Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/1/27)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.ゴーン特集まとめ



小林: マクロンさんという人はゴーン同様スマートなので、日産が西川を会長兼務とすると、より格上のスナールをぶつけて会長職よこせとなる。つまり、相手の銀に対して金を張ったようなもので、これはこちらも金を張らないと対抗できないな。しかし、日産の会長職はなり手がいない

ハヤト: ゴーンさんの逮捕を見た後じゃ、外国から招聘は無理そうですし、国内にもこれといった人はいなさそうですね。



ハヤト: とりあえず、これまでの報道から構図を整理するとこんな感じです。スワップ取引の日産付け替えに失敗したゴーン氏はオマーンの友人から金を借り、ジュファリ氏に信用状を開設させて信用保証とし、増担保の要請を撤回させたことになります。それからジュファリ氏に16億円を数回に分けて送金し、その一部は新生銀行への支払いに充てられたとされています。あと、オマーンへの38億円不正送金の疑惑があります。この一部はゴーン氏の後妻キャロル氏のクルーザー購入代金に充てられた疑いがあります。起訴されたのは赤字の部分ですね。あと、虚偽記載では脱税の疑いもあるはずですが、これは起訴されていません。



小林: 上みたいなコメントもあって、ジュファリの信用状は実は30億円も必要なく、リースだったら10%(3億円)程度で調達でき、送金した16億円のうち13億円は丸儲けという言い分もあるな。ただ、読んでいるとこれ「最終段階告訴督促状」みたいな文章で、受益者がどうのという記述はどうも荷為替信用状と混同している感じがあるな。この構図では受益者は新生銀行に決まっているだろ。それに他の記事から、信用状の期間は1年間、2009年1月頃と分かっているんだ。

ハヤト: リーマン危機後は為替も安定し、担保にしていた日産の株価も持ち戻しますから、ジュファリ氏の保証の必要もなくなってきますよね。保証のために何年も掛けて送金する必要もない。報道ではその後もゴーン氏は損失を出し続け、その都度ジュファリ氏を経由したマネロンで補填という話もありますが、その送金も2012年までなんですよね。それにオマーン、保証が3億円で調達できるとなると、ゴーン氏は同じ時期に何のために30億円も借りたんでしょう?

小林: ゴーンが使ったのはスタンバイ信用状というものでさ、保証金は上限額と同じ(100%)、通常のL/Cのように荷為替手形に添付しての譲渡は予定されておらず、受益者は銀行で現地法人の信用保証に用いられるものだ。受益者や条件を変更した転用は簡単でないし、これを使っての送金も予定していない。この信用状で受益者の銀行が債務不履行証明書を付けて開設銀行に履行を求めることは「最後の手段」だから使わないことが望ましい。現にジュファリの保証も使われなかった。

 

ハヤト: ジュファリ氏がこの時期に30億円調達できる人物かどうかについては、我々も疑問を持っていましたね。2004年に中東日産と合弁で日産ガルフを設立し、その会長に収まっていますが、当時の彼はジュファリの副会長で実権は弟のワリドが握っていました。ジュファリ家は慈善活動に熱心な家柄で、ハリド氏も言行を見る限りこちらの方により関心が強いようですね。ジュファリの慈善活動はハリド氏の父アハメドとアメリカで臨床心理を修めた姉のマーハを中心に1985年から続いています。

小林: 大財閥の生存の知恵でさ、長子に財閥を相続させ、残りの子息のために人畜無害な慈善活動を別に作って専心させるというのは他の国でもありそうな話だ。ハリドの慈善活動は結構堂が入っていて、最近のコメントを見ても(2013年2017年)ビル・ゲイツなんかと手を組んで、日産の仕事より、どう見てもこちらの方に熱意があるように見える。

ハヤト: というわけで、信用状のリースなどでないとすると、ジュファリさんはどこかから30億円調達しなければいけません。我々は元々リース説ではありませんので、この件は下のような理解をしているわけです。



2.事件の構図



ハヤト: 付け替えを断られたゴーンさんは少年時代の知己を頼り、ミスターXことビンタラール王子とワリド・ジュファリ(ハリドの弟)に支援を求めます。この二人はゴーン氏とほぼ同じ年で三人ともレバノン(ベイルート)の学校で教育を受け、ハリドと異なり30億くらいポンと出せる大物です。そこで集めた資金を日産ガルフの縁で恩を売っていたバフワン財閥のスヘイル・バフワンが取りまとめてゴーンに貸付けの形を取り、それから資金をハリドに直接交付して信用状を開設したという筋書きです。つまりハリドは名義貸しで、黒幕はX(エックス)とワリド、そういう理解ですね。

小林: 自分たちで保証しなかったのは名前を出したくない事情があったんだろうな。大仰に見えるけど、電子決済だから数日で新生銀行にスタンバイ信用状の通知が行ったはずだ。これで増担保が不要になり、ゴーンはスワップ契約を継続することができた。



