Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2018/12/11)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。


1.ゴーン事件と「覇者の驕り」



小林: 今回の事件を見ていて思うんだが、デビッド・ハルバースタムが今生きていたら、ゴーンについてはどう書くのかな? ルノー・日産・三菱(アフトバス)を食い物にした強欲経営者とやるのか、真の自動車人でアライアンスの発展に尽力して裏切られた失意の人とやるのか、まあ、ゴーン以上にもらっていたアイアコッカ(30億)に同情的だった彼だから、たぶんギリシャ悲劇風に後者で行くだろうな。



ハヤト: 何か似てません? 公私混同の具体的な内容についてはウィキペディアには記載ありませんが。

小林: 公私混同と言えるかどうかは分からないが、アイアコッカとフォード2世の確執の原因は日本でね。アイアコッカは本田宗一郎やホンダアメリカの河島と個人的な付き合いがあり、日本車を高く評価していたが、フォード2世は大の日本ぎらいだった。アイアコッカはVWゴルフの成功を見て、フォードのフィエスタにホンダのエンジンを積んで売り出せばゴルフに対抗できると考えたんだ。知っての通り当時のアメリカ車は大型で、ゴルフに対抗できるような小型のガソリンエンジンがなかった。



ハヤト: それやっていたら違ってましたよ

小林: 「コンパクトカーのベンチマーク」として40年以上君臨したゴルフの時代はたぶんなかっただろうな。最初からアイアコッカとホンダフィエスタに叩き落とされたから。フィエスタは車体性能はゴルフとほぼ同等だったが北米向けは旧式なイギリス製のOHVでエンジンの効率が悪く、排ガス対策でスペックダウンした上に燃費も良くなく、馬力もそこそこだった。アイアコッカも気にしていて、ホンダのアコードを買って通勤したくらいだからな。ここで最新のOHCでCVCCを備え、排ガス対策と経済性、馬力を鼎立したホンダエンジンは切り札に見えた。実際にホンダフィエスタを担当したのはスパーリックという重役だが。

ハヤト: どうしてダメだったんです?

小林: フォード2世という人は骨の髄からの日本ぎらい、小型車ぎらいで、アイアコッカと違い、そもそもフィエスタという小型車(ハッチバック)がアメリカ本土を走ること自体気に入らなかった。それで後年のアイアコッカ解雇につながるのだが。このあたりは今でも祟っているな。今に至るまでアメリカ車は小型車が苦手だ。フィエスタという車はまだあるが、いつも良い線行っていてVWゴルフに負けるクルマというイメージが染み付きすぎていて。リセールバリューも安いしな。



ハヤト: 最後のなんか結構凄かったらしいですね。骨格に高張力鋼板の8倍の強度を持つボロン複合材を使っていて、走りはゴルフ以上とか。

小林: 電子制御も一枚上手だしな、同じエンジンを積んだらたぶんゴルフに勝つよ。車体は100馬力だが、ゴルフより強固なので200馬力のエンジンを積んでも平気だ。というわけでクルマは悪くないのだが、小型車=安く作れる=レイオフの公式が染み付いているGMフォードとその労働者にはダメだったらしい。

ハヤト: 何でです? 中産階級が崩壊した現在、彼らだってワーゲン乗っているじゃありませんか。

小林: ホント、迷信なんだよね。アイアコッカの時代は1台の車はおよそ1万点の部品からできていた。それだけのサプライヤーと労働者がいたのだが、現在は小さい車でも3万点、昔のアメ車と同じくらいで、それならばクルマは小さくても雇用は維持できるの理屈は成り立つと思うけどな。

ハヤト: 電気自動車は部品点数が大幅に減るので、日産など傘下の雇用を維持できないという話は聞きますね。

小林: サヨクの扇動屋と実際の自動車設計は区別して論じた方が良いと思うよ。減るものか、今やパワーシートは当たり前、レクサスみたいなパンピー高級車だって座席に電気あんま組み込んでいるじゃないか。それよりも売れる自動車を作らなければ一台の部品点数がどんなに多くたって雇用は減るんだよ。


2.ゴーン=コストダウンは事実か



小林: リコールがあったので三菱の販売店に赴いてエクリプスクロスの紹介記事読んだんだけど、このクルマのデザイン担当(山下、現開発、品質担当)は日産から来た人なんだね。私としてはこれは「レンジローバー・イヴォーグ」に似すぎていると思うのだが。お値段半額だし、「三菱レンジ」と思えば何とか、ショーブースにガスレンジみたいな車あったしな。

  

ハヤト: 新型デリカですか、何か側面からミサイルとか撃ってきそうな感じしません?

小林: キャンプ地ではグリルが水平に下がって焼き肉とかできるのかな? が、カタログを読むとこれも結構手が入っているよ。エクリプスもデリカも日産の技術がかなり入った感じで、デリカのコクピット周りなんかエクリプスについて語っていた日産の人のイデアそのままといった感じで、ルノーのメガーヌは知らないけど、ここ1~2年で両社の協力関係はかなり進んだ感じだ。製品に出ているよ。またそのインタビューがなかなかで。

 たぶん元ネタのレンジローバー

ハヤト: どんなこと書いてあったんです?

