Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2020/1/11)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



[ベイルート 10日 ロイター] - 保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車(7201.T)前会長カルロス・ゴーン被告を巡り、レバノンのセルハン暫定法相は10日、日本に提出を要請した捜査資料が40日以内に届かない場合、ゴーン被告に対する渡航禁止令の解除もあり得るという考えを示した。



小林: ゴーン逃亡で一躍有名になったこのおじさん、レバノンのセルハン法相なんだけど、どんな人なんだ?

ハヤト: ライブラリアンの私がお答えします。レバノンのようなマイナー国の法務大臣なんてウィキペディアにも載っていないんですが、こんな人です。


アルベルト・セルハン(Albert Serhan)
・1950年カウア(レバノン北部)生まれ
・セント・ジョセフ大学(レバノンの東大)卒、法学博士
・1977年 行政裁判所判事
・カスリク聖霊大学講師(公法)
・エネルギー大臣顧問
・~2018年 行政裁判所長官
・2019年 暫定法相
 

ハヤト: 結構立派な経歴でして、行政法の専門家で行政裁判所長官(最高)まで務めた元裁判官行政法の専門家すね。欧米への留学歴は分かりませんが、たぶんあると思います。テレビではアラビア語喋っていましたがね。



小林: このおばちゃん(森)に勝ち目あると思うか?

ハヤト: 森法相は典型的なインスタントキャリアの弁護士です。20代後半で司法試験に受かって弁護士会の留学制度で短期研修、あと金融庁ですか、アナタが嫌いな大津市の越直美氏と同じような人ですね。ま、キャリアを誇るなら実績を示せということですね。

小林: 要はこれ(森)のままでゴーンに対抗できるかということだが、他も似たようなものだし、更迭しても同じだろう。でもこれでゴーンが急に(それまで蔑視していた)レバノンの裁判所を評価しだした理由が分かったぞ。

ハヤト: ゴーン氏の処遇は法律的には案外きちんとしたものになりますね。テロか内戦のイメージしかなかったんですが。「(精査して有罪ならば)送還もありうる」というのはたぶん本当でしょう。それとこの人は大統領と同じキリスト教徒です。ゴーン氏も同じですね。

小林: ちゃんとした法律家なら、おそらく人質司法への怒りは大臣も共有しているだろう。ODA200億円をチラつかせて脅すなんてのは逆効果だ。

ハヤト: 次席検事には有罪を立証できる「高度の蓋然性」があるのでしょう。処罰権だけ留保して、送れば良いんですよ(笑)。何か問題あります?



「有罪を証明するのは検察であり、無罪を証明するのは被告ではない。ただ、あなたの国の司法制度はこうした原則を無視しているのだから、あなた(森)が間違えたのは理解できる(ジムレ)」

小林: 21世紀にもなって、何でこんな幕末の日本みたいなことを言われなけりゃならんのだ。



2.案外まともとは分かったが(レバノン)




ハヤト: あわわ、これ元特捜検事の言葉ですよ。「本当に証拠が~」って、そんなこと本当にあるんですか。





小林: 本当にあるからそう言うんだろう。が、恐るべきは彼がフォローしたこの有本という女とその取り巻きの言葉だろう。本当に圧力が効果あったと思っているのか。青山とかいう議員のことはあまり知らないがな。

ハヤト: ま、知らなくても良いです。ただこれだけは言えますね。我々は新しい人が出てきた時にはその人物のプロファイリングを必ず行います。ですから、ゴーン事件で挙げられた多くの人物についても情報を集めて人物像を作り込んでいくわけです。レバノンは日本から見れば取るに足らない小国ですが、だからといって相手の分析をせずに交渉に臨んで良いとは思いません。