ハヤト: 次いで巻き戻しの手順になります。1年後、2010年の初め頃ですね。危機が収束し、株価も回復して信用保証の必要がなくなると、ジュファリ氏は信用状を閉鎖して払い戻しをし、ゴーン氏に30億円を送金します。手数料として3億円ほどという記事もありますね。高すぎると思いますが。3億円はリーマン前という情報もあります。だとすれば関係ありませんね。ゴーン氏はバフワンに返済し、借用書を返還してもらいます。この借用書は特捜部に押収されています。そしてバフワンは元の資金の出所、X(エックス)氏とワリド氏に送金してリーマン前に戻るわけです。

小林: で、同時期からその後に日産からジュファリに16億円バフワンに38億円の送金がされていることが問題視されているわけで。上の図だと③=bと言いたげだけど、ゴーンの借金を日産が返して返済(非債弁済)ということはないわけで、②とaも混同して理解されている感じだが、aの送金は数億円づつ2011年まで行われているし、これを返済金に充てるとバフワンに38億も送る理由がなくなる。それにゴーンが信用保証を必要としたのはせいぜいが2009年で、これは時期も拙速性も異なる。



ハヤト: で、これが現在の構図です。先の図でバフワンには38億円の送金がありましたが、現在の奥さんのキャロルさんと結婚した2016年以降、バフワンの幹部、おそらくは会長のアマル・バフワンからキャロルさんの会社に16億円が送金され、直接ではなくペーパー会社を介してですが、クルーザーの購入代金に充てられたという話があります。特捜部はこれも38億円の一部と睨んでいるようですが、我々はゴーン氏とバフワン会長アマル氏の個人的関係(ご祝儀)と見ていますね。

小林: この時期はX(エックス)と一緒にゴーンを助けたワリドは禁治産者で、兄のハリド、例の名義貸しの慈善家がジュファリ社の実権を握ってきた頃だ。バフワンもスヘイルは2016年に引退し、娘のアマルが会長となっている。ハリドは日産サウジアラビアを設立して、サウジでの営業を強化している。先のこの人物の性向を考えれば、半分持株の日産ガルフはジュファリさんが興味があるというより、むしろX(エックス)さんの領分だな。腹心のナセル・ウォーターを送って中東全域を管轄している。



ハヤト: そして、ゴーンさんの告発は彼によって形骸化した中東日産の関係者が中心となっているのですが、この会社は前社長の塙さんが創設したものですから、旧社長派とでも言うべきですかね? つまり、古い日産勢力が現社長の西川氏と結託してゴーン氏を追ったという。

小林: この辺は中東日産という会社がゴーン出現後どう変質していったかを見ていったほうが良いな。



3.中東の流刑地(中東日産)



ハヤト: 実は日本車の中東への輸出は戦後間もなくから行われていて、ジープやトラックなどで一定の評判を得ていたのですが、本格的な販売拠点、マーケティング拠点を備えたのは日産が最初です。中東日産は1994年にアラブ首長国連邦に設立され、中東全域での日産車の販売、マーケティングを統括する司令所でした。大規模な自動車運搬船横付け・操車設備も備えており、日産の工場から直接デリバリー可能な中東の一大拠点です。中東で市販する新型車のテストも行っていたことは現在でも紹介ページにありますね。

 中東日産の紹介

、、「品質コントローラー」と呼ばれるテストドライバーは、地元ディーラーで技術担当をしているスペシャリストであることが多い。日々お客様と接し、お客様の要望を理解していることから、その視点と共にテストドライブに取り組める。品質コントローラーには、車両において、お客様が重視するポイントを熟知していることが求められるのだ。

小林: 図らずもテストドライバーまでジュファリ頼みとバレてしまっているが、上図ではトヨタの例も挙げているけど、日産のような巨大戦艦はトヨタは中東では作らなかった。アブドゥル・ラーティフ・ジャミールというサウジアラビア人のディーラー、たぶんこれが中東では最大だったを昇格させてジャミール商事とし、そこをチャネルに自動車を輸出している。中東のような閉鎖マーケットでは本社の人間が乗り込んで統括する巨大戦艦方式では通用しないと思っていたのだろう。

ハヤト: 賢明な選択だったと思います。実はトヨタの中東での自動車販売は複数のディーラーが並立するもっと曖昧模糊としたものだったのですが、奥田社長の時代にジャミール商事を中心とする形に再編されまして、現在に至っているという経緯があります。日産を中央集権型とすれば、トヨタは連邦型といえるでしょう。その後の経過を見るに、ゴーン氏が手本にしたのは日産ではなくトヨタです。



ハヤト: 特捜部が暴露した10年前の不正送金の構図というのは、実はゴーン氏による日産ディーラー再編の計略の一部だったのです。ジャミール商事のようなディーラーは日産にはありませんでしたから、ゴーン氏は先ずジュファリと組んで中東日産と合弁で日産ガルフを設立します。この会社は資本こそジュファリ(ハリド)が半分ですが、実際に会社を仕切っているのはナセル・ウォーター、おそらくはビンタラール王子の腹心という人物です。この会社を足場に中東日産の機能を徐々にジュファリに移していったわけです。

