Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/9/16)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



次期社長が選ばれるまでの間は、山内康裕COO(最高執行責任者、63)が暫定的に社長兼CEOを代行する。山内氏がそのまま社長兼CEOに就く可能性もある。西川氏は当面、取締役としては残る予定だ。(森田岳穂)

ハヤト: と、いうわけで西川さん辞めてしまいましたが、先のゴーンさん、ケリーさんも辞めてしまったので今の日産には社長がいません。10月末までに後任を選任するということですが、今の彼の立場はどうなんでしょう?

小林: 実は何も変わっていないんだ。次の社長が選任されるまで、今だに西川が社長兼CEO(代表執行役)の立場にある。権利義務代表取締役というんだが、以前の商法会社編では社長が辞めて後任を決めなかったら全員が代取という説もあったが、会社法では明文化されている。ただ、取締役の任命は株主総会だから権利義務代取も分かるけれども、CEOは取締役会で選任できたはずなので、山内が「暫定」ということは実は代表執行役の選任決議も行われておらず、今だ西川がCEOということだな。が、これが目眩しにしろ何にしろ、臨時株主総会を招集して指名委員会が議案を提出する10月末までの任期だ。指名委員会が西川を再選することは今の世論ではありえないので。

ハヤト: ということは、西川社長の巻き返しも十分ありうるということですね。

小林: 委員会設置会社では取締役会は執行役に執行権を委任しているからな。指揮権は今だに彼にある。が、ゴーン事件の様相は明らかに緩んでいるし、見た所、自身の自爆テロで何とか有罪にできそうなSAR以外は現在でも心許ない感じだ。ここで西川が残り1ヶ月半在任しても、新証拠や捜査の進展は多分あるまいよ。

 

だが、仮にケリー被告の「具体的にどんな手続きが行われたかわからない」という主張が事実なら「報酬設定の権限を持つケリー氏の同意なく会社に無断で報酬を引き上げたことになる。業務上横領または特別背任とされる可能性がある」(東京大学の田中亘教授)。

ハヤト: これはSARですが、モデルにしたストック・オプションの場合は会計的評価(標準偏差等)は付与日で評価し尽くされていますね。米国で問題になったのは「付与日をずらす」ことによる会社それ自体の粉飾決算ですが、西川式の「行使日」はあまり聞きませんね。

小林: 行使日の通知は一方的な観念の通知(単独行為)で、それ自体で法律効果を発生させるものではないんだ。効果を発生させるのはストック・オプションの場合は払込みで、これがなければ株式を取得できない。日産のSARはこれに加えて株式の売却や課税の繰り延べ処理(申告分離課税)までをセットにしたもので、新株発行に代わるものとして現金の給付がある。総合的な性質は金銭債権で、これがインサイダー逃れと批判される理由だな。が、公正な市場価格という制度の根幹を揺るがす付与日の変更と西川のような(すでに評価された株式の)行使日の変更は次元の異なる問題だ。なので、東大のセンセイも業務上横領くらいしか言いようがない。

ハヤト: 何かズルいような気がしますがね。ケリーさんのインタビューでも彼は「(法律家として)特例中の特例」としていますが、申請によりいったん確定した行使日は変更できないものなんですか?



小林: 「(Aという不利益な事実があれば)5月14日を行使日としなかった」事情があって、Aが未公表の重大事実などインサイダー絡みの内容でなく、行使日が到来していなければ、最初の申請は「錯誤」ということにして、日付自体を再申請することは許されると思うがな。が、西川の場合は行使日が過ぎた後に変更しているので、ストック・オプションの払い込みに相当する内容が制度にないことから、これは実際の報酬振込みに関わる作業(株価や租税の計算等)に着手しているかいないかで判断するのかな? すでに振り込まれていたならアウトだが、たぶん振り込みは月末で、ハリナダに聞かないと分からないが、集計作業にはまだ着手していなかったのだろう。

ハヤト: そう言われるとダメかもしれませんね。こういう歯切れの悪さを残す制度で、だからアナタは日産の株価連動型報酬制度は欠陥品と。

小林: こういう問題があるのなら、指摘すべきは金融庁で、日産財務部や秘書室じゃないよね。



2.アノ車が来ない理由



小林: 新型カローラが「日本向けに」1,790ミリの全幅を35ミリ縮めて1,745ミリで導入というのを聞くと、ホント、日本市場というのは「トヨタによるトヨタのための市場(シェア55%)」だと溜息が出るけどさ。

