Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2020/1/9)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



小林: 実況中継しないかと思っていたが、テレビ東京が許可されたので全く日本メディア抜きということはなかったようだ。この人物の論法については一年前の勾留理由開示やビデオで分かっているから、実を言うと、あまり驚くような内容はないだろうと思っていた。もっとも、間を置かずにCNNが独占インタビューを行う手筈だけども。

ハヤト: 視聴した感想はどうでした? 私としてはゴーン氏の話術は認めつつも、自己主張に終始という印象でしたが。あと、会見が英語、フランス語、アラビア語で行われたため、フランス語とアラビア語の部分は分からなかったですね。

小林: フランス語については日テレが後で通訳を付けたけど、アラビア語は結局翻訳しなかったからな。ただ、この人物の論法からしてターゲットを絞り込むだろうとは思っていた。具体的に言うと、政府に対しては検察、日産に対しては彼を追い出した五人組(西川、ハリナダ、豊田、川口、今津)

 日本検察: 法を犯して出国したと言うが、条約違反の人権蹂躙とマスコミのリークを通じてはるかに法を犯しているではないか。
 日産: 「独裁者ゴーン」と主張しているが、事件以降、株価は下落し続け、捜査のために2億ドルも費やしているではないか。
 ルノー: (政府の面子が)何もできないくせに口を出してFCAとの合併を反故にしたばかりか、ベルサイユの費用は先に払っている。

ハヤト: あと、忘れてはいけないのは、会見に先立って彼の弁護士グループが日本検察の非を鳴らす声明文を出していることです。そうなると、今回の会見は翌日がICPOの通知を受けたレバノン検察の諮問ですから、強制送還されないことが狙いだったのでしょうか。



 安倍晋三首相は8日夜、キヤノンの御手洗冨士夫会長らと東京・銀座の日本料理店で会食した。金融商品取引法違反の罪などで起訴され、レバノンに逃亡した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告についても話題になった。同席した自民党の河村建夫・元官房長官によると、ゴーン被告の記者会見も話題になり、首相は「本来、日産のなかで片付けてもらいたかった」と語ったという。

テレビ東京記者の質問:「なぜフランスではなくレバノンに逃げたのか」
ゴーン:「それは『ロジスティクス』だ。」

ハヤト: この言葉が気になりました。「ストラテジー(戦略)」でもなく、「ホーム(故郷)」でもなく、「ロジスティクス(兵站)」と言った言葉にはどんな意味があるのでしょうか。

小林: ゴーンはレバノンに来て日が浅いし、この国の政情不安定を熟知しているが、長い戦いを戦い抜ける資金を生み出せるのはレバノンしかないことも承知している。ここでは彼はワイン工場を持ち、いくつかの会社や小さな銀行も保有しており、これらは彼の日産資金で作られたものではなく、父親から相続したものだろうが、他に国籍のあるフランスやブラジルではそういったリソースは期待できない。つまり、彼がレバノンを目指したのは必然だったのだ。

ハヤト: ま、他にもあります。彼の娘キャロラインは9百万人のSNSを抱えるキャリアコンサルティングの成功者で、ある意味、古い産業の父親以上にやり手の事業家という評判です。彼が金に困ることはないでしょう。

小林: 奥さん指名手配してもこれがいるからな。ある意味キャロル夫人以上に手強い相手で、これがゴーンの振り付けで本気で安倍自民党を倒しに掛かったら、中東マネーもあるし、かなり手酷い目には遭うと思うよ。

ハヤト: ただ、会見でもゴーン氏は自分を陥れた西川氏以下の人物や検察や、再三夫人との面会を求めた彼に「なぜそんなに奥さんに会いたいのか」と言ってのけた山下判事(陪席裁判官)と、焼き鳥店の店主に代表される一般の日本人とは区別していました。検察などは「民主主義の敵」とまで言いましたが、市井の人々の示した優しさには、むしろ感銘を受けていた様子もありましたね。

小林: そこだけ分かってくれていれば、まだ奥の手はあるはずだが、この会見はこれでいいんだ。

ハヤト: あと、意外な点もあります。「公正な裁判」を受けられるなら、彼は日本で民事裁判を受けても良いと言っていました。

小林: ゴーンの目的はフランスで裁判を受け、そう遠くない未来に経営者としてカムバックすることだ。会見で見せたエネルギッシュなカリスマ、今の沈滞としたムードと見比べて、1,500万台の自動車企業を束ねられるのはこの人物しかいないと観念したのは、おそらく日産とルノーの社員だと思うよ。あと、保釈中のケリー、出国の際に置き去りにした、にも配慮を示している。やはり度量の大きい人物だ。