小林: ビンタラールやワリドがゴーンを助けるのも理由のないことではない。リーマン危機の起きた2008年はちょうどこのガルフによる中東日産乗っ取り計画の最中だった。ここでゴーンが失脚してはせっかく得られるはずだった中東での利権が根こそぎなくなる。

ハヤト: ゴーン氏の仕事は諸事早いですが、設立から4年くらいで奪い返されれば元も子もないわけで、1994年の設立から10年経ってもさほどの成果のなかった中東で2004年にはRYMCOを契約更改、2005年にはバフワンと日産ガルフを中心に彼はディーラーの再編を進めます。この時解除されたサウジアラビアのディーラーが損害賠償を求めてシンガポールの調停裁判所で係争中というのは、「ゴーンの言い分はウソばかり」の中東日産関係者の証言として報道されましたね。

小林: この構図だとガルフの設立に力を貸したジュファリは日産サウジアラビアとなり、バフワンなんかと同じ地域ディーラーに後退しているように見えるな。ゴーンはジュファリにジャミールと同じ役割を期待したが、ハリドの人物はそれほどでもなかったということか。ま、慈善家だから。

ハヤト: その辺は分かりませんが、現在ですと中東日産は本来の業務をほぼ奪われ、ジュファリとビンタラール王子がジャミール商事の役割を担っていることになります。つまり、それが彼らの目的だった。ゴーン氏は日産型をトヨタ型に変えたのですが、やっぱりここで恨みを買うのは中東日産とその関係者、旧塙社長派の一派でしょう。彼らにしてみればゴーン氏の采配は日産の中東資産をビンタラールに売ったと言っても良いもので、利益相反とか会社法を知っていそうな人には出てくるような感じもあります。

小林: どうなのかな? 結果は出しているのだし、やり方もトヨタのマネでゴーンの独創と言えるほどでもない。このくらいの利益相反なら経営判断というべきもので、私はそんなに非難されるべきものではないと思うがな。

ハヤト: 日産ガルフはジャミール商事と似ていますが、黒幕がいるという点で、これはトヨタとは少し違います。



閑話休題



小林: で、元の構図に戻るわけだけれども、上みたいになってしまうのはこれはやっぱり捜査の初動ミス、事件の渦中にある中東日産という会社について、特捜部があまり知らなかった、認識が甘かったと見るべきなのかな? マア、責められまい。上の構図は罪人を作りすぎるという難点があるが、日産と名前が付けば現地支社くらいに思うのが普通で、まさか事実上乗っ取られていてスタッフがツンボ座敷とは普通は考えまい。


ツンボ座敷の一例、外務省による2010年9月在オマーン日本大使館報、中東日産のお膝元のUAEで「面会はセッティングしていない」はずの王族が大挙してゴーン講演に来訪。ご近所ですらこれでは、ここ(中東日産)のスタッフに他の国での会長の動向なんか分かるわけがない。なお、ムハンマド皇太子はサウジ皇太子とは別人。

ハヤト: リーマン以降には機能の大部分もガルフに移していて、本社とのチャネルを生かした送金機関ぐらいになっていたと思います。ゴーン氏によって形骸化が加速したという点も否定できないでしょう。そこのスタッフの言うことが信用できるのかといえば、、

小林: 中東日産への送金の半分がFOB(フレンド・オブ・ゴーン)、つまりゴーン関連だったというのだから、ここの管理職にちゃんとした業務執行権があったのなら、内部監査部の久保の来訪を待つまでもなく、不審な送金については本社の監査役会に報告できたはずだ。不審を感じつつも本社からの金銭を右から左に回すことしかできなかったというのであれば、それは実務にタッチしていない、中小企業の経理を担当する短大卒のオネーチャンとやっていることが大差ないということだ。例えば下のような人はどう見ても短大卒のオネーチャンとは違うだろう?



ハヤト: ええ、このくらいの人で十分です。聞けば田中康夫さんの同級生という話ですが、このくらいの人が中東日産にいればゴーン氏の野望は事件化する前に挫かれたはずです。この方がオネーチャンでなければ市場や経営についての判断もある程度期待して良いはずですからね。ああ、もちろんそんな人じゃないです。

小林: 特捜部は構図が見えた時点で撤退する勇気が必要だったと思うが、たぶんゴーン支持の元社員や弁護士の集中攻撃もここに集中するんだろうな。裁判を始めてもこれでは証言撤回や否認が続出するような気がする。

ハヤト: RNBVの話は前々回でやりましたので、これまでの構図を整理ということで、ゴーン氏の勾留は当面続きそうですし、新たな動きがあるまで、ひとまずはこれにて終了でしょう。

小林: では、今回はここまで。