Mobilesuit Gundam Magnificient Theaters
An another tale of Z ATZ資料集(153)




41.船団攻撃の舞台裏

 第47話「グラナダ・エクスプレス」のカット場面集。ヤザンたちはやはり、、ですね。




〇〇九八年七月一〇日
月 グラナダ上空


ウアー・ファラオ大尉の「アッシマー」は月の上空を旋回すると、グラナダから進発した輸送船団の船影を捉えた。船団の数は一二隻、オーブル支援の船団としては中規模だが、通常航路で月の表側に向かい、アンマンから発進したエウーゴ艦隊と合流するはずだ。彼女はオペレータのシトレに船を照合するように命じ、コンソールのモニタで船影をチェックした。見たところ、通常の物資輸送が中心で、兵器やモビルスーツ、兵員を搭載した船はないようだ。彼女は後方の戦艦へのレーザー通信機のマイクを取った。
「こちらドリスコール、列車(トレイン)を確認、K型輸送船「フライトV」以下一二隻、後続する船舶はなし、全船と思われる。」
 攻撃するほどの価値はない。サイド2周辺のミノフスキー粒子の濃度は高く、暗礁も多いため、発見した船団はすぐにアルカスルに逃げこまれてしまう。船団には通常の輸送物資、人道支援物資を搭載した船があり、二週間前にヘンリー中尉のアッシマーが貨客船「シラクサ」を誤爆し、死傷者が出たことからティターンズは先行偵察を強化している。が、肝心のモビルスーツ搭載船は仲々港を出ないようだ。グラナダ近辺にエウーゴによるオーブル訓練所があることは分かっている。
 コンソールのランプが緑色に点灯し、彼女は船団情報が戦艦に確実に送信されたことを知った。レーザー通信機はミノフスキー環境下でも使用できる優れた通信機器だが、方位を絞って送信する必要がある。報告は戦艦で増幅され、中継局を経てタイロンのティターンズ基地に送られる。今頃はジャマイカンが船団の情報を受け取っている頃だろう。彼女はすでに二日、この宙域で船団を哨戒している。






〇〇九八年七月一〇日
コロニー「タイロン」 ティターンズ基地


撃隊を送る価値はない、な。」
 アレキサンドリアを中継して送られてきたマウアーの電送写真を一瞥したジャマイカン・ダニンガン中佐は言った。アルカスルで対峙しているオーブル軍が前線での動きを活発化させており、近々反攻作戦が予想される。エウーゴやグラナダ市国からの借款を受け、オーブル軍の軍備は強化されている。


「いや、強化されつつある、と、言うべきだろうな。先の第二次船団は捕捉した。」
 先のオルドリンでの国際会議の期間も含め、オーブル軍は二次の船団をアルカスルに向け進発させているが、会議中の第一次はともかく、第二次船団はティターンズが捕捉し、これに手痛い打撃を与えた。しかし、残骸を調査したアレキサンドリアからの報告では、撃沈した船にはモビルスーツ搭載の痕跡はないという。
「オーブルが反攻するとすれば、予想されるのはアルカスルでの地上戦だ。」
 先の戦いでクロスボーン亡命者の支援を受け、オーブルが国産モビルファイター「デナンゾン」を配備したことは知れているが、この機体は能力が低く、ティターンズのモビルスーツには歯が立たない。オーブルはアナハイム社の協力を得てジオン軍の「ドムW」の設計を改良した新鋭モビルスーツ「ドワッジ」を配備しつつあり、これは月の工場からアルカスルに宙輸されるはずだ。が、これまでの所、オーブル軍が十分な数のモビルスーツの大量輸送に成功したという情報もない。
「モビルスーツを積んだ船団は近日中に必ず進発するはずだ。その時はこれを叩く。」
 先の第二次船団には十二分な被害を与えた。ここで次の船団に大損害を与えれば、損害率は四割を超え、中央コンピュータで検算するオーブルの戦術ドクトリンからして、アルカスルでの反攻作戦は頓挫するはずだ。






〇〇九八年七月一〇日
テレシコワ市 オーブル共産党本部


三次船団の準備をウズミラが中断したという報告を受け、財務委員のウナトが党本部の彼の部屋にやって来た。参謀らと共に今後の方策を検討していたウズミラに、ライバルの財務委員が声を掛ける。
「なぜ船団を進発させないのだ。大躍進作戦の期日が迫っている。それともまた延期か? ウズミラ委員の弱気にも呆れたものだ。」
 ライバルの言葉にカディス少将と顔を突き合わせていたウズミラは眉をひそめた。進発させることは簡単だが、途中にはティターンズの機動部隊がいる。潜宙艦とは異なるが、強力なモビルアーマーによる大量殺戮的なこれを逃れてテレシコワに到着することは至難の業だ。
「エウーゴ艦隊は何をやっておるのだ。ティターンズと戦うのが彼らの仕事だろう。」
 消耗したエウーゴ艦隊はシャリアやグラナダで補修作業を行っている。十分な数の護衛艦を提供できないことから、エウーゴ司令のブレックスは作戦の延期を求めている。
「同志トワイニングはお怒りだ。貴君には失望したと言っている。」
「しかし、十分な護衛のないまま、船団を進発させるわけにはいかない。先の第二次船団の二の舞になる。」
 ウズミラが言うには、新型ビグロを載せた第一次船団はオルドリンでの国際会議中に密かに進発させたので、ほとんど無傷でテレシコワに到着したが、続く補充物資を積んだ第二次船団はアリスタ沖でティターンズに捕捉され、船団長船「クルシャコフV」も含む一八隻の損失を受けた。これは船団合計の四五%であり、続く輸送で同等の損失を受ければオーブル軍は反攻に要する兵力を維持できなくなる。特に今度進発させる第三次船団はモビルスーツを乗船させており、損
(つづく)




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