Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/9/12)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



日産自動車の経営陣は、カルロス・ゴーン前会長の不正疑惑に関する報告書の全文を取締役会にまだ提出しておらず、一部で不満の声が上がっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。取締役は9日午後に開催された取締役会で報告書の全文を受け取ると想定していたが、実際に渡されたのは意外にも5ページの概要のみだった(中略)、、取締役の一部は、ゴーン被告に対する疑惑の全容を理解するには5ページの概要では不十分だと考えている。



ゴーンのSAR行使による報酬について、2013年及び2017年に、権利行使日をそれぞれ約2週間前の日と偽装することにより、権利行使日前日より高い株価を使って報酬額の計算がなされ、株主総会決議により承認されている計算式に基づく金額より合計約1億4,000万円多い支払いがなされた。

2013年 2017年
SAR総額 5,100万円 9,000万円
西川ほか 4,100万円 不明
残額 1,000万円 9,000万円
行使日価値 0万円 不明
ゴーンの不正取得 14,000万円

※報道によりSARは執行役(ハリナダ等)にも付与されていたことが明らかになっている。

小林: 実は評判の悪いこの報告書全文3,630字のうち2,100字がSAR関連なんだ。つまり、全体の1割くらいの内容に文章の6割を使うというひどい文章で。何というか、表現は力こぶが入っているんだけど、上のSAR(2013,2017)もうそうだけど、辻褄合わないんだよねえ

百万円 状況 報告書抄の記述
SAR 22.7億円 2,270 1,800文字(50%)
報酬隠蔽 90.8億 9,080 未払い 180文字(5%)
退職金不正 24億円 2,400 未払い 180文字(5%)
ジーア関連 2,700万米ドル 2,700 190文字(5%)
姉コンサル 75万米ドル 75 140文字(4%)
寄付金等 200万米ドル 200 50文字(1%)
ジュファリ関連 1,470万米ドル 1,470 190文字(5%)
バフワン関連 3,200万米ドル 3,200 130文字(4%)
NMBV関連 780万ユーロ 780 70文字(2%)
ケリー利得分(SAR) 700万円 300文字(8%)
スワップ取引 160文字(4%)
結論部分 240文字(7%)
合計 21,975(約220億円) 10,702(既払い)/11,480(未払い)
監査委員会が認定した損害 35,000(350億円) 8,520(既払い)/26,480(未払い)

有価証券報告書における開示を回避しつつゴーンが受領しようとしていた報酬は推定で総額200億円以上に上り、しかもその一部はゴーンに支払い済みである。また、役員報酬の名目以外にゴーンが日産に現に不正に支出させ、あるいは支出させようとしていた金額は少なくとも合計150億円に上る。以上のとおり、ゴーンらの一連の不正の規模は全体で約350億円以上という極めて巨額のものとなる。そこで、当社は、ゴーン、ケリーに対し,これらの不正行為に関し,損害賠償請求をはじめとする毅然とした法的措置をとる考えである。

ハヤト: 抄本とはいえ丹念に事実を積み上げて、何で突然、全損害350億円になるんです? 書かれている損害を全部合わせたって200億がせいぜいじゃありませんか。しかも実際に支払われたのはその半分、同じ文章で何でその金額が突然2倍以上になるんです?

小林: しかも、これを書いたムレイ女史はすでに退社済みというおまけ付きだ。

ハヤト: これはですね、元の報告書がもっと控えめだったのを、上に上がるにつれて色々書き加えたんですよ。

小林: 決済したのは西川だろうが、数字を積み上げて論理を作り、現場が安心して働けるようにすることは経営者の義務であり責任だ。

ハヤト: 西川さんには秘書いないんですかね? 電卓片手に頭突き合わせて読み合わせすれば分かる話でしょ。5ページしかないんだから。

小林: 世界のエクゼクティブは多忙で電卓を叩く暇さえ惜しいらしいんだ。

ハヤト: 信頼できる社員もいないということが期せずして分かってしまいました。よく10ヶ月も社長やっていたと。

 

