小林昭人作
機動戦士広東麺ガンダム 第5話
<総集編>

目次に戻る



プロローグ C・E74年

 プラント最高評議会議長・ギルバート・デュランダルが提唱した「デスティニー・プラン」の導入実行が引き起こした、ザフトとクライン派・オーブ首長連合国の戦いは、デュランダルの戦死と宇宙要塞メサイアの陥落により、クライン派・オーブ連合軍の勝利に終わった。

 デスティニー・プランは中止されプラントの政治経済は強力なリーダーを失ったことで停止状態となってしまった。プラントは拠出国の一つであり、戦後は世界のリーダーとなったオーブ首長連合国の管理下に置かれ、その軍事力は解体され、高度なMS設計技術も失われた。

 やがて世界はオーブ首長連合国初代主席、カガリ・ユラ・アスハが頂点に立つ「宇宙統一連合」となり、世界は平和になったかに見えた。

 しかし、強大な一国の主導によりもたらされた平和は、いつしか各地で貧富の差を生み出し、世界各地でレジスタンスが起こるようになってしまった。統一連合を構成する各国は武力でレジスタンスを抑えようとしたが、レジスタンスの数は一向に減らず、カガリはクライン派の象徴であるラクス・クラインを総帥とする独立部隊「ワルキューレ」を設立。ワルキューレは投降したザフトの技術者が生み出すMS、MAで多くのレジスタンスを鎮圧するが、民衆の嘆きと苦しみは収まらず、新たなレジスタンスが増え続ける結果となった。

 そして統一から2年後、圧制と貧しさに苦しむ民衆に支持されたレジスタンスと、カガリ、ラクスら率いる統一連合・ワルキューレ混成軍の争いとなり、世界は再び、戦いと混迷の時代を迎えようとしていた。




第5話総集編 「かりそめの平和」
(筆者・今回はギャグ抜きです)

<Aパート>


オーブ首都オロフォト
ラクス宮殿



 宮殿のお花畑で男女が手を取り合ってステップを踏んでいる。男子禁制のラクス宮殿、そこに入れる男子はこの地上でただ一人しかいない。

ラクス 「キラ、、」

 チュッチュッ (口づけの音)

キラ 「ラクス、君はこの地上のどんな花よりも美しい。」

 チュッ

ラクス 「キラ、あなたこそ、この地上のどんな方よりも雄々しく、強いお方、、最高の頭脳を持っていらっしゃって、、あなたこそ最高のコーディネーター、、人々に平和をもたらす、現世の守護神、、ああ、、キラ、、私の、、」

 その後、歯が溶けるような言葉のやり取りが二、三。

キラ 「僕は君を守る。」

 ひしっ (抱きしめる音)

ラクス 「おお、、キラ、、」

 ランラランララン(BGM)



治安警察本部



 宮殿の様子を眺めつつ、きつねそばをすする治安警察庁長官ライヒと次官ダゴスタ。

 ジーッ、ジッ (カメラの音)

 ズルズル、ズズッ (そばをすする音)

ライヒ 「と、いうような、お花畑の楽園のような環境が全人類に提供されたなら、きっと戦争や反乱など無くなる? 私は信じないがね。他者より先へ、他者より上へ、他者より強く。秩序とは戦い勝ち取るものであって、与えられるものではない。原始時代は今よりも争いが少なく協調的な時代であっただと? じゃあ、なぜ頭に矢尻の刺さった頭蓋骨などが出土するのかね? 事実は全くの逆だった。ズルッ、、」

ダゴスタ 「しかし趣味悪いですね、監視カメラですか、、ズル。」

ライヒ 「あの建物は元々ロゴスの所有だったのでな。仕事疲れの目の保養だ。しかしダゴスタ君、君のような聡明な人間が『クラス』制度に反対だとは驚いたね。もう2年も前からやっているんだ、議論の余地などない、ズル、、ウム、色々試したがやはりきつねそばは来々軒がいちばんだな。まあ、きつねそばごとき、私は別にこだわっていないが。あと夜食は「緑のたぬき」と決めているがね。」

ダゴスタ 「ま、役場の近くにしては悪くないですね。私は夜食はカップヌードルの方が、、それはそうとして、あれの導入以降、反乱とか暴動とかがやたら増えたような気がするんですよ、特にユーラシア東部、先も討伐事件があったでしょう?」

