Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/1/24)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.こっちの水は甘いぞ?持株会社



小林: ま、仕方ないわな。当人としては不名誉な解任よりはルノーの勧めもあったけど辞任ということで。指名委員会は18日に後任を選定していたので、保釈請求の結果に関わらず退任は確定していた。24日まで待ったのは本人の意向を確認するためだろう。日本だと辞任と解任はあまり区別されないが、解任するとしてルノーがどういう理由を挙げるかには興味があった。私はたぶん不行跡とか背任ではなく、執務不能だと思っていたけど。

ハヤト: で、今後の体制なんですが、15日にビアル氏とモーリン氏が来日して「統括会社案」を日本政府に示したことが報じられています。この案についてはアナタは政府と日産の間に温度差があるということですね。例によって図を描くとこんな感じです。分かりやすさということで、役員の数は10人を基準にしました。

 仏政府案

ハヤト: 説明しますと、持分会社を作る場合は各々の会社の時価総額が基準になります。本日の価格を基準にルノー、日産、三菱の力関係を見ますと2:4:1になります。三菱の時価総額はほぼ一兆円ですから分かりやすいですね。これをそのまま反映しますとルノー3人、日産6人、三菱1人となります。ですが、ルノーと日産、日産と三菱に関連会社の関係があることはご存知ですね。そこで調整しますとルノー5人、日産4人三菱は0人だったのですが、5.3人のルノーの持ち分を移して0人→1人と。

小林: あと、社外取締役を3人加えて13人という所だが、予備として1人加えて社外4人とし、ルノーは議長を加えて6人合計15人というのが妥当な線だ。ルノーが一見優勢に見えるが、フランス会社法の場合、確か4分の1以上は労組代表でなければいけない。そうしないと準拠法をどうするかにもよるが、持株会社の設立自体許可されない可能性がある。なので、ルノーの実力は3+1で4人と日産と対等だ。

ハヤト: 三菱の地位が哀れですが、議決権同等でしたらそんなに悪くない案に見えますね。例の持ち合い問題もなくなりますし。で、社内の混乱を鎮めるため、と、経産省はあっけなく日産を裏切ってルノーの味方をすることに決めた(GPIF9%→ルノー52%確保成功)

小林: ついでに西川以下現経営陣全員を馘首することも呑んだみたいだ。田中康夫じゃないけど、この話、もう詰んでいるよね。三菱については株式移転には特別決議が必要だから、この案では参加しない可能性もあるな。その場合は日産の関連会社として間接的にグループ参加だろう。

ハヤト: しかし、アナタはこの案よりゴーンさんの案の方が良かったと言っているわけですね。

 統括会社案

小林: 弁護士の梅林もタダの不正報酬手段とは良く言ってくれたものだが、実はこちらの方がより簡素に能率を追求できるんだ。設立も維持も廉価だし、何よりグループに何社加わろうと(アフトバスとかダチア)資本金さえ出せば議決権は対等というのは日産より時価総額の劣るルノーと三菱、特に三菱には魅力的だ。統括会社がルールを作り、各社が従うことで共同の利益を追求できる。不要になったら抜けられるという仕組みも持株会社よりずっと簡単だ。

ハヤト: 従来の法律にない独創的な仕組みですから、問題点もありますよね。

小林: 委員会設置会社の場合は問題が多い。RNBVの場合は主要三名以外はルノーや日産の所属でも法制上は全て「社外取締役」で、これでは委員会制度の本来の目的、外部からの経営監視の役割を果たさないことがある。委員会設置会社の委員会は最低でも半数以上の社外取締役を求めているから。RNBVが日産からもルノーからも連結対象外であったことは単に報酬隠しのためだったばかりではない。現にセペリの場合も報酬委員会の残り二人はゴーンとケリーだった。

ハヤト: 現にその点が問題化しているわけですが、それでもメリットがあると。

小林: 同じような仕組みを持つEUはすでに30年も続いているし、より以前のEECCからなら70年以上だ。この仕組みは案外しぶとく、現に日産とルノーが互いに牽制し合っている根拠は両社の定款でも会社法でもなく、ゴーンが作ったRNBVの規則集だ。西川がやれ15%がとか議決権の行使がと言っている根拠はこの条文だ。

