Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/7/13)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



アニメ「スーパーカブ」 レビュー検討会



ハヤト: 基本的にウチのサイトは「映像で表現されたことを最優先する」のがルールです。矛盾や後付けの言い訳は、たとえ作者であっても受け付けない。そういうことになっていますが、今回はウェブ連載中の小説やマンガも検討に加えました。

小林: アニメだけでは検討に不足でな。

①撮影された地点(聖地)の配置

 
舞台とされている旧武川町

ハヤト: 撮影された地点はこんな感じですが、実はアニメでは地図を反時計廻りに90度転倒させて映しているんですよね。なので、アニメでは小熊はいつも北から南に走っていきますが、実は東から西に向かっています

小林: 対象建物の所有者のプライバシーに配慮した措置だけどさ、その建物が実物そのままなので、このカモフラージュはあまり成功してない。それに作者の意識が北杜高校なので、普通は文章を読めば位置関係は精密に位置づけられるんだが、上の図に加え、作者の脳内にある下の図も加味したほうが良い。

 
実際の描写に近い旧長坂町

ハヤト: つまり、作者は自分が高校に通った場所(長坂地区)を意識して小説を書いていますが、放映作品では武川地区が作者の描写に合わせて再配置されている。つまり、それが読後感の曖昧さになっているということですね。

小林: 七里岩という絶壁で隔てられているんだが、これは溶岩台地で、トネの書くような河岸段丘じゃないよね。とにかく独特の言い換え癖のせいか、この作者の表現は不正確で。これもストーリーに絡んでいるからな。

 北杜付近のそば屋の分布

ハヤト: 正直言って、この作品はウチで扱うレベルかどうかは我々の間でも議論があったのですがね。たぶん、トネ・コーネンさんのような人は上の地図を見ても何も感じないんでしょうなあ

小林: 司馬遼太郎なんかはこういうのはビシッとしてるよねえ。「ちゃんと調べてから」、取材に足を運ぶから。ブラタモリのタモリも見れば分かるんじゃない? そば屋って結構山奥でも客が来るけど、何を大事にしていると思う?

ハヤト: ま、ウチの流儀じゃないです。嘲笑攻撃は止めましょう。アナタはインノさん(椎の家のモデルとなったパン屋)の位置を見てすぐピンときたそうですからね。

小林: しょせんカフェカブ、何も見えてりゃしないのさ。東京は空気も水も不味いからな。

ハヤト: まあ、地理の勉強はこのくらいにしておきましょう。


②富士山攻略作戦 その1 マシンは問題ない

 

ハヤト: 放映されて以降、アンチから自然破壊と散々の5話の富士山ライドですが、アナタ首を傾げてましたね。富士山に登るのがそんなに困難かと。

小林: 困難には決まっているが、カクヨムの方を読むと、そもそも礼子は郵政カブには乗っておらず、最初からハスラー50(125エンジン積替え積み2スト車)に乗っていて、富士山もそれで登っているんだ。

ハヤト: MD(郵政カブ)も持っているんですよ。カクヨム2巻でハンターカブに乗り換える時に事情が書いてあるんですがね、小熊との縁は同じカブ乗りということですが、1巻には微塵も書いていません。その後、事故で潰したそうです

小林: 設定の重複とか、小説という大嘘を付くには頭悪すぎないか?

ハヤト: 元々小説家向きの性格じゃないんでしょう。でページにより同じ内容の説明が違うことも、我々が手こずっている理由ですね。ま、バイクは良いでしょう。問題は富士山ですね。案の定、小説にも攻略のポイントは何も書かれていません。

 

小林: 問題のブル道というのは距離は約7キロ、傾斜は平均30%勾配の富士山に対し、頂上に対し横向きにした鋭角30度の直角二等辺三角形の斜辺部分を登るもので勾配は15%、角度にして8.5度だが、ブルドーザーが通れる道なので、15度を超えることはまれのはずだ。15~20%勾配なら郵便配達も登っている角度なので、カブが登れんことはない

  ハスラー50(125)  郵政カブ(MD90) 
車重  90kg 96kg
エンジン 2スト・リードバルブ 4スト・OHC
馬力 14/8000rpm 6.5/6500rpm
トルク 1.3/7000rpm 0.76/5500rpm
ミッション 6段リターン 3段ロータリー
ホイール  20(前)/18(後) 前後14インチ

ハヤト: 比べ物にならないんじゃあ、これだけ性能の違うバイクで同じ話になるわけが(>トネ)。

小林: スピード競技でなければ性能差はそんなに問題にならんと思うのだ。この勾配なら3速のカブでも2速までは使え、緩い場所ならハーフスロットルで行ける。登りが7キロもあると、カブの場合はオーバーヒートがどうしても心配になる。キャブを高所向けに調整しておくことは言うまでもない。見た感じ6合目7~8合目が危ないな。前者は裾野が長い割に傾斜がきついし、後者は空気密度が低く出力が上がらず、冷却効率も下がる割に傾斜がきつい。

