
VIDEO/字幕 落ちぶれたプロ野球選手が従姉妹の死をきっかけに情熱を取り戻す、青春回顧型野球映画。 |
ケイティーのおかげで 僕は野球に返り咲いた。だれにでも、一生忘れられない人がいる。>ケイティーがそうだ。---Billy Wyatt
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| プレイヤー |
ビリー・ワイアット Billy Wyatt 38歳 |
| 所属球団 |
SPIRIT (1A カロライナ・リーグ?) |
| 背番号 |
9 |
| ポジション |
代打 |
| 打順 |
? |
野球に限らずスポーツというと「青春」という言葉が連想されるものだが、野球映画は意外に青春モノが少ない。むしろ「中年モノ」が多い気がする。『メジャーリーグ』のジェイクも中年だし、『ナチュラル』『さよならゲーム』『フィールド・オブ・ドリームス』『オールド・ルーキー』も主人公はみんな30男。30を過ぎても青春していると言えなくもないが、青春というにはもう少し重い人生観みたいなものがにじみ出ていて、渋い味があったりする。日本で野球、青春とくれば何と言っても「甲子園」だが、アメリカではそういうメジャーな大会はないようで、高校生あたりが野球に取り組む姿勢も大いに違うのではないかと思われる。そんな中で「青春モノ」と言えるのが、『君がいた夏』だ。もう恥ずかしいぐらい青春していて、すがすがしくなるのだが、野球の道と青春とがややずれているあたりが、野球映画としては微妙なところだ。でも、オープニングはスタジャンを着て球場へ向かう主人公のショットから始まる。原題もずばり"Stealing
Home"、訳せば「本盗」で、やっぱり野球映画であることに間違いないだろう。
舞台はアメリカ東部、街の名前は分からないが、フィラデルフィア近郊かと思われる。なぜなら主人公のビリー・ワイアットは幼少時代からのフィラデルフィア・フィリーズのファンなのだ。まだ50年代か60年代あたりだろう。父親とラジオで野球実況を楽しむシーンが実に微笑ましい。対戦相手はシカゴ・カブス。試合が始まったとたんに、一番バッターにホームランを打たれ、「なーに、まだ試合は始まったばかりだ」と父親が励ましたとたん、二番バッターにもホームラン。ばったりと倒れ込む父子。
住んでいる家も、典型的な東部の家という感じ。多分、割と裕福な家なんだろう。私はアメリカに住んだことはないが、両親が仕事の都合で1年半ほど、ボストン近郊のプロヴィデンスという街に住んだことがある。2度ほど遊びに行ったが、家の感じがとてもよく似ていた。その家は向こうでは普通だが日本では「豪邸」といってもおかしくない広さで、図書室(卓球台が置いてあった)や広々とした地下室(ホームバーつき)があった。正直、家ごと持って帰りたいほどだった。ちょうどその家と感じが似ていて、その家をとても懐かしく思い出した。
映画は、38歳で球界に復帰したビリーの足取りをたどるところから始まる。半年前まで、野球の道で挫折して、ウェイトレスと同棲しながら失意の日々を送っていたビリー。典型的な「ダメ男」である。そんな彼のもとに、母親から知らせが入る。従姉のケイティーが自殺したというのだ。しかも、遺灰をどうするかは、ケイティーの遺言でビリーに任せると。戸惑いながらも、家路につくビリー。その道中でケイティーとの想い出を回想するというのが、映画の流れである。
フィリーズのファンだったビリーは自然な流れで野球を始め、高校でも野球部に所属している。しかし、日本の高校生とは思いっきり趣がちがって野球一筋というわけではなく、休日には親友とゴルフに興じたり、別荘でくつろいだりしている。そんなわけで野球のシーンはあまり出てこないが、重要なエピソードの一つである。試合で本盗を決めたビリーのプレイを見て、メジャーリーグにスカウトされるのだ。
しかしキャンプに出発する直前、父親が交通事故で亡くなり、何もかもががらがらと崩れていく。悲しみに沈むビリーを連れ出し、自分の方法で慰めたのがケイティー。その夏をケイティーと二人、別荘で過ごしたのが最後となった。子供の頃、彼女がビリーにあげたボールのモチーフのペンダントを取り返し、また野球をしてね、というのが、ケイティーのビリーに残した最後の言葉になった。
そのどちらも放置したままになっていたビリーだが、ケイティーの遺灰をどうするかを考えるうちにそのことを思い出し、その二つを実行することに。中年男が親友を呼びだして、挫折した青春の続きを演じるさまがじーんとくる。「塁に出て、本塁に帰ってくる」という野球と、元の自分に還るというビリーのドラマがリンクして、ラストのしょぼーい試合のシーンでも、やけに感動してしまうのだった。
ちなみにビリーが所属しているのは多分架空の球団だが、雰囲気からしても恐らくマイナーの1A、対戦相手はユニフォームのロゴを見ると「インディアンス」となっているから、カロライナ・リーグかな。最初にこの映画を観たときは、そういうアメリカの野球事情を全然知らなかったから、「これがプロかよ」と少々拍子抜けしたのであった。
(2005.12.07)
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