Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/1/29)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.そろそろ平常運転



小林: そもそもアメリカの証取委が日本の会社の内輪揉めにしゃしゃり出てくる必要はないのだがな。一応、日産はニューヨーク証券取引所にも上場している。アメリカの会社も日本と同じく有価証券報告書(GAAP Form 10-K)を出す必要があるのだが、そこの内閣府令に相当する部分(Part3 Item 11)が問題となっている。

ハヤト: ほとんど何も書いてなかったじゃありませんか(日産)。そりゃあアメリカの方がだいぶ詳しいんですがね、日本じゃそもそも報告義務がない。一応報道ではアメリカでは日産全体のガバナンスの問題としていますが、日本では米国日産幹部の問題と少しズレがありますね。告発となりますと、後者でしたら先の証取委のようにゴーンさんを名指しになりますが、前者でしたら通例通り会社と監査法人が問題になります。



小林: 役員報酬の決め方についてはゴーンの事件を受けて金融庁が規定を変え、第4四半期からこれまでは「算定方法があれば記載、なければ不記載で可」という算定法が開示義務化されたので、これでやるとゴーン式の報酬も3月は開示が必要になる。元々日産の幹部報酬の決め方は「あり」で、日本語でも英語でもあるが、「外部の意見を参考にしつつ、会長と代取が合議」という透明度の低いものだった。これは別に異例じゃない。株主総会では「取締役会に一任」、取締役会では「代取に一任」は日本の多くの企業で普通の姿だ。



ハヤト: と、なりますと、代表取締役はゴーンさんのほかは西川さんとケリーさんしかいなかったのですから、報酬は事実上ゴーンさんとケリーさんの二人で決めることができる感じですね。公平性に問題があると思うのですが、他の企業でもそうだったと。でしたら、証取委が通常の財務諸表や有価証券報告書からは導き出せないゴーン氏の隠し報酬を算出できた根拠が分かりますね。除け者にされた西川さんがリークしたと。

小林: テクニカルな財務書類の内容を二人だけで決めたとは思えないし、これ見た感じではそれなりの算出根拠はあった感じだよね。米国のForm 10Kはきちんと報告していて、短期的報酬や長期的インセンティブ、事業への寄与度など分類して算式と荷重係数を明示して役員個々に分析して提示している。なので、米国の役員報酬欄(Exective Compensation)はそれだけで数十ページもある。でも、この式には見て分かる難点もあってさ。

ハヤト: GMの報告書を見ると、総額25億円のバーラCEOの基本給は2億3千万円(210万ドル)ですが、業績など寄与度は5億4千万で、株式報奨やストック・オプションが15億3千万、その他が9,300万円で、基本給とボーナスの総額は7億7千万と、実はゴーンさん(7億4千万円)とあまり変わりありませんね。ストック・オプションに相当するものは日産では株価連動型の報酬ですが、ゴーンさんと西川さんはこれは受け取っていなかった。バーラさんの「その他」も実は良く分かりませんがね。

 業績と報奨理由が明確なアメリカの有価証券報告書(Form 10K)

小林: 難点というのはさ、ちゃんと報酬委員会を作ってゴーンの報酬をGM式にやると今言われている報酬じゃ済まなくなるんじゃないかということでさ。だって日産の役員会、9人いるけど2人はレースクイーンと経産省で、前社長の志賀さんは産業革新機構で会社に出てこない、外人の一人は社外でケリーはゴーンも認めるサイン要員じゃ、まともに仕事できる人はゴーンのほかは西川と購買担当のレイ(ルノー)、あとは生産技術屋の坂本しかいないじゃない。うち二人(レイ、坂本)は職域が限られるし、2017年~2018年の業績を見る限り、社長の西川もゴーン落としに専心していて業績ダウンじゃ、原資が30億円あっても、ゴーンくらいしか給料やれる人いないじゃない。20億が適当かどうかは別として。

ハヤト: 三菱は問題起こしてないんですよ。関連会社はアチャー!でしたがね。あれはベタ過ぎるので言い逃れの余地は保釈されればあると思います。それは日産と違い、三菱が金銭報酬とストック・オプションをきちんと給付していたことが大きいと思います。日産はその、ルノーに株を取られすぎて、これ以上外人株主を増やしたくない事情がありましたからね。奇怪な報酬制度を採用していた。ゴーンさんの場合ですと19年ですから、毎年100万株ですと一人でも発行済株式の0.5~1%になります。ですが、この程度でしたら日産もストック・オプションや株式報酬を検討する余地は十二分にあったでしょうね。

 ガーディアン

小林: 日本の制度は不透明だし、ゴーンや日産に率先して制度を改める動機はないから、これは証取委、金融庁がやるしかない。この件では検察と結託してゴーン個人を弾劾して問題を矮小化した証取委より、アメリカのSECのアプローチの方が実は正攻法でまともだな。



2.2005年に辞めるべきだった?



