Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2017/7/14)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。


1.何かとお騒がせな、、



ハヤト: ここに来てにわかに自民党、いや安倍政治に対する批判がクローズアップされているようです。何ともピンと来ないんですがね、小林さん? 安倍さん何か悪いことでもしましたか?

小林: 共謀罪の一件があるけど、加計学園とか森元の問題、それに豊田議員を初めとする奢った自民党議員の質の悪さとか、原因になりそうな理由は山ほどありそうだけども、決め手といったスキャンダルはなさそうに見えるがな。

ハヤト: それだけ挙げれば十分だと思いますよ。私はやっぱり共謀罪だと思うのですがね。



小林: 手緩いとはいえ、こういう犯罪も規制対象になるからな。新法を運用する側としては、先ず人目を引く犯罪で実績を挙げて、新法のありがたみを実感させ、国民からの批判をかわす必要はある。暴力団だけじゃこれまでも組織犯罪処罰法や刑法の凶器等準備集合罪もあるから、改正のメリットを喧伝しにくい。で、いけにえの羊を探していたと思うんだ。

ハヤト: しかし、前から言われている共産党とか左派運動家とかは陳腐すぎてターゲットとしては魅力に欠けますね。



小林: そんなもん摘発しても、「ああ、やっぱり」で殉教者にしか見えない。今の安倍内閣とその支持者には「反対する者はみんな共産党」みたいな低知性のバカも少なくないから、後先考えずにやってしまうかもしれないけどな。しかし、上の先生とか内田樹みたいな虚名家のザコを吊るした所で、それはあらかじめ予測ができたことで、意外性がないんだ。

ハヤト: 今の非難の広がりを見ると、こういった方々だけの力とは思えない所があります。全マスコミを含め、もっと大きな規模で仕掛けられている感じがしますね。

小林: だからさ、これは国民が耐えかねてではなく、具体的に共謀罪のターゲットにされそうな企業や財界人が「俺たちは外してくれ」と安倍さんを強請っているというのが私の見立てなんだ。でも、コイツらは本来的に既得権者で与党支持だから、火消しのために「蓮舫戸籍問題」などという消火器もちゃんと用意している。今の傾向が山口や民進党らの運動の結果とは私には思えないね。



ハヤト: となると、あなたの見方は現在の騒動は自民党内部の内輪もめというものですか?

小林: 自民党ではなく、自民党も含むエスタブリッシュメントだが、その見立てが正しいかどうかは経過を見ないと分からんな。これはごく狭い集団から発した問題で、火種は国民ではないが、そのうち本当に火が点くかもしれないしな。



2.東京都議選



小林: しょせん東京のローカル選挙、私は興味がなく、このコーナーでも扱いはほとんど無いか小さかったと思うのだが、結果を見て「やれ自民党の一党支配が」とか、「アベ政治終わりの始まり」なんて言っている人がいるけど、あのヘッポコ東京自民党で小池に勝てると思えるあたりがそもそもおかしい。勝敗なんか最初から決まっていたんだ。

ハヤト: アナタの見方では、知事の小池さんは長野県の田中康夫氏、大阪の橋下徹氏などの一連の地方自治首長の流れを汲んでいる人という見方ですね。

小林: 思想面ではなく運動面だがな、田中から小池までの流れは「民意を効率良く」という選挙結果の利用の改良の歴史だった。例えば田中の例を挙げれば、二期までの彼は作ろうと思えば自分の議会政党を作れるくらいの支持はあった。しかし、構想がなく、効率的に民意を汲み取ることができなかった。「車座集会」くらいが限界で、その先が彼にはなかった。議会には常に邪魔され、「百条委員会」が彼を苦しめた。

ハヤト: 田中さんを支持しても、その支持の遣り場がなかったということですね。そのうち支持も低落し、田中氏は選挙でも負けてしまった。

小林: 橋下は少し改良を加えていて、それが地方自治でも議会政党の協力が必要なことは分かっていた。で、維新を作ったのだけども、「立ち上がれ日本」などと合流して国政に色目を使ったことで、それが首長でも大阪府民/市民のそれなのか、日本国に対するそれなのか立場があいまいになり、求心力を失ってしまった。大阪の首長をやりながら国政を狙うのはしょせん無理だったわけだ。それに彼の場合は支持者にも問題が多かった。



ハヤト: 同じような例としては、名古屋の河村たかし市長の例もありますね。

小林: 河村が橋下のような支持もなかったが凋落もしなかったのは、彼が「名古屋市長」と自己規定していて、地方首長から出なかったことはあるだろうな。自分の党(減税日本)も持っているし、橋下の良い点は踏襲し、悪い点は免れた感じだ

ハヤト: 小池百合子さんは若い方には防衛大臣など政治家の印象が強いですが、我々の世代ではジャーナリストです。カイロ大卒という当時としては変わった経歴でお茶の間の注目を集めていました。

