Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2018/7/11)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。


1.実はずっと前に壊れていた(ポンコツ)銀英伝

 夢幻本舗の画像から

小林: 新銀英伝が「あんまり」な出来なので、カオルさんを誘ってGyaoマクロスと最初はキスアニメで前の作品を見てみたのだけどさ、銀英伝は字幕が省かれているとか「何か変だな」と思っていたら、実は絵まで差し替えられていたんだな。

ハヤト: 2009年にデジタルリマスターしたんですよ。ええ、差し替えについては評判悪いですね。上の絵なんかぶち壊しですから。

小林: DVDレンタルが始まったのは2009年より前だから、それ以前のDVDなら見られるよ。LDならという人もいるけど、そこまでしなくても良さそうだ。最近は海賊版やオンデマンド配信に押されてレンタル店は景気悪いから、古いDVDを更新せずにレンタルしている店も多い。フジリュー版なんか悪ふざけだよ。

 センスの悪いフジリュー版

ハヤト: 作画崩壊については2期、3期がかなりありましたが、それはそれで味だったわけで。

小林: 田中芳樹は銀英伝の続編は「書く気ない」と言っているが、だったら別人に書かせりゃ良いんだ。次の手がないから、古い作品弄りなんて言う文化破壊をして会社もアニメータも糊口をしのぐようになる。でもこれは失敗で、リマスター版はほとんど売れてないよね。ファンは見る所は見ているから。

  画のタッチがまるで違う

ハヤト: 差し替えられた絵は外伝とか作品末期の絵に似てますが、これをやった人はできあがった作品を通しで見たのでしょうか?

小林: 外伝はあれでいいんだが、見てないんじゃないかと思うよ。とにかく、テレビ作品をVHSにした時はそれほど問題もなかったが、DVD化の場合は「作品の水準を維持できない」問題が他の作品でもあるわな。それと気に入らないのはたぶん下手人(修正版、新作)のバンビジュがこういう情報を探しては潰して歩いていることだな。そういうことをするということは、「前より劣悪な作品を販売している」ことを認めたと同じだよ。


2.スタッフの質(人生経験)の質の低下

 

小林: 元より殺害シーンの多い作品ではあったが、修正版の方は何であんなに流血させるのかね。描いた人間は本物の死体を見たことないんじゃないか?

ハヤト: そういうアナタはどうなんです? お葬式は別ですよ。

小林: そんなもんネットで探せば山ほどあるし、実見したこともある。見たくもなかったが、たまたま通りかかった交通事故で二人ほど死んでいてね。一人は車の下、もう一人は跳ねられて四肢バラバラ、銃殺死体の写真なんか見てもあんなに血は出ないし、血液のヘモグロビンには鉄分が含まれているから、放出されるとすぐにどす黒く変色し、タンパク質が凝固してドロドロに固まる。キルヒアイスはナットウキナーゼかワルファリン、バファリンでも飲んでいたのか。

ハヤト: いずれにせよ、お茶の間にはグロい場面ですよ。

小林: だったら死にたいする厳粛さを示して、ああいうシーンはどうしてもというならより正確に、それが嫌なら時代劇みたいに無血とかいう方が良いし、オリジナルはその辺適度なバランスを保っていた。何か面白がってキャラに血糊を付けている修正スタッフを見ると「バカじゃないか」と。



ハヤト: 時期的に修正版を製作したのはオリジナルの石黒昇さんですよ、12年にお亡くなりになるんですがね。

小林: それはちょっと信じられないな、確かにタッチは外伝なんかのそれに似ているけど、作品の制作はだいぶ前に終わっていて、ほとんど関わってないんじゃないか? 感じとしては西崎義展死後の「宇宙戦艦ヤマト復活篇DC版」に近い制作方法だろう。私はDC版不要と思っているけど、同じように修正DVD版も不要だな。これはファンの総意だよ。

ハヤト: 原作者の田中芳樹はかなり知的な方ですし、銀英伝は関わったスタッフも一流です。生半可なスタッフや覚悟で直せる作品じゃないと思いますよ。ええ、DVDの評価や売れ行きを見ればそれが正しいと分かります。アマゾンで最初(DVD-1)は40近く付いているコメントが次(2)以降は数個しかないことを見ても、ここで客が離れたことが分かります。

小林: 死体の話をしたけど、スタッフはともかく、「別の人に任せれば」も田中の代わりはなかなかいないんじゃないか? で、準備の方法なんだが。


3.書くにしても準備が必要

 こんなのじゃダメ

小林: たぶん今の田中芳樹でも銀英伝の続編は書けないと思うが、この作品を分析する視座は三つある。一つだったら他人でもなんとかなる。

 視座一 安保闘争、ポスト高度成長期という時代的背景 (福井晴敏:ただの80年代)
 視座二 学習院大学という皇族専門校の環境 (福井晴敏:天ぷら大学のどっかの私大)
 視座三 文学修士という知的レベルの高さ  (福井晴敏:大学中退のただの高卒)