小林: 最初は三社協力の話なのだけど、コアバリューが三社のアイデンティティだと言うんだな。ルノーにはルノーの、日産、三菱には各々の歴史があり、ロジックがある。アライアンスとは日産がルノーに、三菱が日産になることではないと断っていて、その後の取り組みがまた堂に入っている。「三菱らしさ」を突き詰めることが大事だと言って、退職者を訪ねたり、零戦を見に行ったり、歴代各車を研究したり、果ては海外まで足を伸ばして「らしさ」を掴もうとしたんだな。これ、今の会社の話と思える?

ハヤト: 大元はゴーンさんでしょう? まあ、出向デザイナーがそこまでやる例は聞いたことないですね。



小林: 上はレッドダイヤモンドという色なんだが、水研ぎ並みの高い平滑度の必要な多層塗りの複雑な工程で、最終的には引退した塗装工を連れてきて決定版を作ったんだな。日産氏も諦めていたらしいが、日産の熱意を現場が汲み取ってという例だ。元塗装工の協力でコンピュータに必要なパラメータを設定してこの色が作れたわけで。

ハヤト: そんなに優雅な時間はなかったはずですよね。三菱は例の燃費偽装問題で青息吐息で、稼ぎ頭のeKワゴンのモデルチェンジすらできていません。

小林: エクリプスの開発は偽装の前から始まっていたが、当インタビューでも指摘したように、三菱はできるだけ早く新型車を投入する必要があった。が、エンジンに問題のあるeKのモデルチェンジというと1~2年ではとうてい無理だし、フルモデルチェンジが望ましいがそれだけ主張するのは机上の空論で、経理屋でクルマに対する理解の乏しい益子社長(三菱商事出身)から采配を引き継いだゴーンが取った手段はもっと直截的で「売れる車を出す」だった。利益率も重要だから、当然選択はミラージュなどではなく、SUVのエクリプスやデリカとなる。



ハヤト: 実はどちらも中身はアウトランダーという話も聞きますが、開発費はそんなに掛けてませんね。

小林: CEOとしては模範解答だよね。疲弊した会社に出しうる最良のクルマを作らせ、締める所は締める。その結果がこれだ。



ハヤト: マア、これならeKワゴンやミラージュのモデルチェンジもできそうですね。同じ頃に「空飛ぶタイヤ」が映画化されましたので、どうなることかと思いましたが。



小林: で、見てみて思うんだが、三菱が回復したのは、増資を引き受けた日産が支配者のように振る舞わず、三菱の文化を尊重し、伸ばしたことが大きいと思うんだ。そのコアにあったのがゴーンが主唱した「アライアンス」の概念で、三菱に出向した日産社員たちはその理念通りに行動したわけだけれども、それが間違っていたとこれ見て言えるかな?

ハヤト: 言えないと思いますね。窮境にあった会社の取りうる手段としては最善だったと思います。


閑話休題



小林: ま、前から言われていたが、ゴーン氏はクリスマスも檻の中で過ごすようで、部屋を変えたというから、やっぱり10階の死刑囚監房で西川なんかと鉢合わせるとまずいと思ったのかな。



ハヤト: 私としてはリンクしたこの記事が気になるのですよ。「個人所有物の返還」とありますが、どんな手続をしたんですか?

小林: 占有移転禁止の仮処分というもので、返還とあるが、実際に運び出すわけではなく、執行官が入室して張り紙するだけだ。6日に申し立てて一度認められ、日産の異議で10日に却下とあるが、これは従物は主物の処分に従うで一般的には家財の所有権は日産にあるので、「会社の金で不正に取得した資産」があるとして所有権を主張してゴーンの所有権を否定したわけだ。棄却ではなく却下なのはそういうことだ。内部調査で「見つけた」というのは、動産執行は場所単位なので、仮処分を受けて泡を食った日産が鍵を開けて部屋を調べた、そういうことだな。不正資産云々は却下決定を得るための、その場限りの言いがかりで、真面目に取り合うものじゃないよ。

ハヤト: わざわざ裁判手続を介するということは、少なくともマンションが会社の所有という認識はあったのでしょう?

小林: ブラジル大使もいたのだし、鍵を持った秘書もいたのだから、法的手続を介さなくても取り返すことはたぶんできたわな。むしろ手続を介したためにリアクションが大げさになったわけで。中身は金塊とか株券とかだろうけれども、そんなに重要なものは入っていないんじゃないか?



小林: これも棄却に決まっているが、一見ムダな手続をわざとやっているように見えるあたり、ポール・ワイスのお手並み拝見だが、どうなるんだろうね。

ハヤト: では、今回はここまで。