小林: 私は小宮悦子(ニュースステーション)と勘違いしていたが、小池は評論家の竹村健一と組むことが多くて、確かにそれなりに目立つ存在だった。しかし、政界入りは1992年か、そうなると田中や橋下を観察する人としては歳を取りすぎているな。小宮悦子だったらちょうど良いのだけど。

ハヤト: 今話した方々は2000年代で、小池さんすでに閣僚ですから、様々なタイプの政治家と丁々発止したジャーナリスト時代の感覚を持っていたかは微妙なところですね。持っていれば、田中さんや橋本さん、場合によっては河村さんからも教訓を引き出したと思います。

小林: 田中や橋下がやりそうなことは彼女もやるよね、彼らが失敗したことはバカじゃなければ同じ轍は踏まないだろう。そうなると、都議選後いち早く都民ファーストの代表を辞めたのも、やはり国政が視野にあるのかな?



ハヤト: 現在、結果的に同じ立場の橋下さんは影響力ゼロですよ。首長でもなく、代表でもない一民間人じゃ、国政も地方も評論家以上のことは何もできません。代表ではなく首長を取ったということは、やはり先ず東京都政で成果を挙げるということでしょうか。

小林: にわか作りの都民ファーストの議員の質があまり良くないのかもしれないな。こういう場合は先ず平たく考えよう、現時点で彼女にとっていちばんメリットが大きいことは、やはり虚勢で国政を目指すよりは、先ず東京で地盤を固めることだろうな。橋下はその辺デタラメだった。小池のキャリアと観察眼を考えるに、この二の舞いは無いと思うんだ。しかし、そうなると代表辞任は解せない判断になる。地方政治を進めるなら代表は兼務した方が良いに決まっている。

ハヤト: 豊洲移転問題も暗礁に乗り上げています。彼女については日本会議との関係も取り沙汰されていますが、今一歩見えない所がありますね。



小林: しかし、あのガラクタ自民都連でまともな選挙ができたとか、小池が勝ったから安倍政治は否定だと空騒ぎするのもバカバカしい。安倍なんか元々ダメだったものをダメ押ししたにすぎない。過去に支持した知事が二人もスキャンダルを起こして、ドンの内田があの体たらく、歴代の市場長がほとんど犯罪者じゃ、どうやったって小池にゃ勝てないよ。

ハヤト: アナタは長野県の出身ですから、田中さんのことも良く知ってますね。

小林: 田中は政党を作らなかった。が、作っていれば今の東京自民に似た長野県の自民党じゃ歯が立たなかっただろう。民衆というのは一度支持を与えれば1~2回は何かヘマがあっても許すんだ。二元代表制で小池が勝ったあの勢いじゃ、都民ファーストがいかにガラクタでも、彼女の勝ちを制することはできないよ。この辺、議院内閣制の国政とは少々ニュアンスが違う。地方自治体の首長は所属政党の互選じゃなく、選挙で選ばれるのだからな。

ハヤト: だからアナタは都知事選や都議選にあまり関心を払わなかったし、世論の動向にも無頓着を決め込んでいたわけですね。結果の分かり切った話にコメントする必要はない、と、いうことですか。



小林: 頭を使うまでもない話だったからな。これに自民がどうのとか変な意味付け、脚色を考えるのもバカバカしい。そういうのを蛇足と言うんだ。

ハヤト: 脚色している人も、何か他意あってのそれでしょうからね。



閑話休題

1.まだやってるの? 北爪Define



小林: 本屋で見かけて久しぶりに買ったけど、紙質も悪くなって相変わらずひどいねえ、、コマ割りに工夫ないし、絵は死んでるし、台詞の多さはまるでゴーマニズム宣言かと。

ハヤト: こんなのよりウチの方がハマーンについてはよほど良く書けていますよ。買う必要なかったのでは? あ、ビニ本でしたね、買って読むまで中身分からないと。

小林: 2202は取り上げないからね。カオルさんの話では、最近はヤマトレビューの参照が多いそうだけど。それとdefineなんだが、カオルさん、12話しかレビューしていないのに、今でもコンスタントに人が来るらしい。何が読みたいんだろうね?

ハヤト: 分かりません、10年前の話ですから、北爪さんが病気で休載とかで、あ、表紙の12巻は2月に連載再開しての内容です。一応最新ではあるのですよ。

小林: この人もウチの作品読めばもう少しマシな話もできると思うがな。相変わらずハッカーがパソコン叩いてヒョロローみたいな話しかできないので呆れてるよ。

ハヤト: それは10年前でもアブナイ描写でしたが、今はもう少し現実感のある話がトレンドですからね。パソコンを捨てて外に出よう、みたいな。

小林: バーチャル・リアリティがしょせん仮想現実でしかなく、現実の富や幸福に繋がらないことに感づいている人が多くなっているからな。現実の世界情勢見たって、CIAやNSCがいくらパソコン叩いてヒョロローッとやっても、アナログ国家の北朝鮮は崩壊しない。スノーデンとウィキリークスくらいがせいぜいだ。

ハヤト: そのくらいの情報漏洩は諜報機関を文字通り「アナログ」化すれば防げる話でしょうね。生身の工作員を使うとか、007みたいなエージェントを養成するとか。あと、自動的に燃えるテープとか水に溶ける紙なんかもありますね。ええ、朝鮮や中東については冷戦後の予算削減が響いています。中東も少ないですし、朝鮮に至ってはほとんどいないのでは?