小林: 老舗のまんじゅう屋漬物屋なら黙っていても売れるから、手代に任せきりで主は遊んでいても良いけどさ。この件は経産豊田がまんじゅう屋と同じメンタリティだったことも不幸だったな。まともな経営者なら10ヶ月もの経営の空白は許さない。

株価の下落と業績の低下を目にしながらも、幹部たちは、あれはしない、これはしないと言って、それと同時に、今後何をするかも言わず、未来のビジョンもなく、日産の業績を向上させるビジョンもなく、アライアンスの将来をより強化するためのビジョンもなく、自らを誇っている現経営幹部たち。それを見ることは非常に悲しいことです。私にとっては本当にうんざりさせられることです。

19年から20年もの年月をかけて、これらとは真逆のこと、つまり、企業価値を創造し、ブランドを強化してきた人間にとって、今のように頽廃(たいはい)して無頓着になっているのを目にすることは本当に辛いことです。

(ゴーン談)

ハヤト: 今これを言われたら、言い返せる人いますかね。

小林: かなり痛いんじゃないか。



2.日産とマツダの可変圧縮比エンジン

  日産VC(左)、マツダSAX(右)

小林: ゴーンはリストラばかりしていて技術開発してないなんて言う人いるけど、20年前にハイブリッドを作って以降何もしてないトヨタの方がよほど怠慢だし、紙ペラ鉄板のノートをハイブリッドにできたのもリーフの開発で技術的素地があったからで。で、ほぼ同時期にリリースされたのが可変圧縮比エンジン(日産・VCターボ、マツダ・スカイアクティブX)なのだが。前者はインフィニティに、後者はマツダ3に搭載が始まっている。

ハヤト: しかし、評判は芳しくないのですよ。フィーリングが従来エンジンとあまり変わらないことがありますがね。どちらもそれほどパワーアップしていないし、燃費も飛び抜けて良くない、その割に値段がずいぶん高い。ディーゼルやハイブリッドの方が突出した個性があり割安で、ま、評論家の国沢光宏さんなんかは「こんなエンジン要らない!」と言っていますね。

小林: そりゃ、短時間の試乗じゃ、この技術の真の価値は分からんだろうな。ガソリンエンジンのように始動が容易レスポンスが良く、長距離ではディーゼル並みの燃費スターターモーターも軽くでき、ディーゼルほど頑丈に作る必要もないアイドリングストップ機能などもガソリン車並みの手軽さで可能だ。



3.証拠保全命令(ゴーン裁判)

 刑事裁判を考える:高野隆@ブログ

、、東京地検は、「弁護人による閲覧に限る」として謄写(電子データのコピーの交付)を拒否しています。それのみならず、この度、これらの電子データの一部を弁護人が閲覧する前に削除するという暴挙に出るに至りました。検察官によると、日産自動車から「従業員のプライバシー等」に関する部分としておよそ6,000項目の削除要求があり、すでにデータの削除を開始しているとのことです。

小林: 日産から削除要請を受けたのは今月の6日、すでに西川体制では持たないと後任の選任が始まっていたのが8月初旬、見ようによっては証拠力を弱める証拠の撤回や抹消が始まったのは、やっぱり裁判を主導していた西川の失脚が日産法務部に動揺を与えているんだろうな。

ハヤト: 弁護人に有利とも言えますが、あえて保全命令を求めることで、弁護人は何を調べたいんですかね?

小林: 検察の手足になって捜査を主導したのは日産法務部で、伝え聞くその手法には居住者の許可のない住居の立ち入り(住居侵入)地位や報奨をチラつかせての買収、また、ルノーが非難していた法執行機関をチラつかせての脅迫もあった。一部はテレビ東京が暴露したが、ルノーのメールには日産監察部のKuboという名前の人物が書かれており、この種活動の一翼を担っている。



ハヤト: 実は先日ウチにも来たマーベリック弁護士事務所(千代田区)が削除要請したファイルの近くなんですね。マア、半年近く前にトップから外したファイルをどうやって見つけたのか不思議だったのですがね。調査の証拠を消そうとしていると見れば分かります。

小林: ところが間が抜けていて、この事務所がコンタクトしたことで、こちらも半信半疑だった事件についての益子会長の悪意が明らかになってしまった。つまり、先の一覧にあるNMBV780万ドルはリストから消えるわけで。会長案件なら横領のはずはないからな。

ハヤト: ま、黙っていた方が良い場合もありますね。しかし、マベさんも初対面の美人のおばさんに迫られては仕方ないでしょう。それは措くとして、プライバシーや営業秘密を盾に次々と証拠を抹消しては、裁判に支障が出るのでは?