2.総覧して



ハヤト: 実は会見の直後に日本テレビで「激論」と題してゴーン会見を辛坊治郎氏以下、安倍首相よりの識者で分析する番組が放映されました。元特捜検事が「そういう主張は裁判で無罪になってから言え」という言葉には血も凍るものを感じましたが、彼らも十分な批判ができないまま、竜頭蛇尾で番組を終えてしまったことがあります。ゴーン氏の主張自体は今まで流布されてきたもので意外性はなかったのですが、十分な反論を用意できなかった識者にも不満足なものを感じましたね。

小林: 連中は少し頭が悪く、大方針として「ゴーン反論は明らかな違法行為である出入国法違反で」という大前提に囚われすぎているから、平凡な論点にも対応できなかったんだ。しかし、ゴーンの説明を聞けば、この論点での争いは分が悪い。なぜなら、彼は人格破壊や生命の危険があったことを強調し、そこから脱することは「人生最大の決断で、やむを得ないこと」と説明しているからだ。

ハヤト: その説明には説得力があり、冷笑では対処できなかったと。

小林: 勾留理由開示の演説ですらゴーンに軍配を挙げたNYタイムズ、大概の欧米メディアなら、こんな面子がどう言おうと結論は見えている。ゴーンの日本送還はなくなったし、アメリカに出国しても、彼が送り返されることは無いだろう。普段ゴーンに冷笑的なフランスのアルノーすらそう言っているんだ。

ハヤト: 我々としては日産ガルフやベルサイユについての説明が、以前我々が検討した内容と同じだったことには、マア、溜飲を下げましたね。ベルサイユのペガード女史がゴーン氏に送りつけた請求書には「会場使用料0ユーロ」と記されていましたし、後でルノーに請求したんですがね。ガルフについてはやっぱりトヨタのジャミール商事を意識して手本としたことはゴーン氏自身の言葉で語られました。

小林: ウチの立てる仮説も結構ポカが多いが、肝心な部分は外さなかったことには、やはり気分の良いものを感じるな。会見ではなかったが、NMBVの件も当たりだろう。悪かったなマーベリック法律事務所。

ハヤト: アナタ、実は故意に要請を拒否して問題を拡大させ、マベリック氏を弁護過誤でやっつける案を検討していたでしょう?

小林: それで損をすることはウチには何もないからな。むしろゴーンさんに褒められて、イクシールのワイン何ダースかもらえたかもしれん。あんな女(ザコ)なんかどうでも良いんだ、三菱の益子を引きずり出してこの件に引き込めれば。ただ、ウチも三菱車乗っているからねえ。ディーラには良くしてもらっているし、それで聞いてやることにした。それだけの話だ。路傍の小石(三菱の部長)には興味はないのよ。

ハヤト: ゴーン氏も今回は日本政府関係者の名前は伏せ、レバノン政府と安倍政権に恩を売りましたが、明らかにカードをまだ持ってますよねえ。



閑話休題

小林: 検察に色々持ってかれて会見に使える資料なんか残ってないだろうと思ったが、案外会見になっていたので驚いている。それと弁護団の連名にアブジョウデ、ゴーンの顧問弁護士で死んだジェブランの助手と同じ名があったので、弁護士はカルロスだが、これはやっぱり旧ジェブラン事務所をゴーンが掌握したのかな?

ハヤト: ジェブラン氏というのはゴーン氏よりもかなり年長ですが、やっぱりこれは父親時代の付き合いでしょうか。リタさんとの離婚調停で名前が出ましたね。それと、GFIへの不正送金を記録したパソコンというのも、亡くなった氏が使っていたパソコンを保有していたアマル・アブジョウデ(助手)から日産の監察部員が強奪したことがあります。当時のレバノンは司法共助に非協力的でしたからね。

小林: とりあえず、レバノンで地歩を固めてから本格的な反撃に移るのだろうが、質問の優先権も明らかにレバノン記者に振っていたからな。

ハヤト: 出国の手段についても明らかにしませんでした。今の所、テイラー団による「箱詰め脱出」が通説ですが、フランスのパスポートで合法的に入国したということは、そのパスポートには出国印が押されていたということです。これはやっぱり、サルゴジ氏が押印済みのパスポート(3冊目)を弁護団にも秘密に手渡したのでしょうね。



小林: ゴーンとサルゴジの繋がりは個人的にもあるかもしれないが、ベルサイユのペガードおばさんが間にいるんだ。29日にゴーンが何らかの手段を使って日本を脱出したことは確かなようだけれども、普通は「金の切れ目が縁の切れ目」で、落ち目になったゴーンなんか誰も振り向かない。キャロル夫人に対するフランス政府の冷淡さなど良い例だ。ゴーンも憤慨していたが、が、損得を越えて手助けする人間がいる所がこの事件とゴーンという人間のユニークなところだな。

ハヤト: では、今回はここまで。