ハヤト: ええと、前も触れていましたね。銀英伝がしきたりや格式などやたらと詳細なのは作者のいた環境にそれがあったからと。

小林: 田中は劣等生だけどね、でも、普通の人間よりはずっと物を知っているし、頭も良い。その辺ネトウヨの方々は誤解しがちなんだけどね。たとえ技術士試験や司法試験に受からなくても、自衛隊でパイロットになれなくても、それなりの年数を費やして勉強した人間は侮れないんだよ。彼は学習院の博士でしょ。つまり、それなりの物を読み、それなりの人間を知っているわけで、現場で30年働いたって、その世界はその感覚じゃ理解できないよ、なあ、フジリュー。

ハヤト: 1と2はちょっと難しそうですが、どうにかなるのは3ということですね。

小林: そういうこと、それなりの物を読まなきゃいけない。学術書とか論文とか、そういうのを馴染むくらい読んで、書いている人間の感覚が分かるくらいまでにはなる必要がある。文章の巧拙とか、表現の射程とか、私もつい最近十数年ぶりに千ページの訴訟法の本(新堂幸司)を読んだが、読んでみて改めて大学の教員がこの本の200ページ分しか講義しておらず、また、論理に飛躍があって文章も上手くないことが分かったが、そういう達観には現場30年は多少の役には立つ。読んでみて最近のとか、我妻栄を読みたくなったな。学術書というのは、版数の多いものは当然ツギハギプロダクトだからな。修正の入れ方なんかも参考になる場合もある。

ハヤト: 経済書も読んでいますね。

小林: 大学教養の教科書だったサミュエルソン経済学は今でも字引代わりに引くことあるよ。これもウン重版で今となっては「古い」とか言われているけれども、読みやすい文体で新堂と違って迂闊さが少なく、信頼できる記述だから学術書としてはかなり読みやすい方だ。で、それらの次は論文だ。文学でも法律学でも科学でも何でもいい、とにかく、学術に携わる人間の考え方を理解することだ。もっとも、私は学者は嫌いだけども。考え方さえ分かれば、本人はヘイトスピーチ屋に売ってもいい。

ハヤト: 雑誌なんかに掲載されている論考より、基本的なものや同業者間の論文とかの方が望ましいということですね。

小林: 学者だからといって人間的に高雅だとか潔癖ということはないからね、むしろ一般人以上に俗物がいるし、偏向を学術的修飾で盲ます人間もいる。山ほどあるから読むものは選んだ方が良いよ。

ハヤト: 残りの二つ(安保、学習院)は何とかならないものでしょうかねえ?



小林: これは当時のものを読むとか、実際に学校に行ってみるとかした方が良いだろうな。私も同業者から「〇〇大学の〇〇寮(私の居た場所)は中核派の巣窟」なんて誹謗されたので、そいつの腕をむんずと掴まえて、「じゃ、一緒に行こうか」と誘ったことがあるが、今も思い出すぐらいガクガクブルブルおぞけていたねえ、ちなみにその同業者は元京都府警の高卒だ。まあ、我々としてはガクブルの方じゃなく、平然と出入りできる方が望ましい。そうなれば小林誠みたいなネトウヨの妬みや歪みも良く見えるようになるよ。まあ、ウロツイただけで分かることはタカが知れているけれども。私は別に学習院でも東大でも国連本部でも行けるよ。どんな連中か知っているからな。同じ人間だ、大したものじゃない。

ハヤト: 時代背景はどうでしょう?

小林: 単に知っているだけでなく、現代や過去と対比してみたり、違いを分析したりする才質は必要だろうな。公平に、科学的に、かつ的確にだが、科学的でないと反復可能性がないから一般化できず説得力がないからな。田中にはたまたま素質があったんだろう。


閑話休題

小林: こんなような準備をして、銀英伝なら書けそうな態勢に持っていくのに最低でも1年以上は要るという感じだが、その間生活せんといかんしな。そういう知的体操をしないで、当たり前だが方法や程度は作品により異なるが、リメイクとかに手を出すバカが最近は多すぎて、これは経営者も理解してないんだろうな。



ハヤト: こちらも商売上がったりで困っているんですよ。以前は潤沢にあった「一定の質」が担保されていない作品ばかりですから。上は八甲田山でしたっけ、当時スターの高倉健さんが他の仕事を全て切ってベンツもマンションも売り払って冬の八甲田で撮影に専心していたというのは、今じゃ考えられないんですがね。凍傷になりかけたとか。

小林: 今じゃ本当の雪の八甲田なんて行かないで、「CGでやれば」とか言われそうだが、森田監督が撮りたかったのは本物の雪原での役者の必死の形相で、特に高倉は後がなかったから特に必死の形相で、そういうの、後から目芝居(修正DVD)みたいな低次元のCGで誤魔化せる芝居じゃないんだよ。

ハヤト: 結果的には高倉氏の出世作になりましたが、この映画がなければ後の高倉健も北大路欣也氏もいたかどうか、、

小林: これはまあ、リマスター版もあるが、おバカなリメイク計画なぞ無いし、ありそうにもないので、元々暗かった画面がさらに暗くなったくらいでDVD化の被害は最小限に留められているな。それに暗くても演技は十分分かるよ。それにこの映画、それが後世に残すべきものだろう。

ハヤト: 銀英伝の場合は確かに少なからぬ作画崩壊があり、修正の要望があったことは本当です。それについては後にしましょう。

小林: じゃ、今回はここまで。