Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/1/21)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.「自動車絶望工場」毎日版



小林: この毎日新聞の記事なんだが、前にジュファリの家を一周して有料という朝日新聞の記事はスタンドで買って読んだが月額980円の価値はなかったな。これもラーメン屋で読んだんだが、記者はもっと知識欲を持つと同時に足を使って欲しいね。やたら拡散しているけど、私は騙されないよ

<苛酷なルノーの職場環境>
 ①午前5時から始業、8時間稼働でトイレ休憩10分が2回のみ。・・・始業時間を除けば日本のほとんどの工場と同じ。
 ②労働者同士の競争を強いられ疲弊。・・・ライン労働で誰と何を競争するのか。
 ③期間従業員(移民)の大量採用による士気低下。・・・日本も派遣労働者を大量雇用。




小林: こういう問題を論ずるなら、例えばトイレや食堂、休憩所は作業場に対し適切な距離で設置されているかとか、タクトタイムは速すぎないかとか、工作機器の配置とか、一人あたりの作業量は適切かとか、そういった生産管理の視点から論ずるべきだ。工場を一周して聞き取り調査しただけで「怨嗟の声が満ちている」は少し違う。潜入取材でなきゃ信用できないよ。

ハヤト: この辺の話、アナタ前にどこかで書いてますね。

小林: 「モダンタイムス」では生産性のために時計の針を速くする雇用主が描かれたけど、速すぎるタクトタイムは事故や機械の破損の原因になるし、いたづらに作業量を多くすることも品質の劣化ややはり破損につながる。古い設備や配置の悪い工場は作業能率を低下させ、機器の故障は労働者の士気を低下させる。ラインが止まっている間、その工場は一物も製造していないからな。製造に対する科学の視点がなければ、その工場は労働者虐待の不良品製造工場と化す。



、、ゴーン体制の経営についてガシュ氏は「ルノーを救ったとの意見があるが、むしろ逆だ。期間雇用者が仏工場の8割を占めるようになり、かつてないほど従業員の生活は不安定だ」と批判的な見方を示した。

ハヤト: 日本で言う派遣労働者、期間工の問題もありますね。上の記事の通り、日仏とも多くの工場では80%が非正規雇用者です。

小林: 非正規には問題があるよね。会社に対する忠誠心は全く期待できないから、自己都合ですぐ辞めるし、QCサークルや掃除なんかも賃金なしではやってくれない。私の見た工場では掃除分だけ割増賃金払っていたけど、その工場は私の知っている別の工場と比べると異常なくらい火災やライン停止が多かった。放火じゃなくて、溜まったホコリが自然発火するんだ。部品を搬送するロボットがあったが、これが良く壊れてラインに突っ込んだり見学者にぶつかったり。

ハヤト: 元々は農閑期に期間工で勤務する農業従事者ですよね。日本の場合、期間工と言えば主婦とか農業とかが多かったと聞いています。なので雇用料は資材費から捻出されていた。ですが、現在ではそれで生計を立てている人が大半ですね。しかし、これはゴーンさんだけの問題じゃないでしょう? それを許した政府に責任があります。



小林: もう一つの問題は、平均的な工場では労働組合の組織率は10%だ。非正規の待遇が悪いことは当然だが、傾向として彼らは雲の上のCEOより、目先の労働組合所属の正社員の方をこそ、より憎む傾向がある。連合は良く組織化された左派勢力の重要な票田だが、彼らの叫ぶベースアップなど労働契約上の地位の改善は彼ら非正規工には何とも忌々しく、自分勝手な主張のように見えがちだ。非正規の多くは会社それ自体ではなく派遣会社に所属している。つまり、会社労組が何を叫ぼうが彼らの生活には関係なく、また、地位や賃金の向上には全く繋がらない。そして多くの派遣会社に非正規社員の生活を守る給付保持力はない。

ハヤト: まあ、彼らがゴーンさんに会う機会は年に1回か2回でしょうが、労組所属の正社員には毎日面接していますからね。地位も賃金も彼らより高い彼らがメイデーなどでより待遇の向上を叫べば、それは憎たらしいに決まっています。