 「あの傲岸不遜なゴーン氏も、さすがに精神的に参っているんじゃないか。いわゆる拘禁反応に苦しんで、平常心を失いつつあるんじゃないか、と話題になっています。ゴーン氏が米国の代理人を通じて発表した弱気な声明に驚いた直後ですから」(日産関係者)

小林: あの件(保釈声明)で驚きなのは、三畳一間で接見15分、ネットもなく新聞書籍の持ち込みも制限されているゴーンがほぼ同時期の週刊誌の特集記事、ファーウェイ副社長の保釈後生活を知っていたということなのだがな。あれは内容からしてゴーンというより在米のポール・ワイスの弁護士の作というのが常識的な見方だが。マア、確かにあれ以上譲歩しようのない内容であるし、フランス大統領の保釈要請もある、次回の請求では裁判所も考慮せざるを得ないよ。

ハヤト: ゴーン氏については、前任の塙社長が密かに温めていた「日産リバイバルプラン」を成功させ、ルノーCEOに就任した時点で辞めるべきだったという論調は良くありますね。実はアナタもそうだったという。でも、当時の日産を見ると実は「そんなに簡単ではなかった」と。

小林: 今じゃ私も「2005年に辞めない方が良かった」派だよ。次のチャンスは2008年のリーマン危機、オバマ大統領から招聘を受けた2010年だったと思うが、2005年では早すぎると思えるのは、当時の日産の車を見れば分かるな。

 

小林: 実はクルマ自体のコストダウンはゴーンが来る前から進んでいたんだ。左は90年代末のセドリック、最後のモデルだが直線主体の単調な造形でプレスラインを節約したいと分かる。右はスカイライン、茫洋でこれも単純な外装で、2005年の車だが実車などはさらにチープで外板の合わせ目(チリ)は大きいし、内装はプラスチッキーで質感とは程遠いものだった。400万、500万のクルマでも同価格の欧州車と比べるとフィール、タッチ全てが安っぽく。



、、日産リバイバルプランは1999年10月に発表、2000年4月から実施された。購買コストや人員の削減など強力なリストラを進めて(1)2000年度連結当期利益の黒字化
(2)02年度連結売上高営業利益率4・5%以上(3)02年度末までに自動車事業の連結有利子負債を7000億円以下に削減-という大胆なコミットメント(達成目標)を掲げ、いずれか未達成の場合は経営陣全員が辞任すると公約。結果的に、すべて1年前倒しで達成した。

ハヤト: 上は2006年の東京新聞ですが、新車開発がジリ貧になっていることは指摘されていますね。実際、この時期から日産の国内シェアは急落しています。でも、総販売台数は減っていないんですよね?

 

小林: 記事が指摘するようなことはゴーンは理解していてさ、いや、普通の日産社員より辛辣かもしれない。リバイバルプランを達成した2005年時点では、日産には技術や品質で輸入車や他の国産車に対抗できるようなクルマがなかった。なので、彼はそれを中国に持っていった。これ、記事に書いてないよね。

 

ハヤト: ルノーの影響力が強まることで、経産省が「技術が中国に」と懸念したと言われていますが、当時は何も言わなかったんですね。ああ、東風汽車の写真に差し替える必要はないです。同じ車ですから

小林: つまり、塙社長の振り付けの下、リバイバルプランを実行したゴーンは当時作られていた日産車開発されていたクルマを評価していなかった。そういうことだな。


早くも2003年にリバイバル車を中国に持ち出し

ハヤト: ゴーン氏も、当時それを言ったら彼でも更迭されてしまいますから、リバイバルの問題点は経営を安定させた後というのは彼ならずともそうでしょう。でも、今日における彼の評価の多くは2003年のプラン終了時点、あるいは2005年のルノー転出時を基礎に評論する人が多いです。

小林: 2003年に終了したと同時に退任したらどうだったのかな? 当時の日産車はカッコ悪いクルマばかりなので、買うならキューブ買うしかないとは良く聞いたが、、

 

、、日本では、「ゴーンがボロボロの日産を立て直した」と考えられており、たしかに私も就任後約5年間の再建手腕は評価しているが、見方が若干違う。なぜなら、日産はもともと技術的には決してボロボロの会社ではなかったからである。(中略)私自身、10年以上日産車に乗っているが素晴らしいと実感している。

ハヤト: 好き勝手なこと言っていますね。技術的にボロボロだったから中国に出されたんでしょう?

