Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/7/17)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



アニメ「スーパーカブ」 レビュー検討会



小林: とりあえずレビュー対象ということで検討を続けてきたんだが、クドクド説明したくないというのはある。ヤマトの2202みたいに前作品を冒涜しているわけでもないしな。

ハヤト: そこにはあまり触れない方が良いように思いますね。ほか、今回は作品を見て、我々が疑問に思ったことを雑ぱくに取り上げましょう。



①乗員保護装備(プロテクター)



小林: もちろんないよりあった方が良いに決まってるわな。殊更に強調しなかったのは、カブのスピード域でこれがいるかということで、せいぜいプロテクター入りのジャケットくらいの話だろう。日本郵政の職員も付けているという話は聞いたことがないな。

ハヤト: 郵便配達の職員が装着するようになれば意識はだいぶ変わるでしょうね。ですが、特に膝プロテクターなどは動きにくさがある。降車して歩くのは大変ですね。

小林: 胸プロテクターは影響ないから、これは単純にバイク民度の問題だろう。富士山で付けた方が良いかどうかは、実質的な速度が低い(20km/以下)し、スピード競争じゃないし、お好みでということになる。昔のカブやカワサキJ1みたいに普通の登山道を使い、ガレ場は押すとかロープでとなるとプロテクターは邪魔だろうな。



②バイク通学の問題



小林: 作品の内容によっては高校生のバイク通学、いわゆる「三ない運動」について一石を投じる作品にもなった。山梨県は以前から進んだ地域で、所有のメリット・デメリット、安全教育、学業との両立など高校側の施策についても紹介して良かった。許可自体はどこの高校でもできるんだが、明らかに見て分かる通学困難事情がなければ許可されないのが傾向だ。

ハヤト: 知っている例ではどんな場合ですか?

小林: かなりの遠距離で公共交通機関の本数がないとか、起伏の激しい地形で学校に行くのに峠越えしなければ行けないとか。前者については、JRが地方線の本数を減らしている現在では要件に該当する地域は増えている。しかし、要件があっても駐輪スペースがないと許可しない場合もあるだろう。

ハヤト: 電動アシスト自転車はどうですか?

小林: 私が見る限り、高校生で使っている例はあまりない。校則で禁止しているのだろう。たしかにこれは原付保有の言い分をかなりカバーできる。

ハヤト: 実用性や利便性という点では通学での正当化は難しそうですね。やっぱり趣味性の部分を見ざるを得ないでしょう。

小林: 私は思うんだが、原付くらい保有を許されなくて、やれ工学部に行って自動車技術者になれだの、欽ちゃんの鳥人間コンテストなら良いだのというのは、大人のエゴ以外の何物でもないと思うんだ。が、それにも別の言い分があるから、両論併記でこの問題をクローズアップしても良かった。



③ないない小熊の異常性



小林: マンガには描かれているが、第1話で「失踪宣言」して育児放棄した小熊の母親だが、これは保護責任者遺棄の犯罪者だよね。法令には明確に書かれていないが、この条文の前に遺棄罪がある。要扶助者(扶助を必要とする者)には未成年の子も含まれる。自活して生活する能力がないからだ。

ハヤト: 失踪というのは財産管理や婚姻の有効性、相続の問題を処理する法的技術ですからね。勝手に宣言して姿を消すことじゃない。指名手配されなきゃいけません。ほか、未成年者保護のための様々な仕組みがある。何でこんなデタラメな設定を思いついたんでしょうね?

小林: ありそうな話は同級生にそういう境遇の子がおり、半可通で与太話をそのまま信じ込んだというものだろう。

ハヤト: そういうの、普通は調べたりして直しません? あと、舞台が山梨なのは地縁があったからでしょうね。



④なして山梨?

 
取り立てて何もない田舎と樹齢1,800年の神代桜

小林: 山梨でも何でここ(武川)を舞台に選んだかは、理由が良く分からないんだよね。選んでも地元産品のPRは特にしてないし、取り立てて名所のある所でもない。神代桜という有名な古木があるが、取り上げてないしな。少し北に行けば白州があるが、これもほとんど出ないよね。同じ市域の清里高原さえ出ない。

ハヤト: 主人公の居宅とかは普通は無個性な民間住宅を選ぶものですが、この作品は極めて特定しやすい建築物(県営住宅、有名パン屋)を使っています。九州旅行の内容を見ても、景観や名所旧跡とかにはあまり関心がないんじゃないでしょうか。たまたま画面に映っていますが、良く検討されたものではない。聖地巡礼などではトラブルが予想できます。

小林: 「ゆるキャン△」が今は廃校になった学校をわざわざ選ぶ芸の細かさを見せているのに比べると、やや無神経、無配慮ともいえるな。

ハヤト: バイク通学が認められている学校のある都道府県(鹿児島、茨城、山梨)の中で、いちばん取材しやすいからでしょうか。



⑤富士山にこだわる理由は?

