Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters 2005.

An another tale of Zeta・・・INTERVIEW


(インタビュー 2016/1/3)




機動戦士Zガンダム ハヤト・コバヤシさん
※本作の記述とは関係ありません。



はじめに

ハヤト: 皆さんこんにちは、カラバのハヤト・コバヤシです。ATZのインタビュアーを務めています。

小林: 作者の小林昭人です。

ハヤト: 先の2202ですが、少しく語り足りない所があるということで続きですね。


1.いびつな制作姿勢(ヤマト2202)

 
2202前売り券(左)、右は小林推定

ハヤト: 先のインタビューで2202でリデザインされたアンドロメダは大きすぎる(700メートル級)という話ですが、本当のようですよ。前売り券の絵なんですがね。こんな絵が出てました。

小林: これじゃホントにヤマトは「いらない子」じゃないか(失笑)。

ハヤト: まずいと思いますよ。そもそもこちらの指摘ではこうなったのは2199でゼルグート級戦艦(ドメラーズⅢ)を立派に作りすぎたせいだということですからね。


アンドロメダ以前の700メートル級戦艦(2199)ドメラーズⅢ

小林: バランス悪いよね。ゼルグード級戦艦のデザインは「失敗」なんだから、そんなのにいつまでも引きずられてちゃいけない。あれは元が便所のスリッパか何かを見て描いたような適当な戦艦なんだ。そんなのがいつまでも作品を拘束し続けるのはおかしいよ。

ハヤト: もっとまずいことがありますね、2月公開だと言うのに、アンドロメダ以外の地球側艦艇のデザインが上がってきてません。



小林: 地球側艦艇は前のを「再利用」するそうだ。つまり、主力戦艦も巡洋艦も出ない。これじゃプラモも売れないよ。

ハヤト: アンドロメダ一発勝負なんでしょうかね、ヤマトの二倍の大きさですから単価もそれだけ高く、、



小林: 前売り券も全話一括販売なんてセコいよね。2199が話が進むに連れて客足が減ったことへの対抗策か。

ハヤト: 話も変ですよ、古代と真田さんが対立して真田さんはヤマト乗らないそうですから、代わりに乗り込むのは新見とか桐生とかでしょう?


人格、行動力、発想力のどれを取っても原作に遠く及ばない2199真田は留守居役

小林: 大塚広忠のギャラが高いという話は聞いたことが無いが、、また原作キャラのポジションをオリキャラが奪っていくのかな、、真田はヤマトに乗らず、彗星帝国の動力炉は新見が爆破してしまうんだろう。

ハヤト: そもそも福井さんが拡げた風呂敷にバンビジュが乗るのはこれで二度目ですからね。乗せられる側も構えていて、前評判の割に低予算で制約も多いと思います。


2202デザインのテレサは真田丸のようなオバハン

小林: 松本零士のキャラ、デザインは使用禁止と見て良いな? なのでテレサが悲惨なほどブスだ。

ハヤト: どうしてメカもキャラもデザインをこうもケチるんでしょうね。


2.華を忘れた日本人



ハヤト: 考えてみればウチって絵のプライオリティが低いですね。「刺身のツマ」と割り切っているせいか、キャプチャーもしょぼいし挿絵もしょぼい(笑)。

小林: 前から言っているからな、ウチは小説サイトで力を入れられる部分に限りがあるから、文章以外の部分のクオリティは切り捨てている。

ハヤト: どこかのサイトのように同じ小説でも絵なんかは共作とかでも良いんじゃないかと思うんですよ。

小林: でも、その絵にはATZ本文と同等のクオリティを要求するよ。目が大きすぎる女はダメだし、アニメ絵だってダメだ、服装もセンスが良く、ビシっと決まっていなければ認めない。そんな作業、タダでやってくれる人がいる? いないから割り切っているんだ。

ハヤト: で、2202の話なんですが、事情はウチとは異なりますよね。

小林: 2199はヤマトじゃないよ。「宇宙戦艦ヤマト」というのはその時代のフラッグシップ作品で、それは話はマンネリとかあったが、少なくともその時代の最高のスタッフ、作画、音楽で作られた作品でしょ。完結編までそうで、作画なんかはガンダムとは2ランクくらい違っていた。完結編に至ってはついぞ追いつかなかったな。

