Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2019/1/20)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。



1.ゴーン10億円エクソダス作戦

 

小林: これまで色々とゴーンの悪事を検討してきたが、いちばん変なのはこれだな。誰がどう見たってグループの会長が統括会社の社員に成りすまして報酬受領など正当化できるわけがない。しかし前回は長すぎた。もっと簡潔な説明をしよう。優秀な三菱の女性幹部はゴーンに抵抗したが、この契約は無効であることに意味がある

ハヤト: 最後にアナタがケチをつけてくれましたが、前回私が提示した緊急避難説の難点は統括会社から避難させた10億円がゴーン氏の私産と混和してしまう所に難点があります。見た目もマネーロンダリングそのものですし、会社を資産税から救うことには成功しましたが、これでは一般の了解は得られないわけです。



小林: オランダは独特の税制を敷いていて、利息のみならず元本にも税金がかかる。しかも域外適用だから預金を海外に移転しても課税は免れない。なので、これといった設備投資や人件費、収益のないNMBVの場合、資本金として払い込まれた10億円の預金は年を経るごとに目減りしてしまう。投資された資本が建物や事務機器に支出されたRNBVとの違いだな。上は5年後の図だが、最初10億円あった資本金は5年後には8千万円も減ってしまう。



ハヤト: そこでゴーンさんが編み出したのが自分をNMBVの社員にして会社に債務を背負わせるというアイディアです。オランダの資産税は毎年1月1日時点での「金融資産-負債」が課税標準ですから、自分をNMBVの社員にして強引に毎月1億5千万円を振り込ませたことで、資本金の10億円は課税基準日である、2019年の1月1日には無くなってしまったわけです。しかしこの案には独特の30%ルーリング制で所得税が掛けられること、移転した金額がゴーン氏の私産と混和して区別がつかないこと、そして、決定的な難点として資産税以上に金額が目減りするという問題がありました。

、、日産自動車幹部社員は、ゴーン氏に対して、EMPLOYMENT AGREEMENT を締結する前にNMBV 社の取締役である益子修と西川廣人氏の了承を得る必要があると伝えたにもかかわらず、ゴーン氏は一切知らせることなくEMPLOYMENT AGREEMENTを締結していました。(三菱社内報告)

ハヤト: この日産幹部社員というのはNMBV株式会社の斉藤暢子さんですよね? 元社長室長の女性社員で、三菱を休職してNMBVの管理職を務める女性ですが、給料は日産が払っていたということですね? そもそもNMBVの役員以外に部長級他にいませんし。

小林: 三菱が人やモノを出して日産がカネを払う。NMKV(軽自動車)と同じ構図だ。オランダのNMBVはペーパー会社だし、事務機能は港区のこの会社に集約していたから、ゴーンに抗議できる社員は彼女くらいしかいない。この報告書は事実を記載していると思うけれども、ミソは斎藤さんの注意にもかかわらず、ゴーンがこの契約を「押し切った」という点だ。



ハヤト: 初から無効な契約であったということですね。そして諸手続を行い、4月から11月まで10億円のうち、税引き後の6.5億円が彼の懐に入りました。オランダの給与所得課税は源泉徴収ですから。ま、急いでいたんですよね。月額1.5億円なんて契約は社会通念に反してますから。あと、オランダの所得税の基準日は12月31日です。逮捕された11月にはNMBVの金庫はほぼカラであったと。で、巻き戻す時にはどうします? 6.5億円はゴーン氏の私産に紛れてしまって区別が付きません。私はケイマン諸島と言ったのですが、アナタはそれは否定するんですね。



小林: 最初から瑕疵のある契約なのだから、ケイマンなんかどうでもいいんだ。いざ資金が必要になり、巻き戻す時の構図は上図。契約は取り消され、あるいは無効で不当利得返還請求が立ち、ゴーンは6.5億円、誤徴収したオランダ当局は納税された3.5億円プラス還付加算金(利息)をNMBVに返す。この利息は結構高く、オランダは日本同様のゼロ金利政策だが、2.5%ほどの利率がある。私は税金の専門家じゃないので詳しくは知らないけどね。そのため、10億円をそのまま放っておいた場合と比べ、ゴーンがドロボウ行為を行った後の預金総額はこうなる(5年後)。



