Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2020/1/9)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



小林: ま、西川は逮捕の初日から、事件はゴーンの不正が報告されたからで、クーデターではないという言い分だからな。ハリ・ナダと川口が不正を監査役の今津に相談し、報告を受けた社長の西川が検察に告発した。西川にとっても事件は「寝耳に水」で、これはクーデターではないというのが彼の言い分で、告発者のハリ・ナダが法務部で捜査の指揮を執り続けている最大の論拠になっている。

ハヤト: しかし、西川さんには幹部に説明の義務があるはずです。ケリー氏が立案した極めて複雑なゴーン氏の報酬体系、現在では全て不正とされているもの、の、書類にサインしたのは西川さんなのですから。彼は書類の内容については「理解していない」と発言していますが、これは監視義務違反で彼は責任を負わなければいけません。少なくとも巨額の財産譲渡につき必要な知識を有さなかった取締役に、事件以降、会社の指揮を執り続ける理由はありません

小林: 西川の言い分が正当なら、今津の次は臨時役員会を招集し、役員らに事情を開陳して、法令(存在していなかった)違反の部分については役員に同意を求め、改訂案をゴーンに示すべきだった。ゴーンが原案を強行すれば、決議に不賛成とすることで、少なくとも彼の責任は免れる。

ハヤト: 必ずしも不利な状況ではありませんでした。役員会には18年から経産省の豊田氏がおり、他の取締役も一部を除いては必ずしもゴーン氏一色というわけでもありません。西川氏は社長で、これが法律的・道義的に疑義のある案件でしたら、是正はさほど難しくなかったと思います。会社名義の不正資産が整理され、ゴーン氏の役得が減るだけの話ですからね。ただし、状況の帰趨によっては、ゴーン氏か西川氏のどちらかが会社を去ることになったでしょう。

小林: ところが西川は報酬をめぐる事情については説明を避け、一方的に断罪して会長を刑事被告人に追い込んだ。刑事法の分野では、彼が業務上横領の共犯であることは証拠上明白だったのだから、これはハリ・ナダ同様、捜査協力の見返りとして訴追されない。つまり、司法取引したと考えるのが自然だ。

ハヤト: ここが思案のしどころなのですよ。西川さんは最初は事情を知らず、①報告を奇貨としてゴーン氏を追い出したのか、それとも、②最初から追い出すつもりで一味に加わっていたのか。ゴーン氏は後者だと公言していましたが。

小林: その後の行動を見るに、これは後者だと判断せざるをえないな。



2.もはや「負け犬の遠吠え」



小林: クーデターと判断できる理由はいくつかある。ゴーンが本当に犯罪者なら、逮捕により欠格者の不良役員を放逐したのだから、その後はルノーから同条件で新会長を迎えれば良いだけのことだ。経営を混乱させたことを侘び、横領の実態を告げ、その後の処分は新会長に一任とした方が遥かに潔く、彼にも会社にもダメージが少なかったはずだ。

ハヤト: 実際は、そうではありませんでしたね。資本関係の見直しやルノー新会長のスナール氏の会長就任拒否、FCA合併拒絶など、西川氏の指導の下、事件を機にルノーから独立して分派行動を始めたかのような日産でした。また、新会長、結局会長職自体廃止になりましたが、も、日本経団連を中心に人選を依頼するなど、傍目から見ても明らかに反フランス、脱ルノーの動きを強めていました。RAMA協定を反故にしたルノー株の買い増しなども検討され、志賀俊之氏ほか、親ルノー・ゴーンとみなされた役員、執行役員は社を去りました。そしてそれらの動きは逐一経産省を通じて官邸に報告されていました。

小林: 戦略面でも変更があり、「脱ゴーン」の旗印の下、インセンティブ販売が停止され、1万人以上の社員、主として外国人がレイオフされた。この拙劣で強引な退却は販売網にダメージを与え、翌年の減収減益の原因になったが、これは「ゴーン路線を否定する」以外に必然性も必要性もないものであった。同様の事件がなかった他社のダメージは自動車不況の中にあり、全ての会社で日産よりも小幅であった。

ハヤト: ゴーン氏個人の犯罪のみが問題ならば、経営路線には変更がなかったはずです。なぜならば、それは取締役会の決定事項であり、決定は全社的意思であるべきだからです。決定の方法に瑕疵がない限り、ゴーン氏個人の犯罪でそれが揺らぐことはありえません。



小林: 釈放されたケリーの告発で西川が失脚した後の日産は委員会設置会社になり、経産省出身の豊田が主導的な立場に就いた。彼は社外取締役だが、指名委員会と監査委員会という2つの重要な委員会に席を占め、事実上、現在の日産を仕切っている。ルノー会長のスナールは指名委員会に席を占めるのみで、監査委員に就任したボロレはまもなくルノーを去った。ルノーの役員でもあった山内も影響力を失い、ここで日産の「日本化」はほぼ完成した。

