Mobilesuit Gundam Magnificient Theaters
An another tale of Z ATZ説話集(174)




47.第二部カットシーン

 作品の中でも第二部は一気呵成に書かれたためカットシーンと言ってもめぼしい物はないのですが、26話のイエガー艦隊の上陸シーンです。





〇〇九七年一一月二六日 四時三〇分
第二艦隊 第一戦隊旗艦 重巡洋艦「タイタン」


員、衝撃に備えよ!」
 革のベルトにしがみつく艦長の指示で重巡の操舵手は操舵輪を押し引いた。コロニーの外壁に急接近する艦の艦首がリフトアップし、ロケットアンカーを撃ち込んで一万四千トンの巡洋艦が回転するコロニーの壁面に吸着する。一部着底した艦が外壁を削って減速し、ベルトに掴まる乗員が前に投げ出される。第一戦隊の旗艦は市街地の裏側に着底した。
「突入(フォルシュトース)!」
 重巡タイタンの後方にはタケイ艦長の「グワリブ」も着底し、海兵隊をコロニーの内部に侵入させている。さらに第二艦隊の工作艦「アルベリッヒ]W」が突撃し、コロニーの外壁に直径二〇メートルの穴を開ける。指揮席のベルトを外したシュミット少将は拳銃を握るとマイクで艦の乗員を叱咤した。
「海兵隊やバロスに遅れを取るな、全員武装して上陸せよ!」
 艦に飾られた故ハイデルシュタインの肖像画をチラリと見ると、ノーマルスーツを着込んだシュミットは同じく装甲服を着、小銃を担いだ艦長と共にブリッジからコロニーの外壁に飛び降りた。工作艦がコロニー外壁に穴を穿ち、第二艦隊のドムYが次々とシュミットらの頭上を飛び越えていく。すでに先鋒部隊は市街に上陸し、コルプの近衛隊と戦闘を開始している。






第二艦隊 戦艦グワバンMS中隊
モビルスーツ「ドムY」 ヨハン・エンゼル中佐機


 工作艦の開けた突入口からコロニー内部に突入したエンゼル中佐率いる戦艦グワバンのモビルスーツ隊はシュバルツバルト自然公園でガイラー少将率いるモビルスーツ隊と戦闘になった。数は反乱軍の方が優っているが、士気と練度では海兵隊のモビルスーツはアクシズ軍より優っている。パイロットにしては小太りのエンゼルはビームライフルでジュアッグの一機を仕留めた。
「無益な戦闘はしたくない、機体を停止して降伏せよ!」


 本国艦隊の降伏はすでに第二艦隊通信班を通じてズム・シチ全土に知らされている。彼の呼びかけに半数は武器を降ろしたが、ガイラー将軍のザクUと少数のモビルスーツが公園の一角で抵抗を続けている。エンゼルはホバーを吹かしてドムを突進させるとアッグガイの一機に体当りして転倒させ、ライフルを向けて中のパイロットに呼び掛けた。
「降伏しろと言っている!」





ズム・シチ市街地

 旗艦から黄色のドムYで首都に上陸したイエガーは指揮車に乗るホフマンらに宮殿の方向を指さした。エンゼル中隊の攻撃でガイラー将軍の部隊が壊滅し、アッグガイやジュアッグの残骸が転がる中、黄色の旗機に乗るイエガーはドムYのホバーを吹かした。
「前進(フォアヴェツ)!」
 ドムの一隊を率いたイエガーは宮殿に突入した。後をホフマンらの装甲車、地上車、オートバイが続く。本国艦隊が降伏したこともあり、動揺した反乱軍はコロニーの各所で潰走している。


アッグガイ


ジュアッグ


ゾゴッグ

(作者メモ)
 コルプの乱で反乱を起こしたのはジオン陸軍のアクシズ警備隊、そしてそれが指揮官のコルプと共に護衛隊となった近衛隊ですが、戦力としては重巡洋艦などそれなりの兵力を持っています。ですが、元々ジオン軍の傍流のジオン陸軍、さらに辺境のアクシズ警備隊という位置づけから、コルプ軍の兵器は古く珍妙なものが少なからずあります。なお、ゾゴッグは第21話登場でエンゼルは第37話に登場するヘルシングの元上官。


(おわり)




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