Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/7/14)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



アニメ「スーパーカブ」 レビュー検討会

①椎ちゃんの家の場所は?


高校前で引き返す小熊

小林: 一応アニメ準拠で説明すると、第一話にして実は椎ちゃんの家の場所に疑問があるんだよね。



ハヤト: 最初の場面を図示すると、高校前の緩い坂道を息を切らして登っていく小熊を椎ちゃんのモールトンがさっそうと追い抜いていく。この場面だけだと椎ちゃんの家は小熊と同じ方向にありますね。

小林: ところがさ、高校の前で意を決して引き返した小熊は椎ちゃんの家の前を通り、バイク屋に行くわけでしょ。そうすると上の図はこの方がしっくり来る。


 
11話になっても小熊と同じ方向から通学、後ろのドーム状建物は甲斐駒センターせせらぎ

ハヤト: 説明不可能な矛盾と言うべきですねえ。この図ですと椎ちゃんは小熊と反対方向から通学しなければなりません。

小林: その後の描写を見ても、たぶんこの図が正しいんだ。

ハヤト: 椎ちゃんの家の場所は長坂説もありますね。モデルになったバックハウス・インノの所在地、七里岩の台地の上。

 
武川に通う理由がない、右はカフェ・ブールのモデル、バックハウスインノ(パン店)

小林: こちらはこちらで近くに中学校が3つ、高校も2つあるから、そもそも武川に通う理由がない。百歩譲っても、小熊が高校の前で引き返す場面の説明が付かない。で、以前書いた図に書き加えて配置をまとめるとこんな感じだ。つまり、椎ちゃんも礼子も七里岩の台地の下に住んでいる。


アニメの描写から位置関係を説明

ハヤト: 礼子さんは以前から椎ちゃんのカフェの常連というのも、通り道にあるなら説明できますしね。

小林: ところが11話はこの図では説明できなくてさ。


②日野春に行く必要はなかった?


日野春駅から帰る途中のねこ道で転落した椎ちゃん

ハヤト: 一応彼女は自宅から日野春駅に行って、電車で韮崎に買い出しというのがレビュアーの通説ですね。アナタは必要なかったとか。

 
実際の七里岩とねこ道の位置

小林: 地図で図示するとこんな感じだが、「ねこ道」というのは作者の創作で、実在するが(野猿返し)、この道はけもの道で川など通ってない。七里岩というのは高低差が100mもあって、写真でコントラストを強くしたが、実際に見ると崖の高さ、険しさが良く分かる。ねこ道は釜無川に通じる県道の脇道なんだけど、稜線をスライドするように、それでもかなりの高低差で県営団地(小熊の家)前に出るショートカットだ。こんなの地元民しか知らないよ。

ハヤト: この地形ですと入口と出口で一気に登って、大部分はなだらかな稜線を行くという感じですか。距離は約400m、歩いて7~8分というところでしょうか。普通につづら折りを歩けば15~20分くらいでしょうからね。

小林: 坂の入り口から日野春駅までだと、自転車なら普通に行って20分ねこ道を使うと12~15分。下りはどちらも5分ほど。椎ちゃんの家から学校までどのくらいか分からないが、概ね2キロとすると(作者は否定するが妥当な距離)、家からねこ道の入口までは4キロある。自転車だと概ね10分以下という所だ。

ハヤト: そうなると、椎ちゃんの場合、自宅から日野春まで普通に行けば30分、ねこ道を使えば22~5分で行けることになりますね。

 日野春駅の時刻表(立川方面)

小林: ところが、日野春から韮崎行は1時間に1~2本しかなく(甲府も同じ)、時間を合わせて行ったとしても平均10分くらいは待ち合わせの時間がある。逃したら次は1時間後だからな。なお、韮崎までは電車で12~15分。なので、椎ちゃんの韮崎への買い出しの往路は短くても50分~おそらく1時間以上かかる。息が切れるような急坂で、10分浮かしてもあまり得しないよね。ところが、家から韮崎まではたったの15キロしかない。乗っているの、アレックス・モールトンでしょ?

