Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/7/10)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.アニメ「スーパーカブ」12話特集 反省会



ハヤト: 3回に渡って特集してきた「アニメ・スーパーカブ」最終回ですが、このアニメで炎上したのは12話のツーリングだけじゃありませんね。5話の富士登山や11話の寒中救助も方法の問題性から批判の対象になっています。ですが、それを逐一取り上げるのは我々の役目ではありません。

小林: 作品の批評は「作品の批判=作者の人格批判」になってはいけないんだ。作品と作者の人格はあくまでも別の物として扱わなければならない。が、作品というのは作者の人格の一顕現だから、どうしても論じなければいけない場合もあるわな。

ハヤト: ウチのルールは作品批判と作者批判を混同しないことと、類似他作品との比較はしないことです。見る前から心象が形成され、色眼鏡になってしまうからですね。

①バイクの性能を把握する



小林: カブを含む原付バイクのツーリングには独特の要素があってさ、それは動力性能、速度性能、航続能力のどれを取っても一般道路の標準規格ギリギリ、場合によっては下回ることだ。

ハヤト: そうですね、見通しの良い空いた道路があっても、クルマや自動二輪でしたら時速80キロでも出せますが、カブは性能の限界から50キロくらいしか出ません。上り坂ならもっと遅くなる。なので流れの良し悪しはあまり関係ないわけです。車体が小さいので信号で追いついてすり抜けできますし。

小林: それでも安定して出せる巡航速、そこから割り出される平均速度は把握しておくべきだ。スペックを確認すると、作中のカブは52ccでタンク容量は4リットル、3速のODなしで定地燃費は130km/L(30km/h)、実用燃費は40キロといった所だ。となるとリザーブ120キロ、満タン(少し残る)150キロが実用範囲だろう。

ハヤト: 同行する礼子さんのカブは改造箇所も多く二人乗りのハンデもありますのでもっと悪いでしょうね。推定値を出しておきます。

 小熊カブ  礼子ハンターカブ  ハンター二人乗り 
 巡航速度 45km/h 70km/h 55km/h
 郊外平均 36km/h 56km/h 44km/h
 市街地平均 25km/h 25km/h 25km/h
 総平均 33km/h  50km/h 40km/h
 実用平均 28km/h 43km/h 34km/h
 実用燃費 40km/L 35km/L 32km/L
 タンク容量  4(0.8)  5.5(0.8)  同左
 実用航続距離 140km  210km 170km


ハヤト: 1時間ごとに10分間の休憩を入れますと平均は時速28キロ、実は足を引っ張っているのはタンデムの礼子さんじゃなく小熊さんのカブで、進出できる距離は1日300キロが目いっぱいかと思われます。

小林: カフェカブライダーみたいな緩い下手くそだと、二種でも小熊と礼子の中間くらい(平均35キロ)だろう。

ハヤト: これで基礎計算はできました。彼女らのツーリングは1時間あたりの移動距離は平均30キロ、巡航は40キロ以上を維持、給油回数2回といったところです。では、旅程を考えましょう。


②12話の旅を再構成する

 見通しが甘い甘い

小林: 時期は3月半ばで、走行時間は日の出から日没まで、つまり朝の7時から夕方6時としよう。

ハヤト: そうすると日程はこんな感じになります。

(1日目・290km)※端数切り上げ
北杜(7:00)→諏訪湖<点検>(8:20~8:50)→道の駅賤母<昼食・給油>(12:20~13:30)→名古屋市内(16:30)→四日市市(18:00)<給油>


 

ハヤト: ここで打ち止めです。鈴鹿峠を越える余力はありません。そして近くで泊まれる街は四日市しかありません。名古屋市内を通らなければ関ヶ原を越え、彦根で泊まりです。

小林: やっぱり中山道をそのまま行く方が合理的だろう。少なくともその日のうちに琵琶湖は見られる

ハヤト: 原作に名古屋と書いてなければ、私だって彦根まで行きますよ。


(2日目・300km)
四日市(7:00)→大津市なぎさ広場(10:00~10:30)→白鬚神社(11:40)→マキノ市<昼食・給油>(12:30~13:30)→敦賀市(14:10)→鳥居浜海水浴場(16:00~16:30)→舞鶴市(17:00)→天橋立(18:00)<給油>


 
見えるはずだが、なぜか全く映らないプリンスホテル(カフェカブの最大の被害者)