 
左・カブ、右・ハスラーのエンジン、カブはシリンダに直接風を当てにくい構造

ハヤト: カブのエンジンは横向きで、シリンダの冷却が弱点ですからねえ。加えて燃調を高度向けに薄くすれば加熱傾向はより強まります。始めからあんまりチンタラ走ってもいられない。

小林: むしろパワーを10%落として高荷重向けにしたMD(ノーマル)の方が向いているかもしれんな。ハスラーは最初からトレール車で前輪も21インチあり、走破性も問題ない。どちらでも登れると思うが、登れなかったとしたらそれはライダーの腕前や計画性の問題だろう。

 バイクは登れたものの高山病で登頂を断念(小説)

ハヤト: 路面は砂地で滑りやすいという話ですね。

小林: むしろこのコースの危険は下りの方にあるんだが、礼子は登りではコケても下りではコケなかったんだな。カブでもハスラーでも1速入れっぱなしで降りれると思うけれども。早く降りようと思わなければだな。なお、登りはキャタピラで踏み固められた地面の方が良い。アニメは大げさに描きすぎで、あんな轍、一晩経てばすぐ消える。何が転がっているか分からない轍の間よりよほど安全だ。


③ 富士山攻略作戦 その2 つまみ食い志向が敗因




ハヤト: 実はカクヨムで続編をつまみ食いしまして、再度の富士登山の小説を読んだんですが、「インジェクションは楽だった」くらいの内容しかなく。あまり根本的な考え方に進歩がないような。

小林: 雑誌社だろうが許可降りるわけないからな。妄想で書くしかないのだが、一番まずいのはバイトのついでにあわよくばという、その安直思考で。それでまともな計画が立てられなくなり、不十分な準備でやっつけ仕事みたいなライディングになる。九州のときもそうだった

ハヤト: 二度目の方もそのあたりに進歩がないんですよ。結局、三度目はやはり無許可で、自分のキャブ車でお気軽に登ってしまいますからね。ただ、登りも下りもひどくゆっくりとしてはいましたがね。天候の急変や不意のトラブルといったものへの対策は皆無です。あと、キャブレターを頂上付近で分解してましたね。

小林: かなり危なっかしいなあ。

ハヤト: それと礼子の1回目は3巻ではハスラーではなくMDで登ったことになってました。どうもこの作者、全般的に状況に対する想像力が欠けているように思うのですよ。アナタだったら何かやる時にはここでああしてこうしてと脳内でシミュレーションするでしょう。

小林: 脳内だけでは不安だから計画表くらい書くな。

ハヤト: そういうことを忌み嫌う何かがあるようなのですよ。

小林: それじゃ富士山どころか郊外にツーリングもできないよ。



お小言コーナー

小林: この気色悪さは何なんだろうなあ。「映像表現を優先」がウチのポリシーだが、ウェブ連載中の小説で後から後から内容を書き加え訂正されたんじゃ、作品全体の評価はできないじゃない。

ハヤト: 難点と言われる部分も後で書き足されて言い訳されるとですねえ、、

小林: 一度作者に聞いてみたいんだが、地図に線を引いて平均40キロと決めたとして、自分の好みで未知のワインディングロード(もちろん初めてだ)を通過した時、本当にその速度で走れるのかと。事前調査して時間を測るなり、コースを変更するなりするのがまっとうじゃないかと。

ハヤト: オートバイのカーブでの操縦はクルマより難易度が高いです。コースを知悉しているかいないかで二倍以上の差が出ることは普通にありますね。

小林: 私の経験だと紀伊山中のとある山道、三十数キロあったのだが、は、最初は1時間くらい掛かったが、慣れてくると夜中でも20分で通過できるようになった。どこで減速するとか旋回を掛けるとか、リズムが分かるには実地で練習して場数を踏む必要があるんだ。

ハヤト: 戦闘機パイロットだってコロナで大変ですが、戦闘機動の練習をしていないと腕はすぐに落ちます。ですがこの作品、そういった乗りこなすのに苦労する描写はほとんどないですね。富士の下りは練習が必要な場所だと思うのですが。

小林: 戦闘機はともかく、少なくとも取材できる部分については実地で試すなり、きちんと考えておく必要はあるわな。それが創作者の良心だと思うが、時代なのかねえ。

ハヤト: 人目を忍んで何かやる傾向が全般にあるあたり、遵法精神は相当低いですね。

 

小林: 最近読んだ話だが、江戸時代の節分の豆撒きは撒いた後、自分の歳より一粒多い豆を拾ってお守りとして取っておいたそうだ。当時は長屋だったから、隣近所に迷惑を掛けないよう、後始末はきちんとしたわけだ。富士山の環境ルールも同じでしょ。あえてそれを破るには、それに値する理由、責任の取り方がなければいけない。静岡県が多額の予算を投じて整備したブル道を「これ見っけ」でバイクで走って使い散らかす行動に正義はないじゃない。

ハヤト: カブや原付が受け入れられている理由にも、考えが及んでないと思います。それじゃ、続きは次回。

小林: ある程度検討が進んだら、いよいよレビューだな。