小林: 仮にいたとしても、5月のカールビンソン展開で朝鮮共産党に僅かに潜り込んでいたそれも根こそぎ処刑されてしまっただろう。そう、今の諜報機関に生身のアセットというロバストなインフラはない。政治家も代替わりして諜報に関するコモン・センス、常識といったものもなくなっている。トランプに諜報についてワシントンの平均程度の知識があれば、むざむざ朝鮮の数少ないCIA、KCIAのインフラを危険に晒すような判断はしなかったと思うよ。あれでたぶん朝鮮政策は10年遅れた。金正恩の最期は、向こうが何かミスでもしない限り、当面先だろうな

ハヤト: で、話を戻しますと、ま、ウチから見れば幼稚と言えるレベルの北爪Defineなんですが、20代の頃の仕事で今もやっているということですね。こういうのは中身じゃなく、もはやネームだけですね。昨今のリメイクはみんなそうなんですが。



小林: 今考えれば安彦良和はまだ良心的だったんだろうな。オリジンはまだ読めたし楽しめたよ

ハヤト: 少なくとも批評に値するレベルではありました。



2.銀鉄レビュー終了



ハヤト: そういえば銀河鉄道物語のレビューが終わりましたね。「Gレコをベースにした」という割には飛田カオルさんとの合作で力の入ったレビューになったと思いますが。

小林: 思っていたよりちゃんとしたものになったので、カオルさんと相談してインタビューと用語集の編纂を考えている。

ハヤト: しかし、アナタは少し苦労したようですね。



小林: この時代の有象無象の松本作品、「コスモウォーリア零」なんかの幻影が払拭できなかったからな、どうしても猜疑心を持ってレビューしたのは本当だ。

ハヤト: あれはまあ、、宇宙公務員ですからね。

小林: 零を思い出して考えると、やっぱり銀鉄は新しいスタッフの作品じゃないかと。そういうわけで、評価するにしても、これはいったい誰が主導したのかというのは常に念頭にあった。もっとも、論考行賞は制作した会社の方でもそんなにきちんとしていたように見えないんだよね。結局、アニメ絵を描いたプラネットが全部持っていったから。

ハヤト: アナタは絵についてはあまり高い評価をしてませんね。松本零士もあまりコミットしてないと見てます。そうなると誰を評価すべきなんでしょうかね

小林: 脚本家でいえばメインライターの園田とむとうやすゆきだが、この二人はそれほど個性的というわけでもない。私の見立てでは声優の大塚明夫音響の塩屋翼の功績が大きいと思っているが。それをまあ、監督の西本由紀夫がうまい具合にまとめていたという感じで、個性的な誰かというより合議制の作品という感じがするな。

ハヤト: 零はどうでしたっけ?

小林: シリアル西岡というマニアみたいな人が仕切っていたけど、全然ダメだったね。銀鉄も二部はその傾向がある。だから一部しか扱わなかったのだけどさ。とりあえず判断すると、音響監督の塩屋翼が役割以上に動いていたんじゃないかなあ。なので監督が変わった二部ではまるでダメになる。こちらでは大塚も塩屋も立場以上の仕事はしてないね。この二人は同年代で監督の西本、脚本家のむとう、山田などより経験もキャリアも上だ。あと、園田と長谷川が同じ世代でいるけど、塩屋の全盛期では二人とも大した仕事してないしね。大塚明夫もブレイクしたのは90年代だから。そうなると、この面子の中で主導権を握れそうなのは塩屋(ゴールドバグ、ユウキ・コスモ)一択ということになる。

ハヤト: つまり、アナタのご意見では、銀河鉄道物語は塩屋翼氏の作品ということですね。

 
声優時代の塩屋氏の諸作品

小林: 役割が音響監督だし、それは全部を仕切っていたわけではないだろうが、彼の寄与度が大きい作品とは言えるだろう。

ハヤト: 松本零士氏が原作者なんですがね。

小林: 彼は西崎との和解に忙しくて、作品にはほとんど関与していなかった。

ハヤト: ま、ガンダムで脚本家の役割にスポットを当てたのはウチが最初で、以降は何かにつけ脚本家を問題にする風潮ができましたが、別にウチは常にそういう見方をしていたわけではありませんね。

小林: 初代のガンダムの評価で、富野ばかり評価されるのは不公平だということで提示した視点だったんだがな。Zガンダムなんか見れば、そういう結論に至らざるを得ない事情もあった。

ハヤト: では、今回はここまで。