小林: 当たり前だがこの反感は雇用者にとっては都合が良い。怒りの矛先が経営陣ではなく同じ労働者に向いてくれるからで、それが日本に限らずどの国でも非正規労働者の権利擁護に政治が消極的な理由だ。しかも、左派が嫌いな彼らは勢い左派とは反対の主張、ネットウヨクのような分かりやすく極端な右派に喰い付いてくれる。私に言わせれば第二次大戦以前は普通の労働者の権利擁護にも政治は消極的だったのだから、ルーズベルトみたいに非正規も組織化すればと思うのだが。



ハヤト: アナタがゴーン氏を出獄させれれば、すぐにカリスマを取り戻すと言った理由が分かりましたよ。ルノーでも日産でも労働者の多くを占める非正規雇用の労働者の思想信条は左派的労働組合より、むしろゴーン氏に近いということですね。

小林: たまに工場を見学するにしても、スーツを着た弛緩した人間が獣を見るような目で早足で一瞥して歩くのではなく、不幸なことに豊田章男も含め日本の経営者は大半がそんな感じだが、ゴーンは見た目ごつい男で洗練のカケラもなく、舌鋒鋭くエネルギッシュで明らかに違うでしょ。言動といい行動といい、日頃彼らが目にしている青白く痩せた日産正社員とはまるで違うじゃない。その彼が少し歩み寄れば、たぶん多くの期間労働者は簡単に彼を許すよ。10分前まで「あのネコババ野郎」と言っていた工員がたちどころに「ゴーン日産万歳!」になってしまう。法廷でも彼は戦う姿を彼らに見せているでしょ。それは多くの共感を呼ぶ。



ハヤト: そこまで取材しなければ買って読む価値はないということですね。単に工場を一周して、労働組合事務局を取材するだけでは本当のことは分からないと。

小林: こういった問題はゴーン一人を非難したところで解決するものではない。今紹介した通り、非正規工には待遇のほかにも生産性の低さが問題であり、政治的にも色々問題があるから、これは不法で効率の悪い労働方法としてマネーロンダリング同様、地球規模で社会悪として認知して対処しなければ当面は解決しない。ゴーンについて論ずるなら、少なくとも彼の権能の及ぶ範囲で問題を取り上げるべきで、及ばない問題を絡めて論ずるなら、それは慎重に検討すべきだ。



ハヤト: 労働者にメリットのある社会民主主義を吹聴しているのに、いくら説明しても聞き入れてもらえないことには、労働者の分断につき無関心な左派それ自体の問題がありますね。

小林: 上みたいになるのは、これは連中がサヨクの言うことは何でも脊髄反射で反対のことを主張すればいいと単純なせいもあるな。他人にシンパシーを示せば無情に、譲歩を要求すれば強硬に、非正規の人たちが好んで飛びつく思潮、ネットウヨクに定見なんかない。そしてその論理の無さ、支離滅裂さを冷笑すれば憤激する。沖縄などでこちらが怒りを示せば冷笑する。今は誰もがゴーン叩きの最中だが、それが一夜にして変節しても、私は何とも思わない。



2.怪しい中東日産

 

ハヤト: この辺はマア、泥仕合になりつつありますね。10億円は緊急避難で20億円送金は後付けとウチは説明しましたが、セペリ氏の場合は当てはまりませんね。避難というには長い期間で年10万ユーロと金額も決まってましたから、これは報酬(隠し)でしょう?

小林: これは日産やルノーの他の役員も貰っていたという主張もあるんだ(ルノー)。ボーナス分配会社なのだし、何らかの基準があったと見るべきだろうな。で、中東日産の方だけど、実はナダが法廷での証言を拒んでいるという話もある。

ハヤト: それはまずいですね。ゴーン氏の立件には元秘書室長だった彼の証言が占めるウェイトが大きいです。出廷しないと、その証言は全て否定されることになります。あと、上の中東日産幹部の証言は特別背任での立件の決め手になった証言ですが、お互い具体性に欠けるので、ジュファリ氏の声明のあるゴーン氏がやや有利という感じですね。代理店の件については中東日産は係争中としていますが、そもそもゴーン氏は短いスピーチで紛争の内容を特定していません。