ライヒ 「その件は私にも関係がある、まずはこれ(1000の富と20人の民)を読みたまえ。補足資料としてこれ(小麦を食べる者)もあるな。あと、七味唐辛子は八幡屋磯五郎が治安警察庁のデファクト・スタンダードだ。間違えてもヱスビーなどかけないでくれたまえ。」

ダゴスタ 「こだわっていないようで、意外とこだわってますね。」



上海
梁山泊のアジト



劉備 「さて、これから、この世界の真実について、長く語ろう、、、」
(筆者・本当に長いのでギャグを期待しないように)

 逃亡した劉備が上海で落ち合った同志らの前で話し始めた。同志の中には陳孔明の姿もある。

劉備 「既に知っての通り、およそ10年前、北京はユーラシア一の大都だった。世界中の富が都に集まり、金融経済、科学技術、芸術や学問、果ては流行に至るまで、全てがユーラシアのみならず世界の中心とさえいえるほどのものであった。しかし当時でもザフトや大西洋連合との関係の険悪化などがあり、繁栄に水を差す不穏要因は無いわけでもなかった。産業投資を重視したため所得配分が不均等で偏りが大きかったとか、投機が加熱していたという傾向があったが、軍備増強のための課税、技術開発が軍事技術に偏るという傾向もあり、ユーラシア連邦の時代の末期には繁栄に翳りも見え始めた。」

呉用 「確かに、連邦の末期は長期の経済不況に苦しめられていましたな。」

劉備 「わしは北京の一区長にすぎなかったが、ザフトとの関係悪化が言われる頃には北京市の家庭の多くが収入減少に苦しんでいた。戦争が噂された時、わしは多少の手助けになるならと多くの有望な子弟に軍への入隊を勧めた。今考えれば愚かだったと思っている。わしは何百人もの若者を軍に入隊させ、その多くがザフト戦で戦死した。」

一丈青 「頭領のせいではありませんわ。あの時代では良かれと思ってなさったことですから。私も頭領の勧めで入隊しましたが、後悔はしてません。」

花栄 「俺もです! おかげで弟や妹を食わせることができた。」

呉用 「が、戦争それ自体は実質的な地球連合の敗北で終わった。ザフト軍との交戦で多大の犠牲を出したのみならず、その後は内戦に突入し、さらにモスクワの政府も崩壊したことから、北京も含む東ユーラシアは本当にどん底に追い込まれた。娘を遊郭に出すなどまだマシな方で餓死した者も多い。さらにブレイク・ザ・ワールド事件がとどめの一撃になった。これは東ユーラシアだけでも5,000万人の死者を出した。」

劉備 「そういうわけで、オーブが主権返上を北京の新政府に打診してきた時、わしは両手を上げて賛成した。オーブは豊かな国だし、復興に必要な資金も技術力もある。ほとんどの国民がそうだと思ったが、やがてそれは幻滅に変わった。」



治安警察本部



ライヒ 「同じ社会で、同じ仕事をするとして、ある者は時給500ドル、またある者は時給5ドルだとしたら、君はこれをどう思うね。」

ダゴスタ 「腹が立ちますね、それは不平等だ。」

ライヒ 「当然の答えだ。統合後の連合もそんな感じだった。不況とうち続く戦争でオーブ以外の経済はかなり痛めつけられていたからな。統合に賛同した国々にはオーブの経済力に期待する向きが少なくなかった。そして当時の、現在も同じだが、オーブの指導層はできるだけ慈悲深く公平な解決策を提示するように我々に求めた。慈悲を実現するためなら、多少の脅し、強権はやむを得ないとされた。」

ダゴスタ 「それが『クラス』政策と?」

 長官は頷いた。

ライヒ 「先の例で『同じ仕事』という枠を外したなら、一人あたりの生産性は実は業種ごとにかなり異なることは知っているね。」

ダゴスタ 「そうですね、一次産業や原材料を加工するような職業、例えば鉱工業などは見た目の生産性はずいぶん高いですね。他、電力供給業などもある。概して資源を直接入手したり、加工したりする業種ですね。」