小林: マンガの方はしっかり描いているのに、アニメでは不自然に映らないね(プリンスホテル)。

ハヤト: この場所自体いわく付きですから。2日目は天橋立で打ち止めですが、境港はおろか、鳥取にさえカスリもしません

小林: 高級リゾート地だから飛び込みといっても安い宿はないな。スタンドも18時閉業で、せめて福知山まで行ければと思うがな。

ハヤト: 妙なカッコつけで海辺にこだわる作者が悪いんですよ。ま、カフェカブ大津(宣伝)以外の、無意味な湖岸走行とかサーフィンを切り捨てても届きませんがね(鳥取)。

小林: 自炊とか止めて日程を切り詰めないと、行けても湯村温泉だろう。ここも飛び込みにはハードル高いんだ。


(3日目・290km)
天橋立(7:00)→<山陰海岸>→新温泉町<昼食・給油>(12:00~13:00)→鳥取砂丘(13:40)→境港(17:40)<給油>



 

ハヤト: これは前にも扱いましたね。山陰海岸国立公園で遊んでいたので2時間余分に掛かります。「境港さかなセンター」は閉まってます。宿泊はカニ以外はアニメ通りで良いでしょう。

小林: そろそろ北杜の実家から「帰ってこい」とLINEや電話がガンガン入りそうだな。

ハヤト: その場合はですね、翌朝に堺港から乗り継げば12時間で北杜に帰れます。舞鶴だったら5時間半で済んだんですがね。

小林: そもそも境港を選ぶ時点でワキ道だ。せめて松江くらいまで足を伸ばしておれば。


(4日目・280km)
境港(7:00)→浜田市<昼食・給油>(12:00~13:00)→萩市(16:00)→長門市・湯本温泉(17:00)<給油>


 

ハヤト: 無理すれば海岸沿いを走って下関に着けますが、夜になりますので長門で終了にしました。宿は湯本温泉で良いでしょう。

小林: 湯本温泉はお値ごろな宿もあるにはあるし、これまででいちばんマシな宿泊所だろう。そもそも飛び込みで泊まれそうな場所は、海沿いには下関までないんだよね。海沿いでなければ下関・門司には行けた。が、体力も残ってないことを見れば、この日程では湯本が正解だな。


(5日目・270km)
湯本温泉(7:00)→関門トンネル人道入口(9:50~10:10)→芦屋海浜公園<昼食・給油>(12:00~13:00)→福岡市内<昼食・給油>(15:00)→荒尾市(17:40)<給油>


  国道200号の方が早い

ハヤト: ようやく九州上陸です。この日程で博多に立寄る必要はないと思いますね。交通事情を勘案して門司から博多までは平均25km/hで計算します。玉名名物「あみ漬け」を買う必要があるので、どうしても有明海沿岸に出る必要があります。

小林: 立ち寄らなければ荒尾なら4時には着くので熊本で泊まればいい。国道200号線という久留米直行の良い道がある。これまでもそうだが、作者の変なこだわりがものすごい足枷になっているな。

ハヤト: 「効率ばかりのツーリングはボクはやりたくない」とか、カーグラフィックの古谷徹みたいなことを言うと思うんですよ。


(6日目・230km)
荒尾市(9:30)→黒淵河川自然公園<昼食>(12:00~13:00)→えびの市<給油>(15:40)→加治木・国道10号(17:10)→鹿児島市内(18:00)<給油>


 

ハヤト: 出発時間が遅いと言われるかもしれませんが、小説では「漁港で買ったアミの塩辛(あみ漬け)」がありまして、スーパーでしたら前の日でも買えるのですが、作者の意を汲んで、製造直売元の(有)浜崎つけあみさんの開店時間(9:00)まで待つことにしました。前日は閉店(17:00)しています。書いてあるんだからどうしようもありません。店は長洲港のごく近くです。

小林: 些細なことにこだわって全体をダメにする奴はバイク乗りやヲタク、ラノベ書きに多いよね。

ハヤト: というわけで、出発が遅れたので国道10号に出るのがせいぜいです。鹿児島に泊まるしかありませんね。

小林: もっとも、作者が書いてなくても佐多岬はムリだけどな。着いた所で日没だ。


(7日目・170km)
鹿児島(7:00)→佐多岬<給油、打ち上げ>(12:00~)


 
ポエマーやってる場合か

祝!九州到達! 北杜→佐多岬 1,830km

ハヤト: ついに春を掴まえました。本土最南端の佐多岬です。北杜から6日半掛かったのですが、非力なカブでも最南端まで行けることを現実的なプランで証明したわけです。これはMVP級の栄誉ですよ。

、、公園で小熊がシートを広げ、椎が漁港で買った(呪いの)アミの塩辛(じゃない)を黒パン(どれだけ大きいのか)に挟んだサンドイッチと、礼子が椎に習いちょっとはマシに淹れられるようになったコーヒー(毎昼固形燃料で沸かしていた)で花見ランチを楽しんだ(241p)。

小林: が、喜んでいられるのも今のうちだ。鹿児島からここまで何時間掛かったと思う?