 

小林: 違法だから登っても自慢にならないし、SNSとかブログとかにも投稿できない。完全な自己満足で、しかも他人の迷惑、認める道理は一分もないように私も思えるが。

ハヤト: 「3ない運動」と同じく、ここは視点を広く取りましょう。ブル道が整備され、事実上はバイクでの登山も可能です。現在は下山道として使われていますが、ツーリズムの一つとして、バイク登山を認める意味はあるのでは?


昔から人気は高かった

小林: ブル道が今は下山道としても使われているのは、富士山に登る人数が多すぎるからだろう。バイク登山は現実的とも支持されるとも思えんな。

 

ハヤト: シーズンでは比較的登山者の少ない須走ルートでも週末は一日千人、ルート全体では一日一万人が登る日もあります。なお、最近になって人気が落ちたとか、登山者が減ったという話も特にありません。上は礼子や小熊がバイクで登った時期の富士山ですね。

小林: これってさ、質実剛健な我々には縁のない発想だけど、皇居とか観光地や名所とかでさ、あえてウェアを着てジョギングとかしている人いるじゃない。そういうことするなら目立たない朝方か人気のない場所でやれば良いものをと思うが、人目の付く場所であえてやるという目立ちたがり屋。

ハヤト: 最近では自転車(ロードバイク)もいますね。その心理ですかね? 観光地の富士山でバイクに乗る俺カッケーみたいな。



⑥カフェカブが出てこない



ハヤト: そう言えば出てきませんでしたね、後援のはずなのに作品では一台も出てこないデコカブ安いハーレーみたいなものだと私は思ってましたが。

小林: そのハーレーだったか、元々静かな車なのに、何で爆音マフラーとか付けて集団で走るのかと聞いたことがあってな。答えは「安全のため」、爆音と集団走行で目立つからトラックとか近づいてこないとか、屁理屈だと思うがな。



ハヤト: 数だけならまだしも、道の駅や温泉でこれはうるさくて、でも、アナタに言わせればこれも自己顕示欲だと。

小林: 私が話できるんだから別にフツーの人じゃない。カフェカブというのもこれと同じでな、スキー場とか人気のない場所を借りれば良いものを街の公園とか目立つ場所で集まるのは名所ランナーと同じ動機じゃない。私は「にわカブ」と呼んでいるけど。若い頃にはカブには見向きもしなかったし、以前はハーレーとか自転車とか別の物に乗っていたが、経済的に持たなくなってカブに走ったという。

ハヤト: 作者のトネさんもカフェカブのはずなんですが、小説にも出てきませんね。

小林: 自己中心的な人間の集まりだから、自分のバイク以外は目に入らないんだろう。案の定、批判の中には同士討ちと思えるものも少なくない。



⑦椎ちゃんの扱いのぞんざいさ



小林: 修学旅行に途中参加したり、途中から主人公小熊の問題行動が目立ち始めるけど、椎ちゃんについては「何でこんなにひどい扱いなの」と。

ハヤト: 小説では小熊は性格悪く、礼子は軽蔑、椎ちゃんは見下すと誰とも友情を築けていません。椎ちゃんはたぶん、作者が昔告白して振られた彼女では?

小林: カオルさんの言だと、文章からトネ・コーケンは背が小さいはずだというんだよね。それより小さいとなると、実在したんだろうな。食い物屋の娘でありながら身長130センチ台というのは発育不良、ホルモン異常を大いに疑いたいレベルだがな。

 
小熊・礼子の設定から椎ちゃんの身長を推定

ハヤト: それを川に落としたり、服を剥ぎ取ってヌードにしたり、バイクで監禁したり、何かあるんじゃないかと思いましたよ。

小林: 全般的に言えることは、こと椎ちゃんに対しては、作者も小熊も相手の事情を察するとか、思いやるとかいった様子が皆無で、この辺の昔カノへの劣情の歪みが作品全体の歪みにまでなっているのが特徴といえば特徴か。

ハヤト: そういうのって、やっぱり影響しますかねえ。

小林: 十中八九あると思うよ。突き放して書かなければ



⑧カフェ・ブールの設定変更



小林: 地味だが意外と大きいのがこのカフェ・ブールのオリジナルからの設定変更で。

ハヤト: 元々は東京のパン屋さんだったらしいですね。二代目がドイツで修行して2003年に北杜市に開店した店です。ここも準拠とすると椎ちゃんの生まれる前から北杜にあったことになりますね。

小林: 東京からわざわざ北杜市、それも「大泉町」を選んだ理由は八ヶ岳山麓の豊富な湧水群でな。これは武田勝頼が新府城を築いた理由でもあったし、現在では清里の別荘群とも近く、集客が期待できることがあった。軽井沢を筆頭に、この清里、蓼科、安曇野といった甲信の別荘地は都会からの住人が多く、雰囲気も誓うでしょ。

ハヤト: それでパン屋を武川に移したのを見たアナタは「センスない」と。

 

小林: 新府城は七里岩の断崖の上にあるんだが、行ってみると背後には広大な八ヶ岳山麓の穀倉地帯を控えていて、戦国時代では甲斐国最大だったこれと、ほとんど鉄壁とも言える七里岩の要塞で、劣勢を悟った甲斐武田氏はこの地域の地方大名として延命を図っていたのではと。実際、このクラスの規模の大名で明治まで生き残った家はいくつもある。そういう構図が描けるような場所だ。