ハヤト: 富野喜幸さんはヤマトを倒すためにガンダムを作ったと言っていますが、後付感が拭えないですねえ、、

小林: 全く勝つ自信は無かっただろうね。せいぜいが亜流で、だからガンダムにも宇宙戦艦が出てくる。ただ、話がマンネリ化していたヤマトと違って設定やストーリーは勝っていたから、結果的にヤマトに勝ったわけだけれども、それもヤマト人気が下火になった頃の話で、全盛期じゃ勝ち目ないでしょ。富野のその手のホラ話は真に受けちゃいけないよ。

ハヤト: スターウォーズに似てますね。あれもあの時代の最高のSF技術の作品で、そうでないウォーズは長い間ファンには認められていませんでした。黒歴史のアニメ版スターウォーズなどありますが、知っている人はほとんどいません。低予算で息の長いトレックとは正反対の作品で、いわば「ハレ」の作品なんですよ。

小林: CG多用にも問題があって、この技術は数年で通俗作品に追い抜かれるから、こういう作品は今は作りにくいわな。キムタク主演の実写ヤマトはその辺を押さえていたと思うけれども、全盛期のヤマトだったらもっと予算を掛けただろう。SBヤマトは努力賞だが、ヤマト特有のゴージャス感は今一歩だった。クオリティ作品を作りたければCGは適当に割り切る、避けるというのも見識だ。

ハヤト: ま、2199はそういう作品じゃありませんでしたね。水準程度の技術で、水準程度の作品だったと思います。監督とか制作指導とかはむしろ劣るくらいで。

小林: やっぱり不況が長く続きすぎたせいか、また国も落ち目のせいか、視聴者も「ハレ」を忘れつつあるな。それで、UCで懐古アニメに寄生する味を覚えた福井と「アンドロメダさえ売れればいい」というバンダイ主導で作られたのが今度の2202。正直、この程度の作品じゃ、ウチでも扱うかどうかだな。



ハヤト: ディティールを細かく作り込むのはヲタクであって映像作品における最先端じゃありません。かつてのヤマトはそういった技法を実験的でもふんだんに使った作品でした。ウィキペディアに書く内容ばかりが多く、映像表現が人並みというのはやはり違うんじゃないかと思います。

小林: つまり、「ハレ」の作品、フラッグシップ作品として作る気がハナからないんだ。ガンダムやガルパンなんかと同じコンテンツだと思っている。宇宙戦艦ヤマトはさ、プロデューサーの西崎さんが4クール分の予算を確保して2クールしか作らないということを確信犯でやっていた作品だ。今の制作環境で制作費が二倍になったなら、2199みたいな作品に果たしてなるだろうか? 50話作ると言ってそれだけの予算をせしめた作品と、最初から26話しか作りませんという作品じゃ、後者にはありきたりのものしか作れないわな。

ハヤト: ヤマトは最初の視聴率は低調でした。ですが、そういう作品だったのでプロデューサーの西崎さんの売り込みが後で功を奏し、、実は大失敗の一歩手前だったんですね。

小林: 作ったのが最高の作品という自負があったから出来た芸当だ。市場の評価は低くてもクオリティに絶対の自信があった。水着大会の2199のようなもの、それだけの自信を持って売り込めるセールスなんていやしないよ。

ハヤト: 2199は後半になると声優の士気も下がっていて、大塚明夫や菅生孝之なんかダレてましたからね。オリジナルは違います、話がクライマックスに近づくに連れ、演技している声優の声も熱を帯びてきます。

小林: 「ハナ」はお祭りなんだから、最後は声優も監督もアニメータも盛り上がって大団円にならなきゃいけない。作り手が酔えないような作品が視聴者を感動させることは絶対ない。