ハヤト: ゴザなんか敷いてますから1時間くらいで帰りはしないでしょう。鹿児島湾を迂回するのに5時間、桜島フェリーを使えば何とか4時間以内に帰れますが。

小林: 作者何も考えていないことは小説読み進めると分かるよね。



③考えなしに書くとロクなことはない

 

小林: これ(パン)も問題あるんだ。岬でサンドイッチだから椎の父ちゃんのパンはここまで持ったんだろう。どのくらいの量か。

※アニメのコミスブロートは一枚100g、3人で300gとすると7日で2.1kg、3.5斤が必要になる。つまり、2斤のパンが2個必要。

ハヤト: 見た感じ、大きさはイギリス食パンくらいに見えますね。彼の店は本格的なドイツパンの店ですから、見た目よりは重いでしょう。

小林: またあのオヤジ、思いっきりでかいの焼いていたからな。コミスブロート(軍隊パン)と言っていたが。

 

ハヤト: 実はマンガではプンパニッケルなんですよ。「ニッケルのポンプ」というドイツ語らしくない言い回しなんですが、「(ニッケルのように)消化が悪い=腹持ちが良い」という意味のようですね。小説の方は黒パンという以外、何も書いてません。ですが見ての通り、1個で7日分は足りません

小林: カロリー高そうだから1枚で足りそうだが、2個だと物理的な大きさがな(箱入らない)。



ハヤト: 飯盒もありますね。1回につき米2合(360g)。到着まで6日分だと2.16kgですが、g単位では買えないので3kg必要です。飯盒にメスティンと同用途の用品は二つも積んでいたのですが。炊く米は現地調達のようです。

小林: カブだけは精密だが、パンの形や大きさが場面ごとに変わったり、飯盒の大きさが伸縮したりといいかげんだ。



ハヤト: あと、着替えもありますね。小説では各々着替えを一枚、下着2セット(226p)と記述がありますが。

小林: 宿は飛び込み、食料はスーパーの上に、毎夜毎夜コインランドリーに行くタスクもあるわけだ。

ハヤト: 食事係、買い出し係、洗濯係と分担を決める必要がありますね。ですが、買い出しと洗濯はバイクが必要になります。ランドリーのあるホテルなら良いのですが。椎ちゃんが食事係、小熊が買い出し、礼子が洗濯というのが順当な割り振りでしょう。

 

小林: でも食事は小熊が作っているよ。

ハヤト: まとまりの悪さがこういう時出ますねえ。


④プリンスホテルの怪

 
(左)夜景にも映らない (右)実在しないビルを描き込んで隠す


(マンガは描いている)なぜかプリンスホテルの存在を徹底して無視するアニメ版


ハヤト: 作品がどうもカフェカブ運営事務局と関係あるらしいというのは薄々わかりますがね。

小林: 各地の報告だと、結構タチ悪いみたいなんだ。路上で酒飲み、公園で焚き火に駐輪、騒音もあるし、一番近いプリンスホテルがたまりかねて抗議したことは想像に難くなく、、

ハヤト: だから作品から排除したわけですか、子供っぽくありません?

小林: これは事務局の注意書きだが、カブラーがプリンスホテルで食事できるほど金あるかはともかく、市民プラザの近くには飲食施設はそれなりにあるよね。大型店のバローもある。飲み食いに不自由する環境ではないはずだが。

ハヤト: プリンスホテルの方向には行ってくれるなという意図がミエミエですよ。でも、このイベント、京都で締め出されたので今後はここでやるんでしょ?




大津市民もビックリ! 実は山ほどある飲食場

小林: ホンダが後援してるのはコロナで軒並み開催中止になったんだが、自主開催とかで2020年もやっている連中いたからな。大津市も本当は締め出したいんだが、許可して後悔とか、口実を探していると思うよ。

ハヤト: その辺の話はマア、大半の視聴者には興味ない話題だと思いますよ。

小林: それじゃ、パート2行こうか。