ハヤト: あと、西川社長の下で執行役員のハリ・ナダ氏を中心に、検察に協力の名目で大規模な捜査活動が行われました。動員された監査部員は200人以上、捜査に要した費用は2億ドル(200億円)といわれており、これはゴーン氏による「損害(実際に支払われたもの)」を遥かに上回る金額です。時に検事を伴う強引な捜査手法は時に不法性を帯び、ルノーから抗議されたほどのものです。

小林: 昨日検察が得々と開陳した故ジェブラン弁護士のメール(GFI→SBA)などは違法収集証拠の典型で、捜査共助に非協力的だったレバノンから令状もなしに、どうやって守秘義務のある弁護士のパソコンを入手したのか、今だに分からない。あと、ルノー従業員を脅迫して証言を求めた例もあった。またバフワンでは検事と日産幹部が販売権を盾に罪を認めるよう強要していた。宣伝活動にも余念なく、サウジ通貨庁の理事であるジュファリ氏はリークにより「マネーロンダリングの首魁」と誹謗された。そして社内では北米日産の査察が行われ、ゴーンの腹心で社長だったホセ・ムニョスが横領の疑いを掛けられて社を追われた。その後ムニョスは週刊誌により「北米日産をインセンティブ漬けにした主犯」の称号を賜っている。



3.「裸の王様?」



ハヤト: ここでハタと考え込むわけです。単に監査役から報告を受けただけで、これだけのことができるものだろうか、また、する必要があるものなのか。必要があるとすれば、それは予め入念に計画され、日産からルノーやフランス政府の意向を排除するための策略ではないかと。だとすれば、西川氏もグループの一員というのが、もっとも合理的な説明ではないか、と。

小林: 今や西川とゴーンに指名された5人組以外の誰もがそう思っているわけだ。その点、1年経っても当初の説明に固執している西川は「裸の王様」で、哀れといえば哀れだ。

ハヤト: 会見でゴーン氏は日産の一連の謎の動きに納得行く説明をしてくれました。そもそもの原因はフロランジュ法であり、当時のマクロン経済相の強引な政策が日産に反ゴーンの機運を生じさせた。そこで西川氏も含む反感を持つ役員のグループが経産省に働き掛け、経産省からは同省の意向を伝える者として豊田氏が送り込まれたわけです。ゴーン氏の力は強大だったので、彼らは水面下で彼の弱点を調べ上げ、西川氏は報酬契約につき沈黙することで元ボスを特別背任の犯罪者に仕立て上げました。計画の実行には経産大臣だった世耕氏の後ろ盾に官房長官の菅氏がいて、エクスキューズをしたことがあります。

小林: しかし、ここで疑問に思うことがある。ハリ・ナダと日産監察部のやり方は諸事荒っぽく、洩れもあるようであり、刑事裁判よりも民事裁判を目的にしているかのようだった。民事裁判には違法排除法則の適用はないが、刑事裁判では脅迫や略奪含む強引な手法で確保された証拠は全て無効とされる。

ハヤト: そもそも捜査費用を日産が支払うというのも変な話です。刑事事件でしたら捜査権は国家の専権で、真実解明の義務は日産ではなく国家にあります。日産が捜査する必要はないのですよ。それが2億ドル、業績の低下も相まって、株主代表訴訟を提起されても良いレベルです。

小林: ここにはたぶん錯誤があるな。当初はたぶん虚偽記載特別背任(新生銀行)以外の件で立件するつもりはたぶんなかった。ゴーンを一時追放できれば、残りの案件は民事裁判でというストーリーだと思うが、菅が動かしたのは特捜部、元より捜査リソースに乏しく、窮余の一策で日産の捜査活動に便乗したことが泥沼への一歩となった。刑事裁判の実現にはより高い精度の証拠が必要になり、行きがかり上日産も協力せざるを得ず、捜査の規模は国際的になり、無限定に拡大したわけだ。これは西川も想定外だっただろう。

ハヤト: 計画に関わった誰もが失脚させたゴーン氏の精神力の強靭さ、誇りの高さを過小評価していたことがありますね。結局、彼は日本脱出までして着せられた「冤罪」に抵抗するのですが。彼が最初の起訴で虚偽記載をアッサリ認めていれば、実は金融庁も規定していなかった案件ですし、刑といっても大したことなく、場合によっては司法取引も許し、この件は今頃終わっていたかもしれませんね。



4.没落するしかない日産、そして日本



小林: それでも首謀者である西川や豊田、世耕や菅の評点を甘くするわけには行かない。特に西川は企業家でありながら計画が頓挫した時のオプションを考えていなかった過失がある。ゴーン事件が想定外に難航し、業績も振るわないのであれば、その場合に備えて次の計画を立案し実践する必要があった。彼にそういう頭のないことは、先のコメントでも分かるだろう。もはや彼以外誰も信じていない「ゴーン不正行為説」にしがみついているのは、彼に状況判断力と適応力、ゴーンがふんだんに持っているものがない証拠になる。

ハヤト: 西川氏の資質が不足なら、他の誰かがそれを持たねばなりません。特捜部を動かした菅官房長官は捜査を中止させる必要がありました。事件は国際問題になり、すでに検察庁の手に負えないものになっていたからです。有価証券報告書と新生銀行だけなら国内で済んだものを、事件は各々の主権の交錯する、前例のない領域に入り込んでいます。