ハヤト: とりあえずまとめるとどんな感じですかね。

小林: 宇宙戦艦ヤマトはスターウォーズみたいな気合と予算を掛けて作らなけりゃいけない作品だ。「ボクはデザインしか分かりません」といったマヌケな監督や、「お父さんのスコアに似てるでしょ」といった二流の作曲家、「和風トム・クランシーのような小説で江戸川賞取った」なんて三流小説家は関わっちゃいけないんだ。アニメ史の中でも一段高い位置にあって、コストがとか、コンテンツないから過去作から借りようなんて腐った経営態度で挑んじゃいけない作品だ。車で言えばフェラーリ。でも、そういう作品ばかりじゃ疲れるし会社も持たないから、スカイラインやデミオRみたいなガンダムとかトレックがある。それが分かっていない経営者のいるバンビジュは悲劇だね。「風と共に去りぬ」をコストダウンして「スカーレット」なんてやった日にはメタメタじゃないか、作品にはそれぞれその作品のいるべき位置があるんだよ。多少技術が進んだからと言って目先だけ似せても、あるいはより細かくても、その当時のリスクを取って思い切った撮影をした過去作には及ばないんだ。

ハヤト: でも、そんなヤマトでも予算の制約はありましたよね。

小林: その手の抜き方も一流だけどね。バンビジュと違って、東映はさすがに分かっていたと思う。本当はSBヤマトはもう少しお金を掛けたかったと思う、しかし、2008年当時としてやるだけのことはやった。だから実写版は「宇宙戦艦ヤマト」として許容範囲だ。2199は基準外。その辺参考になるかな。技術や設定の問題じゃない、その当時の彼らとしてベストを尽くしたかどうかだ。

ハヤト: 2202は、、たぶんウチじゃフォローしませんね。

小林: カオルさんのヤマトレビューが終わるから、ヤマト2ならレビューしても良いかもしれないな。



閑話休題

1.三菱の話



小林: 話は変わるけど、たまに飛田カオルさんから借りるミラージュ、乗るとホントに良い車でねえ、、

ハヤト: 外観があまりに安っぽくみすぼらしいので、アナタが乗っていったら知り合いから「私の軽自動車乗せてあげましょうか」と言われた話は聞いてますよ。

小林: その点はグウの音も出ないがな、そうなるまでの過程を見ると、「なるほど、こういうやり方もあったか」と納得できるところもある。知っての通り、今の三菱には十分な資金も技術もないからね。それに、私がカオルさんから借りる時は長距離専門だが、シートの出来が良くてね、助手席で寝ていても疲れない。彼女のフェイスブック見ると分かるが、あの人、旅行する時はタフだから。一日800キロとか千キロでも平気だ。

ハヤト: もっと大きな車も持っているでしょう? そちらを使ったらどうです?

小林: 燃料代が半分だし、実際走らせるとこちらの方が速いんだ。Cd値0.27のコンパクトカーは世界中探してもこれしかないからな。新型ゴルフは同じだが、こちらはより重く、燃費もより悪い。椅子も大ぶりで疲れる。長野までだと私のプログレだと3時間切ったことは一度もないが、1リットルのミラージュだと2時間40分とか30分で行けてしまう。空気抵抗が少ないから、平均車速が高いんだね。

ハヤト: ま、世間一般、大方の評価とは違うでしょう、それとヤマトとどういう関係が?

小林: 三菱自動車の車を見てみると分かるんだが、このメーカーはかつては他メーカーよりも工数が多く、作りも複雑な車を量産していた。直噴エンジンとかマルチリンクとか、マルチ・ポイント点火システムや国産最小のV6もある。まあ、当時としては最先端のそういうメカニズムを積んだ車が「そこそこ」性能が良いのは当たり前だわな、現にどれもそんなに売れなかった。

 
(左)先代ミラージュ搭載の世界最小V6エンジン、(右)ランサーカーゴのマルチリンクサスペンション

ハヤト: デザインがひどかったという話ですね、三菱の車は機動戦士ガンダムと呼ばれていたのは最近までの話です。

 
「機動戦士ガンダム」と呼ばれたデボネアAMGとその系譜を継ぐランサーエボリューション

小林: それもあったがもっと大きかったのは90年代末から現在まで数年おきに続いた一連の不祥事、これでメーカーの評判も落ち、外部から役員が入り、クルマも売れなくなった。よりどりみどりだった技術もあれが使えなくなり、これが使えなくなりと徐々に減っていったのだが、感心したのはこないだの燃費偽装事件でね。