小林: 今まで見た感じでは、極めて法律家的、理知的に交渉を進めて論理的に結論を伝えている感じだな。直前まで日本政府批判を決めていたゴーンに自制させたのも法律家の第二の天性である衡平によるものだ。レバノンなんか数日前までは意識もなかったが、認識を変えることとしたい。思うに青山なる議員が主張しなくても、セルハン法相は同じ結論を下しただろう。それで十分説明がつくからだ。

ハヤト: ええ、分かります。安倍政権の脅しなんか効果なかったんです。それに200億くらいの金額、ゴーン氏や彼を支持するレバノン商人にとっては調達するのにさほどの苦労はありません。それとおそらくフランスでの裁判を考えていたゴーン氏が考えを変えたのも、このレバノン法曹界が案外優秀であることもあるかもしれません。

小林: この大きさの国だと、自力で法典を作るだけの力はない。旧宗主国のフランスの法律理論が大きな力を持つはずで、そこで十二分な訓練を受けた法律家がいるとすると、これはレバノンで裁判やってもフランスは承認するかも知れない。

ハヤト: で、ゴーン氏にレゼパセを渡したサルゴジ氏ですが、このあたりがゴーン氏が脱出行を公にしない理由だと思いますが、大統領時代のレバノン内戦では和平にかなりの精力を費やしています。レバノン政界との繋がりは現在のマクロン大統領よりも強く、思うに脱出シナリオを書いたのは彼ではないでしょうか。

小林: すでにレバノンにいるんだし、トルコで5人も逮捕されたことを見れば、ゴーンが脱出の経過を隠す理由はないわな。敢えてあるとすれば、それはレゼパセで、サルゴジの承諾がない限り、彼は事情を公にはしないということか。奥さんの罪を被ったり、ケリーを励ましたり、弘中弁護士に慰留を勧めるなど、これまでのところリーダーの度量を示しているゴーンがテイラーとトルコ5人組だけには冷たいのは解せないと思っていたが。

ハヤト: サルゴジ氏はセルハン外相とレバノン法曹界が事件について一定の結論を出すまでは動かないと思います。だから、ゴーン氏の立場もそれまでは現在のままです。フランスの政治は見るところギクシャクしているようですから、彼はゴーン氏の故郷のレバノンが突破口と考えたのでしょう。



閑話休題

小林: 2019年は我が国の政治と法律が第三世界の最貧国の一つにも劣ると記憶される年になるかもしれないなあ。

ハヤト: 予算に占める教育費も低くはないです。レバノンの歳出で教育費は防衛費に次ぐ二番目で14億ドルあります。国民一人あたりでおよそ2万3千円、我が国は3万3千円ですが、我が国の教育費は予算の4%にすぎません。それに対し、レバノンの教育予算は9%と倍以上です。内容については不十分が指摘されていますがね。該地でのドルの価値を見れば、実は日本より潤沢ともいえるでしょう。海外(主として北米)での専門職大学院の在籍数も多いです。

小林: つまり、ゴーンたちが週300ドルで節倹生活している分は子どもたちの教育費に廻されるわけだ。予算の配分はその国の政策性向と密接に関連するからな。反面、日本では多い地方交付金とか公共事業の比率は低い。

ハヤト: 小さい国です。日本のように利権に汲々とするよりはむしろ子女を教育して海外に出ていったほうが良いと考えているようですね。それと国家経済がGDPの15%というのは日本並みです。あと、言われている送金収入については資料がありませんでしたが、教育や医療の分野での民間セクターの貢献もなかなかです。

小林: 外務省のレポートを読むと毎日銃声がして殺人の多いとんでもない国に見えるが、問題はあってもそんなに悪くない国に見えるな。

ハヤト: ゴーン氏の逃亡以降、にわかレバノン専門家が多くなったのですが、ほとんどが汚職まみれの国だから札束で脅せばよいという論調ですね。しかし、汚職にまみれていても民度が低いわけではなさそうなのですよ。

小林: 舐めてかかるとえらいことになりそうだ。

ハヤト: では、今回はここまで。