小林: どうして誰も評価しないのかと思うが、ゴーンが自動車人らしいのはむしろリバイバルプラン終了以降でしょうが。そこで技術を選び、開発を行い、およそ15年で業界最強クラスの車両開発力を培ったわけで、今の日産の商品開発力はトヨタと比べても劣らない上に、それ以下の他メーカーと比べても隔絶している。



閑話休題

日産(Rプラン直後) 日産 三菱 トヨタ ホンダ
電気自動車
ハイブリッドカー △(トヨタOEM)
燃料電池車
自動運転
ITサービス
プレミアムスポーツ ✕(生産中止)
製造技術
開発投資
軽自動車
皇室専用車 ○(ディグニティ)
総 評 △- ○-

小林: 簡単な図だけども、トヨタが持っているもので日産が持っていないものってほとんどないよね。そりゃあセンチュリーロイヤルはトヨタだが5台しかない皇室専用車だし、ハイブリッド技術はトヨタと互角以上というのは多くの評がある。電気自動車はほぼ独占だし、GT-Rやフェアレディのようなプレミアムスポーツはトヨタは逆立ちしても作れない。86はスバル、スープラはBMWのOEMだ。軽自動車も実は作れるのはNMKVで三菱から技術を吸収して、より以上の新型デイズを開発していることで実証済みだ。三菱の軽自動車は以前のボタンの掛け違えで設計上の問題を抱えていたからな。

ハヤト: 結構優秀ですよね。まあ、大前さんたちが激賞しているリバイバルプランでは日産は左端ですから、14年間で良くやったと思います。



小林: 三菱とのアライアンスが特に良く、わずか2年だが商品開発力に優れる日産の助けで走る・曲がる・止まるといった基本機能は優れていたものの、商品性ではだいぶ劣っていた三菱車がかなり良くなった。トヨタがダイハツに手を貸してもムーヴの内装は相変わらず安っぽいし、ダイハツエンジンを積んだヴィッツがトヨタ社内でも粗製車として蔑視されているのとは対象的だ。15年前まで国内最悪の粗製車を作っていたメーカーがついに他社を指導できるまでに成長したわけで。

 → 

ハヤト: ルノーのクルマも普通になりましたね。以前のルノーと言えばフランス製トラバントみたいな実用車でしたが。最近のは世界的に通用する文法で作られていると思います。

小林: ゴーンの辞め時といえばやはり還暦を迎えた2015年ころだと思うが、ここで辞めておれば花道を飾れたであろうが、フランス政府が辞めさせなかった。

ハヤト: ゴーン氏はビジネスでも様々な新基軸を試したと思いますが、社会や法律が追いつかなかった所があると思うんですよ。

小林: それはあるわな、しかし、今になって日産リバイバルプランは良かったなんて言っている大前研一やら井上久男やら田中康夫なんかを見ると、ゴーンがいつまでも辞められなかったのは無理もない話であるな。この程度の面子じゃ三社連合の統帥は務まらない。しかしいい加減この連中、2005年以降の話をしてくれ。



ハヤト: あと、これなんですがね、日産株式の9%はGPIF、つまり年金で、政府はずっと「一私企業の問題」としていますが、そうではないわけですよ。アナタもお金を貸したら勝手に投資して、投資先が潰れたら「知りません」なんて人にお金貸します?

小林: マスコミはずっと口を噤んでいるけど、会談を申し込んだマクロンに不真面目に応対したり、内紛が刑事化して激化しているのに傍観というのは不誠実の極みなんだよ。この件で背後で画策していちばん小賢しく、狡くて卑怯で無責任なのが日本政府という代物でさ、マクロンも声を大にして日本国民に呼びかければいいんだ。「アナタ方の年金がこんなことに使われてますよ!」と、投資した金に責任を持つのは顧客を持つ投資家だったら当たり前だ。

ハヤト: この件では株主で当事者の安倍政権の態度は人の金で放埒している分、まともな良心の持ち合わせのある人には理解に苦しむものがあります。刑事手続も問題多すぎですね。

小林: 今回の件で日産にゴーン以外の損失が出たなら、元凶の安倍や菅官房長官、世耕大臣に特別背任で損害賠償を請求すべきだよ。

ハヤト: では、今回はここまで。