Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2021/1/20)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.この一年はコロナなので



小林: 毎回毎回コロナの話で始めるのも気が滅入るわな。

ハヤト: GoToキャンペーンも終わりましたし、ま、おとなしくしてましょう。次の更新は6月でどうですか?

小林: それでも良いと思うよ。



2.アングラ言論



小林: この自粛警察なんだが、私は前から公共機関の関係者だと思っている。いや、勤務していなくても、市役所の課長が「〇〇は問題なんだよなあ」とか言えば、忖度した下級職員とかその家族、嘱託が手を染めるケースがあるだろう。徳山医師のような地方有名人の場合はほぼ100%じゃないか?

ハヤト: 徳山氏はツイッターですよ。アメリカの研究なんですが、過激言動の流布に最も影響力のある手段はSNSということです。ウチでも山口二郎氏を巡る諍いはブログの掲示板でしたからね。だからツイッター社はトランプ大統領のアカウントの使用禁止にした。

小林: あの手のメディアの問題として、同じ文章でも見る人間の気分や傾向は各々違うということがある。たまたまムシャクシャしていたとか凹んでいたという場合に気に入らない書き込みを目にしたら、仕返しの一つもしたくなるわな。

ハヤト: ウチはそのケースでしょうね。ですが、途中から傾向が変わった

小林: SNSでやり返すのと、実際に当宅や職場に赴いていやがらせ行動をすることの間には大きな壁がある。普通の人間は行動に出る前にバカバカしさに気づく。それでもやるのだから、それは組織行動の一環か安全の保証が存在するということだ。分限制度で身分保障されている公務員の凶行へのハードルはごく低いと思うよ。というより、他人がやらなきゃ自分がやると。アメリカは実に良い手本を見せてくれたけれども。



ハヤト: 襲撃者は貧乏白人とか失業者といった食い詰めた人々ではなかったようです。トランプ支持者として議場に乱入した中には裕福な自営業者(演壇盗取)もいたようです。多くは元軍人、警察官、消防士といった社会的にも立派な方々です。



小林: 中央の政治家はさ、教養に欠ける言動行動があればすぐツッコミが入るから、ブレーンもいるし、ひどいと言われる安倍・管政権でもあからさまなのはあまりないわな。で、実際に行動を起こしているその他大勢、つまり議場に乱入するような奴らだな、の、思想信条と論理形成に問題があるとすれば、中央のようなブレーキのない危ない生き物のそれが何を読んでいるかはもう少しスポットを当てて良いわな。私は業界誌の精査をすべきだと思うけれども。



ハヤト: ウチで前から問題視しているのはこれですな。株式会社教育システム刊の「月間BAN」、元は受験誌なんですが警察官版SAPIOみたいな雑誌で、なまじ業界紙な分、ヘイトや嫌韓、極右思想がてんこ盛りで、たしかにこんなの読んでいたらおかしくなるでしょうね。

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本が抱えていた法制度上の課題を浮き彫りにした。これを奇貨として、社会全体のDX、Society 5.0の実現に向けて未来志向の規制・制度を構築することが不可欠である。社会が抜本的に変わろうとしている今、技術の進歩に柔軟かつ迅速に対応し、イノベーションを促進する規制・制度の構築が何よりも求められ、、(月刊経団連)

小林: 人の不幸を「奇貨とする」発想自体が常識疑うがな、他の文章を読むと要するにDX、Society 5.0というのは個人情報に好き勝手にアクセスして金儲けの種にしようという計画だな。前は「超スマート社会」という名前だったが、壁にパソコンが埋められているとか、1984を彷彿とさせる悪夢を連想させるので看板を付け替えたらしい。もちろん財界だけではできず、積極的に国に協力してもらうことを目論むお話だ。

ハヤト: ま、読者が限られる分、業界誌は露骨な利益誘導、業界エゴの剥き出しという特徴がありますね。

小林: 個々の発行部数はそう多くないんだ。だから影響力もさほどではなかったが、スマホ時代になって新聞が読まれなくなったでしょ。ネットニュースに出稿するほど気の利いたメディアでもないし、今までもそれでやって来ていた。その体質の古さがむしろ有利に作用したというか。「ここでしか読めない」文章がほとんどだからな。ネットニュースの散漫な記事で心証形成は難しいが、これらはある程度の傾向を惹起するくらいの論理性と説得力はある。

 