ライヒ 「あと、倉庫業というのもある。そういうのは大体どこの国でも統計を取っている。統一後、我々は各国の都市をこの基準でランク分けした。生産性の高い都市をA、平均的な都市はB、平均より劣る都市はCとした。」

ダゴスタ 「オロフォトはAですね。」

ライヒ 「さらに不均衡を是正するため、先に挙げた特に生産性の高い業種に従事する技術者には居住地がC都市の近くでも特権を与え、ブレイク・ザ・ワールド以降の食糧危機に際しても物資を優先的に入手できるように配慮した。一人あたり生産性に基づく都市の類別と高能率業種の囲い込みと優遇、これがブレイク以降の連合の基本政策と言ってよい。効率の高い業種を優遇すれば、やがてそれが牽引車となり、全体の生産性も向上するはずだ。」

ダゴスタ 「個人を差別しているというわけではないですね。」

ライヒ 「当然だ。C都市の出身からA職種である鉱業技術者やトラクターの運転手に抜擢された者もいる。彼らは統一政府でも重要な地位に就いているはずだ。機会の平等は連合の支配地域ならどこでも与えられているのだよ。これは大事なことだ。」

ダゴスタ 「しかし、C都市では反乱が絶えない。連合に対する不満も多いと聞きます。」

ライヒ 「妙な義侠心を起こして、カガリやラクスがその場の慈悲心でこれらの都市を助けたら、世界の食糧などアッという間に底をついてしまっただろう。過大評価されているオーブの経済力も同様だ。我々は無限の食料や富を持っているわけではない。統一政府は全能の神ではない。ダゴスタ君、これが我々の「1000の富と20人の民」に対する答えだ。少なくとも、いま君が読んだ例よりは統一連合の経済システムは万民に対し、ずっと公正で平等だったはずだ。」

ダゴスタ 「確かに統計データには作為の入り込む余地はありませんからね。」

 一通り説明が終わると、ライヒは趣味のラクス宮殿のノゾキを始めた。かなり長い話だったようにダゴスタは感じているが、宮殿の花園ではまだラクスとキラが戯れている。

ラクス 『ウフフ、、』

キラ 『フフフ、、』


ダゴスタ 「問題は、いずれ解決するとおっしゃるのですか。」

ライヒ 「そう信じたいとは、私も思っているよ。しかし、我々のシステムは平等だ。現在考えられるどんな社会システムよりも、ましてや民主主義よりもね。」

ダゴスタ 「そうあって欲しいものですな。」

 ライヒはモニタの映像を消した。



上海
梁山泊のアジト



劉備 「統一直後に統合政府の役人が乗り込んできて、連邦が収集していた経済関係の全ての統計資料を押収していった。それを作っていた諸官庁も解体され、新たに連合政府の機関がこれらの統計を行うようになった。連合政府は経済統計、特に生産性というものを極端なまでに重要視する政策を取った。が、ここには落とし穴もあった。」

呉用 「調査に当たった役人の多くがオーブ出身というのも災いしましたな。既に過去の話ですが、オーブというのは日本という国の国民が併合の際に本土を脱出して築いた国で、元々、ユーラシアには余りよい感情を持っていなかったこともある。が、そういう差別もブレイクが非常時であるというカルネアデスの板の論法によって正当化されてしまいましたな。」

孔明 「カルネアデスの板、陳腐な例え話だ。狡い人間が剥き出しのエゴを正当化するために使う理屈だ。だが、そんな極限状況が常にあるものでもない。ましてや為政者が国民に犠牲を強いるために使うための論理ではない。」

劉備 「統計資料の作成にあたる官僚を買収して北京の格上げを図ろうという試みはことごとく失敗に帰した。ブレイク・ザ・ワールド以降の食糧難もあり、僅かな配給食料を分配しなければならないわしは途方に暮れたものだ。が、さらに大きな問題は格付けにより諸都市間の格差が正当化され、固定化されてしまったことだ。オーブは資源やエネルギーを握り、統合に賛同した諸国のBC級都市を吸い上げるという収奪構造が出来上がってしまった。今やこれらの都市は零細のままオーブ向けの食糧生産に躍起になり、頭脳もオーブに流出しているような状況だ。秘密にされているが、およそ北京市で生産された富の7割が何らかの形でオーブに吸い上げられているのだ。この現状を知ったわしはさすがに怒った。」