小林: 現在サウジで日産ディーラー権を持っているのはアリッサとペトロミン、どちらも2013~15年までの間に権利を取得し、この二つを統括しているのが日産サウジアラビア(KSA)、これがハリド・ジュファリの会社だ。係争しているのはたぶん2013年以前の会社(名称不明)だ。別にハリドの会社が係争しているんじゃない。何が「この記事により分かった」だ。

、、一方、中東日産の関係者らは特捜部の調べに「ウソばかりだ」と反論しているという。サウジの販売代理店は、経営不振を理由に契約解除されたことを不服とし、損害賠償を求めて日産を訴え、シンガポールで係争中だという。中東日産関係者は「解決していないし、ジュファリ氏は何もしていない」と証言。代理店は2万台以上の在庫を抱え、「解決どころか大被害を被った」とも訴えているという。

ハヤト: これは2013年以前のディーラー権の話でしょうね。5年前から在庫2万台というと今はどうなっているんでしょう? どうもこの事件はこういう辻褄の合わない説明が多いですね。そういうのはウチは適当に無視したり再構成したりしていますが。それにこの中東日産、どうも過激な発言が多いように思うのですよ。

小林: 実はこと中東は王族や富豪の協力がディーラー展開の決め手になるので、通常の意味でのマーケティングはほとんど行われていないという話があるんだ。だからスタッフもいないし、KSAはサウジの会社だ。お膝元のUAEですらディーラーはアラビア自動車とマスードという現地法人で、実は直営店舗は一つもない。中東日産の設立は1994年だが、ゴーンが来たのは2000年なので、以前の塙体制の司令塔だったこの事業所はゴーンが中東で販売網を拡げるに連れ、決済機能は残っていたようだが、仕事を奪われ無視されたというのがどうも本当だな。何せここの社員が動くより、ゴーンがトップと交渉した方がずっと早く効率的に販売網を広げられたので。

ハヤト: 2008年にジュファリ氏の会社(日産ガルフ→日産サウジアラビア)が持っていってしまったので、PDI(出荷前点検)もしてないみたいですね。なので車両テストが業務になってます。

 実は漏洩文書で調査人の名前は判明済み

小林: スタッフも貧弱だろうから、不正送金の舞台にもしやすいが、内部監査部の久保氏(文書で判明した部長級社員)が主宰する「社内調査」の場所としても最適だ。信憑性に疑問のあるここからの情報は、たぶん今後も事件を振り回し続けるよ。久保に本社に栄転させてやると誘われれば、ここの連中は何だって言うはず。

ハヤト: 見る所、ゴーン氏が保釈されそうになると、「新事実」を出して牽制する傾向がありますね。不正の中心となった中東日産は同時に冤罪製造マシーンと。

小林: そもそも日本の会社が中東に本腰を入れるのが遅かった。日産車自体は早くから売られていたけど、スタッフ拠点は全メーカーで日産が最初だ。それでも94年。日産としては最悪の時期だし、スタッフやマーケティングを育てる前にゴーンがやってきて存在意義自体が失われてしまった。なお、トヨタは中東はジャミール商事を通じて現地のディーラーと個々に契約していて、中東日産のようなスタッフ拠点は作っていない。そして、ゴーンのやり方は塙日産型でなくトヨタ型



ハヤト: 日本の裁判官じゃ、見抜くの無理そうな構図ですね。今後も日産はここを使って保釈を阻止し続けるでしょうが、双方が中東日産からの情報をどう扱うかが事件の決め手になりそうですね。

小林: 裁判所はもうダメでしょ。特捜部も小世帯でこんな大会社の複雑な事情は見抜けない。中東日産は仕組みからして前社長が作ったもので、ゴーンには良い感情を持てない成り立ちだ。思うに反感は2000年代初めのかなり早い時期からあったと思うよ。私だったら捨象するが、ほとんど捏造とも言えるエキセントリックで扇情的な「事件」にいちいち踊らされて、信憑性のない伝聞証拠を基に、裁判所は国際的非難の強い長期勾留をやめられないんだろうな。