小林: 美人だろうと岡目八目だろうとどうでも良いがな、ここで「疑わしきは被告人の利益に」で、裁判所が証拠開示を要求しても削除されてありませんでしたでは、有罪を立証するのは難しいだろう。当たり前だが削除改ざんはもちろんのこと、住居侵入や脅迫で取得した証拠なんか裁判に使えるわけがない(違法収集証拠排除法則)。が、見る所、日産はSAR以外の立証を諦めている節があるな。つまり逃げ腰で、それは証拠の困難さのほか、西川社長の影響力低下がモロに響いているだろう。

ハヤト: SARだけでしたら、不正に利得したという金銭を返却すれば、せいぜいが罰金くらいでしょうね。案外竜頭蛇尾で終わるような。



閑話休題



昨日、筆者は本欄で「ひとりの元幹部の死から考えた、日産の『本当の病巣』」を執筆・発信した。その中で、カルロス・ゴーンが率いた日産自動車が、池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』に出てくる「盗賊団」のような会社に変貌したということを書いた。その点についてもう少し詳しく解説しよう。これを読めば、「西川よりもゴーンの方がましだった」とか、「ゴーンは国策捜査ではめられた」といった議論がナンセンスに思う読者もいるだろう。

小林: 失脚した途端に、まだ社長なんだが、西川のことをボロッカスに書くあたり、この男の情報ソースは西川ではなかったのだろうな。たぶん、執行役員の誰かで、名前の挙がっている関潤なのかもしれないな。関は業績回復副社長という意味深な肩書でもあるし。

ハヤト: 別に読んでもナンセンスとまでは思いませんでしたがね。新興国投資に投資しすぎ、新車開発に資金が廻らなかったというのはマア、ゴーン後日産の公式見解と言って良いものですがね。でも、それは十年近く前でしょう? ブラジル工場の稼働は2014年ですし、その他も概ね2010年代初頭には海外生産の計画があったわけで。



小林: 読み違えがあったことは本当なんだ。例えば新興国市場の拡大所得向上は見込みを上回っていたし、なので後進国の低所得者向けに作った「ダットサン」ブランドはあっという間に行き詰まってしまった。それとこの戦略が立案されたのは2010年だが、いわゆるアベノミクス、国主導の円安で円高を前提にした投資戦略が裏目に出てしまった。が、言う通り十年近く前の話なので、クルマを高質化したり、国内生産への回帰を考慮したりと戦略の組み換えはそれなりにしていた。

ハヤト: 井上氏のいう「安い日産車」は2010年代のものですが、高張力鋼板の使用比率が少ないことが特徴でした。タイの工場では高性能な鋼板は日本から輸入するしか無かったわけで、それを嫌って比率を抑えたのですが、実はタイでもそういうクルマは売れなくなってしまった。というわけで、最近の日産車は純国産の超高性能鋼板の使用比率を増やしていますね。2017年までに25%という目標まで立てています。

 

小林: 明快に国内回帰とは書いてないけど、1.2GPa級でしかも展延性のある鋼板などはドイツ以外では日本しか入手できないわけで。井上氏のいう「チープな車」は実は日産でも過去のものになっている。それに戦略の組み換えも数年経っているのだから、新車も開発されている。アメリカではアルメラ、セントラ、中国ではシルフィで、アルメラとシルフィは高度に共用化の進んだ完全な新型車だ。欧州ではキャシュカイの新型やマイクラもある。それにデイズはエンジンはルノー設計のマイクロカーだ。