呉用 「代表なくして課税なし、という言葉がありますが、統一の結果、我々の地域にはそれに近い状況が出来上がってしまったのです。これが頭領、あなたが官吏を辞め、梁山泊を作った理由ですな。」

劉備 「ただ生まれが違うというだけで子供たちが夢や希望を抱くことも許さない。いくら努力しても居る場所がC都市というだけで社会がそれを受け容れない。オーブでは子供は飽食し贅沢なおべべを着ているのに、ここではロクに食うこともできず、十分に学ぶこともできない。それを制度が認めている。一部の者はオーブに近い生活をしているが、彼らはオーブの走狗に成り下がり、自分らの同胞を見下している。表面化していないが出身による差別もある。旧連邦の元官僚は今でも優遇され、反面、農村出身者は婚姻などでも差別されている。何も良くなっていない。また、良くなる見込みもない。こんな仕組みは打ち壊さなければならない。」

 長い話に疲れた劉備はウーロン茶を啜った。納得できる理由、納得できる政府、それが彼らを反乱に駆り立てている理由だと孔明は理解した。その時、アジトに駆け込んできた者がいた。

梁山泊シンパ 「孔明さん! 大変です! シンが! シン・アスカが!」



<Bパート>


長野県岡谷市梨久保地区
小林昭人オフィス スタジオ・パルフェ



アシA 「今回はギャグ路線じゃないですねえ。」

小林 「マア、陶金節の下手クソ作品で使えるネタは使い尽くした。ま、掲示板に人のことを「純文主義者」とかいろいろ書いてくれたしかえしということだな。」

広東ガンダムと陶金節(現天空星)の作品対照表

小林作品 陶金節元作品
第一話 「始まり FINALWAR1
第二話 「梁山泊攻略作戦 FINALWAR2 3 4
第三話 「上海へ FINALWAR5 6
第四話 「暗殺ロボットSWH-A FINALWAR7 8 9
第五話 総集編 なし


アシA 「元が元だからな、こんなところで泣き言言ってもムダだ。」

アシB 「何年経ってもレベルに進歩が無いようで(陶金(天空星)のアジトhttp://seedaas.gouketu.com/)。絵はこんな感じでいいですね。」


ふざけるなこの野郎

 一同哄笑

アシA 「ウチとはレベル違いすぎ(笑)。」

アシB 「残りどうします? シンがまだ戦っていますが?」

小林 「適当に片づければいいんじゃない? タネ発動とか。くたびれたから、君頼むよ。」

アシB 「へーい。」(適当にストーリーを作るアシスタント)

小林 「こんなものより「青い空〜」にちゃんとした絵を入れたいんだよなあ、、」

アシA 「かかってるコストが違いますからね。横山光輝の引き写しなんかと比べられても困る。」

小林 「全くだ。」

アシB 「は〜い、ラストは陳孔明の勝利、キラ、アスラン死す。これでどうです?」

 適当に原稿を読む小林昭人。

小林 「いいんじゃない?」

 と、その時。

 ガラッ! (引き戸を開ける音)

キラ 「ここがスタジオ・パルフェか、小林はどこ?」

小林 「お、おまえはキラ・ヤマト!」

キラ 「あんたが小林か、ボクがルーラで時空を移動できるってコト、忘れてたようだね。」

小林 「何の用だ! さっさと二次元に戻れ! アシB、ストーリーを隠せ!」

キラ 「そうはさせないよ。」

 ばきっ! どしぇっ! ごすっ!

アシA、B、小林 「ぐわっ!」 「ぐえっ!」 「どえええっ!」

 ギリギリギリ (後ろ手にヒネリ上げる音)

小林 「ぎええええーっ!」

キラ 「これが原稿か、何これ。キラは孔明パンチで死亡。アスランは広東ガンダムに敗死。最後はシンとルナマリアが結婚? なんだいそれ、話直させてもらうよ。」

 シャカシャカシャカ (原稿を書き直す音)

小林 「や、やめろお〜っ」

キラ 「やめてよね。」

 ゴスッ! バキッ! ドガッ!