ハヤト: ホントは5ナンバー規格にしたかったらしいですね。でも、今のトヨタはTNGAアーキテクチャーで小さな車が作れません。それで涙ぐましい努力でセダンのボディにハッチバックのフロアパネル(アンダーボディ)を組み替えるという「荒技」で3ナンバーですが、ほとんど5ナンバーの取り回しに収めたらしいです。

小林: そこまでしなくてもさ、かなり前からショッピングモールもコンビニもタイムズ駐車場も3ナンバーに対応しているじゃない。アルファード売っているメーカーが何を言っているのさ。海外向けを右ハンドルに直してそのまま持ってくればいいんだよ。

ハヤト: ま、いわゆる「日本特殊論」ですね。国内シェア55%、国内生産比率30%のトヨタですからできるドミナントです。あと、子分のダイハツ(50%)。他のメーカーは日本専用仕様を作る煩わしさからみんな出ていってしまいました。日産なんか国内10%ですからね。

   
左からアルティマ、シルフィ、マイクラ、ジューク

小林: で、上のカッコいいクルマがいつまでも日本に入って来ないのはトヨタ謹製のこの呪いのせいだと私も思っていたが、実は違うみたいなんだな。上の車種はシルフィ以外は日産・ルノーのCMFプラットホーム(シルフィはVプラットホーム)を使っていて、どうもこのプラットホームを使うクルマを西川と経産省が嫌気していたというのが見た感じで。ちなみに日産のプラットホームはこんな感じだ。赤字は日本未導入または今年に入って廃止されたクルマ

プラットホーム名 開発年 開発 適用車(代表) 内容
Bプラットホーム 2002 日産・ルノー キューブジューク 初の共同開発プラットホーム
Vプラットホーム 2010 日産 マーチノート Bホームの廉価版・日産専用
CMFプラットホーム 2013 日産・ルノー デイズエクストレイル新型ジューク 最新型

ハヤト: デイズの場合は間に合わなかったんですね。ですが、同時期にCMFがあったので、次は日産主導でというのは前から決まっていました。CMF-Aというアーキテクチュアで、同じプラットホームはインド日産のダットサンやルノー・クウィッドも使っています。なので、アナタは新型デイズを「インド向け」と言っているわけで。

小林: CMF-A(マイクロカー)はルノーにも日産にも該当する車種が少なかったので、導入こそ2014年と早かったが、あまり出来の良いPHではなかった。むしろモジュラー設計の悪い所が最小のこれで噴出していた感じで。

 
CMF-Aプラットホーム使用車(左・2016年、右・2018年)

ハヤト: 左の方(2016年型ダットサン)には乗りたくないですね。

小林: 初期の出来のまずさはこのプラットホームの場合はかなり修正できるんだ。ダットサンもクウィッドも最近のは(モデルチェンジなしで)改善されている。が、初期のこれを見て、日産・三菱のエンジニアが匙を投げただろうこともありうる話で。で、デイズはCMFなんだよね。



ハヤト: 試乗したアナタはずいぶん出来悪いと言ってましたね。

小林: 出来が悪いというより、クルマに対する熱意のなさを感じたな。インド向けダットサンの設計をちょこちょこっと手直しして一丁上がりという出来栄えで、三菱の方は売れないと会社傾くから結構直していたけど。しかしこのクルマも日産の国内売上の4割を担う重要車種でしょ。その出来がこれじゃあと思ったが、実は出来が悪いわけではなく、出来良く作る気がメーカーにないんだ。



ハヤト: 上のキューブも今年で廃止ですね。

小林: 「トヨタの呪い」を言い訳にして、日本で売れそうなクルマをルノーと一緒に仕事したくないという理由(ホンネ)で車種を廃止したり国内導入しないというのも何だかなと思うがな。

ハヤト: マツダみたいにルノーと手を切って独自のプラットホームを作る気なのでしょうか。それまで会社が持つとは思えませんがね。それにゴーン氏の下、プラットホーム戦略には何百億ドルも注ぎ込んでいるのでしょう? 背任の損害どころじゃないじゃありませんか。