ハヤト: つまり、円高の影響を受けた海外進出とその後の国内回帰を受けて、クルマ自体は高度にグローバル化した進出前とはまるで違うものになっているわけで。品質も性能も耐久性もレベルが違う。それには実は対応していたというわけですね。

小林: ゴーンだって神様じゃないから失敗だってするさ、20年は長すぎると私も思うよ。しかし、10年も前の旧悪をいつまでもほじくり返したり、今の日産に技術も新車もないかのような言い方はどうかと思うぞ。

ビジネスの世界では「レバシリには気を付けろ」と格言めいて言われることがある。その意味は、レバノンやシリア出身の商人は巧みでずる賢いから気を付けろということだ。レバノンやシリアがある地域はかつて海賊が支配する地域でもあった。ゴーンはレバノン出身である。こうした地域性や民族性がビジネス運営の特徴に現れることは多々ある。

ハヤト: そもそもですね、次期社長候補の関氏と内田氏も、選考の理由は中国での事業経験なわけです。その中国市場を誰が開拓したのか、あそこは日産が割とうまく行っている市場の一つですがね。事業期間がゴーン氏の着任直後からと長く、低価格車から高価格車へのシフトも漸進的で所得の向上に伴ってましたし、固定相場制でそもそも円高の影響を受けませんでした。また階層社会でフルライン車を受け入れる土壌もありました。2010年は残念でしたが、海外進出の戦略自体はきちんと機能すれば別に間違ってはいなかったのですよ。

小林: ありていに言えば、ゴーンの成功事例にどっぷり漬かった二人が最有力候補なわけで、ゴーンは嫌いでも、これで影響されないとは思えないな。

特に人員削減の手法は悪辣だった。コスト削減の目標を達成しないと、事実上の指名解雇をしていた。ごく普通の社員でも、少しおとなしく社内でアピール力が弱い日本人が狙われた。筆者は、なぜこの人が辞めさせられるのか、という人を何人か見てきた。 その一方でゴーンに忠誠を誓ったルノーから日産への出向者の中には、役員でもないのに、月の家賃が200万円もするような高級マンションに住まわせるなど破格の福利厚生を与えられた者もいた。出向なのに、給料もルノーではなく、日産が支払っていた。

小林: 指名解雇が冷酷だというなら、管理職など希望しなければ良いのだ。官庁でも同期数十人のうちで事務次官になれるのはたった一人だ。仲間内で蹴落としもするし策謀もする。ま、この制度自体、山県有朋の強迫観念とマックス・ウェーバーという机上の学者の妄念なのだけどさ。それをいちいち冷酷だ非人間的だと言っていたらやっていられない。地位が上がれば上がるほど、権力への階段は細く狭く落ちやすくなるのだ。望んでそこに身を置いた以上、悲惨な運命は甘受すべきだ。

ハヤト: マンション等については、日本では他に在日米軍の将校の例がありますが、日本の生活水準が低すぎて本土並みの住居を用意するという話は今でもありますね。リーマン危機ではその種住居があぶれて大変だったそうですが。

小林: 都心の住宅だと通常は5千万~7千万くらいだけど、外人向けは平均2億円くらいなんだ。補助なしには外人だって買えないし、福利厚生の悪い企業には従業員は来ない。この辺は日本人の外国人扱いの話で、破格の福利厚生はゴーンが来る50年も前から日本では行われていたし、用意したのは日産総務部でゴーンじゃないと思うよ。家なんかまだ可愛い方で、中国では愛人まで用意するじゃないか。それと井上のレバノン人への偏見はひどいと思うぞ、それと破格福利厚生は実はコインの裏表なんだ。

ハヤト: その辺については、マンションを追い出されたゴーン一家も「日本とはこういうもの」と思い込んでいた節もありましたね。

小林: シリコン・バレーなんかじゃ、外人でも別に広壮な住宅は用意されないからな。金が無いなら無いなりに、それが普通だ。とにかくゴーンの罪でもないことまで悪行呼ばわりするのは誰のためにもならないよ。

ハヤト: では、今回はここまで。