 
比較的平坦な崖下と高性能自転車アレックス・モールトン

ハヤト: 道もほとんど平坦ですね。帰りは1%ほどの登りですが、問題になるような勾配じゃないです。モールトンなら30分もあれば着くでしょう。武川説を採ったとしても2%で35分です。七里岩の大崖なんか椎ちゃん登る必要そもそもなかったんですよ。

小林: 行き先が甲府だとしても1時間弱だ。行った先の機動性、時間の融通性を考えれば、良く晴れた暖かい日に限るが、彼女が電車を使う動機はあまりないだろうな。暖かくない日は父ちゃんが駅まで送るだろう。


③椎ちゃんの家、場所わからない

 
しょっちゅう変えるので、、、

、、、今はバイトとお年玉で得た金で必要なものを買い漁っているらしく、この寒空に負けずアレックス・モールトンの自転車を漕ぎ、家から最寄りといっても十kmはある日野春駅から電車に乗って、少しでも安い物を探し回っている(カクヨム)。

ハヤト: 辻褄合わせで記述をしょっちゅう変えているように見えるんですが、語るに落ちたとはこのことで。

小林: 元々椎の河ドボンの場面自体が、前カゴに載せるためにでっち上げられた無理筋というべきで。日野春の小熊が救出に行ける場所だから、10キロといっても小淵沢や長坂の駅に用はないし、韮崎近くの南にすれば甲府だってランラン圏内なので、この記述自体が間違っているか、苦し紛れの後付かという感じだ。

ハヤト: オーナーの話によると、モールトンは韮崎どころか20キロ(甲府くらいまで)くらいのツーリングなら楽勝だそうです。

小林: 批判を受けての辻褄合わせにいちいち付き合っちゃいられないよ。


アニメでの「ねこみち」の推定

ハヤト: 11話は批判の多い回でしたので、「ねこ道」についても色々変わっているんですが、長さは1キロ(作者・おそらく追加)もなく、数百メートルくらいのはずです。つづら折りの長さ自体が850mですので、本道より長い抜け道なんかありません。ま、アニメですから七里岩の高さ自体300mくらいになっているかもしれませんが、基本構造は上の図の通りでしょう。

小林: 少なくとも人間や自転車が便利と感じる道が全道登りなんてありえない。あっても50mくらいのはずだ。後は稜線を這うように進ませ、出口付近でもう一度登って県道に出る。下りはその逆。

ハヤト: 街灯もなく、舗装もされていない、帰路は下りで県道でも数分で降りれる。そんな状況で深夜の墓場みたいな道を女の子一人で降りる気になるでしょうか?

小林: まだあるぞ、時期は冬だろ、こんな狭いけもの道の除雪をいったい誰がやっているんだ?

ハヤト: そもそも閉鎖されるなり、通れなくなっている可能性がありますね。

小林: 作者いろいろ後で書いているが、小熊の手の内に収まる範囲にある道というと、アパートの目の前にある。上に挙げた612号の間道以外ありえないよ。

ハヤト: 地理についてはそろそろ良いと思いますよ。



(補記)実は小さかった「初代」スーパーカブ



小林: 60年前にカブで富士山登頂という話は何回か扱ったけれども、実はこのカブは初代のC100型で、この車は今のカブより小さかった。乾燥重量で55kg、車両重量でも70kgほどで、カブより後に登ったカワサキJ1も85kgで、この小ささが登頂成功の秘密でもあった。


初代スーパーカブ

ハヤト: 今のは96kgありますから、30kg近く違います。

小林: 実車を見ると分かるんだが、本当にモペットの一種という感じで、ペダルが付いたら漕げそうな華奢なクルマだ。


2代目スーパーカブ

ハヤト: 今のカブの原型は初代の8年後にデビューしたC50型で、2007年に生産終了になるまでほぼ同じ設計で作られ続け、「カブ」のイメージはほとんどこの車ですね。初代より大きく重くなり、OHCエンジンを搭載して、よりオートバイらしくなりました。

小林: 初代を眺めてみてつくづく思ったんだが、2代目カブは初代より丈夫なバイクにはなったが、失われたものもあると思ったな。それは初代が持っていた軽量さと敏捷性。カブというのは、特に女性から見ると案外と大きくて重い。スクーター需要のスキが実はあるわけで。



ハヤト: 最新のC125に至っては初代より40kgも重く、形は似せていますが、初代のような俊敏さは感じさせないデザインになっています。電子キーも付いてますし。

小林: 初代は担いででも富士山を登れそうだが、これは押しても引いても登山道は登れんだろうな。ブル道なら登れると思うが。

ハヤト: 「スーパーカブ」の3巻目は確か9合目付近のガレ場を小熊と礼子が押して登っていましたねえ。

小林: 初代ならできるが、彼女らのカブじゃそれは無理だ。

ハヤト: トネ・コーケンさんの作品でカブにできそうにないことを突っ込むと際限がないんですよ。

小林: 小説の問題点については次回にしようか。