ハヤト: 簡単に離脱できてガバナンスにも問題を抱え、一見脆いようでいて、実は存外そうでもないと

  英議会とルノーで生産される日産車

小林: 共同開発・共同生産のメリットはすでに周知されている上に、たかだか10億円のインフラでひ弱で脆いことも熟知している両社のトップが主体的にメリットの維持に互譲精神を発揮してきたということはある。それはブレグジットのイギリスが、EUから離脱しつつも関税撤廃だけは維持したいと大多数が思うことと同じだ。だが、EUという仕組みでは、そんなことは許されない。英下院の協定案否決は国民投票の時には分離独立を煽ってきた議員やその支持者たちも、遅まきながらそのことに気づいてきたこと(譲歩)の現れだ。それに統括会社案の欠陥は多くが解決可能なものだ。

ハヤト: 評論家(大前研一、井上久男)などはルノーが日産を搾取していると現状批判をしていますが、大前さんはルノー株の買い増しをかねてから主張してましたし、井上さんは最近の論考で技術も資本も劣るルノーからの「決別」も辞さないと言っていますね。20年前の負債はすでに返しているというのが両者の主張です。

小林: 大前の買い増し案は彼の意見を読む前から私は反対だし、これは今の日産の保有の形態を見て物を言えと言いたい。持ち合いを20%も30%も増やすのはそれ自体資本の空洞化で「資本主義の否定」だ。どこの国でもこれは禁圧対象で、せっかくゴーンが解消してくれたのに、30年前に戻りたいのかと。井上については日産が世界一の自動車メーカーを目指すなら、ヘゲモンが分け前を仲間に渡すのは当たり前だと言いたいね。



2.やっと見つけたこの写真(ジュファリ&ビンタラール)

 

小林: 郷原弁護士のツイッターでjunkoさんという方がリツィートされていて、そのjunkoさんから写真家の誰それ、、まあいいや、今は検索でかかるから。まさにドンピシャ、スウェーデン代表団との会見写真だが、ビンタラールとジュファリ(ハリド)が共同で会見している。2014年の話だが、この2014年という年はハリドにとって重要な年だ。

ハヤト: 翌年に彼の弟(兄という記述もある)ワリド・ジュファリ氏が禁治産宣告を受けていて、この年のあたりではすでに執務不能の可能性が高いです。ワリド氏はサウジの巨大コングロマリットE.A.ジュファリ&ブラザーズ(以下ジュファリ社)の総帥(会長)で、会社の名前は「イブラヒムとアハメドとジュファリ兄弟たち」で、イブラヒムとアハメドは共同創業者です。兄弟はたぶんワリド、ハリド、タレクの三兄弟ですが、タレクには問題があったらしく、2008年に麻薬中毒で死亡しています。ワリド氏も2016年に亡くなり、現在英国の彼の屋敷は売りに出されていますね。

小林: ワリド会長時代のハリドはそれは一般的な意味では金持ちだけど、ジュネーブにオフィスを構えた温厚な慈善家で、グループはワリドが仕切っていた。日産との関係が表に出たのは2004年、日産ガルフの設立で中東日産と対等出資したアル・ダハマ社(ハリド・ジュファリ社の完全子会社)のオーナーで、初代の会長も務めている。が、実務は副会長のナセル・ウォーターで、ビンタラールの副官(ナハル)は名前からはナセルの娘だが、これはどちらも田中さんくらいの偶然の一致だな。正直、このくらいの人物だと詳しくは分からないんだ。今言えることは日産ガルフはナセルさんが仕切っていて、ジュファリと親しいビンタラール王子の側近にナセルの娘という名前の女医がいる。そんなくらいの話だ。ナセル・ウォーターの「ウォーター」は欧米受けの当て字だから、これがアンバールだったらかなり濃いのだけど。

ハヤト: そうですね、私も英米圏ではハリソンと名乗っています。私の名前は向こうでは発音しづらいんですよ。ナハルさんの尊号アンバールというのはたぶん穀物商がご先祖でしょうね。ウォーターさんも自動車商ですから、どちらも商家の出身としても間違いではないでしょう。2004年のガルフ設立といえば、ジュファリさんは日産に渡された原稿棒読みのやる気なさそうなコメントが印象的でしたね。慈善家雑誌のパッション溢れる表現とは大違いで。