小林 「どおおおおーっ!」

キラ 「これでよし、最後はキラの勝利っと。帰りにラクスに信玄餅買っていこうっと♪」

小林 「キラ、、お前は俺を〜っ!」

 ガクッ



上海市 とある路地裏



孔明 「む! 時空に僅かなゆらぎが!」

 シン救出に向かっていた孔明は付近で時空震による空間のゆがみを感じた。それができるのはスーパーコーディネーター、中でも特別な「SEEDを持つ者」。

孔明 「キラ・ヤマト、やはりおまえか。」

 孔明の眼前にそそり立つエターナルフリーダム。

キラ 「シナリオは書き直した。孔明さん、死んでよね。」

孔明 「正義は必ず勝つ!」

キラ 「そう、僕が勝つ。さよなら、孔明さん。」

 そう言うや否や、孔明の眼前でエターナルは全火力を解放した。結界を張り、それを防ぐ孔明。しかし、やがて押されていく。

孔明 「うおおおおおーっ!」

キラ 「死ねえ〜っ!」

 キラの叫びと共にエターナルは拳を振り上げ、必殺パンチを陳孔明に繰り出す。

 グバキッ!

孔明 「ぐおおおおおーっ!」

 ドカーン!

 上海の一角で天を揺るがすような轟音と共に巨大な爆発が起こり、やがて煙の中からエターナルが姿を現した。

 コクピットで哄笑するキラ・ヤマト。

キラ 「ハハッ! フハハハハ! ハハッ! 勝った、、ラクス、、僕は勝った!」



上海
サイのアジト



<破壊ダ!、破壊!、、>

<死ネ!、死ネ!、、>

 ドキュビシュビシュドキュ!

サイ 「わっ! わっ! わーっ!」

シン 「うわっ! うわーっ!」

 ザッザッザッ

<『シン・アスカ』破壊!、、>

シン 「やめろーっ!」

 シンとサイは工場を破壊しまくるドロイド軍団に追い立てられる。巻き添えになった広東ガンダムは既に穴だらけだ。

 ドキュドキュ!

サイ 「シン、あれじゃあ修理もできないぜ。」

シン 「それどころじゃない。俺たちも修復不能にされちまう。」

<『シン・アスカ』ハッケン!、、>

 キュイーン!

 ドロイドのレーザーに照らし出されるサイ。

サイ 「わああああーっ!」

シン 「サイ!」

 やがて、数十体のドロイドに包囲された二人は工場の一角に追い詰められた。

<破壊ダ! 破壊!>

サイ 「短い付き合いだったけど、俺たち、友達だったよな!」

シン 「ああ、ステラ、レイ、マユ、、俺はっ! こんな所で!」

 シンはポケットの携帯を握りしめた。もうダメだ、殺される!