ハヤト: 考えてみればトランプ大統領のツィート一つで暴動とかおかしいですよ。ですが、読者が予め先のような読み物で訓練されていて、ツィートに反応するような体質になっていたら、そういうこともありうると。トランプ氏の場合は、出版社を持っているバノン氏が「警察BAN」編集者(ブライトハートニュース)の役割を果たしていたと。



小林: もう少しアンダーグラウンドな読み物だと思うがな、警察BANも警察官とOB以外に読まれないし広報しないのは存在自体に、「自分だけがそれを知っている」という読者の秘匿願望を満足する部分があるわけで。そういった人間は上みたいないやがらせも躊躇なく行うだろうな、「彼には彼の正義がある、理解される必要はない」

ハヤト: そうなってきますと、こういった読み物の動向を検討しない社会学の論説は片手落ちということになりますなあ。

小林: というよりさ、ユビキタスより先に、こういった読み物の内容を公の討議が可能なように国会図書館のアーカイブに献呈すべきじゃないか。月刊誌なんだから月が変わればタダの古紙だろう。古新聞は今でも図書館で読めるしな、こういう書き捨ての偏向言論を野放しにすべきじゃないよ。

ハヤト: これまでウチでも扱ってきた諸々の極右政治家、橋下徹氏から始まり、安倍晋三氏やトランプ氏なども、彼らを支える言論システムの動作機構に注意すべきということですな。その機構の存在は上の方々はもちろん知っているでしょうが、一般には知られていない。多くの一般人は言論は思想の自由市場で自分の判断で必要な情報を取捨選択していると思っている。



小林: 橋下はともかく、トランプは確信犯だろう。だから一度は不仲説が伝えられたバノンを恩赦の対象にした。理由は(メキシコの)壁を巡る資金不正だそうだが、本当の理由は今回の叛乱事件の首謀者がこのバノンだということだろう。

ハヤト: 許しちゃいけませんね。で、新大統領のバイデン氏は前大統領が免責したこの叛逆者をどう始末(恩赦取り消し)するかで今後の政権運営も決まりますし、アメリカそのものの未来も決まるということですね。

小林: ここでバノンに相応の処罰をしなければ、トランプに代表されるアメリカアナーキズムが今後も続くことになり、下手をしたら第三次世界大戦で人類の半分が死に、アメリカという国も終わることになるかもしれない。もちろん民主主義の総本山としてのアメリカはそれよりもっと前にとどめを刺されるだろう。


閑話休題

小林: 夜中までテレビを見ていたが、議事堂に対する再襲撃ということもなく、バイデンは無事に大統領になったみたいだな。

ハヤト: 就任演説はオバマ氏の時よりも目指すべき像が明確だったと思います。まあ、直近にトランプというアメリカ政治の悪を体現したような存在がいて、呼びかけもしやすかったという事情はありますが。演説の内容はウチ以外では左翼視されているリベラル、その典型的なインテリのそれでしたね。対話と互譲、共通の価値の追求、真善美に重きを置くなど。これが普通なんですがね

小林: 聞いた話では、今や民主共和は党派対立が行き過ぎていて、異なる政党の議員は互いに口も利かないという。そういう点、政治経験が長く、良い時代を知っているバイデンは大統領に適当な人物かもしれないな。直近まで彼を批判していたマッカーシーやペンスを式典に呼んだことが報じられたが。

ハヤト: そのリベラルという言葉も再定義してもらいたいですね。日本じゃ急進左派ですから。これも拡めたのはアメリカ人でしょう?

小林: 普通はニューディールからジョンソンくらいまでの福祉国家・行政国家を指すわな。サッチャリズムやレーガノミクスの前の主流だった政治思潮。つい最近読んだ本に与謝野晶子平塚らいてうの比較があったが、筆一本で子育てした明治女性で女性の自立を訴えるのが晶子で、出産や堕胎など女性特有の事情を重視して、これらは国家が保護すべきと主張したのがらいてう。リベラルって分かりにくいけど、らいてう的な考えだといえば例えになるかな?

ハヤト: ま、行政国家の肥大化とその行き過ぎの話はここで語らなくても良いですね。社会科の教科書を読めば良いです。しかし、70年代に行き詰まったからといって、リベラル的な傾向の全てが悪いわけではない。女性の出産助成は必要ですし、我が国でも最も財界寄り、国家主義的な人でもこれを批判する人はいませんね。

小林: その女性の子育て扶助はニクソン時代には「主婦貴族」とか言われて本当に批判されていたんだ。



ハヤト: アメリカ政治では盛んに「分断」という言葉が言われていますが、今一つピンと来ません。大地主でもなく、賛同する州政府もないトランプ氏が南北戦争を引き起こすような対立を生めるとは思えないのですが。