小林: 実際ハリドのコメントはそのまま日産のHPに転載され、日産の公式見解になったくらいだ。2009年の例の送金も肯定はしたものの、通り一遍といったコメントで、「長年一緒にやってきたのに何だ」くらいの内容だった。でも、2014年以降のハリドは違う。アリッサやペトロミンを引き込んで、日産サウジアラビアを設立してビジネスマンとしての顔が出てきている。その時期のビンタラールとの共同会見なんだよね。末弟は死に、会長の兄も人事不省で遮る者のいなくなったハリドがサウジアラビア経済界の大立者としてグループを掌握しようとする意欲が感じられる。送金もこの時期にやっておれば、ハリドの応答も通り一遍ではなかったはずだ。

 1/9CNNビジネス

ハヤト: 「業務実態のない会社」というのは、どうも日産ガルフではなく中東日産のようですね。上はCNNの取材による1月8日の理由開示後の日産のコメントですが、ハリド氏の会社(日産サウジアラビア)との協業は継続するとあります。実体がなければ言いません。ジュファリ氏の日産ガルフは中東における日産とインフィニティブランドの司令塔の役割を果たしていますが、これは本来中東日産が担うはずのものです。



小林: そんな所の「関係者」を捕まえて証言させ、それを調書にまとめて、やれ逮捕だ勾留延長だとやっている裁判所と検察を見ていると、上のは「証拠隠滅の恐れ」「自白を拒否した場合」と読み替えるべきという弁護士のコメントだが、それでも勾留はあくまでも有罪を立証する有力な証拠なり証言があり、それが適法な方法で収集されていることが前提で、これみたいに証言の出所も怪しく又聞きを調書にまとめることも不正で、それで勾留を認める裁判官も、これはもはや司法と呼ぶのもはばかるものがある。



、、世耕氏は海外からの捜査批判に対し、日仏の捜査手法や刑事手続きの違いを指摘。その上で「日本は厳格な法治国家だ。刑事手続きはすべて法律で決められ、すべての人に平等に当てはめられる。日本人だろうと外国人だろうと、資産家だろうと貧しい人だろうと、経済犯だろうと刑事犯だろうとだ」と強調した。

小林: 何か100年前の形式的法治主義のドイツ(悪法も法)に戻ったかのような法律観だな。



閑話休題

 ガーディアン

小林: 新会長が選出されたので23回続いたゴーン特集もそろそろ次に行こうと思うけれども、スナール会長については各紙はトップで報じているのに、CEOがボロレということには全然報道がないんだねえ。共同通信の最初の報道を見た時には選出されたのは会長だけかと思ったよ。

ハヤト: 会長という役職は確か会社法にはありませんね? 現時点ではスナール氏はただの「会長」で、後の株主総会で取締役になると。ゴーン氏は退職金交渉をしているそうですから、ルノーからも退くことになりそうですね。現時点ではいずれにしろ檻の中ですので、取締役か否かはそんなに重要でもありませんね。それに会長をこれほど簡単に選出できるということは、復職も簡単ということですから。

小林: それに委員会設置会社の取締役には業務執行権はない。日産は執行役員制を敷きながら委員会制を採らない変な会社だから取締役に執行権があるけど、ルノーの場合は本当の委員会設置会社なので、今はスナールの会長は名前だけで取締役に選出されても執行権はない。現実に業務執行を担うのはゴーンの愛弟子ボロレ、こちらはすぐにでも業務執行できる。現時点では、名前だけのスナールよりこちらの方が重要人物だが、どこも報道してない。

ハヤト: 産経などの記事にはフランス政府と近いスナール氏が旧経営陣の「ゴーン派」を一掃してくれることを期待するような記事がありますね。

小林: ゴーン派を一掃するなら、その代表のようなボロレをCEOには推さないだろう。ゴーンの「推定無罪の原則」も堅持したままだ。

ハヤト: それじゃ、今回はここまで。