ハヤト: 武田勝頼は暗君という評価ですが、こうして見ると時代の趨勢を見る目はあったかもしれませんね。現に彼と同じ立場の上杉景勝は秀吉に臣従して支配システムに組み込まれて五大老の一人になり、上杉家も明治まで存続しましたからね。同じシナリオを描ける余地があった。



小林: 話を戻すと、作者はこういった背景、裏側にある事情について洞察する目が全然ないんだなと。なのでベッカマイステル(ドイツパン職人)はリーマンにされてしまい、それも侮蔑的な書き方で小熊に見下される情けない大人になってしまったわけで。

ハヤト: そうなると、奥さんがアメリカ趣味だったり、娘がイタリア好きでお父さんのドイツパンをまるで認めていない描写も、モデルにするくらいですからインノさんに含む所はありませんが、洞察云々ではなく、椎ちゃんの設定に私情が入りすぎて家族の見方まで歪んでしまったことになりますね。

小林: 設定上は、清里の二代目パン屋で何の問題もなかったと思う。喫茶店も品の良いレストランも、そしてそば屋も、水の良いあの界隈には山ほどある。



⑨バイト先の不自然



ハヤト: 小熊とお金の話は元がまずいせいか、いつも変な話になりますね。作中では彼女は2回バイトをしてますね。1度目は武川高から甲府市内の高校で文書をやり取りするクーリエのバイト、メールとかFAX、コピー機はないんでしょうか? そんなに稼げたとも思えません。2度目はアニメではありませんでしたが、冬休みの医療関係のバイト、甲府市内で、これも10万円行くか行かないかでしょう。したがって、どうしても勘定が合わない

小林: 現実的な線ではな、小説の描写なんか見れば1日3~5千円くらいだろう。10万円も行ったかどうか怪しい。それにカブだって使えば減る、往復や集配の燃料代、防寒用具や車両の整備代、見た感じではコンビニの方が割が良さそうな感じだな。

ハヤト: 別荘やホテルなど、もっと近いバイト先はなかったのでしょうか?

小林: 冬場は別荘やホテルはないが、収容店舗100店で山梨最大のラザウォークとかライフガーデンにらさきとかがあるよ。他にも中規模スーパーが多数。距離もラザウォークなら医療センターなどより10キロも近い、おまけにバイクも減らない。



ハヤト: もっと良いのもありますよ。シャトレーゼや金精軒なら時給千円以上であります。人当たりの悪い小熊は営業よりこちらでしょう。

小林: コンビニがいちばん良いんじゃないか?



⑩冬描写が全般的におかしい



ハヤト: この作品、普通は原作の方が詳しく書いてあるんですが、原作はむしろ素っ気ないですね。これはアニメの場面ですが、カフェ・ブールで小熊はハワイアン・コナの中煎り、礼子はカロシトラジャの深煎りをサービスしてもらってます。原作は単にコーヒー(エスプレッソ)としか書いていません。

小林: こんな連中、奢りならブレンドで良いよ。それは良いとして、長野県民として違和感を禁じえないのは、冬は寒いとか殺されるとか言っている割に、女子学生の服装が真冬でもブレザーにスカートなことだな。小説の方はどうなんだ?

ハヤト: これといって描写はありませんね。防寒用具にはこだわっている割に肝心の通学時の制服が。

小林: 実は知らない人多いんだが、あの時期のあの地域の女子学生の制服はスラックスなんだ。正式にはスカートなんだが、寒いので別注でスラックスも履け、事実上はこちらが制服だ。山梨や長野の人間なら知らないわけないが、この作品、冬描写は色々おかしい。まだ雪が残っているのに山陰をコースに選ぶとか。


3月じゃありえない(山陰地方)

ハヤト: 冬の取材はあまりしてなかったと思いますね。



⑪ライダー声優の滑舌の悪さ



小林: 主役の声優が思いっきりビッチというのも炎上の原因だな。こちらとしては発声の聞き取りにくさで困ったくらいだが。

ハヤト: ユーチューバーでライダーなんですよ。何で起用されたかは分かりませんが、演技の幅が狭いとは思いましたね。ボソボソ系の暗い小熊のキャラには合っていましたが。



小林: フォームを見る限り、そんなに下手くそでもないな。もっとも小さいから、バイクにしがみついているだけにも見えるが。

ハヤト: 乗っている動画は案外ないんですがね。声優もしてますが女優には関心ないようです。ま、昔の人と比べちゃいけません。

小林: 声優がこれでなくても原作がアレだから、あまり変わりなかっただろうな。動画見ると見た目よりマジメそうだし、皆勤賞くらいやっても良いんじゃない。


閑話休題

ハヤト: そろそろレビューを書けそうな感じになってきましたね。

小林: これほど叩けば叩くほどボロが出る作品も珍しい。ウチで扱うべきかどうか今でも疑問なんだが。

ハヤト: ま、検討会はこれでおしまいです。あと、気になる点があったらレビューで触れていきましょう。