Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/9/8)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



ハヤト: アナタは居座ると言っていましたが、どうも西川さん辞めるようですね。

小林: 辞意を表明しただけだろう。まだ分かるものか。一応月曜日に役員会があって、そこで辞意を表明するという話だが、山内なんかが慰留して三文芝居を演じ、居直るかもしれない。ただ、この人物の手腕に問題あることは過去二年の社長時代に証明されているし、ゴーン追い落としがクローズアップされているけれども、実は日産が北米で稼げない体質になったことにはこの人物の責任がかなりある。

ハヤト: バックもかなり変わるようです。内閣改造で経産省の世耕さん、法相の山下氏も辞めるようですし、西川氏の辞任は世耕さんの退任を考慮したものですかね? あと、外相も変わります。

小林: つまり、フランスがルノー役員を監査委員会に突っ込んで日産に対する介入を強めているのに、それを迎え撃つ側が軒並みいなくなるわけで。



調査は社外取締役らで構成する監査委員会が中心となって実施。事件の経緯や日産側が被った損害などを調べてきた。詳しい内容は、ゴーン被告の公判にも影響する可能性があるため、公表しない見込みだ。



ハヤト: 聞く所によるとボロレさんが監査委員会に入ったことで内部調査の流れが変わったと、最初日産はスナール会長以外委員会には入れない方針でしたが、例の採決棄権ですね、あれで揺さぶりをかけられて、やむなくボロレ氏を入れたそうです。

小林: 委員会は色々あるけれども、会社法に規定があるのは指名・報酬・監査の3つだけだからな。その中で最も重要なのは監査委員会で、これだけ設置する会社もある。指名委員会にはスナールがいるから、経産の豊田が指名と監査双方に席を占めているけど、世耕が辞めればこれはハシゴを外された大工だな。

ハヤト: 先の「稼げない体質、、」なんですが、日産では北米における過剰なインセンティブ販売と説明していましたね。当時の北米担当は今はヒュンダイにいるムニョス氏で、週間SPAでは「戦犯」と名指しされていましたが、スナール氏が入ったことでその辺は違う説明になっていると。

小林: 競争力のあるクルマを投入しなかったから安売りせざるを得なかったわけで、クルマのトレンドは西川が社長になる頃にはすでに変わっていた。日本車は従来日本で成功したモデルを投入してきたけれども、その日本の市場が何世代も遅れてきていて、5ナンバーベースの日産車はもはや太刀打ちできなくなっていた。

ハヤト: だいたい半分ですよね。海外生産を除けば、日本車は半分を国内で、残りの半分を輸出というのが変わらないパターンです。つまり、国内の自動車産業を維持するには、日本で売れるクルマが海外でもコンスタントに売れなければいけない。

 トヨタ・プレミオ

小林: 日産の場合はノートなんだが、これは日本以外ではどこでも安売りするしかない車で、次がシルフィ(旧ブルーバード)だが、これは装備水準はクリアしているがエンジンが古臭く、あのプレミオのライバル車だからな、形もコンサバなセダンで全く魅力がない。プレミオ相手ならあらゆる点で勝つが、日本のユーザーは3ナンバーのコンパクトセダンを受け容れない。では海外といえば、小さい上に燃費が悪くカッコも悪くそんなに高性能でもないとなれば、ムニョスでなくてもインセンティブ漬けしか売りようないだろう。

ハヤト: その「ズレ」を分かっていなかったのが西川氏の問題と、日産はマネジメントと会計の分離がガバナンスとして重要と指摘されていますが、国内と国外の売り方も明確に分ける必要があった。規制や都市環境の変更は一自動車会社だけではできない相談ですからね。

小林: 簡単なようにも見えるが、西川は購買畑の出身で、ゴーンのグローバル調達の最中、国内部品メーカーの阿鼻叫喚を聞きすぎていた。簡単ではないでしょ、国内市場は日産守旧派の最後の牙城で、ゴーンは事実上無視の方針で経営資源を割かなかったし、そこで国内でも国外でも通用する「従来型日本車」への回帰を求められれば、それが必要以上に大きな像となったことは否めない。が、自動車販売における国内と国外の乖離は西川の時代が最も進んでいた。



ハヤト: 後任についてはこういう意見もありますが、どうです?

小林: 井上さんにはいくつか誤解があってさ、まず、指名委員会は株主総会に提出する議案を作る場所であって、その議案に代取の選任案を含むことはない。株主総会で選任できるという有力説もあるが、実務も取締役会議事録の添付を要求しているから、これは取締役会で選任する。これは委員会設置会社でも変わりない。もう一つ、代表取締役は取締役就任が選任の条件だから、取締役でない執行役員が代取になることはない。上の文章の5分の4は余分だな。

ハヤト: となると、適任者がいない場合には今の役員会は全員辞任する必要がありますね?

小林: その話がないから、三文芝居と言ったんだ。本当に辞めるかもしれないけど。だって今の役員会で日産社長の適任者はといえば、山内を除けば、スナールかボロレしかいないだろう?