起きた問題への対処の仕方が会社の信頼を損なっているのです。問題が解消されていないにも関わらず、会社として解決したと発言することは、信頼を失うのです(ゴーン)。

小林: 出来の悪かった最初のダットサンがすぐに改善された所には、デイズと違ってトップの計画に賭ける意思を感じたが、どうも日本の日産は違ったらしい。

  (日産グローバル)CMF絡みの文書を軒並み削除

ハヤト: あと、日産のHPを調べると分かりますがね、公開資料からCMFや共同開発絡みの話は軒並み削除されています。これはひょっとすると、ですね。

小林: 「やっちゃった、日産」だけど、誰が責任取るんだろ。



閑話休題



「政府の未来投資会議などで規制緩和の議論をしているが、実際に規制を作っているのは、国ではなく大企業だ。」

「戦後の高度成長の中、国と企業が護送船団を組んで、貿易の自由化と戦いながら、日本企業が国内で生き残れる戦略を組み立てた。例えば自動車業界なら、5ナンバーや軽自動車といった日本だけのルールを作った。外資を締め出したわけではないが、日本独自の仕様にして、興味があれば入ってくればいいというメッセージを出し、結果的に外資が入りにくい設計にした。」


ハヤト: 「これ」については「非関税障壁」としてずいぶん以前から問題化していますね。しかし、外国に指摘されればされるほど、実は陰湿に地下に潜る傾向がある。主導権はシェアの大きい企業が握るでしょうから、クルマではトヨタ、バイクではホンダの担当者が規制を作っているんでしょうね。

  (左)メガリ、(右)CBR

小林: 典型的なのがつい最近あってさ、メガリ事件というのだが、2004年にイギリスで創業したベンチャーのメガリ社のバイク、250Rを日本導入する時の顛末で、2009年に発売されたメガリ250Rは乾燥重量130キロの軽量なライトウェイトスポーツで、日本での発売は2010年を予定していた。その時までに北米やオーストラリアで販売されて好評で、特に問題はなかったんだよね。価格も39万円とニンジャより圧倒的に安かった。

ハヤト: 覚えていますよ。当時はライトウェイトスポーツといえばカワサキのニンジャ250Rしかなく、これは170キロの重い車でエンジン馬力も同じとメガリの敵ではありませんでした。ホンダのCBRはまだ出ていなかったんですよね。開発もしていなかったかもしれません。

小林: ところが、ニンジャの望外のヒットを見た国交省(ホンダ)が露骨に邪魔をしてさ。さっきの志賀さんの話を見れば腑に落ちるじゃない。あれこれ難癖を付けてメガリの型式認定を遅らせ、その間にホンダが同じコンセプトのバイク(CBR250R)を開発してしまった。

ハヤト: 結局、2年後でしたっけ、2011年に日本製部品を付けるなどして型式認証し、ようやく販売に漕ぎ着けたのですが、その時にはCBRがすでに発売されていて、また改修でコストが嵩んだため価格も42~47万円とコストの有利も失われていた。

小林: 発売後も些細なことでリコールさせたり、品質や故障なんかで偏執的な書き込みがネットにしつこくあったのも輸入車の常で。日本市場がいかにいやらしい市場か思い知らされた事件であった。ホンダが類似品を作るために時間稼ぎさえしなければ。実はメガリは実質台湾製で、品質自体は遜色なかったんだよね。

日本が目覚めるには、大企業が変わっていかなければならない。そのために、存在意義、大義を持ち合わせた自社の強みを認識し、バリューサイドに着目して、変革していくべきだ。オープンイノベーションで自前主義から脱し、新しい強みを加味するために世界から人を集め、ベンチャーから技術を集める(志賀)。

ハヤト: これをしたければ簡単です。役人なんかシロウトですから、メーカーに変な政治力を用いさせることを止めさせて、輸入車をドンドン入れれば良いのですよ。土地の取得とかはむしろ優遇してですね。フェアな条件で競わせれば良いのですよ。

小林: 非関税障壁を廃して、それで負けるようなら、それまでだよねえ。ただ、日本はロースクール構想の失敗で人治主義の国になってしまった。公正な裁判や審決は期待できないから、何かとひきょうなこの国に、フェアネスを期待すること自体筋違いといえる。だいいちその非関税障壁はトヨタ以外どこも得をしないものなのだが。

ハヤト: では、今回はここまで。