<破壊!、破壊!、、ハカ、、>

 シュイィィィン、、

 と、その時、ドロイドらの動きが止まった。目を瞑ったシンが瞼を開いた時、眼前にいたのは、、憎むべき裏切り者の顔、そして、、

アスラン 「シン!」

ルナマリア 「シン! どうして、、」

シン 「ルナ、、ルナマリア、、」

 シンの眼前に揉み手をする実業家を従えたアスランとかつての恋人ルナマリアの姿があった。しゃがみ込んだシンとサイの姿を認め、拳銃を向けるアスラン。

アスラン 「シン・アスカ、統一連合軍法115条に基づき、お前を逮捕する!」

 シンとサイは両手を上げた。



機動戦士広東麺ガンダム「第5話総集編」完



<追完>

長野県岡谷市梨久保地区
小林昭人オフィス スタジオ・パルフェ



 シュウウウウ、、

 キラに破壊されたオフィスの瓦礫の中から小林が姿を現した。気絶したアシA、Bも頭を押さえつつ起きあがる。

アシA 「イテテ、、畜生、キラ・ヤマトの野郎、、」

アシB 「見ろ! ストーリーが書き直されている。オレの必殺孔明パンチが!」

アシA 「話はもう終わってしまっているぞ!」

 特に念入りにブチのめされた小林昭人の手が怒りに震える。

小林 「おのれ、キラ・ヤマト!、、このままにしておくものか、、アシA、ペンを貸せ! ラストを付け足してやる!」



上海上空 宇宙空間



 エターナルフリーダムの渾身の一撃を受けた陳孔明の体は大気圏外に吹き飛ばされ、宇宙空間をさまよっていた。

孔明 「うう、、こ、、ここは、、」

 輝く太陽、煌めく星々、漆黒の宇宙空間にいることに気づいた孔明はエターナルとの激戦で宇宙空間に吹き飛ばされたことを知った。

神 「孔明よ、、ASC、、アーノルド・スタローン・クルーズネッガーよ、、」

 天の声を受け、陳孔明は両手を拡げた。燦然と輝く太陽のエネルギーが孔明の体に蓄積されていく、、そして、、



上海
サイのアジト



アスラン 「シン、抵抗をやめろ。おまえを脱走罪で逮捕する。」

 実業家とドロイド軍団を従え、拳銃を片手にしたアスランにシンとサイは両手を上げる。

シン 「チッ、、」

 手にしたコンバット・マグナムを捨てるシン。

アスラン 「おとなしくしろ、刑が軽くなるよう、オレからも願い出てやる。」

ルナマリア 「シン! アスランの言うことを聞いて!」

シン 「ルナ、、お前までコイツの味方を、、」

アスラン 「いいかげんにしないか!」

 銃をしゃくり、両手を前に出すように言うアスラン。仕方なく両手を出すシン。アスランはルナマリアと実業家に拘束するよう言い。二人は手錠を手に歩み寄った。

 と、その時。

<『シン・アスカ』破壊ダ、破壊、UUOONN….>

 ガシャン!

<破壊、ターゲット、破壊、、MOUNN….>

 ガチャン!

 次々と機能停止して倒れ伏すドロイド軍団。

 ガチャ、ガチャ、ガチャーン!

サイ 「ナノマシンだ!」

実業家 「あちゃー!」

 シンは穴だらけになった広東ガンダムの機体を見た。かつての戦いで応急修理に使ったナノマシンの粉が破損個所から巻き上げられ、粉塵となって工場全体を覆っている。マシンに制御回路を冒され、次々と機能を喪失するドロイド軍団。

サイ 「こいつ!」

 手錠を掛けられようとしたサイが走り出す。拳銃を持ったアスランに体当たりして突き飛ばし、拳銃が床に落ちる。ルナマリアに手錠を掛けられようとしたシンもその手を振り払う。

サイ 「シン! 逃げろ!」

シン 「サイ! 恩に着る!」

 ルナマリアを突き飛ばして逃げるシン。

ルナマリア 「シン!」

アスラン 「やめろ!」

 サイを殴り倒し、床に落ちた拳銃を拾い上げたアスランが発砲する。

 バン! バン!

サイ 「やめろお〜っ!」

 アスランに組み付くサイ。シンはアスランの銃撃を避け工場の外に走り去る。サイを振り解き工場の外にシンを追うアスラン、しかし、シンの姿はもう無かった。

アスラン 「シン、、おまえは、、」



上海上空 宇宙空間



 大宇宙のエネルギー、父なる太陽の光を浴びた陳孔明の体は変化を起こしていた。

神 「孔明よ、、父なる太陽のエネルギーを受け、お前は新たな存在に生まれ変わった。新しい名を授けよう。お前の名は、太陽の子…陳孔明ASCプラスRX(アール!エーックス!)!」

 『陳孔明プラスRX』 新たな(主役を喰う)ニューヒーローの誕生だ!

神 「行け! RX! 地上の悪を倒し、人類に平和をもたらすのだ!」

 孔明の目が赤く輝き、やがて全身が光に包まれると、陳孔明プラスRXは地球のいずこかに向かって飛んでいった。



朝鮮半島 白頭山



楊志 「流れ星だな、、」

 長剣を携え、一人旅する男は夜空に流れる一流の流星を見上げる。

楊志 「凶兆か、、それとも希望か、、」

 青面獣の楊志は旅を続けている。統一連合との長い戦いは、まだ終わってはいない。

楊志 「統一連合には、凶兆であって欲しいものだ。」

 楊志はそう呟くと剣を背負った姿で歩き去った。あたりには燦然と輝く星空が残される。楊志にも孔明にもラクスにも、そしてシン・アスカにも変わらない無限に広がる大宇宙。しかし、この小さな星の地上は刺激と変化に満ちている。

 戦え! 陳孔明RX! 守れ地球を! 人の命を!

 シン・アスカの戦いは続く、、



参照参考作品なし


目次に戻る