ハヤト: これは、、やってしまって良いことなのでしょうか、、、

小林: ゴーンは法律家でも会計士でもなく、まずビジネスマンだ。いかなる手段を使っても、会社の利益を最大化することが彼の仕事だ。

ハヤト: しかし、一歩間違えると犯罪じゃないですか? いや、犯罪として告発されているのですが。



小林: だから来日して、西川や益子に事情を説明する予定はあっただろうが、逮捕されてしまったし、無効以外の法律上の問題については、ケリーなんかと相談してもいただろう。実際にやってみてどうなるかは、やっぱり専門家の助言がないと安心できないからな。

ハヤト: 助言があっても安心できませんが、それでも実行するのがゴーンさんを偉大な経営者にした資質なのかも知れませんね。



2.ついに来た経営統合

 産経新聞

、、フランス政府の案について日産関係者は20日、「今回、日本政府とそういう話があったとは承知していない」としながら、「(フランス政府が)また勝手なことを言っているな、というのが率直な感想だ」と不快感を隠さない。

小林: マクロン大統領が直接指揮を執っているので、22日にはダボス会議でもう世耕とルメールが会談だ。日本政府も色々言っているけど、日本トラスティサービスとマスタートラストがGPIFだなんてことは世界のジョーシキなので、先ずいちばん弱い輪を崩しに掛かったということだな。日産と日本政府を比べれば、政府の方が惰弱で弱いから。ルノーの43%とGPIFの2行が手を組めばそれだけで51%、日産の抵抗は終わる



ハヤト: 相手が違います。マクロン大統領だとすると、あの竹田氏のJOC疑惑もカードに持っていると見なければなりません。これを切られたら東京オリンピックは中止、すでに建設した費用に加え、数千億ドルの違約金を支払わなければなりません。



小林: マクロンは日産については誤解している節があるけれども、頭は切れるよね。ゴーンもそうだが、そういう人間のやることは回りくどさがなく諸事スマートだ、なあ福井晴敏。てっきり他の外銀を口説いているのかと思っていたけど、ストレートにGPIFを狙ってきた。それに黄色いベスト運動とか、彼も忙しいからな。日産なんぞにリソースを割いてもいられない。いちばん直截的で、いちばん効果的な手を打ってきた。25%案はもう忘れた方が良いよ。これは実行する前にトドメを刺されてしまう。

ハヤト: こうなってくると日産もルノー傘下で生きる道を模索した方が良いような気がします。下手な抵抗をしても叩き潰されてしまいます。会社を売った西川氏が悲惨な末路を辿るのは仕方ないですが、できるだけ多くの人材、できるだけ多くのリソースを紛争の埒外に置き、生かさなければいけません。ゴーン派粛清なんかやっている状況ではありません。



小林: この報告書を書いた梅林という弁護士なんだが、法律家には踏み越えてはならない則というものがあるんだ。彼はNMBVのような重要な戦略的資産にケチを付けるような、そういう内容は書くべきではなかった。経営判断の重要な内容は法律的価値判断の外にあるものであり、慎重に考慮しなければいけないものだ。ゴーンが築いたこれは単なる報酬隠しの道具ではなかったはずだ。日産がルノーに対抗しうる最大の武器を、彼は軽率な方法で葬ってしまった。差し出がましいとはこのことだ。

ハヤト: ルノーの提言する持株会社をアフトワズ方式にすれば、日産が生きる道もあるということですね。持株比率だけを基準に役員を割り振っては、日産や三菱は本当にルノーの植民地にされてしまう。ですが梅林氏がこの方法を酷烈に貶めたことで、日産がこの提案を行う余地はなくなってしまった。

小林: 提案しても一蹴されるわな。ルノー・日産・三菱の議決権を対等にするには、政治の力が必要だ。が、安倍ちゃんはマクロンから逃げ続けていて、この点でも心証悪いわな。そしてアフトワズ方式が有益であることを主張するには、ゴーン氏の業績を再評価しなければいけない。今の日産じゃできない話だ。



ハヤト: ゴーン氏ならできるんでしょうか?

