Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/9/3)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。




はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.今週のゴーン事件 



小林: この件については以前扱ったな。日産の株価連動型報酬についてはゴーンの隠し報酬の関連で早くから特殊な制度ということで話題にしていて、西川の件については(他の役員との公平上)問題はあるけれども会社法上の問題はないというのがウチの見解だったと思うが。

ハヤト: ええと、問題になった2013年度の西川氏の報酬は1億3千500万円です。うち、連動型が1,500万円なのですが、行使日を変更することで実際は4,500万円受け取っていたと。この報酬というのは株を購入したことにしておき、購入時の価格と決算日(3月31日)の株価との差額ですね。

小林: そう、だから購入価格が850円とすると、日産の株価はおおよそ1,000円だから、150円が現実に給付される価格となる。

ハヤト: そうなると、西川氏は報酬を受領する前に日産の株を買っていたことになりますね。

小林: 上の計算だと10万株な。なので西川の報酬は1億3千500万円から株価の8,500万円を控除した5,000万円で、そこから連動報酬を差し引いた3,500万円が真水ということになり、それは金が無いとケリーに直訴もしたくなるだろう。それでも株の保有権はあるので、退職時に会社が買い取って退職金代わりにするのだろう。確か平成19年(2006年)以降、日産は役員退職慰労金を廃止している。あと、制度の運用として、株式を購入するかしないかは役員個々の判断に委ねられるのだろう。

 

ハヤト: 報道では西川氏のほか、執行役員のハリナダ氏、星野朝子氏も同様の報酬を受け取っていたとされますね。

小林: 制度自体に問題がないとは言えないんだ。従業員持株会がいちばん近いと思うが、日産のような大会社で、しかも公開会社で株式の売買を事実上制限するような制度があることは、それ自体会社法の規定に触れる可能性が高い。2013年度で連動型の給付額が突出して多い、西川、山下、今津の三名は取締役といっても各部門のチーフで、報酬額を嵩上げするために取得を強制されていた可能性はある。



ハヤト: ケリー氏のインタビューでは、日本人重役、特に西川氏は「日本型」の報酬体系に強い不満を持っていたとされていますね。2013年の時点で、西川氏の報酬額が実質的には3,500万円だったとすると、これは一部上場の他の会社の役員と同程度で、むしろかなり低い方ですね。

小林: こういうのは多分、税金の問題だと思うんだ。ただ、行使日をずらして3倍多くもらったとなると、株主総会で決議した報酬の総額規制を逸脱してまいかというのはあるが、そもそも連動型報酬は希望者が少なかった。なので給付額も対象者も少なく、そこは何とかクリアしたのだろう。そもそも株が値上がりして給付額が増えても、会社の懐が痛むわけでもないからな。度々言っているように、これは制度自体が欠陥品



ハヤト: 疑惑は開陳されましたが、日産は西川社長の続投を決めたようですね。やっぱり、この人物が事件のキーマンで、彼が辞めてしまうとゴーン氏の裁判が崩壊してしまうからでしょう。



小林: 特別委員会にはルノーも乗り込んでいるんだ。西川、星野、ハリナダとクーデター派と目されている連中が指弾されたことは、これの中でも色々ゴタゴタと不協和音があるということだな。FCAとの合併で、ルノーのスナールは面白くない感情を西川に抱いていることもある。



2.ガラパゴス化の原因はトヨタ

 

小林: 経産省が何の理由で自動車会社、日産とか三菱とかをコントロールしたいのか良く分からないけれども、それは措くとして、ごく平明に見て、経産省はイチャモンを付けてゴーン氏を犯罪者に仕立て上げて放逐したのだけれども、権力の用い方としてはもっと効果的なものは他にもあると言えるだろうな。で、これが一昨年の普通車の販売シェア。

ハヤト: マア、あまり変わらないと言えるでしょうね。トヨタが半分なのは以前も同じです。確か独禁法でしたっけ、これ以上シェアを増やすと排除命令の対象になるので、トヨタは国内では手綱を緩めているという。たぶん、アナタが生まれた頃から変わっていませんよ。