小林: 日本とは違うアメリカ政治の特質があるわな。アメリカでは政治家は昔の戦国大名みたいに予備選挙の段階から自前で支持者を募り、勢力を大きくしてのし上がる特徴がある。だから与野党の候補者も日本みたいに「タレントで人気がありそう」では選ばれないし、たとえそういう人物でもマシーンズ(政策機構・支持母体)は自前で作り上げる必要がある。民主党の予備選挙の顔ぶれがブディジェッジ以外は高齢者ばかりの「ザ・老人ホーム」と化していたのも、知名度や人気取りではなく実力を重視する志向の現れだ。

ハヤト: 日本は小選挙区制の導入と小泉政治以来、党執行部が政党の中心的役割を果たしていましたが、アメリカにはそういうものはなく、党議拘束もない。党より候補者という傾向が強いですね。議案も一人から発議できますし、登壇時間にも制限がないですから、政治家の個性や力量は日本より重視されている。

小林: その群雄割拠的制度を育てたのも同じ小選挙区制というのが皮肉だが、そのせいで資金集めに長けたオバマや事業家のトランプなど政党とはかけ離れた候補者を擁立することができるわけで、しかも、それを執行部も阻止できない。彼らも個々に支持者のいる群雄の一人だからだ。

ハヤト: 話を戻しますと、そういう事情ではアメリカ政治の分断というのは、民主主義のルールに反したトランプ一派とその他アメリカ国民との溝と対立ということになりますね。

小林: 従来型の支持層には支持を期待できなかったトランプは共和党内でも大きな勢力を持つが極右のキリスト教右派に近づき、また、民主共和からも見放されていたラストベルトの貧乏白人を取り込んだ。資金集めの方法はオバマを師表に仰いだんだろうな。やり方はともかく、ここまでならまだ許容できた。日本でもそうだが、右派の戦術の多くは元を辿れば共産党や急進左翼(山口二郎とか)が発明したものが多いからな。連中の独創性のなさは呆れるほどで。

ハヤト: 方法はともかく、アメリカ民主政のルールに従っている限りではトランプ氏も許容できたと、しかし、退任間際の言動行動がいけません。



小林: トランプとその一派がクーデターをも辞さない、民主政治のルールを全く尊重しない集団だと明らかになってしまったからな。そういうものとはアメリカ人は共存できない。だから「分断」と呼ぶわけで。単なる貧富の差が問題じゃないよ。しかも、選挙制度の特徴でトランプと彼ら過激主義者との間には強固な紐帯がある。これは本当に討伐軍を差し向けて鎮圧しなければいけないものかもしれない。この辺の感覚はアメリカ人じゃないと分からんかもしれないな。

ハヤト: トランプ氏が末期に不人気だった理由は明白です。コロナが流行して1年近く、彼はほとんど指導力を発揮しませんでした。ニューヨーク州のクオモ知事との不毛な対立など、国民の生命と財産を預かる人物にしては疑問のある行動が多すぎました。今でもワクチン配布の非効率と遅れが指摘されていますね。

小林: そのくせ郵便投票の妨害に勤しむなど、国家的危機に対して私利私欲の追求が著しかったことも不評の原因だろう。普通は負けるはずのない選挙だった。

ハヤト: この問題はそのまま日本に持ってこれるんですかねえ?

小林: かなり事情が違うわな。ただ、アメリカという国には主として諜報機関が他の国の内政に首を突っ込みたがるという抜き難い悪癖があり、中米なんかひどいわな。日本でもやっているから、ここでの例外事例が一般化されて持ち込まれるという変なことはあるわな。リベラルの過度な広範化と濫用なんか、アメリカ政治の影響抜きには説明できないじゃない。

ハヤト: 元は商売言論なんですよ。アイフォンの液晶パネルがグランドキャニオンを埋めるとか、そういう営利言論がいつしか政治の世界にも持ち込まれ、大げさで過激で極端な話法が普通のものになってしまった。アイフォンを売るにはその方が良かったのかもしれませんがね。

小林: トランプは豪華ホテルのオーナーで夢を売るのが商売だ。眉をしかめる過激言論も表現も、実は彼にとってはそれほど悪気はなかったかもしれないな。多分そうだと思うし、最初に大げさにぶち上げて動揺した相手に妥協案を探るという手法も何回もやられるとバイデンにも見透かされる。それにこのやり口はトランプは商売で多用したかもしれないが、政治の世界ではヒトラーなど独裁者の常套手段だ。

ハヤト: では、今回はここまで。