2.京アニ問題



ハヤト: この件なんですが、アナタが非難していた社長の預金通帳への寄付金募集ですがね、25億円集まったということで京都府が口座を開設して、今までの募金と今後の寄付金は全てそこで扱うそうです。全額を被害者の補償に充てるという話ですが、結局財団法人は作らなかったんですね。

小林: 当たり前の話だが、地方公共団体には税金は掛からないし、寄付も軽減税率で行くということになれば、それはそれで補償に充てられる額が増えるから美談と言いたいのだろうけどさ、配分比率の決定は京都府が特別委員会を作って行うと言っても、まさか職員に分配事業をやらせるわけじゃないでしょ。

ハヤト: そりゃあ、事務処理手数料がありますとも。ありそうなのは随意契約で業者を選定して、おそらく金融機関ですが、そこにやらせるというものでしょうね。つまり、25億円がソックリ被害者の補償に充てられるわけではありません。



小林: 10年前に麻生内閣がやった政策に定額給付金というのがあって、国民一人当たり1万2千円を恵んでくれるというありがたい政策なのだが、簡単にできる計算として日本の人口は1億2千万人で、そのうち給付金をもらいに行かない(手続をしない)のが2千万人として、対象者は1億人。でも、確かこの政策、財源に充てられたのは2兆円なんだよね。なので、2兆円を1億人で割れば1人2万円になるはずなのだが、実際は1万2千円、おかしいじゃない?

ハヤト: そうです、8千億円が事務処理経費として消えています。一人あたりに直すと8千円ですね。1万2千円を貰うのに暗数ですが、実は8千円の経費が掛かっている。その比率で京アニの方を見ますと経費となるのは10億円くらいですね。それでも補償は一人3~4千万円ですから、高くはありませんが京アニが下手人でないことを見れば、マア、良くやったという額でしょう。寄付にかこつけて何かがぶら下がっているのは明らかじゃありませんか。

小林: 存外集まったのを見て、このくらいなら持っていっていいと会社に勧めたのが間違いなくいるよね。いや、自民党の政治家なのだけどさ、こうなると財団法人にしなかったのは、そうされると都合が悪い(私物化)というブローカー側の意図もあるのかな? 京アニがどうも自民党の言うなりだというのは、事件以降の経過を見ても分かるからさ。

ハヤト: ま、我々は京都府の措置には美談ではなく、いかがわしさを感じているわけです。そのことは言っておいても良いでしょう。



閑話休題



ハヤト: ゴーンさんは2016年に後任を西川氏として日産のCEOを退いているのですが、これまでの我々の議論によると、西川氏はかなり重い宿題を課せられていたと言えそうですね。

小林: あまり言う人いないけど、ゴーンってごく日本的な「わび・さび」の心情に理解あるよね。ツイッターの哲学堂もそうだし、尺八を習いたいと言ったり、2006年以降は自分が会長のルノーのクルマに「ZEN」というグレードを作ったりしている。そして西川に課した宿題というのは、経営のみならず商品開発、政治工作に経済対策と多岐に渡る日産の構造改革だ。一言で言うなら、自分が1999年に着任した以上のことを求めたわけで、彼の認識ではそれを行えるのは日本人である西川氏だけということだろう。

ハヤト: つまり、「花を持たせた」と、もし西川氏が成功していれば、彼はゴーン以上の経営者として自動車史に名を残したと。

小林: ヨーロッパの自動車リーダー、経営者であると同時に政治家でもある、の、最初の人物として西川を考えていた。西川は野心家で、東京大学の卒業で語学も堪能とキャリアも申し分ない。亡くなったがカール・ハーンやフェルディナンド・ピエヒのような人物を相手にできる経営者を日本で育てたのは自分という自負もあったかもしれない。

ハヤト: ところが、これまで見てきた所ですが、西川氏はその器ではなかった。彼の視野はあまりにも狭く、国内に囚われすぎていた。



小林: 東京大学という学校の性格もあるんだ。この学校は頭が良くて知的スタミナが旺盛なことは諸国の名門校と同じだが、国立大学で、こういう場所では官僚的気質や体制順応の属性を知らず識らずに身に着けてしまう。日本の官庁というのは、リベラルな視点から見ればやや国家主義的、やや右寄り。卓越したマネージャーの条件である偏りのない透徹とした視点とは、これはどこまでも別のものだ。

ハヤト: しかし、ゴーンさんもグランゼコールの出身でしょうが。元はナポレオンが砲兵士官を養成するために作った学校で、をある意味東大以上に国家主義的な学校でしょう?

小林: フランスはエリートと非エリートが画然と分かれていて、三部会の時代からそうだが、相互に緊張関係がある。そのゴーン氏と懇意にしていたベルサイユ理事のペカードおばさんなんかは一流のジャーナリストだが、いわゆる名門校は出ていない。権力を批判する機関の記者はエリートの階段を踏んではいけないのもフランス流だ。

ハヤト: いずれにしても、西川さんはゴーンさんから課せられた構造改革はせずに、経産省の官僚関連会社の日本人経営者におもねってしまったと。東大生ならそれは当たり前というのがアナタの見方ですな。

小林: 試験に勝ち抜くには地頭の良さだけではダメなこともあり、人脈とかコミュニケーションを大事にしなければいけないこともある。東大は芸術家を養成する学校ではなく、官僚制に適した人材を養成する学校だ。だが、経営史を見れば分かる通り、経営者というのは上に行けば行くほど、政治家もそうだが、その資質は芸術家のそれに近づく。少なくともグローバル企業のトップに適した人材を養成する教育はこの大学ではどこでもやっていない。

ハヤト: その西川氏に安倍内閣・経産省が国家主義的施策(ゴーン追放)を求めたことが悲劇につながったと。

小林: 西川に構造改革を行いうるビジョンと胆力がないことは昨年にはゴーンにも明らかになっていたから、鶴首されるという現実的な危機感もあった。晩年のゴーンが達した「ZEN」の境地には彼はついに達しなかった。あと、日韓問題だが、下のレポートは良く書けている。



ハヤト: では、今回はここまで。