ハヤト: 感心するような話じゃありませんよ、ダメ押しだったじゃありませんか。

小林: あの事件はさ、別段言うほど悪い話じゃないんだ。会社の実験部が燃費測定で自分らのやり方を譲らず、国のやり方より優れていると思っていたから起きた事件だ。だから、国交省に報告以降も同じやり方で測定を継続していた。それが国交省の逆鱗に触れたのだが、、、もし、三菱の言い分のほうが正しかったらと考えるとね、、

ハヤト: 国交省が乗り込んで再測定した結果はやっぱりカタログ値よりだいぶ悪かったですよ。

小林: でも、他の会社は自社で測定しているんだろう? 燃費測定に合わせたドライバーやノウハウを使い、方法だけ遵守して「悪いことしてません」とやっていたのだが、それらの燃費も良くないことは一般常識だ。で、ここで気づいたのだが、三菱というのは手本はダイムラーだ。それも少し古い2000年くらいのそれで、その乗り味は今でも色濃いし、最終的にそれを仕立てたのは実験部だ。つまり、燃費偽装していた連中だ。

  
この時代の三菱はダイムラー傘下のため、現在の三菱車にも影響が強い。右端はW203のメーターレイアウト。

ハヤト: ミラージュも古いベンツに似ているとは以前アナタも言ってましたね。

小林: でも、ダイムラーはもっと複雑なメカニズム、もっと重い車体でそういう乗り味を作っていたよ。しかし、今のミラージュは重量は1トン弱の軽量車で、サスペンションはトレーニングアームだ。それがほぼ同じというのは、これは「引き算の効用」というヤツかと。そこでハタと思い至った。この会社の連中、開発資源が乏しくなっていることは分かっていながら、実は譲れないものがあったのではないかと。

ハヤト: 同じ性能をよりシンプルなメカニズムで、より安くという開発方針があったということですね。

小林: ミラージュの先代ランサーやコルトはもっと大きく複雑な車だ、しかし、今の車がマルチリンクを備えた先代ランサーに劣っているかというと、ほとんど同じというのが本当のところで、目にも見えず、カタログにも乗らない「テイスト」を頑なに守っていたのかと思うと、私としては燃費偽装した連中に敬意を表したくなるね。こういう行き方もあるということだ。それも毎年改良して、年ごとに彼らが理想とするW201や203に近づけているのだからね。ミラージュも今のはかなり近い。

ハヤト: 最重点項目が「目には見えないもの」だとすると、一般消費者には受け容れがたいのではないでしょうか。


サーブ9-3 破綻したスウェーデンのメーカー、実は競合するBMW3シリーズに安全性など遥かに勝る乗用車

小林: 同じようなメーカーだったサーブは破綻してしまったからねえ、、しかし、「自分らのクルマはこうあるべき」というポリシーをトップから従業員まできちんと持っていたことは評価すべきだし、実際、それがないメーカーは国際資本主義の現在、買収やM&Aの間で跡形もなく消えてしまうと思うんだ。

ハヤト: コストやノウハウに制約がある場合はポリシーを決め、限られた技術を洗練させるという方法もあるということですね。

小林: それは確かに廉価な車だよ、しかし、「安物」じゃない。ユーザーの求める部分、肝心な部分は超の付く一流の内容だ。こういう考え方って、出淵あたりがのたまうようなヲタク技術論にはない考えだね。でも、それがホントの技術者じゃないか? モデルグラッフィックスとかモデラーブログのオタク技術論がどこか胡散臭く嘘くさいのは彼らが所詮二流で、本当のそれを知らないからだよ。それに史実を見てみると、実はミラージュみたいな考え方の乗り物、兵器は案外多い。技術開発の一つの真実がそこにあると思うんだ。

ハヤト: では、今回はここまで。