小林: 東京地検の特捜部長、次席検事も同罪だ。彼らは無謬神話に囚われ、いつ果てるとも知れない捜査で日本司法の評判を地に落とし、しかもまだ決着する様子がない。「検察官一体の原則」が機能しておれば、捜査を適正に打ち切ることは次席検事の責任のはずで、上級検事の仕事は情報リークで自己正当化に汲々とすることではない。

ハヤト: このように事を起こしてみたものの、誰も責任を取らないという構図が背後にあり。偏向報道と人権蹂躙の悲劇だけが延々と繰り返されたわけです。そして今の安倍政権は「決断できない政府」です。



小林: フランスにも失策がある。そもそもこの事件の端緒はマクロンの失政によるものだ。当時フランス政府との交渉を担当していたのは西川で、交渉で煮え湯を飲まされたことで彼を中心とする反フランスクーデターの種が撒かれた。が、このことにつき大統領となったマクロンに釈明はなく、自国民であるゴーンをすら積極的に保護しようとはしてしない。「黄色いベスト運動」に端を発する、民衆の不満を恐れているからだ。

ハヤト: どこかで機会を作らなければいけませんね。ワシントン・ポストはゴーン氏と日本検察の和解を勧めています。

小林: ゴーンも期待してないでしょ。



5.レバノン出国禁止



ハヤト: どうせ当面出る気ないんですから良いでしょう。日本の要請に対する、これは盾でしょうね。それに彼のパスポートはどうも問題あるようです。入国はできましたが、さらに外国に行くには不便なもののようですね。入国の場合は受入国の査証(ビザ)を要求しています。フランスに対してですがね。



小林: サルゴジが渡したのはレセパセ(緊急パスポート)のような片道切符のそれだろう。つまり今のゴーンはレバノン政府が再発行しない限りパスポートは持っておらず、ま、言いようによってはアルノーの言うような「狭い牢獄から広い牢獄」に押し込められたといえ、夫人も国際手配されているから、まずはこのICPOによる制限をどう取り去るかが当座の課題となろう。

ハヤト: 記者会見を見て、ハーバード大学が講演を依頼したそうですが、その際は外務書記官にでも任命してもらって渡米するんですかね。

小林: 国連大使に任命されれば、キャロル夫人も含めて、どの国も逮捕なんかできないよ



閑話休題

ハヤト: ま、これまでの流れを見やすくまとめたというものですが、こうして見ると西川氏含む日産側、ゴーン氏側双方の言い分が分かるような気がしますねえ。ですが、作成に際しゴーン氏の会見要録が役に立ったことは言うまでもありません。

小林: こうしてみると、より簡便で傷の少ない方法はあったにも関わらず、故意と過失で事態を泥沼化させたことには、陰謀と言われても仕方ないものがあるな。日産と三菱は、もうダメなんじゃないかと思う。うまく収めておれば、今頃は1,500万台の世界最大の自動車グループで左団扇で要られたものをと思うと、経営判断のミスは恐るべきものがあるな。

ハヤト: 会見録は多岐に渡る問題を時に証拠を交えながら、端的にかつ明快にまとまっていました。この被告人による「一方的な主張」が問題の解明に光を当て、視聴者に事件に対する視角を提供したことは間違いないでしょう。

小林: 安倍シンパとバンダイビジュアルのナードが良く誤解していることだが、公平というのは客観的にあるものではなく、見聞きした人間の心の中にあるものなんだ。仮に事実を述べたとしても、一方の口を封じたまま、このようなことを言っても公平な心証は形成されない。

「ゴーン被告は正規の手続きを経ずに出国しわが国の司法制度の運用に大きな問題があると一方的に批判している。妻のキャロル容疑者と自由に面会できないことを非人道的な取り扱いだとする同情的な論調もあり、強く是正する必要があると考えた(東京地検)」

「潔白というのならば、司法の場で正々堂々と無罪を証明すべき(森法相)」

ハヤト: サプリメントや栄養剤に似てますね。例えば「コラーゲン」といっても、食べたものがそのまま使われるわけではありません。消化管で吸収され再合成されます。しかし、不必要なものは再合成されない。これまで日本政府、特に検察はゴーン氏の自由を奪いつつ、膨大なリーク記事で個人を社会的に抹殺する一方的な主張を繰り広げてきました。しかし、同じような言葉で過大なものは頭に入らない。

小林: どう判断して良いかの尺度がないからな。



ハヤト: 効能という点で言うと、森製薬や検察サプリより、ゴーン栄養剤のほうがバランスが取れていて滋養があったのですよ。日産ケミカルも原材料のトレーサビリティが不安です。

小林: ゴーンも飲み過ぎは良くないが、検察サプリの健康被害の方が大きかったからな。そうやって比較して体に良いものを選べなくてはいけない。それが弾劾主義だ。検察や裁判所を支配していたある種の考えは、施用者にとってほとんど偽装表示になっていた。ある意味、日産以上に大ダメージを受けた日本司法だが。

ハヤト: では、今回はここまで。