歪みすぎてワケがわからない。
 そのせいか、名優・役所広司もなんだか腑の抜けたような演技に終始。登場人物のだれ一人として、とても戦時中の追いつめられた日本兵には見えない。潜水艦内で反乱を起こす兵曹長(ピエール瀧)の反抗の理由が「ガダルカナル島で見捨てられた恨み」だったり(え、それって陸軍の話でしょ!)、B29を潜水艦の主砲で撃ち落としたり、「それはないだろう」というようなツッコミどころが満載で、しかもここに、美少女兵器(香椎由宇)のパウラと世話係にされた折笠 (妻夫木聡)のエピソードなどが絡んで、どうしようもなくグダグタな展開となっている。
 そもそもこの原作を選んで映画化するセンスもどうかと思うが、特攻、敗戦、原爆投下という重い歴史を扱うにはあまりに軽すぎる内容に、呆然とするばかりである。

評点 

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