小林: 少し前から「国内空洞化」ということで、裏切り自動車メーカーとして先ず日産、ホンダ、マツダ、そして三菱とスバルなんかが挙げられることが多いけど、ことこの構造では国内シェアを当てにできるのはトヨタ(国内30%)とダイハツ(国内50%)だけなんだよね。スバルやマツダなんか作ったクルマの2割しか国内で売れない。つまりさ、どんなに良い車作ったって、トヨタの寡占が変わらない限り、国内じゃ勝負にならないんだよ。



ハヤト: 日本の自動車マーケットは特異と言われていますね。他の国では、この場合はドイツを初めとする自動車先進国ですが、は、自国でのベストセラーをそのまま輸出しています。VWゴルフなんかは典型ですね、でも、日本の場合は海外と国内でまるで違う。これはトヨタが国内のシェアと販売を一手に握っていて、トヨタ車が変わらない限り、国内車は変わらない傾向がある。それで良いですか? 経産省が寡占状態を長年放置したことで、健全な自由競争が成り立っていないんですよ。

 

小林: で、時計の針を20年巻き戻すと、国内販売の状況はほぼ同じだからな。日産再建を託されたこの人はトヨタを巡るこういう迷信には囚われはしなかっただろうな。取るべき戦略は明らかだ。国内ではトヨタと競争しない。経営資源の配分は性能やデザインなどで勝負できる市場には重点的に、そうでない所は思い切って減らす。中国はVWが強かったが、上海汽車のサンタナはあまりに古くて性能が低く、VW社の体質も硬直的で、日産が勝負できる余地は十分にあった。



ハヤト: インドは微妙ですね。マルチ・スズキが圧倒的なのですが、ベースは古い4代目アルトで勝負できそうなのですが、ここはあまり重要視しなかったようです。所得なんかの問題で、市場として未成熟だったのでしょうかね。

小林: 日産に限らず、海外生産比率の高いメーカーがおしなべて日本では勝負にならなかったことは政策的にもっと考える余地があったと思うんだ。国内でトヨタは昭和仕様のクルマを作り続け、それを日本国民も受け容れ、海外ではVWゴルフやルーテシアなど、「グローバル仕様」のライバルと競争していたという。ゴーンはその構図を見て、倒産寸前の日産に最適な処方をしたに過ぎず、国内軽視の批判は当たらないと思うな。



ハヤト: 合併を通じたシェア拡大はどうでしょう? 行き過ぎた拡販路線が収益性を低下させたと批判されていましたが?

小林: 自動車生産それ自体は規模の経済だから、よりグローバルな広がりを持ち、大きなメーカーの方が部品調達でも有利なことは否めず、コスパの良い自動車を作るには、ゴーンの場合は与えられていた命題は打倒トヨタだったと思うけど、トヨタに対抗するにはやむを得ないといえるだろうな。トヨタは全生産台数1千万台の3分の2は海外生産で、ここで部品調達を効率化できることが国内の競争でも高い利益率に貢献していた。

ハヤト: しかし、国内においては雇用の維持にはあまり貢献しないと思うのですよ。一言で言えば海外から安い部品を買ってきて自動車に仕立てるじゃないですか。

小林: だから、こういう戦略を取らざるを得ない所にトヨタ以外のメーカーを追い詰めたのが他ならぬ経産省で。最初からトヨタを分割して、国内でちゃんとした自由競争ができるようにしておれば、各社は軽自動車じゃなく性能仕様を競ったクルマを国内向けに提供しただろうし、それを作るための雇用も確保できたはずだ。ゴーンの見た日本がそういうものだったら、それで彼が招聘されたかは別として、また違った戦略を取ったことだろう。



ハヤト: クルマの世界において、デザインや歴史文化の影響力は大きいものがあります。商品企画で作ろうと思っても作れるものではありませんし、ベンツ100年の歴史、匠の技のレクサス、個性的なデザインのフランス車(ルノー、PSA)やアルファ・ロメオ、ジャガーなどはブランドとして認知されています。絶え間ない技術開発と競争の歴史がそれを生み出したわけで、そういう意味で日本国内で健全な自由競争を行うことは生産された商品の価値を高めるものとは言えるでしょうね。