閑話休題

小林: 中東日産というのは良く分からん会社で、日産の完全子会社なのだが従業員数とかは公開されていないし、日本語のページもなく、現地のそれを見ると日産「本社」の輝かしい歴史が書かれているけれども、肝心の中東支社の歴史や内容はほとんど書かれておらず、中東向け車両のテストをしていることは書いているけれども、マーケティング機能とか十数国もある市場における役割については全く書かれていない。まあ、ジュファリの会社(日産ガルフ)に移したからだけれども。この会社(ガルフ)は今は機能分散していてUAEのビルはあまり使っていないが、今でも活動していることは2018年にクウェートのディーラーを表彰したりしていることで分かる。

ハヤト: 航空写真を見ると陸揚げ港らしいものが映っていますから、元々PDIもしていたみたいですね。もっとも、日本みたいな執拗なPDIは他の国では例がありませんが。



小林: 陸揚げはしているんだ。上は日産の在外外交官向け車両の検査要領だけども、PDIといっても他の国ではこの程度だ。リストで点検して洗車して終わり、ディーラーでもできるわな。というわけで、中東日産の役割というのがますます分からなくなる。車両テストと言ってもテストチームは日本からやってくるし、マーケティングはゴーンとジュファリのトップセールス、PDIは日本ほど厳しくない。仕事は車両の陸揚げ販促資金の分配、、、日産の中東司令部としてダイレクターが率先して陣頭指揮をしているような雰囲気は微塵も感じられないな。

 日産のペイマン・ガーガーは中東、アフリカ、インド担当役員

ハヤト: 閑職だったんですよ。ゴーンさんが来て以来は「いらない子」でしたし、事業が被るジュファリの会社は忌々しい。彼らがゴーン氏を悪しざまに言う理由は分かります。ダイレクターを貼り付けるような重要拠点なら、彼は自分の子飼いの部下を送ったでしょう。しかし、今の日産の中東担当役員はアフリカやインドと掛け持ちです。

小林: こういう所からの誹謗讒謗で牢屋に入れ続けられることはどうなのかねえ。しかも検察は遠すぎるので尋問は日産社員にやらせ(千人もいるらしい)、伝聞証拠を調書にまとめて「はい有罪」と。冤罪製造マシーンとはこのことだ。ゴーンの方は保釈請求は却下されたが、割としっかりした内容のステートメントを見るに、周囲の協力で訴訟体制は整いつつあるようだ。新聞は読めるという話だが、三畳一間の牢獄の接見15分で保釈されたファーウェイ副社長の優雅な現況など知るはずないからな。

ハヤト: 証言が強迫や利益誘導で信頼できないとなると、ナダさんみたいに出廷拒否もありますし、やっぱ中東がカギになりますかね。

小林: では、今回はここまで。



(追記)





ハヤト: ウチでも年末には侮れない人物と評価していましたが、どうもケリー氏の株がじわじわ上がっているようですね。

小林: ゴーンの周りにいるのは元々かなりの人物だ。その中でもケリーはやはり一頭地を抜く、ゴーンが死亡や人事不省の時には代わってアライアンスの指揮を執れるほどの器量だと評価しているが、ゴーンみたいに年中飛行機や自動車で移動している人間が自分の死亡時のことを考えていないとは思えないからな。ここ数日、ゴーン側の動きがコーディネートされているような印象があるが、やはり、彼が中心人物なのかな?

ハヤト: いちばん疑われているでしょう。マンションには警察のほか、日産の雇った私立探偵も張り付いているはずです。思うに他にも有能な人物がいるのでは?

小林: 率先して辞めたムニョスなんかいちばん怪しいがな。それはさておき、冷泉氏なんかベタ褒めだが、ウチ以外にも彼を評価する人がいるとは驚いた。NewsPicksの方は元ケリーの部下の証言で、人柄については、概ねこちらが推測した通りだと思う。虚偽記載の件で見られるように、ケリーにはやや固陋な所があるが、良く解すれば物事を原理原則から考えるということで、地頭の良い人間ということもできる。それはそうだ、いざゴーンの飛行機が墜落して、アライアンスが崩壊寸前となった時には、そういう人間でなければ巨大グループの指揮はできない。西川社長じゃダッチロールして墜落で、乗っている乗客はこれじゃ気が気じゃない。経産省にまで裏切られれば、日産の未来はそれこそ「お先真っ暗」