小林: 無理が通れば道理が引っ込む、理屈など乗り越えて統合を日産や三菱に有利に束ねられるカリスマは、今のところ彼しかいない。釈放すれば分かるよ。理由開示であの様子なら、復職すれば日産や三菱の従業員はおろか、新CEOのボロレだって鎧袖一触でひれ伏せさせるはずだ。ボロレなんか喜んでひれ伏すだろう。自動車業界においてこの20年、カルロス・ゴーン以上の経営者はこの世界にはいないんだ。

ハヤト: 健康状態もありますね。ルメール氏は長期勾留による彼の健康状態の悪化を心配していました。



閑話休題



、、フランスのルメール経済・財務相は、ルノーと日産自動車のアライアンスに変更を加える計画を検討している事実はないと述べた。日本経済新聞は、仏政府代表団が共同持ち株会社方式を軸に両社を経営統合する意向を日本政府関係者に伝えたと報じていた。

ハヤト: 少しトーンダウンしましたね。もっとも、マクロン大統領の目的はあくまでGPIF、日本政府ですから、日産を怒らせるような話はしなかったんでしょうね。

小林: 日産は「不愉快だ」とか「聞いていない」とか言っているようだが、内心ではいつ安倍ちゃんや経産省が裏切るか疑心暗鬼のはずだ。空港でビアルがニヤニヤしていただろう。手応えはあったんだよ



ハヤト: 三畳一間の拘置所にいるはずですが、案外世情に詳しいですね。条件がカナダで逮捕されたファーウェイ副社長とほぼ同じなのですが、これはやっぱり弁護士事務所が起案したんでしょうねえ。ただ、ファーウェイの方はカナダでも寛大な方だと言われています。孟副社長は4億円の豪邸に暮らしながらショッピングセンターを散歩したり、ブリテッシュコロンビア大学の博士課程を聴講したりと悠々自適の生活を送っているそうです。普通はもう少し制限強いみたいですよ。

小林: 10日前にキャロルさんがマクロンにも嘆願状を出したことも報道されているが、何で10日も黙っていたのか(記者会見)。今回の代表団訪日といい、やっぱり指揮者がいて、ある程度連携しているというのが推測だな。ポール・ワイスだろうが、「問われている罪状について私は無罪ですし、法廷で自分の名誉を守れることを楽しみにしています」という表現には不敵さも感じられるな。あと、ファーウェイも保釈期間中でいちばん費用が掛かるのは警備費用らしい。これも自弁を申し出ている。

ハヤト: 裁判所では弁護するのが当たり前なのに、「自分を弁護できる機会が欲しい」と弁護を強調しているのは、やっぱり竹田氏の事件を意識してのことでしょうか。予審手続に入ったことにより、氏は拘束のリスクもありますが、捜査資料へのアクセスなどほぼ完全な自己弁護の権利を持ちます。それと対照すれば、国ごとに制度が異なるといっても、処遇はやはり苛酷に見えます。手本にした欧米の国々のそれよりも中国や北朝鮮、旧ソ連のそれのように見えることは否定できないでしょう。



小林: ダイヤモンド・オンラインの特捜部記事も読んだけど、この記事を書いた記者は、日本では戦後から1980年代まで刑事訴訟法の本が書かれていないと思っているのかと思えるような内容で、確かに戦前の裁判所は検察は裁判所に部屋を持つ「検事部」で、しかも検事の方が先達で、法廷では同じ高さで登壇して被告人や弁護人を見下ろしていたのだけどさ。検面調書さえ取れれば有罪判決できるとか、当事者主義が2000年代にようやく採用になったかのような(実際は1946年の施行時から)書きぶりは何なんだ。どんなに法律が良くても、こういう意識で法廷運営しちゃいけないよね。書いたの司法記者だから全部鵜呑みはしないけど。

ハヤト: では、今回はここまで。