小林: ゴーンは石油技術者でもなければファミレスのCEOでもないのだから、自動車産業のそういう特徴は熟知していた。むしろ「ダットサン」みたいに裏目に出た例もあるわけで、これは単なる無国籍のコスモポリタンとは違う。しかし経産省の怠慢で、そういう魅力では日産は勝負できなかったから、彼は海外に出たわけで。



3.西川路線の妥当性



ハヤト: しかし事情が上の通りだとすると、大規模なリストラで海外生産を縮小して、国内回帰を目指すというゴーン路線を否定した西川さんの戦略は国内事情の改善が見られない今日では自殺行為にも見えますね。

小林: いちばんの問題は仮に国内でヒット車を出したとしても、トヨタが規定した貧弱な体躯の小さなクルマでは欧米ばかりでなく中国やアジアに持っていっても売れないということだろうな。VWゴルフが標準器と言われているけど、今のグローバル・コモンカーの水準は国内のそれを大きく凌ぐから。



ハヤト: ここ10年、ゴーンさんは電気自動車に注力していました。国内でもこの分野では日産は優位なのですが、これはトヨタと競合しなかったからでしょうかね。3万箇所というかなりの数の充電ポイントを整備し、今やガソリンスタンドでも多いです、ケチな彼にしては多額の投資をしていましたね。

小林: それもあるが、車自体を見てもリーフは初代から全幅1.8メートル近い3ナンバーサイズで、電気自動車ゆえの制約はあったが、快適性・居住性ともプリウスを大きく凌いでいた。いわゆる国際標準で、見た所一人勝ちのような状況なのだから、国際的に通用するサイズもあって、ゲームチェンジャーとしての価値もインプリメントされていただろう。これはプリウスとは思想が違う。

ハヤト: 他のハイブリッドおよび電気自動車、プリウスと三菱のアイミーブなんですが、は、基本が5ナンバーまたは軽自動車枠で、先ず日本国内での使用を前提に開発された所はありますね。同タイプのハイブリッドをぶつけたら、ノートe-powerはその戦略が可能なことを示しましたが、国内では勝っても後がないと。

小林: 昔のサニーと違って、こういう車を海外に持って行っても売れないんだ。半分は国内向けで、アジアを除けばノートは小さくて安く、欧州でも北米でもパッとしない売れ行きしかない。リーフがキワモノ扱いとはいえ、ノートの弱い北米を中心に20万台以上販売していることとは対象的だ。

ハヤト: 西川さんはインセンティブ販売が会社の体力を弱めたとゴーン路線を批判していましたね。

 北米型日産ノート 売れないためフリート販売やタクシー需要が中心

小林: そのインセンティブ販売の中心が日本では5ナンバーのこの日産ノートのセダン型ヴァーサ。日本で勝ってもその後に何が待っているか、この例でも分かるだろう。

ハヤト: 日産の株価は今や650円です。社債の引受けも頓挫しましたし、ゴーン氏の逮捕前は1,100円でしたから、2千億近くが消し飛んだ計算になります。これは事件だけの影響ではないでしょう。先の見えない今日、事件を主導した経産省は今後の産業政策も含めて、いかなる方法で企業価値を回復させるつもりなのでしょうか?



閑話休題

① 日産問題



小林: 誰もがこの人じゃ会社が持たないと分かっているのだが、聞いた話では他に適任者もいないので、経産のドーピングでしばらく生き残るんだろうな。ほか、検察庁もある。今彼に辞められてはゴーン裁判は敗訴特捜部は解体検察庁崩壊は目に見えている。西川やハリナダといったゴーンキラー抜きで日産法務部の面子が熱心に捜査に協力するとは思えないからな。

ハヤト: GPIFの買い増しというのはありそうな話ですねえ、日本生命を使って社長退陣を促したそうですが、古い話です。

小林: 間違ったビジョンは必ず間違った結果を刈り取ることになるが、独創性のない彼らのこと、ゴーン戦略を水で薄めたようなものに落ち着くのだろうな。つまり、日産キューブは復活しない。国内専用車だったからな。



ハヤト: ゴーン時代の日産といえば、スカイラインでもなくフーガでもなくこれだったのですがね。

小林: 商用車を作らなかったのが痛かったな。日本のガングーになれたクルマなんだが、ガングーが今も現役で宅配便や郵便配達に活躍していることを見れば、ヘビーデューティー性をもっと上げて、もう少し全長も長くしてプロボックスのライバルに仕立てればと思ったが、そんな投資をゴーンがするはずもない。

 哲学堂公園 四聖堂

ハヤト: 皮肉なことに、ゴーン氏が規模の経済を追求したおかげで、こと国内では寡占さえ何とかしてもらえれば日産はトヨタと勝負できる状況にあります。

小林: 権力を行使すべきはトップの犯罪じゃなく、どう見てもこちらだわな。そりゃあトヨタは顧客に寄り添って、使いやすいクルマを作ってきたから今の地位があるのだけど、最近は優位にあぐらをかいていて、廉価なアジア製部品にローテクの粗製車ばかり提供して規模の優位を誇示している。おかげで日本車は世界標準に比べて何世代も遅れてしまったわけで、まだ良い時代の記憶のあるゴーンがインドで「ダットサン」ブランドを立ち上げても失笑される始末だ。



ハヤト: あれは何なんですかね? 読むと日本製エンジニアリングであることがバカに強調されていて、設計者の名前まで誇示されていますが、そういうのはインドでも通用しない。

小林: 設計はインドの実情に合わせた簡素な装備の頑健なヘビーデューティーカーなんだ。だけども簡素であることが質実ではなく、貧乏ったらしいイメージになってしまい。インドでもそうなんだ。こと技術製品での日本のイメージは地に落ちていると言って良く。それはこと国内でトヨタに慮って貧相なクルマばかり走らせているせいだ。

ハヤト: 日本でのイメージが良くなれば世界でのイメージも良くなる。ま、自動車というプロダクトはそうなのでしょう。しかし、日産一社や西川氏には荷の重い課題でもあります。それにあの安倍政権、責任のなすり合いで無責任なことは見れば分かりますから、こちらとしてはマア、あまり希望的観測をしない方が良いでしょうね。

小林: それは言えるな。


② 2202レビュー



小林: 引き受けたら案外早かったというわけで、すでに上がっていた2202レビューだが、いつものように加除修正してカオルさんのサイトで掲示することになった。

ハヤト: 用語集は廃止したという話ですが、廃止しても案外読めますね。

小林: 扱う作品にしても格というものがあるので、この作品には付ける必要ないかと。画像はあえて他の人が用いそうにないものを選んで付けることにした。

ハヤト: ウチのレビューではストーリー解説は「見れば分かる」ということでしませんが、実は参照数も多く、メインコンテンツの一つですね。



小林: 田中康夫がダラダラ不自由展の言い訳をしている津田大介を「頭が悪い」と評していたけど、私もストーリー解説なんかで何十行も書くのは好まんのよ。一部の例外を除き、基本的に一覧できる内容で、長いレビューでも段落は短く読みやすくは意識している。レビューの目的は作品と併読した読者が「賛成or反対」と意見形成することにあるので。それができれば言葉は数言でも構わない。それにしてもぬらりひょんな作品(2202)だったな、いったい何で作ったのか。



ハヤト: そういえばこんな記事がありましたが、またぞろ富野さんの神格化が始まっているようですよ。

小林: そのせいでアニメ界は20年停滞したのだがな。ザンボット、、たかだか2クールの短編で、大した話でもないじゃない。エログロ描写に主張の意味を見出すバカはどこにでもいるけどさ、あのくらいのことは、実は永井豪も藤子不二雄もやっていたよ。それよりもっと普通の作品を普通に評価はできないの?

ハヤト: ま、おおらかな時代でしたからね。では、今回はここまで。